Great Pianists of the 20th Century Vol.01 – Geza Anda (CD1)


★★★★★∩( ✧Д✧)∩
Great Pianists of the 20th Century – Wikipedia, the free encyclopedia のシリーズを聞いていきます。その名の通り20世紀の名ピアニスト全集です。すべて2枚組の100シリーズ、計200枚。いつになったら聞き終わるのか。
1番目はアンダ・ゲーザ(1921-1976)、ハンガリー出身のピアニスト。1枚目は同じくハンガリー出身の作曲家、ベーラ・バルトークのピアノ協奏曲、全3曲。熱い!熱過ぎる!同じハンガリー出身だからなのか、ピアノの気合の入り方が半端じゃない!バルトークの曲は現代の作家だけあって不協和音入りまくり、意地でも伝統と違う革新性を目指そうとする執念が見て(聴いて)取れる。特に第1番。複雑すぎて私には難しいが、熱気がとてつもない。何故か、1番→2番→3番の順で意味不明さは薄れていく。年を取ったことでバルトークさんも丸くなったのか?最も良いと感じたのは、2番。第1楽章の序盤からもうドキドキの連発。テンションコードが多用されていて、まるで超人ジャズを聞いているかのようだった。オーケストラは特に木管のズレが目立つが、ピアノにつられたのかド迫力の演奏を聞かせてくれて、多少の粗っぽさは気にならなかった。1枚目からビッグな大当たりで、これはもう全集を揃えるしかないか。


Slayer – Hell Awaits(1985)


★★★★★ フオオオ(((卍(^ω^)卍)))フオオオ
3rdばかりが伝説になったバンドだけれど、2ndもすごかった。1曲目タイトルチューンHell Awaitsは、その演奏は粗削りを通り越してずれまくりの下手なんだけど、それを覆い尽くすくらいのエネルギーがあった。ギターだけでこんなに禍々しさが出せるもんなんだなぁ。1-2-3と早いし速いし曲調もバンバン変わるし飲み込まれること間違いなし。ラストHardening Of The Arteriesも信じられないようなリフを連発されるし参りました!!!ロックの限界突破を見せつけてくるアルバム。


Flying Lotus – You’re Dead! (2014)


★★★★★ლ(ಠ_ಠ ლ)
2014年特集その10。2回目の大当たり!ジャケットが怖い。
Flying Lotusははカリフォルニア生まれの音楽プロデューサー、ディスクジョッキー。バキバキのエレクトリックサウンドを期待したら、なんとニュージャズ風の生楽器(しかも上手い)+ビートの融合やら大好きなローズピアノやら唐突なヒップホップ、テトリスやストIIのやられヴォイス「うーわうーわうーわ」などかなり大量のジャンルを超ミックスしたアルバムだった。40分足らずを19曲と爆速で駆け巡る。ジャズ要素を入れるのがすっごい上手。調べてみるとジョン・コルトレーンの甥らしいので、納得した。序盤のジャズ混じりの微妙にずらしたビートの曲群1〜3曲目も秀逸だが、5〜6のヒップホップもいいし、歌モノ?の10曲目Siren Songもぶっ飛んでいて好きだし、エレキマイルスを感じさせる14曲目Moment Of Hesitationも非常によい。14が一番いいかな。全体的にレベル高すぎ。この人も全アルバム揃えたい。


Opeth – Pale Communion(2014)


★★★★★щ(゚д゚щ)
2014年特集その3。
オーペスはスウェーデンのプログレッシブメタルバンド。デビュー当時はデスヴォイスでぶいぶい言わせていたらしい。私はこのアルバムで初めて知った。
デス、メタル要素は皆無。やや古めの音の使い方を基調とし、近年の録音レベル・音圧上げ過ぎのメインストリームなロックとは一線を画す。プレイヤーの音量を2割上げる必要がある。北欧らしい哀愁と透明感、内に秘めた熱さを十分に感じさせる素晴らしいアルバムだった。まず2曲目Cusp Of Etenityがすばらしい。後半のギターソロから始まる展開部分は燃え燃えです。ハモンドオルガンとメロトロンに上手なギター、何故か中東的な響きのメロディーなんて燃えるに決まってる。3曲目Moon Above, Sun Belowもどことなく懐かしいメロディーがイケてる。一番ヒットしたのは6曲目River。プログレとカントリーが見事に融合してます。で、後半に中東風メロディーを混ぜたダブルギターソロから始まる大展開部分が最高。ドラムも上手いね。何故か日本風な部分もある。全体的にレベル高し、初期の作品も聞いてみようと強く思わせるバンドだった。今年の大ヒットトップバッターはこれ。


