CDレビュー: Great Pianists of the 20th Century Vol.8 – Wilhelm Backhaus(CD1)

★★★★★(*´ω`*)

ヴィルヘルム・バックハウス(1884-1969)は、ドイツ出身のピアニストです。

なんとベートーベン→ツェルニー→リストの直系、師匠はオイゲン・ダルベールというリストの弟子ということでこりゃ音楽的に純血のピアニストと言えますね。そんな彼が一番有名なのは無論、ベートーヴェンのピアノソナタの録音です。

天才ピアニストが一生を賭けて目指した境地

1枚目はベートーヴェンのピアノソナタから4点、第8番「悲愴」、第17番「テンペスト」、第26番「告別」、そして第32番。どれも有名なものばかりです。

第8番はのっけから彼の非常に特殊な歌い方を味わうことができます。とにかく溜める溜める。うねってうねって竜巻でも起こっているかのような演奏です。第17番も今まで聴いたどんな演奏とも違う弾き方です。

圧巻は26番の第3楽章と32番全部です。ベートーヴェンのピアノソナタは、以前にこのボックスで全曲通して聴いた(全部レビューを付けました)ことがあります。後期になるほど技術的にはもちろん高度な精神性が必要とされると感じました。バックハウスの演奏は、技術的にはよくとちるのですが、精神的には完璧に弾きこなしています。26番の第3楽章はピアノの間から光でも漏れてくるかと思いました。

32番は現時点、すべてのピアノ曲の中で最高傑作だと思っています。このCDでも強く感じました。第一楽章は全ベートーベンまとめとも言うべき密度の濃い曲ですが、奏者の脳血管切れるんじゃないかとくらいの熱演です。ベートーヴェンのどんな作曲家にも真似のできないダサカッコパワーとその美しさには与える言葉が見つからないほどです。第二楽章は中盤のスウィング部分が胸が張り裂けんばかりに美しく、ジャズの発祥という人までいるほどの宇宙を感じさせる異次元ピアノ曲です。やっぱりこの曲が最強だな。

backhaus beethovenで検索をかけると32番がまずヒットしました。やっぱりこれなんですね。

www.youtube.com

収録日が2年違うので、このCDとはまた別録音のようです。彼は活躍した時期が20世紀前半であるため録音が軒並み古いのが残念です。しかし、古さを超えてお腹にずっしりと響く演奏でした。このCDに収録されているのは1954年の演奏。つまり70歳のときの録音です。すげぇ。ピアノだけに打ち込んだ天才が、70年かけて辿りついた境地と言えましょう。

 

 

ここにすんばらしい紹介文があります。もっともっとピアノ曲を聴いて、全身で味わえるようになったらここで紹介されているアルバムを聞いてみたいです。

このバックハウスの『最後の演奏会』の模様は録音されて残っており、CDとして聴くことができる。人生の最後の瞬間まで演奏家として生きた感動的な記録で あると同時に、音楽が肉体を飛び越えてしまった稀有な演奏として僕には響いてくる。鍵盤の獅子王も晩年になるとミスタッチが見られるが、それ以上に曲と戯れているような優しさが演奏から感じられるのである。
とりわけ、シューマンの「夕べに」と「なぜに」はもはやこの世の音楽とは思えない。辞世の歌である。

 

最後の演奏会

最後の演奏会

  • アーティスト: バックハウス(ウィルヘルム),ベートーヴェン,シューベルト,モーツァルト,シューマン
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1997/09/10
  • メディア: CD
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Track List:

Ludwig van Beethoven

1. Piano Sonata In C Minor, Op.13 ‘Pathetique’: 1. Grave – Allegro di molto e con brio
2. Piano Sonata In C Minor, Op.13 ‘Pathetique’: 2. Adagio contabile
3. Piano Sonata In C Minor, Op.13 ‘Pathetique’: 3. Rondo. Allegro
4. Piano Sonata In D Minor, Op.31 No.2 ‘Tempest’: 1. Largo – Allegro
5. Piano Sonata In D Minor, Op.31 No.2 ‘Tempest’: 2. Adagio
6. Piano Sonata In D Minor, Op.31 No.2 ‘Tempest’: 3. Allegretto
7. Piano Sonata In E Flat, Op. 81a ‘Les adieux’: 1. Das Lebewohl. Adagio – Allegro
8. Piano Sonata In E Flat, Op. 81a ‘Les adieux’: 2. Abwesenheit. Andante expressivo, 3. Das Wiedersehn. Vivacissimamente
9. Piano Sonata In C Minor, Op.111: 1. Maestoso – Allegro con brio ed appassionato

10. Piano Sonata In C Minor, Op.111: 2. Arietta. Adagio molto semplice e cantabile

 

