書籍レビュー: 著者の熱意に感服 『マクロ経済学(New Liberal Arts Selection) 』 著: 斎藤誠ほか

★★★★★

 

経済学たのしい

経済学は一生かけて学んでいきたい学問の一つです。個人的な経済危機を何度も経験し、近いうちにド貧乏暮らしを余儀なくされそうな自分としては金にはうるさくありたい。金がどのように世の中を回っているのか知りたい。巷に溢れる怪しい経済論議の胡散臭さを見破れるようになりたい。政策担当者はどう考えて税制や所得分配を立案しているのかを知りたい。世界の金持ちはどう考えて資産を動かしているのか知りたい。好況と不況はなぜ起こるのか知りたい。経済関連は知りたいことばかりです。

ミクロ経済学が個人や1企業などの小さい単位の需要と供給を扱う学問だとすれば、マクロ経済学とは国単位や世界単位の経済を扱い、主にGDPの大小を議論する学問です。本書は1章まるまる90ページほど使って、SNA(国民経済計算)などの統計の重要性について説くかなり革新的な教科書でした。その後古典的なマクロ経済学を丁寧に説明した後、それらをさらにミクロ経済学を使って詳述していく「マクロ経済学のミクロ経済学による基礎付け」という章にかなりの分量が割かれています。ここから文字の大きさが小さくなり数式が増え、ぐっと読むのにエネルギーがかかるようになります。なぜこのような構成にしたのかは随所の前書きやあとがきに詳しく、斎藤教授の熱意が伝わってきます。

分量が多いので1日20分、3か月くらいかけて少しずつゆっくり読みました。後半はそれなりに数学を使うため苦しいですが、物理学に比べれば大したことはありませんでした。大学中退の私でもなんとか理解できます。といってもあと2回は読まないと内容が頭の中をただ通り過ぎただけになってしまいそうなので、何度も読もうと思います。

そのモデル正しいの?

他の社会科学もそうなのかもしれませんが、経済学はモデル化の学問です。これまでの経済学者の功績とは、人々の欲望の総和である経済というでっかいバケモノを、グラフと数式を使って単純化したモデルに落とし込む作業の集積でした。ほとんどのモデルには無理があるように見えます。というのも「合理的期待形成」だの「長期的には必ず均衡に至る」だの、人間に合理性を求め過ぎです。人間は非合理的な存在ですよ。みんなが頭いいわけじゃないですし頭のいい人間だってわけのわかんないことしますよ。読めば読むほど本当にこの数式でいいの?という疑問がどんどん湧いていきます。これは経済学を勉強する前にジョージ・ソロスの本なんか読んじゃったからだと思います。彼は経済学理論にかなり懐疑的でした。

しかし力学や電磁気学のようなモデルがないと思考する基盤すら生じません。オリジナリティが言語の蓄積を前提としてしか生じないのと同じです。ですのでこれらのモデルと頭に入れておいてから、ああでもないこうでもないと悩むのが健康的なのだと考えて、繰り返し本書を読むことにします。

 

本書は経済学部4年生くらいの内容までカバーし大学院入試にも十分耐えうる内容だそうです。4年分と思えば値段も手ごろですし社会人には極めておすすめできる一冊です。

 


書籍レビュー: よだれがでるよ!『人とミルクの1万年』 著:平田昌弘

★★★★★(‥ºั⌔ºั‥ )

 

牛、馬、羊、、、人間が家畜の乳を利用するようになって、およそ1万年が経つそうです。この本は世界の「ミルク史」なるものを地域ごとに詳述、「北方乳文化圏」「南方乳文化圏」なるミルク文明史とも言える大胆な仮説を展開していくダイナミックな書物です。いやー岩波ジュニア新書、すごいわ。

狩猟から搾乳へ

そもそも搾乳とは、狩猟文化からの劇的な転換です。動物を屠畜し食べればその動物はいなくなってしまいますが、搾乳により食物をえるということは、屠畜という単純な消費行動をやめ、家畜という資本からミルクという利子を生み出すストック化に人類が移行したことを表します。この論を読んでなるほど、こりゃすごいと感じました。乾燥のため植物性バイオマスに乏しく、狩猟から農耕に至ることのできない地域ではこのようにしてストックを生み出したのです。肉を食うよりミルクを飲んだほうが、餌からの栄養効率が3.7倍にもなるそうです。

