Miles Davis – Bag’s Groove(1957)


★★★★★
ジャズ100枚の6枚目。マイルスさんは、息を超圧縮したような音が特徴です。禅トランぺッター。1音1音の後で常に多くを考えているような、そんな感じが伝わってくる珍しい演奏者だと思います。ちょっと諧謔気味のタイトルチューンでは、7分あたりからピアノがありえないソロをかましてくれます。誰なのかと思ったら、セロニアス・モンクだそうです。この人もすごい。アルバム中の他の曲では3,5,7曲目がとてもよい。


Django à la Créole & Evan Christopher – Live! (2014)


★★★★★
2014年特集ファイナル。ギターとベースを混ぜたスウィング・ジャズが主のアルバムで、古き良きアメリカな曲が目白押し。
エバン・クリストファーはアメリカのクラリネット奏者。クラリネットは好きだ。以前、よく会社の帰りにパチンコ屋の宣伝でチンドン屋がクラリネットを吹いていて、これがなかなかに上手く、しばらく聞いていたことがあった。初めの方はそんなチンドン屋を思わせるような音なんだけど、だんだんノッてきて、息遣いが良く聞こえる、酔っ払いみたいなラリった演奏になってくる。7曲目 The Moocheあたりからもうノリノリ、クラリネット割れまくり、9曲目Feerieなんて爆速で最高!3曲目Dear Old Southlandも南部の飲んだくれがミシシッピの朝焼けを見てああ帰らなきゃなぁと考える光景が目に浮かぶようでいいですね。酔いどれクラリネットという新しい分野を知ることができてうれしい。2014年も面白いアルバムがいくつかあって希望が持てた。


Norma Winstone – Dance Without Answer(2014)


★★☆☆☆
2014年特集11。歌モノジャズも聞いてみよう、ということで2014年の注目盤を買ってみたが、はずれだった。歌にわたし上手いでしょ感が随所にみられて、私にはだめでした。バックの演奏も沁みてこないし、どうしてかなー。ちなみにNorma Winstoneさんは御年73歳。若いねーすごい。でも歌は私に合わないのよー。


David Virelles – Mboko (2014)


★★★★★
2014年特集その8。David Virelles はキューバ生まれNY在住のピアニスト。キューバ、アフロなパーカッション、という取り合わせからは想像できないくらい、極寒のピアノだった。特に1,2曲目で顕著で、南国パーカッションが場違いなくらい、いい意味で冷えるピアノ。ここは旭川?アラスカ?3曲目からリズム隊が本格始動し、ピアノトリオ+αが始動する。6曲目Seven〜のピアノの発散しっぷりは異次元の気持ちよさだ。音場効果のせいかピアノはずっと冷えている。8曲目Transmissionはまさかの手動ブレイクビーツ。わたしゃおったまげたよ。意味不明のまま全員燃えまくり。ほぼ全曲にわたって不協和音のオンパレードで、定型的な高揚感を生む効果は排除されている。果物は腐る直前が一番美味い、と思う人向けのアルバム。


Wadada Leo Smith – The Great Lakes Suites (2014)


★★★★☆
2014年特集その5。フリージャズの生ける伝説らしい、ワダダ・レオ・スミスの新譜2枚組。フリージャズなるものは、初めて聴いた。ピアノなしのサックス・トランペット・ベース・ドラムの4人編成で、全員が適当に吹き鳴らしてるだけにしか聞こえない!一応五大湖ということでミシガン湖・オンタリオ湖などの曲名がついているものの、わっかんねえっす。
しかし全員演奏は上手で、破綻は全くしない。特にドラム、ベースはすごい。リムショットだけで2分くらいポコポコ叩きまくる。ベースも狂ったように弾きまくるシーンが何度もある。一番良いと思ったのは1枚目3曲目のスペリオル湖。この手の曲は馴染みがないけど、ドラムとベースがズイズイ引っ張りまくってるのが分かる。なんか良くわからないけど試合が終わってみたら11対0でした。


