太田 忠 – 賢い投資家必読! 株に強くなる本88

★★★★☆

著者

太田忠は証券会社から独立した投資家、企業化。ドイチェアセットやらJPモルガンやら、有名どころの外資企業の出身である。

投資講座、株式投資入門、資産運用なら太田忠投資評価研究所株式会社

彼は文学部出身という引け目を武器に変え、25年で2万冊の蔵書を蓄えた。見習いたいものだ。

内容

本の紹介は多岐に渡る。ハウツー本や投資の古典から、歴史書・フィクション・漫画にまで及ぶ。88冊紹介されていたうち、自分が読んだことのある本は4冊。それらの本の紹介文は、所々つまみ食いしたまとめにすぎないという印象が強い。他にもちょっとこじ付け的な本や、後半の紹介が端折られていて明らかに最後まで読んでいない本があったりして雑な点も見受けられるが、全体として紹介されている本のレベルは高い。7割くらいは、読んでみたいと思わせるような本ばかりだ。他人が本を紹介してくれるというのは本当にありがたい。自分一人ではそれらの本に辿りつくことができないから。

「敗者のゲーム」「ウォール街のランダム・ウォーカー」のような定番書はもとより、「本間宗久相場三昧伝」「火星からの侵入」「資本主義の終焉と歴史の危機」「証券投資の思想革命」「行動ファイナンスと投資の心理学」ここら辺は古本屋で見つかり次第即購入したい本だ。

買いか?

読む価値はあるが800円は高い。ブックオフで100円で売られていたら買うので十分。


日本経済新聞社 – 検証バブル―犯意なき過ち

★★★★★

日経がまとめたバブル通史。私はバブルが発生している真っただ中においてはほんの子供であったため、何が起こっているかは全く知らなかった。

そういえば80年代の終わりか90年代初めに、祖父が家族に株を買うことを頻りに勧めてきた記憶がある。もちろん当時は小学生くらいだったので株ってなんじゃ?と思っていた。もう一方の祖父に反対されて買わなかったらしいけれど。当時の祖父は羽振りが良かった。そして、しばらくすると祖父はおかしくなり、いつ遊びに行っても寝ているか酒を飲んでいるか怒鳴るかしていた。祖父は新世紀を迎えることなく癌で早死にした。私がバブルについて知っていたことはその1点だけである。

正にその時代、日本経済は空前のバブルに沸いていた。土地の値段が天井知らずで上がり続け、その土地を担保に企業はレバレッジ経営をしたり、さらに不動産に投資して利益を上げていた。要因となったのは円高不況脱出のための利下げと金融緩和による投資意欲の過熱、土地が値上がりし続けるだろうという人々の信仰、政府の認識能力の欠如による対応の遅れ、一番大きな原因は、日本人の横並び意識という国民性だった。最後の原因は文章中に明示的に書いてあるわけではないが、私はそう感じた。

誰もかれもが土地が値上がりするという誘惑に取りつかれたため、みな土地に投資する。ある銀行が土地を担保にして過剰に融資を始めた。その土地がのちに値下がりするとも知らず。そして、ここが驚くべきところだが、明らかにおかしな状況なのに、他行に負けまいとどの銀行も他に倣って融資を始めてしまうのだ。

土地も株式も以上に加熱し、平均PERは80-200倍まで膨らんだそうだ。今そんな事態になったら私は怖くて全額引き揚げる。やばすぎる。東京圏の土地は最大4倍ほどまで値上がりし、バブル崩壊後1/4になった。

企業も個人も財テクと言って投資に走った。「今買えば絶対儲かるから」小金持ちほどそんなフレーズに欲望を刺激されて財産を破裂させる羽目になる。

祖父はある特例市の中心駅から歩いて10分程度というそれなりの土地に家を持っていた。おそらく、この土地を担保にして株を買ったらどうかと、証券会社や悪い友達に唆されたに違いない。バブル崩壊とともに、株が大幅に値下がりして夢破れ、飲んだくれになったのだろう。しかし家を売り払ったわけではなく暮らし向きが貧乏になったようにも見受けられなかったので、失うものはあったが致命的ではなかったのだろう。飲んだくれるほどのことじゃないじゃん、って今では思う。70代くらいだったろうから、一世一代の博打に敗れた気持ちにでもなったんだろうか。もはや知る由はない。