進化の基本である淘汰圧の原理を考えれば、動物性タンパク源がほとんどない地域で乳文化が発達したというのは自然なことです。タンパク質を確保できない人類は病気で死ぬ確率が高まります。狩猟していたのでは牛も羊もいなくなり共倒れで死にます。すると、環境の厳しい地域では搾乳技術を生み出した民族だけが生き残ることができます。搾乳は難しい技術だそうですので、環境の淘汰圧が激しくない日本や北南米では搾乳する必要が無く、全然発達しませんでした。

ミルクの地域史と文明史

本書では主に西アジア(シリア)、インド、モンゴル、ヨーロッパに分けてそれぞれの乳文化の発達と変遷を紹介してくれます。特にモンゴルで筆者と懇意な家族がおり、かなり詳しい食文化が記述されています。搾乳できない雄の家畜を去勢するシーンなんか生々しくていいですよ。

ヒツジやヤギは、行動特性上、四肢を宙に浮かし、背中を地面につけると、暴れることをやめて落ちつきます。去勢は、ナイフで切れ目を入れ、睾丸を手で一気に引き抜きます。左側の桶に、引きちぎった睾丸が溜められています。(写真あり)

(中略)

引きちぎった睾丸はどうするかというと、やはり無駄にすることはありません。食べてしまいます。ミルクと一緒に似て調理します。味は、淡泊で食べやすくはあります。睾丸はタンパク質や核酸を豊富に含み、疲労回復に良いとされていますから、食べても問題ありません。

上野アメ横なんかに売ってるかもしれませんね、睾丸。

驚くのはどこの乳文化圏でも、ヨーグルトが基本になっていることです。人類が乳糖を分解できるのはたいていこどもの間だけで、成長するほどラクトース消化酵素が衰え、乳糖不耐症になるそうです。ミルクが乳幼児のための飲み物である理由です。これをヨーグルトにすると、保存性が良くなるうえに乳糖が発酵で分解され大人も食べやすいようになります。私も牛乳を買ってヨーグルトを作ってみようと思いました。種菌があれば簡単にできちゃうようです。

うまそうな食べ物たち

本編に出てくる乳製品の美味しそうなこと。クリームは洋菓子の基本ですし、チーズはヨーロッパの夏乾燥冬湿潤という気候に完全マッチし、あれだけ多様なチーズが生まれたそうです。ただチーズは買うと高い。日本には豊富な魚があったから乳製品は必須のものではありませんでした。学校給食、パン食の普及とともに乳製品も日本に広まりましたがまだまだ。必須じゃないものはどうしたって高くなります。特にバター、生クリーム、チーズは高い。

本書は文明史としても素晴らしい書物ですがそれぞれの国の食文化の紹介も舌なめずりしたくなるほど魅力的でした。インドの濃縮乳で作った乳菓、ヨーロッパの何か月もかけてできる樽みたいな形のカンタルというチーズ、食べたいものは沢山あります。死ぬまでに一度は食べてみたいです。食べて、彼らの生活や文化に思いを馳せてみたい。

 

 

関連書籍

 

類書 岩波ジュニア

パスタでたどるイタリア史 (岩波ジュニア新書)

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類書 チーズ

チーズと文明

チーズと文明

 

 

 著者によるさらにつっこんだ詳論

ユーラシア乳文化論

ユーラシア乳文化論

 

 

 世界の食文化。うう読んでみたい

世界の食べもの――食の文化地理 (講談社学術文庫)

世界の食べもの――食の文化地理 (講談社学術文庫)

 

 


書籍レビュー: トレードオフなエコシステム『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第5巻 生態学』 著: デイビッド・サダヴァ他

★★★★☆

 

しばらく書籍レビューが簡素になります。

 

第5巻は生態学、英語で言うとエコロジーの分野です。第1巻~3巻がミクロ生物学なら、4~5巻はマクロ生物学。私はミクロよりもマクロ分野についてなかなか理解がついていかないようで、新書並み200ページちょいしかないのにずいぶん苦労して読みました。

