75 Jahre Donaueschinger Musiktage 1921-1996 (CD7) Iannis Xenakis, Jörg Herchet, Vinko Globokar, György Ligeti


★★★★☆
1曲目は弦の壮大な無駄遣い。大音量で聞くとそれはもうたまらないトリップ感が得られること間違いなし。ここで少し聞けます。
3曲目もタイトル通り実験室の中のような曲で、やっつけ感があふれていて楽しい。ここで3分だけ見られる。指揮者がいるのか!?なおフルバージョンでは中盤から謎のドイツ語のナレーションがあちこちを行ったり来たりしてとてもよい。

Track List
1
Ata, for 89 musicians
Iannis Xenakis
2
Composition for baritone (voice), trombone & orchestra
Jörg Herchet
3
Laboratorium 1973
Vinko Globokar
4
Lontano, for orchestra
György Ligeti


CDレビュー: Yes – Relayer(1974)


★★★★★
前作で伝統的なプログレから突き抜けようとして、今作で第二宇宙速度を突破し、空の彼方に行ってしまった。
1曲目The Gates Of Deliriumがとにかく爆裂している。今作は精密に作ったというよりは楽器同士が競い合ってジェットコースターのように移り変わる展開の速さが特徴的で、中盤に長い長いインプロゾーンがあり、それをブッ飛ばした後に流れる “soon” の美しいこと。ここによるとモチーフは戦争だそうだ。
2曲目Sound Chaserも3曲目To Be Overもとにかく変わる、変わる。Sound Chaserのチャッチャッチャー地帯の爽快感が比類ない。すごい。
この絶望感も退廃感もない希望にあふれたサウンドはYesしか出せない。

プログレッシブロックの他のCDレビューはこちらです。rokujo.hatenadiary.com


The Rough Guide to The Music of Portugal (1998)


★★★★★
ポルトガルはスペインと同様にイスラム化された歴史があるにもかかわらず、スペインほどイスラム的な要素は少ない。ギターを中心としたファドという民謡が多い。明るく大きく歌い上げる、しかし哀愁を帯びた歌。イタリアと雰囲気が似ている。2曲目DULCE PONTES – FADO DA SINA が聞かせてくれる。10曲目LENDAS & MITOS – BARQUINHA DO MARはまさかのロックだが、なかなかアツい仕上がりとなっていてグッド。11曲目ANABELA – AVENIDASは随分と現代風だがこれもよい。地中海的ダラり曲だ。新旧ハズレの曲が少なく同シリーズの中でも上位の作品。


Anthony Braxton – Six Monk’s Compositions (1987)


★★★★★
相変わらずインプロでピロピロしまくってるけれど、このアルバムはベース、ピアノ、ドラムとフルで稼働しているため、彼のピロピロがうまく吸収され、絶妙な味付けに昇華されている。ラーメンで例えると、もやしがタワーになっていて見た目迫力があるけれど、麺とスープが正統派の味付けであるために全体として美味しいラーメンである、という感じだ。Four In Oneが一番の当たり曲。


Kenny Dorham – Quiet Kenny(1959)


★★★★★
1曲目のイントロがすごい!!ベースのPaul Chambersさんの技が光る、かっちょいいーー。イメージとしては、川崎の港沿いのうらびれたスナック街。いい意味で気が抜けているトランペットの音のせいだ。続く2曲目My Idealも悶絶するほどあったかい名曲。派手でも奇抜でもないが、何度も繰り返し聞きたい1枚。


Great Pianists of the 20th Century Vol.4 – Claudio Arrau I (CD2)


★★★★★◖ฺ|´⌣`*|◗·˳♪⁎˚♫
2枚目はブラームス集。1-2曲目はパガニーニの主題による変奏曲で、有名なパガニーニの奇想曲24番をひたすらアレンジしまくった大作。この曲はリスト、ラフマニノフといった人外ピアニストたちも編曲しており、現代ではビーマニに収録されるほど熱狂的なファンが多い。ブラームス版は超絶技巧を多用しているらしいが、アラウさんの演奏は全く苦しさを感じさせず、柔らかい。ソフト。なんという安定感。しかもかっちょいい。
3曲目はピアノ協奏曲第1番。イントロが私の大好きなダサカッコ良い境地で、いまさらながらブラームスは超がつくくらいの正統派なのだと感じた。第一楽章中盤のクライマックスゾーンは個人的なここ数日の憂鬱さが吹っ飛ぶ爽快感をもたらしてくれたので、このCDは今年一番のお気に入りです。最高。

Track List
1 Johannes Brahms: Variations on a Theme by Paganini, Op.35 - Book 1 13:57
2 Johannes Brahms: Variations on a Theme by Paganini, Op.35 - Book 2 11:23
3 Johannes Brahms: Piano Concerto No. 1 in D Minor, Op. 15 - 1. Maestoso - Poco piû Moderato 24:04
4 Johannes Brahms: Piano Concerto No. 1 in D Minor, Op. 15 - 2. Adagio 15:42
5 Johannes Brahms: Piano Concerto No. 1 in D Minor, Op. 15 - 3. Rondo (Allegro non Troppo) 12:49

Great Pianists of the 20th Century Vol.4 – Claudio Arrau I (CD1)