Enrico Pieranunzi – No Man’s Land(1989)


★★★★★╭( ・ㅂ・)و ̑̑
うわーすげぇなあ。前作に引き続き大ヒットだった。まずタイトル曲No Man’s Landが泣きの超名演奏で、ベースソロも素晴らしい。4曲目Blues In CはどこらへんがCなのか分からないくらい発散しているが緊張感と優れたインプロが充満した傑作、5曲目Land Breezeも吹っ飛ばされそうなテンションコードの連発とかっこええドラムソロが交錯するヒット、7曲目My Funny Valentineは前作のSomeday My Prince Will Comeのように意表を突かれる即興まるけの長い前フリが実に優れている。マジで何なのこの人。


Amon Tobin – ISAM(2011)


★★★★★((((・ิ(・ิω(・ิω・ิ)ω・ิ)・ิ))))
前作Foley Roomは中途半端な印象を受けたが、このアルバムは、針が右側触れ切ってとんでもないものができてしまっている。決まった形、お決まりのパターンの繰り返しとしてのビートは、完全に姿を消してしまった。前作で取り入れつつあった自然音は、なんと反転させられ、自然音をベースとした電子音として我々の耳に届くのであった。。音圧アゲアゲのド迫力、かつ、不定形な電子の怪物。新世界のサウンドだ。
1曲目Journeymanでまず衝撃を受ける。不穏なカサカサした電子虫の後から電気的オーロラが見えるよ!3曲目ダブステップ風のGoto 10も全く聞いたことのないサウンド。シュールで破壊的だ。5,11曲目は混沌の中に哀愁が見える。9曲目Kitty Catはヴォーカル?曲ながら意味不明の中に優しさが見える名曲、12曲目Dropped From The Skyも遊んでるくせに音圧高すぎの極太サウンドという変な曲だ。
文句なしの最高傑作。自分的には、今年聴いた電子音楽ではぶっちぎりの1位だ。しかしアメリカAmazonでの評価は低い。なんでやねん。


Art Pepper – Art Pepper Meets the Rhythm Section(1957)


★★★★★(灬╹ω╹灬)
これは素晴らしい!
ジャズの100枚、の4枚目。サキソフォン奏者アート・ペッパーと、マイルス・デイヴィスのリズム隊が合流した、というアルバム。アート・ペッパーさんのサックスは、いい意味で軽い。さらさらと耳に心地よく、まとわりつくわけでもない、変幻自在の霧のような音をしている。寝ているようで寝てない。軽いのにどこまでも乗って行けそうだ(どこに?)。また、ドラムがいい。今まで聞いたジャズアルバムで最高かもしれない。フィリー・ジョー・ジョーンズという人らしい。どこをどう聞いたって爽快な音しかしない!信じられない。すげーー。2曲目Red Pepper Blues、4曲目Waltz Me Bluesが非常に良いです。ベースソロではピックじゃなくて弾いちゃうってのも新鮮でいいですね。


Beethoven, Friedrich Gulda(pf): Klavierkonzerten 4, 5(CD3)


★★★★★(・ω・ )
ラスト。コンチェルト4番は第2楽章がすっごくよいです。重苦しい弦も抑えたピアノも他に類の無いような形式。5番は「皇帝」として有名ですがどこらへんが皇帝なのかわかりません。むしろ歓びの歌ピアノ協奏曲バージョン、といった趣が強く、第一楽章から第三楽章に至るまで歓喜の嵐、体中の細胞が活性化するかのようです。第2楽章は全コンチェルト共通で超良質メロディー、現代のバラード的曲は全部ここから発祥してるんじゃないか?と思わせられるくらい。
ようやく聞き終えました12枚。グルダさんの演奏は、良くも悪くもクラシック初心者向けだと思います。強弱がやりすぎなくらいはっきりしているので、馴染みがない人にとっても、聞いていて退屈になる演奏がありません。曲想にこのダイナミクスがピタリとハマったとき、臨界点突破によるすさまじい音楽連鎖反応が起こり、悶えさせられました。逆に、人によってはやかましいと感じることもあるでしょう。私にとっても、1曲だけ五月蝿い曲がありました。表裏一体です。面白いピアニストさんでした。他のピアニストさんのベートーヴェン全集も聞いてみたいです。
ベートーヴェンは言うまでもなく天才ですが、まだハイドン・モーツァルトの呪縛の強い時代にこれだけの独創的なピアノ曲を作って、しかも今の時代でも通用するどころか、人を悶絶させるような曲を多数輩出するなんて尋常じゃないです。彼の残した足跡がこの後のロマン派の名立たる作曲家たちに与えた影響は計り知れないものがあります。オリジナルの多くは、おそらくこの人なのでしょう。