Enrico Pieranunzi – No Man’s Land(1989)


★★★★★╭( ・ㅂ・)و ̑̑
うわーすげぇなあ。前作に引き続き大ヒットだった。まずタイトル曲No Man’s Landが泣きの超名演奏で、ベースソロも素晴らしい。4曲目Blues In CはどこらへんがCなのか分からないくらい発散しているが緊張感と優れたインプロが充満した傑作、5曲目Land Breezeも吹っ飛ばされそうなテンションコードの連発とかっこええドラムソロが交錯するヒット、7曲目My Funny Valentineは前作のSomeday My Prince Will Comeのように意表を突かれる即興まるけの長い前フリが実に優れている。マジで何なのこの人。


Red Garland – Groovy(1957)


★★★★★
レビューでも言われているけれど、ジャズの教科書、というのがしっくりくるアルバム。レッド・ガーランドさんは軽快かつ、やさしいやさしい音を出す。派手さ、革新性はないが非常に聴きやすい。万人に受け入れられる音だろう。疲れたときに戻ってこれる場所、といったような演奏だ。3,5曲目で聞けるウッドベースを弦を使って普通に弾く奏法(何て名前なんだろ?)は他に無いような音が出ていて、引き込まれる。


Enrico Pieranunzi – Deep Down(1987)


★★★★★◝( •௰•
エンリコ・ピエラヌンツィさん恐るべし。スマッシュヒットです。
リンク先ではビル・エヴァンス系のピアニストと言われているけれど、彼とはまた別系統のピアニストだと思います。彼のファンであることは間違いないけれど、静かに歌い上げるのではなく、流れ出る奔流を抑えきれなくてつい指が動いてしまうタイプのように聞こえます。そんな演奏が私は好きです。
もう1曲目Don’t Forget The Poetからつい広がってしまうその演奏に心奪われっぱなしです。4曲目のSomeday My Prince Will Comeは約8割が前フリという凄まじい構成で、あっけにとられ、しかもその前フリもベース・ドラムが超絶かっこいいというおまけつき。5曲目Dee Songも飛んで行っちゃいそう。ラストのEvans Rememberedは実はどうトリビュートしているのかわかりませんでした。ごめんなさい。十二分に愛が伝わってきました。


Art Pepper – Art Pepper Meets the Rhythm Section(1957)


★★★★★(灬╹ω╹灬)
これは素晴らしい!
ジャズの100枚、の4枚目。サキソフォン奏者アート・ペッパーと、マイルス・デイヴィスのリズム隊が合流した、というアルバム。アート・ペッパーさんのサックスは、いい意味で軽い。さらさらと耳に心地よく、まとわりつくわけでもない、変幻自在の霧のような音をしている。寝ているようで寝てない。軽いのにどこまでも乗って行けそうだ(どこに?)。また、ドラムがいい。今まで聞いたジャズアルバムで最高かもしれない。フィリー・ジョー・ジョーンズという人らしい。どこをどう聞いたって爽快な音しかしない!信じられない。すげーー。2曲目Red Pepper Blues、4曲目Waltz Me Bluesが非常に良いです。ベースソロではピックじゃなくて弾いちゃうってのも新鮮でいいですね。


Enrico Pieranunzi – Isis(1981)


★★★★☆
シリーズものです。以前に聞いたEnrico Pieranunziさんの6枚セットがなんと三千円台で。

この人のピアノはほんときれい。清潔。べたべたしてない。でも歌う。時々暴走するくらい歌い上げる。Art Farmerさんのトランペットはとても変わっている。羽毛布団みたいに柔らかくてトランペットなのにあまり目立たない。マイルスデイヴィスさんの演奏から苦悩感を取り去った感じ。
ベースが気に入らないのとドラムの音が古いから?かのっぺりなのが残念。ドラムの演奏自体は優れてます。4曲目Blue’N’Boogie、5曲目Soul Danceがよかった。