CDレビュー: Testament – First Strike Still Deadly(2001)


★★★★★

ベテランのスラッシュメタルバンド、テスタメント。このアルバムは1stアルバムと2ndアルバムからチョイスしたリメイク版で、デビューから20年近く経って脂の乗り切った彼らの演奏が凝縮されて詰まっている。ただのスラッシュメタルではない。所々メロディアスなギターを織り交ぜヘビメタバンドとしても十分通用する演奏をする。

特に1,6,7,11曲目がすごい。1曲目表題曲First Strike is Deadlyはいきなり音速ドリフトイニシャルDという感じで、ラストのメロギター→ツーバス地帯への流れが見事です。6曲目Burnt Offeringsはメタル要素を全部注ぎ込んだ会心作で、退廃的なイントロから爆裂リフ炸裂ドラム、重い重い6/8拍子を経て超速の後半戦へ、、この曲が一番好きです。7曲目Over The Wallもリフギターが超かっちょいい。10曲目Alone In The Darkはおそらくこの曲だけヴォーカルが違うと思われる、この曲のおかげで何故スラッシュメタルが以前から好きだったのか、がわかった。ゴアトランスと共通していることが多いのだ。和音や調整を拒んでヴォーカルは単音と半音か全音の上下くらいしかせず、音階を無視した爆速フレーズとリズムで押して押して高揚させる一種の形式美、が好きなんだな。そういえば何カ所かで中東風のギターの旋律も聞こえてきた。ラスト11曲目Reign Of Terrorも6曲目に引き続き神がかり的なドラムがすごい。イントロも力入りすぎ。

歌詞を何曲か読んだところよくある「破壊!殺戮!死ね死ね!」のようなものではなく、いや大体そうなんだけど、The New Orderなんか核戦争後のヒャッハーな世紀末世界観だし、でもBurnt Offeringsで”Won’t die!”と何度も叫んでいたり、Over The Wallでは”Restart my life or self destruction” “Holding the quest for freedom that beckons me” のようにそんな破滅的世界の中でもあがいて抵抗して闘え!というメッセージを感じた。歌詞読んでみてよかった。

ここのところヒット作が多く豊作です。
そもそもスラッシュメタルを聞き始めたのは都心に通勤していた時期にコンビニで必ず立ち読みしていたこの漫画の影響のせい。ゴートゥーDMC。で、いったいどんな音楽なんだろうね、と思って評判の高いSlayer – Reign in Bloodを聞いておらびっくらたまげただ。今度スラッシュ四天王のアルバムも集めてみようかな。

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CDレビュー: Stéphane Kerecki Quartet – Nouvelle Vague (2014)


★★★★★

ジャケ買い。音楽の内容は全く見ずに、この構図にひかれてしまった。買ってみるとジョン・テイラーさんがいたりそれなりに有名なカルテットのようだ。Nouvelle Vague というのは1950-60年代くらいのフランス映画で、このアルバムは映画音楽のジャズアレンジ、ということらしい。バンドリーダーのステファン・ケレクキさんはウッドベース担当で、かなり渋い音を聞かせてくれる。

1曲目Charlie Et Lenaはインプロが激しくわけわかめ状態だが、2曲目以降は全員が異様なくらい透き通った音を聞かせてくれて、ちょっと怖いくらいだ。オーボエのようなソプラノサックスの歌い上げがせつなく、上手に歌ってるんだけれど全く前面に出ないドラム、時々いることに気付くくらい目立たないが全体をバッチリまとめてるピアノ、ベース。この均衡が時々崩れ、そこでドキッとさせてくれる。

まず最初の山が3曲目Ferdinand。原曲の出典pierrot le fou「気狂いピエロ」はハンターハンターに念能力名で出てきた。映画のタイトルだったのね。聞いていると落ち込む。死にたくなる。映画は見たことないけど間違いなく鬱になる作品だろう。さらに4曲目La Chanson De Maxenceも序盤がダメージ高い。歌声と演奏とどちらも透明すぎる。

10曲目はなんとベートーヴェン交響曲第7番第2楽章のアレンジ。映画「王様のスピーチ」の見せ場でかかる曲なので記憶にある人も多いのでは。この曲の後半の展開部もすばらしい。