気になった話題はまず生活史トレードオフ。生物が得たエネルギーは繁殖・成長・防御・ホメオスタシスという機能に分割され、すべてを足したエネルギー量は一定だからどれかの機能を高めるとどこかの機能が損なわれるよ、という理論です。例えばストレスが多い環境にいるとホメオスタシスで精一杯になるため他の分野にエネルギーが全然回らなくなります。だからストレスがかかると痩せるんですね。

取引と言えば相利共生。ミツバチが花粉を運んでくれるとかハキリアリがキノコのために葉を切って運んでくれるというような一見利他的に見える関係のことです。人間が美しいドキュメンタリーや物語に仕立てがちな動物の行動ですが本書では「他の生物のために形成される構造なんかあり得ない」というドライな立場を貫きます。ダーウィンがそう言っているそうです。ミツバチは蜜を吸いたいだけだしハキリアリはキノコ食いたいだけだよ、動物は詐欺を働いてまで他の動物から資源を搾取しまくるのが基本だよん、という見方はリアリスティックで好感が持てました。

あとタンパク質の基になる窒素分を生み出すための窒素固定は微生物しか行えるものがいないっていうのはゾッとする話でした。というのも空気中の窒素って三重結合してて強固だから簡単に切れる生物が全然いないんですって。微生物がいなかったら植物も動物も私たちもいなかった。微生物はすべての生物の母だ。偉大だ。微生物のことはもっと知りたいです。今でこそ人類が窒素分固定しまくって過剰に肥料やりまくりなんて贅沢もできるようになりましたが、その人類だって微生物がいなければ生まれようがありませんでした。

薄めの教科書だからしょうがないのかもしれませんがどの記述もページ数が少なめで私にとっては説明不足でした。詳しく知りたければナショナルジオグラフィックを定期購読するとか新しめの科学読み物を読んでいくといいのかもしれません。

これでこのシリーズは全部読破しましたが生物のことを全然知った気がしません。1万円超のでっかい生物書をローンで買ってゆっくり何度も読もうかしら。

 

関連書籍

 

ちょっと古いけど生態学のよさげな教科書

Ecology: From Individuals to Ecosystems

Ecology: From Individuals to Ecosystems

  • 作者: Michael Begon,Colin R. Townsend,John L. Harper
  • 出版社/メーカー: Wiley-Blackwell
  • 発売日: 2005/07/29
  • メディア: ペーパーバック
  • 購入: 1人 クリック: 17回
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 日本語訳。10000円超。たかい

生態学―個体から生態系へ

生態学―個体から生態系へ

  • 作者: マイケルベゴン,コリンタウンゼンド,ジョンハーパー,神崎護,曽田貞滋,幸田正典,Michael Begon,Colin R. Townsend,John L. Harper,堀道雄
  • 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会
  • 発売日: 2013/03
  • メディア: 単行本
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 微生物。

微生物学 (基礎生物学テキストシリーズ 4)

微生物学 (基礎生物学テキストシリーズ 4)

 

 

 植物に絞った新しめの生態学書

植物生態学

植物生態学

 

 

 

 


書籍レビュー: 『よくわかる栄養学ハンドブック』 著:舛重正一

★★★★★

 

科学的でとても分かりやすい上に適度に網羅的です。厳密な生化学的記述も知りたいのですがそれは専門書を読めばよいでしょう。

色々参考になるところはあったのですが今日レビューを書いている時間がないのでここまでです。

 

 


書籍レビュー: 『ふたりのロッテ』 著:エーリッヒ・ケストナー

(•ө•)

 

題名だけ知っていたので興味で読みました。

ケストナーの語り口調には癖がありそれが独自性といい味を出しています。高橋健二さんの訳もじょうず。

離婚話ですので子供に読ませるのは不適当ではないかとの声もあったそうですがケストナーは次のようなたとえ話を出して、子どもこそ読むべきであると読者を説得しています。ここが面白かった。

