財務諸表入門(第五版)


★★★★☆
ブックオフで100円で購入した。簡潔かつ丁寧にまとまっていて、入門書としてはよく出来ている。細かい解説は不足しているので更なる詳解が必要なのは仕方ないが、はじめの1冊としてはよくできている。
最後に日本オラクルの平成18年5月決算短信が読解例として紹介されている。一目見て、雲の上の素晴らしすぎる決算だと思った。まずは驚愕の営業利益率35%!日本の会社の営業利益率平均は3%程度であることを考えると、とてつもない儲けだ。自己資本比率は71%、短期借入金長期借入金0円、今期も来期も売上・利益共に2ケタ成長、配当性向は圧巻の100.3%(前期は104.9%)!神様のような会社だ。何がこの会社を転覆できるのだろう。本文にも「財務面から採点すると100点満点」と書いてあった。さらに資産の部に有価証券が多いことが指摘されており、儲けを運用してさらに稼いでいることが予想される。さらにROE24%、ROA17%とこちらも優秀すぎる数字だ。
ところが、チャートを見るとこの後株価は下がる。
http://rokujo.esy.es/StockHoloscope/chart.php?mcode=4716&start=20060101&end=20061231
決算発表日は2006年7月6日。この日の終値は5250円で、このあと突然4000円台の底に突入する。こんな順調な会社がなぜ!?
計算したところ2006年7月6日終値の実績PERは35.1倍、来期予想で31.8倍。すでに買われすぎだったのだろう。10%以上の成長率をコンスタントに叩きだす企業でさえ、PER30倍を超えたら株価的には美味しくないことが分かる。ここまでくると20%以上の成長率を期待されるのだろう。そんな大きな数字が何年も続くわけがない。この例で分かったことは、PER30倍を超えるような銘柄は、その企業が一発当てて20%以上の成長を遂げることが確実な場合以外は買ってはならないということ。以前トレダビで持っていたセブン銀行は、成長率がここと同じ約10%の企業かつ現在のPER30倍なので、ほぼ同じ状況の危険水位にあることがわかる。ATMの数は頭打ちになってきたので、赤字になることはないものの成長率が5%程度に減速すれば大幅下落もありうる。もう売ってしまった。下がるのがいつの日になるのか予想するのも勉強になりそうだ。


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