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ねこ

10月並の涼しい日が続いている。朝起きると、窓の傍に位置している2匹の猫のうち白い方(以下、白)が寒いぞと文句を言うので、窓を閉めてやった。もう一匹の灰色で毛がふさふさな方(以下、毛)はふさふさなので文句も言わずクールなものだ。白はよく興奮してそこら中をぐるぐる回る。そして毛の尻をなめる。白は尻が臭い。自分の尻をなめるべきだ。今横目で見たら丸くなって寝ている毛の尻尾に顔を突っ込んでまた尻をなめてる。尻尾で顔が隠れていてシュールだ。そんなに尻が好きか。涼しくなったのでよく興奮する。闘い始めた。必ず白が下からパンチして、毛が上からやる気なさそうに受け流す。毛はめんどくさがりなのだ。飯のとき以外は動かない。


学習方法見直し

一昨日に書いたことを踏まえて、今の外国語学習方法を見直さなければならない。
・わからない教材は効率が悪い
分からないものをいくら読んで聞いても分かるようにはなかなかならない。読書百篇意自ずから通ずとも言い、確かにその通りだとは思うが100回読んでいる時間はない。人生は有限である。
分かるものを確実に1つずつ理解していくのが遠回りのようで一番の近道である。
・繰り返し
特に単語を覚えていないような時期は、何事もマスターするまで繰り返すのが効率の悪いようで一番効率がよい。数をこなしても左から右へ抜けるだけで意味がない。それよりも、確実に覚えていることを増やすのが良い。そうすれば、レベルの高い文章でも分かることを手掛かりに意味を推測しやすくなる。
これらを踏まえて各言語ごとの対策を立てる。
・英語
文章は初見で大体わかるので、量を増やすべき。リスニング能力はバックトゥザフューチャーのように筋を知っていればなんとかなるが初見は苦しい。初見で10分〜数十分の教材を繰り返して意味が分かるまで聞く練習をするべき。
・フランス語
易しい文章なら何とか理解できるが時々基本的な単語が抜けているので、随時チェックする。理解があやしい単語は辞書を参照しながらゆっくり読むのがよさそうだ。リスニングはかなり苦しいので、NHK Worldなど意味が推測できそうなもので慣れるのがよさそう。
・中国語
漢字なので文章は何となく意味が分かるが読みがまったくだめ。単語の読みの記憶を徹底するべき。幸い中国語の動画は字幕があるので、字幕を見ないで漢字を想像できるまで聞き込むのが良い。そうすればリスニングもできるようになって一石二鳥のはず。
・韓国語
2年ほどハングルに触れていて未だにほとんどの単語を見ただけで判別できない。あの文字は慣れるまで時間がかかる。まず単語から。
・ドイツ語
超基本的な文章の反復から。意味がソラで分かるようになったら次の教材へ。


地面に付いた!

前屈がやっと地面に付くようになった。2か月ちょいかかった。5年ほど前に一度継続して前屈していたときは、1か月程度で地面に付くようになった記憶があるので、やはり年なのか、柔らなくなる速度が遅くなっている。しかし、柔らかくならないわけではない。継続は嘘をつかない。いくつになってもやっても無駄なんてことはないのだろう。
昨日から異様に涼しい。外は23度くらいまでしか上がってない。来週また暑くなるらしいので、体調が悪くならないようにしなくては。


CDレビュー: Verve Jazz Masters 54 : Woody Herman (1996)


★★★★★

ビッグバンドのリーダーにしてクラリネット&サクソフォン奏者のウディ・ハーマン特集。ジャケットではクラリネットを吹いてるけどCD内はサックスが主で、クラリネットはあまり出てこない。ビッグバンドにクラリネットはよく合う。高田馬場に仕事で通っていたとき、よくパチンコの宣伝をしているチンドン屋のクラリネット奏者が非常に上手だったこと、なんかを思い出した。

バンドにみなぎるエネルギーの量が尋常じゃない。どの曲もスピーカーやイヤホンが熱暴走しそうだ。ハーマンさんの音は癖が少なく落ち着いていて、ソロパートは常にぶっ飛ばし気味の演奏の中の一つの清涼剤となっているようだ。実際、バンド内のトランペットやトロンボーンのソロはアクが強く、こいつらをまとめるのは大変なことだろうなと思う。