(リンク先の曲リストは間違っています)

 

 

クラシックの他のCDレビューはこちらです。

 


3031ラクーン1Q決算 コンセンサスに到達せず下がる

株式会社ラクーン

3031ラクーンの1Q決算が27日木曜引け後に発表されていました。

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1282990

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営業利益52.2%増、純利益54.2%増。素晴らしい数字です。

ラクーンの事業は三本立て、主力は売上の7割を占める雑貨・アパレルのEC事業です。ラクーンは「スーパーデリバリー」において出品企業と消費者の商品を仲介する卸業者として振る舞い、企業と利用者の双方から手数料を獲得します。EC事業は、売上が前期比プラスであるものの流通額が若干鈍化しました。資料を読むと客単価が落ちていることが原因です。しかし出展企業数の大幅増加により会費収入が増え、利益自体は65.6%増と非常に好調。依然として利益率14.9%を確保しており堅調と言えます。

2本目は売上の2割を占める売掛債権保証事業。一定の保証料を企業から受け取り、貸し倒れが発生したら保証金額を企業に支払う仕組みで、売上高・営業利益共に前期比20%以上の増加と絶好調、利益率も14.6%と優秀です。

3本目は残りの1割弱、保証付掛け売り決済の手数料で稼ごうというPaid事業です。未だ赤字ですが、赤字幅が大幅縮小し営業損失率1%まで下がりました。もはや誤差の範囲です。売上の伸びが著しいので今期中の黒字転換は間違いないでしょう。

とても順調に見えますが、1Q実績の経常利益0.86億円に対してコンセンサス予想は1.15億円。つまり利益2倍の予想でした。

どれだけ期待高いんだよ!ということで金曜日の超リバウンド相場にもかかわらず、ラクーンの株価は下がりました。

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8/25の寄りで買っとけばよかったなーと思いつつ、過去の業績を見ると1Qに売上がやや下がるのはいつものことなので、一時的なものと考えて金曜の底で少しだけ拾ってみました。それでもPER28倍と、全然安くはないのですが。


書籍レビュー: 実例は楽しいが内容は薄い、宣伝有り注意『SEO対策のためのWebライティング実践講座』 著:鈴木良治

★★☆☆☆

著者の鈴木良治さんは株式会社アンドバリューの社長です。

webシステム開発、サイト作成などが業務のようです。この本はその活動の中で培われたノウハウを凝縮した書籍と言えそうですね。

web上で必要となるライティングスキルとは

この本の要点は2点に集約されます。

  1. 検索エンジンに上位表示されるコンテンツを作ること。
  2. ユーザーを狙ったページへ確実に誘導させること。

1点目はSEO(検索エンジン最適化)対策そのものですので当たり前のことですが、これも要点は次の2つに絞られるように感じました。

  • ニーズのあるキーワードを適切な割合で含むこと
  • オリジナル性があること

2点目についても同様に

  • ユーザーを離れさせない工夫をすること
  • 仮説・実践・検証を繰り返すこと

に絞られます。本書250P分を要約すると以上の通りです。

わかりやすく、内容は薄い

本書は、以上の4点を不動産会社の広告を例にとって具体的に説明していく構成を取ります。分かりやすさを重視している為か、1時間半くらいで読めてしまいました。内容は見た目の分厚さの割に薄く感じました。しかも、ほとんどの情報は既にwebでいろんな方が実践していることとほぼ同じです。私はアフィリエイターのブログを10ほど読みました。この本に書いてあることの2/3くらいは既に学んだことばかりです。

中盤にはキーワードを文章内に散りばめるリライト方法が書いてあります。参考になって楽しいのですが、この程度の内容ならふつうの日本語の書き方本を読んだ方がよさそうです。文字数を揃えるテクニックは必然性に欠けます。外注として文章を書く時でなければ参考になりません。

無料ツールの紹介は自社の宣伝だった

ラストに無料ツールの紹介があります。ファンキーライティングは便利そうです、が、、

ファンキーライティング[FunkeyWriting] | 無料Webライティングツール – FunMaker[ファンメイカー]

よく見るとアンドバリューの製品じゃん!サイト内に本書の広告がありました。ああ自社宣伝だったのですね。いやーまいったまいった。

他に便利そうなのはgoogleアドワーズ、googleアナリティクスと日本語文章校正ツールですが、日本語文章校正ツールはリンク切れでした。泣けてきます。googleアナリティクスは優秀ですが本書ではまともに解説されてないので、他の書籍で学習する必要があります。

 

いまいちでしたね。

 