Beethoven, Friedrich Gulda(pf): Klavierkonzert 2, 3(CD2)

Amazon.co.jp: Ludwig van Beethoven, Horst Stein, Wiener Philharmoniker, Friedrich Gulda : Beethoven: Piano Sonata No. 1-32, Piano Concertos No. 1-5 – 音楽
★★★★★ヽ(゚∀゚)ノ
ピアノ協奏曲3番が良い。よすぎる。ライブで聞いたらスタンディングオベーション間違いなし。第一楽章しょっぱなから攻撃力の高いベートーヴェン・ダサ光線が炸裂し、ピアノソナタ本編で発揮していた誇張気味のグルダさんのピアノ捌きが光る光る。後半のキラキラピアノソロから絶頂のラストへの流れは必聴!第三楽章もまた開始早々スケルツォ風味の舞踊的だっさ曲で、最初から最後まで悶絶しっぱなし。まさに波動砲。オケもピアノも録音レベルごと爆発してのラストは圧巻でした。これは指揮者も相当ハッスルしてただろうなぁ。


Beethoven, Friedrich Gulda(pf): Piano Sonata No. 30-32(CD12)


★★★★★∩(・ω・∩) (∩・ω・)∩
名曲しかない。。
まず切ない切ないメロディーで始まる30番。第1楽章、中盤からは曲調が変わり実質の2楽章目、いつものベートーヴェン節が大炸裂し、チャーラチャンチャンとダサさも完備。第2楽章は長大で10分超、しかも曲調がコロコロ変わる。しっとりとした前半から打って変わって後半は押し寄せる渓流奔流、まるで木曽川。7分半くらいでまた変わり、対位法堅苦しいゾーン+ダサゾーンを抜けて長大階段へ、、美しい。
31番は第1楽章がフラペチーノ、いやキャラメルマキアートか?というくらい甘い。後味を残したまま、またまた超ダサの第2楽章スケルツォ。マイムマイムみたい。繰り返しと謎のメロディー、激しいのかそうでないのか掴みきれない変わった曲。第3楽章は暗い歌風味のメロディーからフーガで盛り上がった後また歌、そして感動のラストへ。ラストがオケもびっくりの壮大さ。
32番は前評判通り、最高傑作といっていいと思う。第1楽章は原点回帰かと思うような激しい曲、俺たちのベートーヴェン的ダサメロ、無限回廊、激情、爆音、強烈テクニック、いままでのベートーヴェンの総結集といった曲になっている。そしてベートーヴェンが新世界の神となった第2楽章、なんとこの曲には、中盤にスウィングが登場する!!この曲ができたのは1821年なので、文字通り100年早い!しかも天にも昇るような完璧な曲で!信じられない。ウソだろって思った。マジであんたすげぇよ。スウィング地帯を抜けた後は、高音とトリルを主体とした気持ちの高揚をずーっと保つかのような流れが続いて、11分過ぎにトリルが途切れ、着地する。この着地した、と思われる感覚が、並じゃない。ラストの静寂にも驚く。この曲は、他のピアノソナタのどの曲とも違う。でも、ベートーヴェンの曲とすぐに分かる。
wikipediaを見たら参考文献に「『ジャズの起源はベートーベンにある』(田幸正邦 / 東京図書出版会 / ISBN-10: 4434020315 / ISBN-13: 978-4434020315 2002年)」って出てるし!!
グルダさんもずるいです。初期中期は、わざとなのか、爆音演奏を量産していたというのに、後期になったらタッチに憂いをもたせるのだもの。引き込まれるに決まっている。ピアノソナタを全部聞いてみて、ベストはこの、最後の1枚。時点で最後から2番目。とにかく後期の演奏が素晴らしい。前半はやや誇張しすぎなのではないかというくらい、派手でダイナミクスつけすぎだったけど、特に最後の3枚の演奏は意図的なのかバランスが取れておりしっくりくるし感動する演奏だった。
残りはピアノコンチェルト3枚。しかしこの演奏と量で3000円台ってのは出血大プライスだな。