「シャーリー・テンプルは7つは8つの子どもの時、もう世界中に名だかい映画スターでした。映画は彼女のおかげで数百万ドルも、もうけました。ところが、シャーリーがおかあさんといっしょにシャーリー・テンプル映画を見に、映画館に入ろうとすると、入れてくれませんでした。まだ年がたりないというのです。それは禁止されていたのです。シャーリーは映画をとることだけはさしつかえなかったのです。それは許されていました。それには充分の年だったのです。」

タイトルと表紙からは女の子の友情ものなのかなぁと想像していましたがまさかこんな内容の話だとは全く想像してませんでした。優れた物語です。20年くらい前に読んでればよかった。ですが個人的な理由でこの本を読むタイミングは不適切でした。さらに20年くらいしたらまた読もうと思います。

自分には児童文学が必要と思っていましたがしばらくの間読むのをやめます。

 


書籍レビュー: 60Pに濃い内容『科学発見シリーズ』 著: アイザック・アシモフ

★★★★★

 

SFの巨匠アイザック・アシモフ(1920-1992)による、こども向けの科学読み物です。1冊あたり60Pほどしかありませんが内容は濃く、これを読めるのは中学生以上程度でしょう。大人でも十分楽しめる内容です。

 

原著はここにあります。how we find out…? というシリーズです。日本語訳は20冊ですが原著では32冊もあるようです。

私は8冊目まで読みましたが、理由があってここで読むのを打ち切りました。おすすめは電気と細菌です。

 

ここのところ時間が無く、しばらくの間雑なレビューになりそうです。

 


書籍レビュー: 次回を待て『ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上)』 著: 塩野七生

★★★★☆

 

おそらく本シリーズの一番気合が入っていると思われる話題、ユリウス・カエサルについてです。文庫版では本書含めて6冊がカエサルについての記述に充てられています。本書ではカエサル誕生~39歳までの軌跡を辿ります。紀元前100~61年の間の出来事です。

かぶってる

実は半分くらいの内容が前巻とかぶります。カエサルはスッラやポンペイウスの時代にも生きていたからです。通して読む人間にとってはやや不満ですが、逆に、カエサルの部分だけ単独で読みたい人にとっては嬉しい構成方法ですね。8~13巻だけ読むという読み方もあり、でしょう。

カエサル編1巻目にあたる本書ではカエサルは目立ちません。やや遅咲きの政治家として、37歳でようやく宗教職の最上位である最高神祇官に当選したにすぎませんでした。おそらく文化庁長官くらいの意味合いで、最高権力者には程遠い位置です。

カエサルの人柄

本書ではカエサルのキャリアよりは彼のパーソナルな部分に焦点が当てられています。彼を読み解くキーワードは、借金、女の2点です。

カエサルは湯水のように借金しました。借金したお金は投資のためではなく、公共インフラの構築や剣闘会の開催など、民衆への大盤振る舞いにあてられました。このためスキャンダルとなることはなく、また金ヅルである最大債権者のクラッススは、カエサルに貸した金が大きすぎるためカエサルが「大きすぎてつぶせない」存在となり、彼が有利になるように取り計らうしかできなかったと言われています。

もう一つの金の使い方が女へのプレゼントでした。パトロンであるクラッススの妻テウトリア、最高権力者である執政官ポンペイウスのムチア、そしてカエサルが殺されることとなるブルータスのセルヴィーリアなど錚々たるメンバーがみなカエサルの愛人だったと言います。しかも誰にも隠さず、公然と愛人宣言をしていたそうです。

筆者によれば女が傷つくのは自分のことを無視した場合だけ、だそうです。カエサルは全ての愛人について関係を断つことをしませんでした。前述のセルヴィーリアなど、ブルータスがカエサルに剣を向けた後でさえカエサルは彼女のことを心配し国有地を安く払い下げてやるなどの配慮を忘れなかったそうです。また、豪邸2件が建つほどの真珠を贈るなど熱烈なプレゼント攻勢をカエサルはいつも忘れませんでした。これと「公然」の効果によって彼のことを悪く思う女性はひとりもいなかったそうです。筆者お墨付きとはいえ参考になるんでしょうかねこれ。