この本からは大事なことをいくつか学んだ。

・金は経済の血液である。金が回らなければ経済は死ぬ。公的資金注入=輸血である。

・銀行をつぶすのは簡単だ。預金者が預金を引き出すだけでよい。

・人間は過ちを認めたがらない。当事者はみんな仕方がなかったんだという。

・バブルが止められなかったのと太平洋戦争から引き返せなかった構図は同じである。

本のタイトルに反して、バブルには次のような犯意があると言いたいように感じた。「俺は儲けたい」「俺は大丈夫」「やばいけど誰かが何とかする」「俺に責任はない」

 


真山仁 – ハゲタカ


★★★★☆

経済に興味が出てから、以前ドラマ版を見たことがあったこの作品をどうしても読みたかったので手に入れて読んだ。日本人である鷲津を主人公に添え、彼によって日本人のバブル期の欲望が生み出してしまった巨大な負の遺産を総整理していく、というのが骨子。文章が上手なわけではなく文学的な価値はないのだが、とにかく取材が丁寧!まるでバブル崩壊後の90年代後半~2000年代前半を追体験しているような気になれる。日本企業がいかに腐っているか告発してるんじゃないかというくらい、政府と銀行に対する糾弾が垣間見える。またそのような歪みを見つけて行動することが莫大な利益を生むことに繋がる、という今まで何度も見聞きしてきた実例とも合致した。一週間くらいで一気に読み終えることができた。

なお一番描写が秀逸だと思ったのは、序盤の釣りのシーンだ。取材と技術に裏打ちされた、釣りのことは知らないけれどなんだかすごいような気にさせる、ヒカルの碁のような上手い手法だと思った。逆に鷲津がカッコつけるシーンはやや過剰演出。。マイルス聴きながら爆走できるか!?わたしゃできん。彼は精神を解き放つのではなく、トランぺッターの中でも稀な、感情を音に圧縮して外に出さない瞑想タイプの演奏をする人だから。


Introducing Python: Bill Lubanovic

★★★★★

Python入門書。他の言語をある程度扱える人間がPythonってどんなもんなんじゃろうと思って読むのにはちょうどよいレベルの書籍だった。私のような境遇の人間には極めておすすめ。特に後半は歯ごたえがありプログラミング初心者向けではない。

幅広くPythonの文法とちょっとした応用、モジュールの幅広い紹介を含む。TCP/IP用のモジュールやマルチスレッド処理、テストケースの解説まで広く浅くと言った感じだ。練習問題も程よいレベル。Pythonはとっつきやすい上にモジュールが充実しまくっていて開発がとっても楽な言語だ。もっと極めてみたいが無料サーバーでPythonが扱えるところは少ない。有料でもさくらサーバーくらいしかない。自機で動かすか、専用orVPSサーバーを借りて動作させるしかなさそうだ。未だPHPが主流なのはちょっと悲しい。


森生明 – MBAバリュエーション

★★★★★

バリュエーションの入門書。この本の要点は次の式に集約される。

 

PV=C/(r-g)

 

PV→現在企業価値(Present Value)

C→キャッシュフロー(Cache flow)

r→キャッシュフローの安定性・リスク(risk)

g→キャッシュフローの成長性(growth)

 

大部分の記述がこの式を基礎として成り立っている。1冊かけてこの式の重要性を説いていると言っていいと思う。キャッシュフローを基にして考えている点が特徴的だ。

なお、(r-g)はほぼPERと等しい。つまりPERの高い企業は、PVを高く評価されている。すなわち企業の生み出すキャッシュを超える価値を市場に認められているということになる。

後半のM&Aを使った実例も面白い。M&Aの世界では、一つの目安として5年後の企業価値を算出し、買収価格を決定している。現在の企業価値は、5年後の価値をおり機関投資家の目で見ると、株価は5年後の企業価値を反映しているとみなし、そこからマイナスに乖離していれば買うしプラスに乖離していれば売る、ということになる。

