ヴァイオリンの帝王ハイフェッツちゃん(ジャケットに描かれているおじさんです)。このCDはヴァイオリン*2またはヴァイオリン+チェロのダブル協奏曲を3点集めたもの。前半戦ともいえるバッハ、モーツァルトはいわゆるバロック期、古典派の王様で、この2人は様式美が濃ゆく、耳にはさんだだけですぐ作曲者がわかる。たとえばこの絵を見て即、北斗の拳だと分かるのと同じ。
バッハはすぎやまこういちさんのせいで対位法を使ってると常にドラクエの城みたいな音楽に聞こえるし、モーツァルトはいつも通り超きらきら。ダブルコンチェルトということで抑えてはいますがハイフェッツちゃんの音も聞けばすぐ彼だと分かる特徴がある。メロディーを軽いグリッサンド気味に歌い上げることが多い。これを下手なポップス歌手がやると耳に触るけれど、彼のヴァイオリンは唸るし泣く。この2作品についてはオケが悪いのかソロ演奏者が走ってしまうのか分からないが、時々呼吸が合わなくなることがあり、その度にイラッとさせられるのが残念だった。
後半戦のブラームスのヴァイオリン+チェロ協奏曲はドイツ・オーストリア系ダサカッコイイの正当後継者で、この曲も例にもれず真剣にちょっとダサいメロディーを荘厳に奏でる聞きごたえのある曲だった。協奏曲ってのはなんで常に第一楽章が長大になりがちなんでしょう。第三楽章はいきなり民族音楽的な主題で始まりヴァイオリンかわいすぎ、中盤からチャイコフスキーでよく見られる半音ずつ上げていってドキドキ感を高める手法がとられていて心臓がバクバクします。最高です。
ハイフェッツちゃんのベスト盤としてはこのCD>のシベリウスの協奏曲を推したいです。ひたすら泣いてます。
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