カティリーナ弾劾

後半に出てくるカティリーナという人の謀反を弾劾した前63年の「カティリーナ弾劾」裁判でのキケロ―の演説はヨーロッパ中の高校生が訳させられる文章だそうです。日本だと何にあたるんでしょうね。いずれ読んでみます。ラテン語を勉強するなら必須なのでしょう。

Catiline Orations – Wikipedia, the free encyclopedia

カエサルがここで弾劾への反対演説をしたことが、ローマにとって重要な意味を持つそうですがこの巻ではその真意にはかする程度で踏み込まれていません。次回を待て、ということでしょう。

7巻までと同様、事前知識なしでも引き込まれ一気に読めてしまう内容ですが、やはり前回までと重複している内容が多く単独で読むには物足りない巻でした。中と下まで一気に読んだ方がよさそうです。

 


書籍レビュー: だまされないために『情報操作のトリック その歴史と方法』 著:川上和久

★★★★☆

 

川上和久(1957-)さんは社会心理学者。現在、明治学院大学の教授(出版当時は准教授)だそうです。

序盤で著者の定義する情報操作とは次のようなことです。

「情報操作とは、情報の送り手の側から見れば、個人、もしくは集合的な主体が、何らかの意図を持って、直接、もしくはメディアを介して、対象に対して、意図した方向への態度・行動の変化を促すべく構成されたコミュニケーション行動とその結果の総体である。また、情報の受け手の側から見れば、意図的・非意図的によらず、受け手の態度・行動に影響を及ぼすコミュニケーション行動。およびその結果の総体である」

これはめちゃんこ広い定義ですね。例えば最近流行の恋愛工学なんかまさに個人が個人を意図した方向に導く情報操作の典型ですね。本書はここで定義した通りかなり広い範囲について情報操作を網羅しようとする本です。そのため内容的にはどうしても薄くなってしまいます。終盤の広告についてはこっちの本を読んだほうがマシです。

 

細かなトピックでいくつか感銘を受けたものを紹介します。

人々が自発的に情報を歪めるシステムを作るのが望ましい

国家がある目的を効率的に遂行しようと思ったら、強権を振るうよりも自発的に目的を実行してもらった方がコストがかかりません。そのために必要なのは教育です。一党独裁政治政権では教育の場を家庭から学校に移すと効率が良いそうです。ナチはヒトラーユーゲントのメンバーが行進するときに家族の方を向くことを禁じましたし、中国の幼稚園には次のような歌を歌わせました。

「私の家は幼稚園、先生はお母さん。何でも教えてくれる先生についてお勉強できるのは何て楽しいことでしょう。ほかにはなんにもほしくない」

そういえば反戦小説には必ず「学校では天皇を敬うよう言われたのに親は天皇なんかくそくらえだという。非国民だ、親が恥ずかしい」という子供が出てきます。これも同じパターンですね。本書は記述が少なくメカニズムはかかれていませんが、おそらく、学校で過ごす時間の方が家庭で過ごす時間よりも長い上に、画一的に教育できますし人数の力で同調圧力が働くため効率的ということなのでしょう。

やはり大衆=アホ

ヒトラーが自ら語った情報操作の原則です。

「自由な選択を認めるよりも、対立的考えを一切許さない教旨によるほうが、国民はより強い安心感を抱くことができるであろう」

「大衆に語るべき思想を少数にとどめて、それをうまずたゆまずくり返すことが必要である。大衆は、何百ぺんと繰り返さないと、もっとも簡単な思想でも覚えこまないものである。」

「かくてスローガンは、種々のかたちで示されるべきであるが、しかし結論としては必ず一定の不変な公式に要約して示されなければならない」

小泉が人気のあったわけがよく分かりますね。ワンフレーズポリティクスはいつの時代でも強いです。これに対抗するためには、世界は複雑であること、思想は矛盾対立するものであること、繰り返すことは強力だが危険であることを常に頭の片隅に入れておかねばなりません。