おそらく入門中の入門の本なのだろう。C, r, gの求め方は若干記述があるものの具体性に欠ける。骨子は十二分に掴めるがもっと勉強が必要なことはよくわかった。次なるステップには次の本が必要だろう。。

 

企業価値評価 第5版 【上】

企業価値評価 第5版 【上】

  • 作者: マッキンゼー・アンド・カンパニー,ティム・コラー,マーク・フーカート,デイビッド・ウエッセルズ,本田桂子,柴山和久,中村正樹,三島大輔,坂本教晃,坂本貴則,桑原祐
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/08/31
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

私のような新参者にとっては非常に優れた本だが、著者の意見やコラムの分量が多く、体系的な内容が充実しているわけではない。フルプライス¥2,592を払うにはちょっと高い。


プラトン – ソクラテスの弁明・クリトン


★★★★★(´・-・。)
おそらく世界でいちばん有名な哲学書(むしろ物語?)。昔背伸びして買った古い岩波文庫が眠っていたので読んだ。対話篇と称されるように全編が実在の裁判に沿ったソクラテスの一人語りでできており、彼の弁論がソクラテスという思想家を構成する仕組みとなっている。物語形式であるためか文章は明快で、哲学に全く明るくない私でも通勤の往復時間(2時間くらい)で読み通すことができた。
本編は高校倫理などでおなじみ「無知の知」を核とする。彼はいわゆる知識人・偉大な人物と称される人間に会い、どれだけすごい人物かと期待し対話するのだが果たして自分より賢くないことが分かってがっかりする、ということを繰り返すうちに、勘違い知ったか野郎の目を覚ましてやることを生きる目的とするようになった。ソクラテスは言う、「彼らは自分が何も知らないのだということを分かっていない」と。そして真に賢明なのは神のみで、人間には何も知ることができないということこそが智慧であると主張する。このことを弁えている自分は彼らより賢い。
こう言うのだから自称知識人達を敵に回して当然である。ざっくりまとめてしまうとソクラテスは真実を言い当てられた人間たちの手で死刑に処される。詳しくはweb上で読める日本語訳があるのでこちらを読んでいただきたい。序文は後で読んだ方が良いかも。
彼が何も知らない・知ることができないと語るのは、少し前に読んだソロスの思想とも通じる。驚くことに、西洋哲学数千年の歴史をもってしても、人間が何も知らないという事実は全く揺らがなかった。私も実感として、さまざまな書物を読むにつけ、私だけではなく人類も何も知らないのだという事実だけが積み重なっていくのがわかる。知ったつもりになっている人間は須らく間違っている。ラストでソクラテスが「私が死んだ後、私の息子がひとかどの人物になったような気になっていたら君たち諌めてくれ」と言うのが切ない。
クリトンはこの話の後日談、ソクラテスの友人クリトンが脱獄を薦めるものの、ソクラテスに説得され諦めるという話。この説得は国家への完全なる服従が前提となっている。詳しくは当時のギリシャに関する書物を読まないとわからないが、彼の言い分からするとアテナイ市民は国家を相手に保護と服従のギブ&テイクの厳格な契約をしたことになっている。契約に不満があれば国家を勝手に出ていってもいいらしい。これを前提として、私は国家から70年も出ていななかった、つまり国の論理に従って生きることを選択した以上、私はこの国の法に則らねばならない、これを破って脱獄するのは国を破壊する行為であり正しくない、と言うのが彼の主張の骨子だ。ああ彼らは大陸人なんだなぁと思った。日本人のような島国の国民にとって国家からの脱出は難しい。言葉の壁も大きい。また現代の人権思想を軸とした見かけ上ゆるい統治体制のせいで、国家を相手に契約した覚えなんかないよ、という人間が大多数だろうと思う。そんな私たちにとってはソクラテス国なんかに殺されて馬鹿じゃねーの逃げろよ!と反発を覚える内容だが、当時のギリシャ人から見れば我々こそ間違っていることになるだろう。
この作品からは理性・論理への完全な信頼が伺える。感情から生まれる非論理的思考を徹底的に排除し、議論によって正しい論理だけを採用する。ソクラテスは自分が正しくないと心の底で感じたとき、「ダイモニオンの声」が聞こえるという。これが何であるかは様々な解釈があると思われるが私は「良心」や「第六感」のようなものだと感じた。ソクラテスはこの声を裏切ることは決してできなかった。どこまでも正しい人であった。そして正しいがゆえに彼は死なねばならなかった。
個人的には、当作品にはこれまでに自称知識人を叩きのめしてきた過程が全く書かれていないので、具体的にどうやって論破するのかを知りたい。