例にもれずごった煮の曲順だがライブ音源が非常に多い。どの曲もよいが、特におすすめするのは、冒頭のベースがカッコよくラストが一風変わった3曲目Camel Walk、超高速で初めから最後まで心臓なりっぱなしの7曲目Caldonia、モダンジャズと上手に融合したラスト13曲目Dear John C。ビッグバンドジャズの超優良アルバムとして自信を持って薦められる1枚だ。

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CDレビュー: Verve Jazz Masters 53 : Stan Getz – Bossa Nova –

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サックス奏者スタンゲッツ。他の奏者とは明らかに違った音が出ています。ワイルドなブヒブヒ音を立てることは全くしません。静かでハスキー、それでいてスケールの大きな音を出します。音が小さいわけではなく、息を大量に使って音を出しているらしいです。彼の音の出し方はおそらく天才肌に属するでしょう。そしてジャズメンの常、麻薬常習の強化人間です。最強。後年は麻薬はやめてアル中になったそうです。それじゃ一緒じゃん。

このアルバムは彼の大好きな?ボサノヴァだらけのCDとなっていて、最初から最後までダルダルのデレデレです。相変わらず突然ライブ音源が入ったりとごたまぜの構成です。6曲目Samba De Uma Nota So、14曲目Samba Tristeあたりはボサノヴァに他の要素を混ぜたような曲で変わっていておすすめですが、極めつけはラストのThe Girl From Ipanemaでしょう。アルバム中何曲かサックスを吹かずに歌ってることがありますが、この曲はライブということもあってか歌がぶっ飛んでます。声が澄み切ってるというか、普通の意味の澄んでいるのとはまた違った、自我が没入していてそこの世界に強制的に引きずられていくような、要はイッちゃってる、ということなのですが、ちょっと怖いです。

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理論と実践

非常に当たり前のことなんだろうけれど、何かを身に付けるためには理論と実践、どちらが欠けてもいけない。理論がなければいくら実践しても効率が悪く、徒労に終わる。理論があっても実践しなければ絵に描いた餅であり、何も発展しない。また、理論は暗記のみであってはいけない。暗記はある程度までは必要な場合があるが、物事の本質であることはまずない。理論の骨組みに実践の肉付けをするのが理想だ。
末子の囲碁の力が妻の教育理論のおかげて驚異的に伸びたことに感動したので。


CDレビュー: Bach-Mozart-Brahms, Heifetz(vn.) – Double Concertos (RCA Living Stereo Collection CD 53)


★★★★☆

ヴァイオリンの帝王ハイフェッツちゃん(ジャケットに描かれているおじさんです)。このCDはヴァイオリン*2またはヴァイオリン+チェロのダブル協奏曲を3点集めたもの。前半戦ともいえるバッハ、モーツァルトはいわゆるバロック期、古典派の王様で、この2人は様式美が濃ゆく、耳にはさんだだけですぐ作曲者がわかる。たとえばこの絵を見て即、北斗の拳だと分かるのと同じ。

バッハはすぎやまこういちさんのせいで対位法を使ってると常にドラクエの城みたいな音楽に聞こえるし、モーツァルトはいつも通り超きらきら。ダブルコンチェルトということで抑えてはいますがハイフェッツちゃんの音も聞けばすぐ彼だと分かる特徴がある。メロディーを軽いグリッサンド気味に歌い上げることが多い。これを下手なポップス歌手がやると耳に触るけれど、彼のヴァイオリンは唸るし泣く。この2作品についてはオケが悪いのかソロ演奏者が走ってしまうのか分からないが、時々呼吸が合わなくなることがあり、その度にイラッとさせられるのが残念だった。

後半戦のブラームスのヴァイオリン+チェロ協奏曲はドイツ・オーストリア系ダサカッコイイの正当後継者で、この曲も例にもれず真剣にちょっとダサいメロディーを荘厳に奏でる聞きごたえのある曲だった。協奏曲ってのはなんで常に第一楽章が長大になりがちなんでしょう。第三楽章はいきなり民族音楽的な主題で始まりヴァイオリンかわいすぎ、中盤からチャイコフスキーでよく見られる半音ずつ上げていってドキドキ感を高める手法がとられていて心臓がバクバクします。最高です。

ハイフェッツちゃんのベスト盤としてはこのCD>のシベリウスの協奏曲を推したいです。ひたすら泣いてます。

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