7つの原則

7つの習慣っぽいですがこれはアメリカの宣伝分析研究所の作成した政治原則です。権力が行うとよい原則を調べると次のようになりました。

  1. 攻撃対象の人物・組織・制度などに、憎悪や恐怖の感情に訴えるレッテルを貼る「ネーム・コーリング」
  2. 権力の利益や目的の正当化のための、「華麗なことばによる普遍化」
  3. 権威や威光により、権力の目的や方法を正当化する「転換」
  4. 尊敬・権威を与えられている人物を用いた「証言利用」
  5. 大衆と同じ立場にあることを示して安心や共感を引き出す「平凡化」
  6. 都合のよいことがらを強調し、不都合なことがらを矮小化したり隠したりする「いかさま」
  7. 皆がやったり信じていることを強調し、大衆の同調性向に訴える「バンドワゴン」

 どれも身に覚えがあります。ニュースや他人の言説にこのような傾向があったら警戒しましょう。

 

選挙の争点は取り上げた時点で勝ち

1989年参院選の自民党の歴史的惨敗は消費税・リクルート疑惑・農政問題という材料が社会党の躍進に繋がりました。逆に、1990年の総選挙では消費税を脇に置いたため自民党が逆転して安定多数となりました。

ここからわかることは、「政党にとって有利・不利な点が争点になった時点で選挙が終わっている」ということです。したがって各党は、自らに有利な点を争点とし、不利な点をできるだけ争点からそらします。すべての政治団体について「本当にその争点は重要なのか」ということを常に考えないとだまされます。例えば今(2015年現在)なら、最も取り上げるべき争点は賃金の下方硬直による激しい格差社会と、人口減や地方崩壊につながっている高齢化だと思われます。これ以外の争点を過剰に持ち上げる党や団体のことは疑います。

ヤラセ以前に内容がどうかしてる

本書が出版された1994年はテレビのヤラセが問題になっていたそうですが、ヤラセが行われていた番組名が「激写!中学生女番長!!セックスリンチ全告白」や「追跡!OL・女子大生の性24時」であるということにがっくりしました。今でも、Yahooニュースの芸能欄すなわちトップニュースはそんなんばっかですので今も昔もみんな暇だなあと思いました。

 

操作されるということは、操作する人間にバカと思われていることに他なりません。くやしい。絶対に操作されないぞ!

 


書籍レビュー: ソローを取り込みたい『作家たちの秘密: 自閉症スペクトラムが創作に与えた影響』 著: ジュリー・ブラウン

★★★★★(*´﹃`*)

あの作家は自閉症スペクトラムなのか

自閉症スペクトラムの疑いがある、もしくは診断を受けた作家について分析した本です。著者のジュリー・ブラウンさんはアメリカのライティングの教師で、あまり有名な人ではないようで、米amazonでも探すのに苦労する本です。よくこの本を発掘できたなぁ。

本書で大きなトピックとして取り上げられている作家は次の8名です。

  • ハンス・クリスチャン・アンデルセン(1805-1875)
  • ヘンリー・デイビッド・ソロー(1817-1862)
  • ハーマン・メルヴィル(1819-1891)
  • エミリー・エリザベス・ディキンソン(1830-1886)
  • ルイス・キャロル(1832-1898)
  • ウィリアム・バトラー・イェイツ(1865-1939)
  • シャーウッド・アンダーソン(1876-1941)
  • オーパル・ウィットリー(1897-1992)

アンデルセン(童話)、ソロー(森の生活)、メルヴィル(白鯨)、キャロル(不思議の国のアリス)は有名ですね。もちろん彼らが自閉症スペクトラムなんて知りませんでしたが。ウィットリー以外は全員著作権切れの作家ですので、原文がネット上で全文公開されてて私たちでも根性出せば読める環境にあります。

著者によれば、彼らに共通する創作の特徴をまとめると次の通りです。

  1. 感覚的な障害やコミュニケーションに難があることがかえって作品に独自性を与えている。
  2. 考え方が固定的で柔軟性を書く。自己満足的で伝わりにくい。原稿が汚い。
  3. 表層的、象徴的な物語が得意。人間心理を深く追求する作品は苦手。
  4. 脈絡のない展開をする物語や散発的な出来事を描く短編小説は得意。大きな筋の通った長編小説は苦手。

正直なところ、欠点だらけにしか見えません。4の最たるものは「不思議の国のアリス」でしょう。私はまだ読んだことはないのですが。この作品のように脈絡が無かったりして不条理なのが実際の人間社会なのであるという筆者の主張にも頷くところはあります。