モンサントのアニュアルレポートを読んでみた――アメリカ企業レポート初体験

今週はフィスコレポートが3件しかない上にロクな企業が無いのであきらめました。

代わりに宿題だったモンサントのアニュアルレポートを読んでみます。アメリカの企業のレポートを読むのは初めてです。

http://www.monsanto.com/investors/Documents/Annual%20Report/2014/2014_Monsanto_AnnualReport.pdf

サマリー

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好成績。年間売上158億ドル(約1.9兆円)という巨大企業で売上高7%成長ってすごくないですか。EPSなんて13%も伸びてますよ。絶好調拡大中ですね。

とはいえ、日本で売上高2兆円というとだとだいたいJTと同じくらいの規模です。大きな方ですが、決してトップではない。

Fortune 500 – Fortune

ここによるとアメリカ内ランキングは197位です。米国トップ企業ウォルマートの売上高は4856億ドル(約58兆円)ですのでその30分の1にも満たないのです。想像していたよりもはるかに小さくて驚きました。

アメリカはEBIT(Earnings before Interests and Taxes、経常利益+支払利息-受取利息+法人税等)で企業の強さを表すんですね。日本だと営業利益や経常利益そのまんまのことが多いですのでこれは文化の違いでしょうか。

売上高EBIT率を単純に計算すると24.9%と、これは大体営業利益と読み替えられるでしょうからかなり高いパーセンテージです。ぼろ儲け。純利益率も17.2%と異様な高さです。

Form 10-Kと有価証券報告書 | 米国株投資ガイド『米国株.com』

アニュアルレポートの90%以上は10-Kというフォームに基づいた報告書です。日本だと有価証券報告書に相当するそうです。つまりこのレポート、ほぼ有報と等しいのですね。あっさりしてます。企業のホットな情報を手に入れたかったら、ウェブサイトを読んだ方がいいかも。

2大セグメントは種子部門と除草剤部門で変わらず

この本の原著が出版されたのは2008年ですが、2014年時点でも大きな収益頭は種子・遺伝子ビジネスと除草剤ビジネスであることは変わっておらず、種子・遺伝子ビジネスを成長産業として位置付けています。一方、農業製品部門(除草剤)は maintain という言葉を使い、成長ではなく安定事業であるという位置づけを感じさせます。

We view our Seeds Genomics segment as the driver for future growth for our company. In our Agricultural Productivity segment, global glyphosate producers have substantial capacity to supply the market and we expect this global capacity to maintain on margins. 

と思いましたが、二大部門の売上比率は4:6で農業製品部門の方が大きく、成長率も農業製品部門の方が高いです。

新製品が登場するも基本方針は変わらない種子・遺伝子部門

種子・遺伝子部門では2013年にRoundup Ready 2 Yieldという新製品が登場しています。

http://www.monsanto.com/products/pages/genuity-roundup-ready-2-yield-soybeans.aspx

Yieldという名前の通り収量をアップさせるとともに、更なる害虫耐性・除草剤耐性を持たせた Next Generation という位置づけの製品です。現在この遺伝子特性が導入されているのは大豆のみ。アメリカとカナダで販売されています。まもなくブラジルに売りつける準備中と書いてあります。

このほか遺伝子組み換えトウモロコシと第二世代の遺伝子組み換え綿花については今後10年は拡大期にあるそうです。

取り扱う野菜の種子の種類も膨大ですね。

Open field and protected-culture seed for tomato, pepper, melon, cucumber, pumpkin, squash, beans, broccoli, onions, and lettuce, among others

これらの野菜の種子をモンサントは「germplasm(遺伝資源)」と呼び、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチンに売りつけていると書いてあります。

製品名はIntacta RR2 PROだの SmartStax だのまるで新しいPCのパーツ名であるかのようですね。

製品別の売上を見ると稼ぎ頭はトウモロコシ種子で、全品種のうち60%以上を占めます。次点は大豆の20%ですが、こちらは伸び率が大きく急拡大中です。主にラウンドアップ・レディのライセンス料が増えたことと、ブラジル向けの新製品の売り上げが増加したことが原因だそうです。ライセンス料というのは素晴らしいストックビジネスモデルですね。

農業製品部門は除草剤一辺倒

一方農業製品部門は除草剤しか取り扱っていないようです。ラウンドアップは特許が切れたので競争が激化、新製品のHarnessも投入しています。主にアメリカ国内へ、庭や芝生(ゴルフ場など?)向けにもラウンドアップを投入していると書いてあります。

ところで農業製品部門には環境保護についての記載がありますが、なぜか種子部門には記載がありません。遺伝子組み換え作物は環境に配慮しなくてよいということなのでしょうか。