望月 実, 花房 幸範 – 有価証券報告書を使った 決算書速読術


★★★☆☆
有価証券報告書とは何かも知らない頃に買った本で、読みやすく2時間くらいで一気に読めてしまった。読みやすいということは内容が薄いこととリンクしやすく、本書も例外ではなかった。決算書を貼り付けたページが多いことと、財務以外の解説を行う前半部分は特に内容に乏しくあまり読む価値がなかった。
後半の財務分析実例は2のブルドックソース(TOB)、5の伊勢丹・三越(合併)のトピックが面白かった。ハゲタカを読みたくなった。伊勢丹・三越の分析は実際に足を使ったリサーチがされており興味深い。ただし1の吉本興業、3のミクシィについては決算書を読み始めて3か月程度の私でもできそうな分析だったのでがっかりした。しかし会計士が決算書を見るにあたって、最も重視しているのは営業利益率のようだ、ということが分かったのは大きい。
出鱈目が書いてあるわけではなく著者の意気込みが感じられるものの、軽い読み物や入門書としてならよいが本格的に勉強しようと思っている人間にとっては不満の残る内容だ。気になる会社の有価証券報告書をいくつも読んだ方がためになる。フルプライスの1620円は割高、私が買った値段200円なら妥当と思われる。


ジョージ・ソロス – ソロスは警告する(2008)


★★★★★
ジョージ・ソロスという人間に興味があったので読んだ。2008年前半、すでにサブプライムローン危機が表面化しリーマンショックに至る直前の著作で、彼は構造的で長い不況に至るであろう原理を自身の「再帰性」を論拠に粘り強く説明する。再帰性理論は人間の可謬性を基礎としている。人間は真理に到達することは不可能で、必ず不完全な知識に基づいて行動する、という信念のことだ。これは実感として非常に納得のいくものであり、感動した。さらに認知機能と操作機能の区別についても、半年ほど前に読んだ三木清氏がしきりに「人間は環境に働きかける生物である」「人間は世界を変革する生物である」と述べており、彼と全く同じ事を言っているので腑に落ちた。金融市場は彼の理論が展開されるのにもってこいだ。金融商品の価格を決めるのはまさに私たちなのだから、操作機能が即時に市場に反映される。価格を解析するための認知機能も複雑に発展している。認知機能と操作機能が相互作用し、極端な正のフィードバック(バブル)や負のフィードバック(恐慌)が起こる、という主張を核に据えた直感的にも極めて確からしい明快な書であった。彼の著作は全部読むべきだと感じた。また金持ちになりたければ経済と歴史と哲学の勉強が必要であることも痛感した。ああ十数年棒に振ってたよな。まだ間に合うかな。