巧みな語り口というもののない自閉症の人々の作品は、実はより現実的なのだと示唆しているようでもあります。彼らの物語は、より偶発的だからこそ、よりリアルなのです。

1のような独自性によって彼らは偉大な作家となりえたのだし、2、3のようなことは他の作家にも言えることで個性の一つです。

ソローの食事

個々の作家で一番驚いたのは以前から気になっているソローでした。それは代表作「森の生活」について分析している一説でした。ここはそれ自体興味深い記述なのですが、私が気になったのは彼の作家性とあまり関係のない1点です。少々長いですが引用します。

ソーンとグレーソンによれば、アスペルガー症候群の人のストレスが制御不能なレベルに達すると、ある一定の言動が表面化していきます。『森の生活』は、ソローが不安の対処法として、どんな言動をしてきたかを示す一覧表とも読めます。

  • 関心の領域が狭く、一定の事象や習慣、もしくはその両方に固執する(ウォールデン湖、自然、読書、執筆)
  • ある一定のやり方で、物事や出来事を表現させようとする(自分の望むような家を建てる、毎日のスケジュールを思いのままにたてる)
  • 何かするための自分のルールを決める(すべてのことを自分でやり、助けを求めない)
  • 同じ事を何度も何度もするのを好む(起床、水泳、食事、労働、散歩、睡眠)
  • 限られた食べ物しか食べない(ニンジン、米、豆、ジャガイモ
  • 大きな音と人ごみをひどく嫌う(静寂の森で過ごすことを選択する)
  • 無駄な労力を使わず、努力も最低限にして、どうしてもやりたい活動だけに集中する(ウォールデンでやりたいことだけに没頭する)

そう、食べ物です。

私が最近リサーチしている理想のコストパフォーマンス高の食物と完全に一致しているのです。。


ジャガイモは調理が必要ですがビタミンCが豊富でそれなりにエネルギーも含み常温保存可能という優秀な食材です。調理可能な環境であれば、コメと豆で賄えないビタミン類の補給源は安くて保存も効くニンジンとジャガイモで決まりだな、と考えていた所だったので本当に衝撃でした。また、上に箇条書きで書いたことはすべて今私が考えている理想と合致しますので彼の著作は全部読み漁りたい、それもできるだけ原文で、という熱意が湧き上がってきました。

ここに注釈付きの原文すべてが置いてあるようです。暗記してしまいたいくらいです。膨大な関連記事もあります。やはりコアなファンが沢山いるようですね。

孤独の嗜好と理解の渇望

私は少し前まで自閉症スペクトラムに寄りかかった自意識を作ることを拒否していました。私は私であってラベリングしたって何の意味もないと思っていました。しかしいざ関連本を読み始めてみるとあまりにも共感できることが多すぎて面食らっています。ネット上では自閉症スペクトラム同士の連帯が出来つつあり、民族自決並みのアイデンティティがコミュニティの中で生まれつつあります。私はまだこのような展開に対して抵抗があります。自分の独自性が、自閉症スペクトラムというラベルに吸い取られてしまうような気がするからです。自分が自閉症スペクトラムなのか、自閉症スペクトラムが自分なのか分からなくなるのが怖いのです。それはデブとかハゲとか出っ歯とか(マイナスの意味を植え付けられている言葉ばかりですが、私はマイナスだと思っていません)いう自分の一特性にすぎないのに、自分がそのラベリングそのものに抽象化されてしまうのは嫌です。でも特性そのものについては、もっともっと知りたいし、twitterやブログでも同種の障害を持つ人のことはフォローしてしまいます。感情は相反します。

著者がソローについて、全く同じ点を指摘しています。彼は一貫して孤独を好みますが、一方で自分について知ってほしいという願望も読み取ることができるというのです。確かに「森の生活」を出版したこと自体がそうです。私がブログ上で文章を書くのもそうなのです。次の記述は孤独と理解を求めることとの対立をよく表しています。