農薬部門は売上が急速に伸びており、2014年度は利益が26%も増えています。主に全世界でラウンドアップの売り上げが伸びたためと書いてありますが、これは上で挙げた「モンサント」で告発されている通り、昆虫や雑草の除草剤耐性が上がったため、単位面積当たりに使用するラウンドアップの量を増やさざるを得ないからなのではないかと思います。環境は汚染されますがモンサントにとってはウハウハです。

リスク

有報ではおなじみのリスクファクターの列挙はおおむね次のようなことが挙げられます。

・種子遺伝子部門の競争激化

・知的所有権の管理にかかるコスト増大(主に農家が種子を保存することへの文句)

・バイテクの規制強化(開発が成功するかどうかもわからないのに金だけがかかると文句、遺伝子組み換え作物の輸入を禁じている国があると分別に金がかかると文句)

・遺伝子組み換え作物への懸念(安全性が保障されているにもかかわらずと文句)

・開発の失敗、製品商業化の失敗

・裁判に負ける

・海外展開の失敗(特に大口のブラジル、カナダ、メキシコ、アルゼンチン)

・原料価格の高騰

・農家の需要との乖離(特に除草剤の規制ができると困ると文句)

文句多すぎです。

まとめ

ほぼ「モンサント」に書いてある自体そのままのレポートでした。原著出版から7年経ちましたがビジネスモデルは全く変わっていません。ラウンドアップはこれからも売上が拡大しますし、種子ビジネスも順調です。ライセンス料を背景とした強固なストックビジネスと、高い利益率をもって大きな投資(最近1000億ドル投資したそうです)を行い、更なる拡大を目指すようです。新製品はまだまだ開発されるでしょう。ビジネスモデルが根本的にひっくり返される事態が起きない限り、安泰です。

まもなく批准されるTPPについてはレポート内で全く言及がなかったので、日本で種子ビジネスを展開するつもりはなさそうです。広い土地が無いのでそりゃそうですよね。


書籍レビュー: 何だよ自分やっぱりアスペルガーじゃん『アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える』 著: 米田衆介

★★★★★(ノ≧ڡ≦)てへぺろ

 

著者の米田衆介氏は明神下診療所の院長です。実はこの人、8年ほど前に私にアスペルガー障害であると診断を下した医者です。自閉症・アスペルガー関連の書籍を探していたらなんと明神下診療所の院長が本出してる!けしからん!これは読まなければ!と全面対決する気持ちで手に取ったわけですが、、結果は完敗でした。

アスペルガーの3つの特性

米田さんは一般的によく使用される自閉症の「三つ組み」仮説、すなわち

・社会的相互交渉の障害(他者と上手く関われない、興味が無い)

・コミュニケーションの障害(会話や意思の伝達の困難)

・想像力の障害(空気が読めない)

は、現実に表れている症状を分類したことに過ぎず原因そのものではないと述べ、いくつかの仮説を並べた後に次の三点にまとめられる「情報処理過剰選択説」を現場で使用していると述べます。

・シングルフォーカス特性……注意、興味、関心を向けられる対象が、一度に一つと限られていること

・シングルレイヤー思考特性……同時的・重層的な思考が苦手、あるいはできないこと

・ハイコントラスト知覚特性……「白か黒か」のような極端な感じ方や考え方をすること

げー。全部当てはまるじゃん。。私は愕然としました。

というのも、私は8年間、アスペルガーなんてラベルに意味はない、私は私だ。人とまともな人間関係を構築することも頑張ればできるだろうし、想像力だって豊かになれるはずだ、だからいわゆる「定型」の人の考え方身の振り方を努力して身に着けるんだ、だからそんなラベル貼るなよ!!!という思いで頑張ってきたつもりでした。アスペルガーはその言葉が新聞で出回るようになって以来、ぜーーったい悪い意味で使われると思っていたらやっぱりその通りになりました。

しかし私の努力は方向性が悉く間違っているため失敗し努力は水の泡となり、絶望感やいじける気持ちやらが募るばかりでした。方向性が間違っているということも田さんは以上の特性の帰結の一つの例として挙げています。

で、この本を読んだわけですが完敗です。間違いなくこの3つの特性を私は備えてます。ああやっぱり、逃れられないね。自分の特性の一つとして受け入れるしかないね。受け入れた上で自分に何ができるか、考えるしかないね。

臨床例1000件は伊達じゃない

正直言ってこの本はきついです。アスペルガー者(と呼ぶことにしたそうです)はできることは少ない、あれはできないこれができないといろいろ述べられますが、実感としてすべて正しいです

正直に言って、アスペルガー者に高度なマネージメントや、創造的なプロジェクトを任せるのは、その本人にかけがえのない才能があって、他の人間ではどうしても目的が達成できないような場合や、古いシステムを徹底的に破壊して合理的な新しいシステムを廃墟の上に立ち上げる必要な創造的破壊を狙う場合以外には、職場にとっては利益が無いのではないかと推測されます。