★★★★★
クラウディオ・アラウ(Claudio Arrau León 1903年2月6日 – 1991年6月9日)はチリ出身のピアニスト。最晩年まで活動をつづけた巨匠らしい。この人の演奏だけで2枚組が3セット組まれている。
1セット目1枚目は新旧織り交ぜたピアノソロで、リストの作品が多い。前半は若いころの演奏のためか、録音が悪いためか、私にはあまり合わなかった。しかし後半のリストの曲集はもう素晴らしいの一言に尽きる。この人は絶対に汚い音を出さない。リストの曲なんて爆音推奨、作曲した当人もドンチャン鳴らしていたと思われるのに、綺麗に演奏する。難しいはずなのに。ラスト2曲が特に光っている。プッシュしない、押し付けない演奏のため、キラキラした輝きだけが目立つ稀有な演奏。

Track List
1.Mily Balakirev: Islamey 7:37
2 Franz Liszt: Spanish Rhapsody 9:24
3 Johann Sebastian Bach: Chromatic Fantasy and Fugue 11:01
4 Isaac Albéniz: Iberia (Book I) - Evocatión 5:44
5 Isaac Albéniz: Iberia (Book I) - El Puerto 4:07
6 Isaac Albéniz: Iberia (Book I) - Fête-Dieu à Seville 7:04
7 Franz Liszt: Bénédiction de Dieu dans la Solitude 19:08
8 Franz Liszt: Les jeux d'eaux à la Villa d'Este 8:44
9 Franz Liszt: Chasse-neige (Ètude d'execution Transcendante No. 12) 6:04

Slayer – God Hates Us All(2001)


★★★★★┗=͟͟͞͞( ・∀・)=͟͟͞͞┛
大幅に進化した。デビューから20年もたっているというのに、信じられない。もはや3rdすら軟弱に思えてくる、鋼のヘヴィネスサウンドと化したスレイヤー。激しく爆音寄りのマスタリングがされており、まさに近代兵器。発売日は何の因果か9/11アメリカ同時多発テロと同日である。。またこの作品は歌詞から悪魔的なものが消えており、より人間の内面に潜む破壊性、暴力性を抉るものとなっている。歌詞は何となくしか聞き取れないので全体的な雰囲気からそう感じていたが、後で裏付けられてびっくり。人間寄りになったためか、初めてFワードが歌詞に乗るようになった。トム・アラヤのヴォーカルはこれまでにないくらい爆発しており、特に4曲目New Faithは強いインパクトを与える。またドラムのポール・ボスタフの気が狂ったようなリフ回しがこのアルバムの火力を大幅に底上げしている。いままでのどのアルバムよりも激しい。ちなみに彼はこの作品の後肘の故障で脱退した。遅いドローン系ダウナーからリズム変速曲、スピード違反の超スラッシュまですべて取り揃えたオールラウンドかつ迫力マシマシの一作。スレイヤーでまずどれを聞くかと言ったらまずこのアルバムを薦める。
感覚的なものだがこの作品はいままでのただ破壊するだけと言った世界観から、抗い闘うものへと昇華されつつあるような気がする。いや歌詞は今まで通り中二的で暴れまわってるんだけど、何故か、聞いていて元気が出た。


SLK-9888.sys – Mt.FUJI EP


★★★★★
CDではなくニコニコ動画経由で聞いた。ZERO-ONEがなぜかニコニコ動画で流行っているらしいが、初出はおそらく10年以上前、私がまだ高校生だった頃のはずだ。彼のネタセンスは頭一つ抜けており、新作が出るたびに大爆笑していたのを覚えている。まだ活動していたということに驚き、感動したので久しぶりに聞いてみた。
ZERO-ONEが5分ほど追加されており、アラレちゃんの箇所はツボにはまってしまった。全く衰えていない。すごいな。NORTH+北の国から、の調和も素晴らしい。


75 Jahre Donaueschinger Musiktage 1921-1996 (CD6) Brian Ferneyhough, Mathias Spahlinger, Hans Zender, Hanspeter Kyburz, Pierre Boulez


★★★★★
1曲目がすごい!!16人の声で時間と運動?を表現しているらしい。練習させられる方はたまったものではない。みんなプロの声楽さんだろう、時々人間を超えた音を出さなければいけなかったり、どう聞いてもやけくそ気味な声を出していたりする。
Time and Motion Study III (1974) for 16 voices, percussion and electronics, – Ferneyhough, Brian – free listen online, download mp3
ここで視聴できる。なんと楽譜がある。耳で聞くとただのカオスにしか思えないのに、精緻に作りこまれた曲ということが分かる。一体どういう頭の中になっているんだ。
3曲目はタイトルから察するに日本通の人が作曲したと思われる。調べてみると「無字の経」というらしい。仏教が分かっていないとだめだな。こういう人は日本人より日本に詳しいんだよなぁ。ピアノと弦の難解な演奏に合わせて西洋人が謎の日本語を連発するという内容。お経なのかもしれない。

Track List
1
Time and Motion Study III
Brian Ferneyhough

2
und als wir für 54 Streicher
Mathias Spahlinger

3
Muji no Kyo, for voice, flute, cello & keyboard
Hans Zender

4
Cells, for saxophone & ensemble
Hanspeter Kyburz

5
Tombeau (5th part of “Pli selon pli”), for soprano & orchestra
Pierre Boulez