クリティカル・シンキング―「思考」と「行動」を高める基礎講座


★★★★☆
ブックオフでタイトルに惹かれて購入。ブックオフは新本屋の敵だけれど、我々貧乏人にとってはゴールドラッシュだ。ただし都市部の大型店に限る。新宿西口店は100円コーナーですら山のような一般書があり感動した。近くの西新宿小滝橋通り店とは月とスッポンだ。小型店はマンガくらいしか見るものが無い。といっても、地方だと大型店ですらほとんど漫画とゲームソフトばっかりだが。
クリティカル・シンキングと大仰な用語が付けられているが、一言でいうと「理性に照らして妥当かどうか考えよ」とまとめられる。本全体がこれの言い換えに過ぎない。その考えは権威に従っているだけではないか、自分の感情による非理性的なバイアスがかかっているのではないか、根拠があるのか、その根拠は正しいか、信頼できるか、基準があるか、、、などなど。
この本は原書の半分程度しか抽出されていないと冒頭にあった。いきなりがっかり。内容自体は、amazonでボロカスに言われているようなものではない。訳も素直に読めたので悪いわけではない。失礼だが、内容が理解できなかったんだと思う。。
抽出した箇所は特に自己中心性の認識、修正に重点が置かれていると感じた。自己中心性は、自己の中にあるがゆえに自分で意識することが非常に難しい。自分の中の第三者の力を使って認識しなければいけないからだ。したがって自らの誤りは他人に指摘される可能性の方が高い。ところが私たちは自分が間違っているとは思いたくない。自分を変えることには大きなエネルギーが必要であるから、できるだけ避けたいと思う。私たちは問題をすり替えたり、非論理的に反駁したり、最終的には無視することでエネルギー消費を節約している。この本は理性の力で誤りを正し、客観的妥当的な思考を養うことが目的だ。自己欺瞞を自分の力で発見し修正するのは困難だ。本書に指摘されて治るのならこんな良いことはない。
この本の欠点は概念的な解説が大部分を占め、具体的な記述が不足していることだ。学生向けに書かれたと思われ、ワークショップ形式の設問が多い。なので授業で使ってみて初めて意味がある。読むだけでは得られるものは少ない。なお回答例は邦訳者が追記したと思われる。携帯メールの良しあしなど卑近な例に問題が落とし込まれてしまい、今どきの大学生ならちょうどいいのかもしれないがいい年をした自分にとっては不満だ。多数存在する設問に、自分なりに回答を出してみる必要がある。
自分としてはここ10年何となく考えてきたことがほぼそのまま書いてあることが多く、思考が文章化されてとても助かった。


財務諸表入門(第五版)


★★★★☆
ブックオフで100円で購入した。簡潔かつ丁寧にまとまっていて、入門書としてはよく出来ている。細かい解説は不足しているので更なる詳解が必要なのは仕方ないが、はじめの1冊としてはよくできている。
最後に日本オラクルの平成18年5月決算短信が読解例として紹介されている。一目見て、雲の上の素晴らしすぎる決算だと思った。まずは驚愕の営業利益率35%!日本の会社の営業利益率平均は3%程度であることを考えると、とてつもない儲けだ。自己資本比率は71%、短期借入金長期借入金0円、今期も来期も売上・利益共に2ケタ成長、配当性向は圧巻の100.3%(前期は104.9%)!神様のような会社だ。何がこの会社を転覆できるのだろう。本文にも「財務面から採点すると100点満点」と書いてあった。さらに資産の部に有価証券が多いことが指摘されており、儲けを運用してさらに稼いでいることが予想される。さらにROE24%、ROA17%とこちらも優秀すぎる数字だ。
ところが、チャートを見るとこの後株価は下がる。
http://rokujo.esy.es/StockHoloscope/chart.php?mcode=4716&start=20060101&end=20061231
決算発表日は2006年7月6日。この日の終値は5250円で、このあと突然4000円台の底に突入する。こんな順調な会社がなぜ!?
計算したところ2006年7月6日終値の実績PERは35.1倍、来期予想で31.8倍。すでに買われすぎだったのだろう。10%以上の成長率をコンスタントに叩きだす企業でさえ、PER30倍を超えたら株価的には美味しくないことが分かる。ここまでくると20%以上の成長率を期待されるのだろう。そんな大きな数字が何年も続くわけがない。この例で分かったことは、PER30倍を超えるような銘柄は、その企業が一発当てて20%以上の成長を遂げることが確実な場合以外は買ってはならないということ。以前トレダビで持っていたセブン銀行は、成長率がここと同じ約10%の企業かつ現在のPER30倍なので、ほぼ同じ状況の危険水位にあることがわかる。ATMの数は頭打ちになってきたので、赤字になることはないものの成長率が5%程度に減速すれば大幅下落もありうる。もう売ってしまった。下がるのがいつの日になるのか予想するのも勉強になりそうだ。