正しい。

「働くのをやめる」という環境庁性もあるということを、忘れないことです。働くのがうまくいかないのですから、働かないという選択肢もあっていいはずです。

正しい。

このあたりの内容は絶望的で当事者の反発を受けること必至でしょう。私も反発していました。でも正しい。

私はアスペルガーであると診断を受けたもののだからと言って特別な支援が受けられるわけでもありませんでした。8年かけて、周りと合わせる努力は無駄、摩擦が起きるのは仕方がない、改善されることはなさそうだ、だから周りとの関係をできるだけ希薄にするしかないね、という結論に達しつつありました。この本はその結論を大きく後押しすることとなりました。

感情、共感、想像力って一体なんだよ

この本の優れているところは特にラストの3章です。アスペルガー者は「想像力」「感情」「共感」が無いと言われますが、著者は「じゃあ共感とか想像力っていったい何さ?」といういう疑問を投げかけます。

実際には、共感という言葉はあまりにも曖昧に使われすぎていて、それが正確に何を意味するのか、科学的に意味のあるやり方で定義することができないという問題を無視するわけにはいきません。

私は「感情が無い」と言われたことがありますが決してそんなことはありません。感情はあります。共感もできます。ただし、著者の言うように『質が違う』のです。

定型発達者(本書では「健常者」と呼ばれています)は共感も感情も無意識のうちに勝手に湧くものですが、私は意識しないとそれができないのです。これは先の「情報処理過剰選択説」の「シングルフォーカス特性」および「シングルレイヤー思考特性」で十分に説明できます。すなわち話を聞いたり目で見たときに健常者はまるで2コアCPUのように情報を並列処理し同時に感情やら共感やらが湧くわけですが、アスペルガー者は1コア、シングルスレッドCPUしか持てないわけです。話を聞くか感情を動かすかどっちかしかできません。これも、訓練すればwindowsのようにミリ秒単位で動作を切り替えまくる疑似マルチタスクができるようになるんでしょうけど、切り替えにエネルギーが食われて非効率になることは必至です。そういえば私はここ1年で10kgも痩せてしまいましたがエネルギーを使い過ぎているのかもしれません。

 

この本には★10くらいつけたい気持ちです。米田先生ありがとうございます。生きるのが10倍楽になりそうです。8年前、注意不全で水筒のお茶をぶちまけてカーペットに染みを付けてしまってごめんなさい米田先生!もうカーペットは取り換えたのでしょうか!?

 

自分がアスペだと思う人は明神下診療所に行く前に本書を読んでください。超おすすめです!

 


CDレビュー: the HIATUS – ANOMALY(2010)

★★★★☆

日本のバンド、the HIATUSの2枚目のアルバムです。

ヘッドホン向けゴリ押しロックを確立

まず1曲目The Ivyが耳を引きます。音の繊細さや作りの細かさを全部かなぐり捨てて音圧だけ上げまくって音割れさせまくって上書きしたゴリ押し音楽です。ある意味大きな印象を残す曲でしょう。

2曲目Talking Reptilesもよいですね。5連打の連続は聞いていて気持ちが良い。このバンドはリズム隊が優れているのが特徴です。ドラムが上手なバンドはどこも好き。

他にも3曲目My Own Worst Enemy、4曲目Monkeys、5曲目Insomniaの後半もゴリ押し系です。7曲目Walking Like A Manの後半のリバーブ歪みかけ過ぎ押せ押せゾーンも嫌いじゃありません。10曲目Notes Of Remembranceも同様に歪ませ過ぎゾーンがありますね。ヘッドホンで聞く分には良い音響効果を出しています。

ただ一つ残念なのは6,11の日本語詞曲がすっごくダサいこと。この手の軽いだけの曲を一掃すれば★5つ付けてもよかったのに。ゆるい曲だと私のやや苦手なビジュアル系的歌声が耳についてしまうのです。

全体的にゴリ押しに頼り過ぎていた感のあるアルバムですが細美さんはエレクトロニカを上手に取り入れたりエフェクトの使い方も巧みで、インスト曲の才能があると思います。どうせならヴォーカルを抜いて純エレクトロ曲だけのアルバムを作ると私の好みの音を出してくれること間違いなしだと思うので、やってくれないかなぁ。

 

 

ロック等の他のCDレビューはこちらです。


モンサントのブログを覗いてみた

「モノカルチャー:神話、現実と未来」

 

Reality — Corn and soybean fields may look the same as you drive by on the interstate or fly over the “I-states” (Indiana, Illinois, Iowa), but they are in fact incredibly genetically diverse. And that diversity is actually increasing.

