CDレビュー: Franz Schubert, Boston Symphony Orchestra, Charles Munch(Cond), 1955 and 1958 – Symphony No.8 in B Minor “Unfinished”, Symphony No.9 in C “The Great” (RCA Living Stereo Collection CD 51)

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★★★★★
いやあ交響曲っていいものですね!

シューベルトは「魔王」をほとんどの中学校で習うこともあって歌曲の作曲者として理解されていることが多いけれど、なんと交響曲を9つも作っている。未完成のものも含めると13もあるらしい。

こんなこと言うと怒られるかもしれないが、シューベルトを含めドイツ・オーストリア系の作曲者って作風が「ダサカッコいい」と思う。ベートーヴェンは美しいメロディーや和音もさることながら時々ユニゾンや爆音和音でダサい洪水を投げてくることがある。運命の冒頭とか交響曲6番の終盤の謎連発和音、7番4楽章の運動会みたいなメロディーなど。ブラームスもこの正統派ダサカッコいい系譜に位置する。リストもそうかも。

シューベルトの交響曲はベートーヴェンの美しさを引き継ぎつつ、ダサさをさらに洗練して頻度を高めたように聞こえた。彼の体に流れる熱い音楽的血潮がこのダサさを生み出し、聞き手を共振させて一種の興奮を引き起こす。特に、交響曲8番の第1楽章、9番の1,4楽章は顕著だ。

8番の第1楽章はほとんど演歌だ。オーケストラと演歌の融合を1825年に果たしているなんて超前衛的だ。9番の第1楽章はカッコいいはずの場面で盆踊りみたいな三連符が大量出現する。そして第4楽章は歓びの歌のパクリ、もといリスペクトした主題が要所で現れ、ズッコケそうになりながら絶頂、大団円を迎える。演奏は非常にダイナミックで、力が余りすぎて時々木管金管が前に滑ってしまっているがそれもよし。シューベルトはダサさを極め転じて人を感動させる魂を持った作曲家として私の心に刻まれた。

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