8.17.15 shutterstock_60364654_v1_PM_FacebookConsider corn. In the mid-1990’s when Monsanto first entered the seed business in that crop, 90 percent of hybrids were produced from male and female plants of largely U.S. origin. The commercial gene pool was relatively narrow, using less than 10 percent of the global corn gene pool. Since then, however, a combination of advances – in molecular breeding techniques, the use of DNA markers, computing and more — have enabled us to incorporate ex-U.S. strains of corn into our own. As a result, the majority of our new corn hybrids today contain genes from “foreign” corn — varieties grown in Mexico, Brazil, Argentina, Asia, and Europe.

We are, in short, using more of corn’s global gene pool – and dramatically expanding the genetic diversity in farmers’ fields.

With biotechnology, we can add even more genetic diversity by incorporating foreign genes from other plants and microbes. A leading U.S. corn hybrid that contains the SmartStax® trait package, for example, introduces eight such genes into the crop.

 

拙訳:

現実:I-States(Iのつくインディアナ、アイオワ、イリノイ州)をドライブしたり飛行機で飛んでいると、トウモロコシ畑や大豆畑はどれも同じように見えるかもしれません。しかし、これらは遺伝的に多様なのです。しかも多様性は増加しつつあります

例えばトウモロコシ。モンサントが種子ビジネスに乗り出した1990年代中盤では、90%のハイブリッド種*1はアメリカ産の植物から生産されていました。しかし、分子学的品種改良技術、DNAマーカー、情報処理技術などの先進テクノロジーなどを組み合わせることによって、アメリカ以外のトウモロコシの特質を合成することができるようになりました。その結果、私たちが新開発したハイブリッド種のトウモロコシは殆どが「外国産」のトウモロコシの遺伝子を含んでいます。その範囲はメキシコ、ブラジル、アルゼンチン、アジア、ヨーロッパに及びます。

手短に言えば、私達は国際的遺伝子プールをたくさん使って、農地の遺伝的多様性を劇的に増加させているのです。

私たちはバイオテクノロジーによって、他の植物や微生物由来の外来遺伝子を取り込み、遺伝的多様性をさらに増加させることもできます。例えばSmartStax®(訳者注:モンサントとダウ・ケミカルが2009年に開発した複数の除草剤耐性を持つGMO)の特質を備えた先進的なアメリカ産トウモロコシのハイブリッド種は、8種類の外来遺伝子を作物に組み込んでいます。

 

(太字は訳者)

 

マジで書いてるんですかこれ。

要約すると

「コーン工場には外国人とアメリカ人のハーフを押し込めているから一様じゃないよ。遺伝的多様性はバツグン」

「最近彼らを魔改造したので遺伝的多様性がもっと増加した!」

遺伝的多様性って言葉を使えばなんでもいいんかいな。

 

なかなかクレイジーな企業です。他にもどんな記事があるのか楽しみです。アニュアルレポートも読んでみます。

 

モンサントのイメージ

54: 風吹けば名無し 2012/07/19 20:57:30 id:bG8xZ4pk
オレたちは悪党…… 市民を喰らう立場…… もう平凡な一市民としては生きられない
そんな悪党がびびってどうする……?メンツを捨ててどうする……?ふんぞり返れ……おまえの傲慢さは弱点でもあるが同時に強力な武器でもあったんだぜ
その人をなめきった態度オレは嫌いじゃなかった…また会おう……!

 http://zawasoku.com/archives/29224595.html

 

 

*1:訳者注:2つの異なる品種を掛け合わせた作物。2代目からは好ましい形質が薄れるから実質上の1代限定の作物。種子を継続的に売れる。モンサントかっこいい!


書籍レビュー: バイオテクノロジーで世界征服 『モンサント――世界の農業を支配する遺伝子組み換え企業』 著:マリー=モニク・ロバン 訳:村澤真保呂、上尾正道

★★★★★(・:゚д゚:・)ハァハァ

 

聞いたことがありますかモンサント。全世界の遺伝子組み換え企業の総本山としてよく知られた企業です。本書はモンサントについて著者が4年に渡る調査を行った結果として書かれた本です。

圧倒的情報量を訳者がさらに補強

まず本書の目玉は圧倒的な情報量です。本文が約540ページもある上に文字が小さめで、膨大な出典付き。それに加えて訳者も本書のあちこちに注と参考文献を2Pに1冊くらいの割合で紹介してくれており、巻末の参考文献もざっと100冊はありそうです。巻末の文献と本文中の文献は独立していて別物です。いったいどれだけ調べたのでしょう。1冊の本を完成させるまでに相当の労力を費やしたことがわかります。

驚くべきはこのモンサントという企業、あらゆる要素を駆使して世界的企業に成長したということです。それも合法的に。

まず国の中枢に働きかけ、環境汚染しながら利益を蓄える

第一部ではPCB、ダイオキシン、ラウンドアップ、牛成長ホルモンを通じてモンサントが巨大企業になっていく過程が書かれています。モンサントと言えば遺伝子組み換え作物(GMO)という先入観がありましたので、公害は「だいたいこいつのせい」と言っても過言ではないくらい、多くの製品を生産していたことは知りませんでした。例えばPCB。

PCBといえば日本ではカネミ油症事件で一躍有名になった有機塩素化合物です。熱にも電気にも薬品にも強い優秀な物質で、加熱冷却用媒体、溶媒、絶縁油などあらゆる工業製品に置いて広く使用されていました。しかしその安定性ゆえに分解されることなく、人体の脂肪内に蓄積されガン・皮膚疾患・ホルモン異常などを引き起こす毒物でもあります。カネミ油症事件ではPCBが漏れ油に混入、加熱によってダイオキシンに変化しこれを摂取した1万4千人に症状が現れました。日本では1975年に輸入が禁止されました。

また、ベトナム戦争で有名になった枯葉剤も彼らが作りました。枯葉剤は「2,4,5-T」という除草剤で、やはり有機塩素化合物です。2,4,5-T自体も毒性がありますが本当にまずいのはその生産過程で不純物として発生するダイオキシン類です。これがベトナムで大量に散布された結果出生異常児が大量に出現したことは有名です。が、驚いたのは40年以上もたった現代でも未だにダイオキシン類が土壌に存在し、健康被害を及ぼし続けているということです。本書で「ホットスポット」「半減期」という単語が出てくるのはまるで放射性物質のようです。前述の安定性ゆえ半減期は数十年。セシウムに匹敵します。

牛成長ホルモンについては次の本にも詳しく書かれています。これもモンサントが普及させました。

 

モンサントはこれらの怪しい物質を、政治家へのロビー活動や有毒性の情報隠蔽などのあらゆる手段を使って売り込むことに成功し、莫大な利益を上げます。

次はアメリカ制覇

第二部はアメリカ制覇への道です。

彼らの売れ筋除草剤ラウンドアップは2000年に特許が切れます。そこで彼らは除草剤と植物を抱き合わせで売り込むという商法を思いつきます。バイオテクノロジーを使って除草剤耐性の遺伝子組み換え作物を作り、それに特許を取らせてライセンス料で稼ぐ、しかも除草剤も売れるという手法です。完璧すぎます。

遺伝子組み換え作物の開発については、プロジェクトXもびっくりの臨場感ある叙述がされます。クレイジーな研究者たちは魅力にあふれています。彼らがバクテリアや遺伝子銃やらなんでも使って除草剤耐性遺伝子を組み込むための血のにじむ努力を続け、運よく生き残った作物のDNAは、特許を獲得します。

生物特許は当時アメリカで認められていませんでしたが、彼らは第一部で磨いたロビー活動の力で特許法を改正させてしまいます。

特許とは無形の財産たる発明、すなわち簡単にパクれる財産を保護するため、新規性などを要件にして、排他的な独占権を認めるものです。この「排他的」はものすごく徹底されていて、著作権よりも遥かに強力です。たとえば公権力を使って海賊品の強制的差し押さえができます。刑事裁判にかけて莫大な損害賠償を請求できます。しかも保護されるのは「アイデア」そのものですから、拡大解釈がかなりの程度可能です。著作権が具体的な作品の差し止めしかできないのとは大違いです。

例えばモンサントの遺伝子組み換え大豆がうっかりそこらへんの畑に落ち、芽を出したとします。するとその畑の持ち主は訴えられ、損害賠償を請求されます。ウソのような話ですが本当の話です。

またGMO種子は1代限りにして種を保持するな、という契約を強制します。毎年種を買わせるためです。種子の保存が見つかれば訴えられ、必ず負けます。モンサントは法務部も超強力で、何千件もこのような訴訟を起こします。

さらに、「実質的同等性」というクソのような概念をロビー活動で導入します。これは「遺伝子組み換え作物は従来の作物と(だいたい)タンパク質組成などが同じなので、安全性の検査の必要性は、従来作物と同じでよい」という概念です。この原則に従えば遺伝子組み換えに伴う安全性の検査不要!!0ドル!!素晴らしく経済的な概念です。モンサントすげぇ!シビれる!憧れるぅ!

モンサントはアメリカ中の大手種子会社を買収し、GMO市場、ひいてはアメリカ作物市場を独占していきます。

最後に世界制覇

第三部では発展途上国への進出です。本書ではアルゼンチン、ブラジル、インド、パラグアイなどを制覇する様子が描かれます。

GMOは実質上のモノカルチャー推進事業ですので同じ作物ばかり作り続け、土地が荒れます。また、除草剤をラウンドアップしか撒かないので耐性昆虫や耐性菌が必ず出現し、毎年除草剤の量を増やさなければいけない宿命にあります。GMOの導入は除草剤を減らす目的だったのに矛盾した話です。ともあれ、農薬大量投入は必然的に世界中で健康被害を引き起きしました。

アルゼンチンは大豆畑まみれになりました。海外では大豆は食用ではなく、主に飼料用です。この飼料をアメリカやヨーロッパに輸出し、大量の肉が生産されます。この過程も先に引用した「ファーマゲドン」にも詳しいです。先進国の貪欲さが途上国の貧困と荒廃を招く分かりやすい例です。

次は日本の番

WTOは世界中にアメリカの論理を広める手段として活躍しました。例えばTRIPs協定。その(意図的に)難解な条文は弁理士試験受験者を悩ませる種の一つですが、これは生物特許を全世界で認めさせるための手段でした。そんなことも知らないで勉強していた私はアホですね。

本書でも警告されていますが日本はまもなくTPPを批准します。アメリカ流を踏襲するなら、現行の(遺伝子組み換え作物不使用)の表示は外さなければいけなくなる可能性が高いです。モンサントの利益に反するためです。こんな表示があったら遺伝子組み換え作物が売れないからです。

TPPにはISDS条項というものがあります。

大企業覇権としてのTPP

投資家が国家を訴えられる条項です。TPPを批准すれば、モンサントが日本を訴えて遺伝子組み換え作物の表示をやめさせることができるようになります。今後、日本にも続々とGMOが輸入されることでしょう。GMOの栽培は国としては禁止していませんが、日本は国土が狭いので北南米のようなGMO作物の広域大量栽培をすることが経済的に不可能なのが救いです。

 

おわりに

モンサントの言い分がしょっちゅう出てきますが、どれもこれも、この本の論調と同じです。

もちろん遺伝子組み換え食品は実質的同等性により安全であるともこの本に書かれていました。

 

 

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成長著しいモンサントの株価は2008年にはテンバガーを達成します。リーマンショックを乗り越え、また2008年並みの価格に落ち着いてきているようです。

本書は企業が世界を征服する過程を描く、画期的な著作です。読むのには骨が折れましたが得るものも大きかった。膨大な参考書籍は今後の課題となりました。

 

 

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なお彼女はドキュメンタリーフィルムも作っています。私も見てみたいと思っています。

モンサントの不自然な食べもの [DVD]

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いまなら学校にナイフを持っていく子の気持ちが分かる

武器が、ほしい。

安心するための武器が欲しい。

どれだけ理不尽な目に合っても、不合理に苛まれても、私はいつでも牙をむける。それが折れている牙だったとしてもいい。持っているだけでいい。私は安定できる。理不尽と不合理を乗り越えた視点を持てる。

 


CDレビュー: Metallica – Load(1996)

★★★☆☆

賛否両論を巻き起こしたメタリカの6枚目のアルバムです。

オッサン達ははっちゃけすぎた

完成度が高いのかというと、高いんだと思います。アルバムとしてはよくまとまっているし、緩急もそれなりにある。演奏レベルも高い。

でも、残念ながらつまんねぇです。1996年だとメタリカのメンバーももう30代、いい年です。ロックは中二的な要素が強く私もそれを分かってて聞いていますが、ちょっとはっちゃけすぎです。ヴォーカルのヘットフィールドさんは「ッア!」「ッダ!」みたいなコブシ入れ過ぎです。ギタードラムベースも下手ではないのですがどうもお腹に響いてこないのです。ふつーーに聞こえます。いくらカントリー要素やらブルース要素やらが入っていたって良い曲はいくらでもあるのですが、だめです。ビビッと来ません。

このアルバムから出たシングルは、いくつか聞き覚えがありました。昔、小学生のときにCATVで見ていたビデオクリップを流す番組に、Mama SaidやKing Nothing、Until it Sleepsが流れていました。これを聴いて懐かしい気持ちがしました。でも、でもダサいよう。。それもワクワクしない意味でださいよう。懐かし恥ずかしいすごく複雑な気持ちです。

 

懐かしかったといえば最近聞いたこの人たちもそうでした。

 

力が欲しい。私をブッ飛ばしてくれるような力が欲しいです。それはスラッシュ特有のスピードや早弾きでなくともよいのです。大多数の人と同じく、私もこのアルバムには「軽い」という評価を付けざるを得ません。しかも14曲、80分近いフルレングスで長々と聞かされるのは苦しいです。とても残念。次作に期待します。

 

 

 

ロック等の他のCDレビューはこちらです。