ソローはひとりの生活という自分の嗜好を、独立独歩の高貴な哲学から生まれた発想だと主張しています。が、ソローが結核になり、人生の終わりを両親の家で迎えようとしていたとき、ソローの心は世界中から好意を注いでくれた人々のおかげで安らぎを得ました。妹のソフィアはこう言っています。「友人や近所の人々が自分を気にかけてくれたことに、彼はとても感動していました。人々に対して随分違った感情を持つようになり、もし自分が(こんなに人々が気にかけてくれるものだと)知っていたら、よそよそしい態度など取らなかったのにと言っていました」

 

なんだかソローの話ばっかりになってしまいましたが、他にも「自己同一性拡散」に悩まされるオーパル・ウィットリーの話や、「ひどい狂気は、このうえない正気」と主張して自己愛を突き詰めざるを得なかったエミリー・ディキンソンの話、一般人は抽象から具象に進むが自閉症スペクトラム者は具象から抽象へ進む、、などなど興味深い話に溢れた一冊でした。おすすめです。

当然のこと、日本文学者や思想家にも自閉症の疑いがある人間は沢山いると思います。研究している人がいたら文章を読んでみたいですね。

 

 

関連書籍

いっぱいあります。

 

 まずこれ

アスペルガー症候群の天才たち―自閉症と創造性

アスペルガー症候群の天才たち―自閉症と創造性

 

 

 アンデルセン

完訳アンデルセン童話集 1 (岩波文庫 赤 740-1)

完訳アンデルセン童話集 1 (岩波文庫 赤 740-1)

 

 

 ソロー

市民の反抗―他五篇 (岩波文庫)

市民の反抗―他五篇 (岩波文庫)

 

 

メルヴィル そういえば放送大学でこの作品について中間レポートを書きました。偶然とは思えません。

書記バートルビー/漂流船 (古典新訳文庫)

書記バートルビー/漂流船 (古典新訳文庫)

 

 

 アンダーソン

ワインズバーグ・オハイオ (講談社文芸文庫)

ワインズバーグ・オハイオ (講談社文芸文庫)

 

 

そのほか関連人物

ダニエル・タメット自伝

ぼくには数字が風景に見える (講談社文庫)

ぼくには数字が風景に見える (講談社文庫)

 

 

テンプル・グランディン自伝

我、自閉症に生まれて

我、自閉症に生まれて

  • 作者: テンプルグランディン,マーガレット・M.スカリアーノ,Temple Grandin,Margaret M. Scariano,カニングハム久子
  • 出版社/メーカー: 学研
  • 発売日: 1994/03
  • メディア: 単行本
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ジェイムズ・ジョイスも自閉症スペクトラムだったそうです。

ユリシーズ〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

ユリシーズ〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)

 

 

 


書籍レビュー: ツッコミ多すぎ『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第4巻 進化生物学』 著:デイヴィッド・サダヴァ他

★★★★☆

進化論中心の1冊

1~3巻は「LIFE」という教科書の翻訳でしたが、4・5巻「PRINCIPLES OF LIFE」という教科書の翻訳だそうです。4巻は進化生物学と題して進化のメカニズム~系統樹~種分化~生命の歴史~動物の進化までを扱います。

進化のメカニズムの章でははダーウィンの論が中心となって展開されます。中心概念は「自然淘汰」です。まとめると次のようなことです。

環境に適さない動物は生き残れなかったり子孫を残せず、適応した生物だけが生き残り子孫を残し、特定の形質を持つ者だけが生き残る。遺伝子は突然変異するが、その変異がより優位なものであればさらに生き残る確率が高まる。こうして有利な形質が次々と生まれていき、環境特有の生物種が生まれる。

中立進化と人工進化

この章で一番驚いたのは「中立進化論」です。遺伝上の変異は、ほとんどのものが淘汰上有利でも不利でもない、という論です。我々の性格やこだわり、先天的な体の大小などは、言われてみれば子孫の有無などに全然関係していないように思えますので、言われてみれば納得がいきます。この論は1968年に日本人の木村資生(もとお、1924-1994)によって提唱されたそうです。本書では2Pくらいの軽い紹介にとどまっていますので、他の本も読みたくなりました。

また、簡単な進化は実験室上でラクラクと実行できる、ということも驚きました。「試験管内進化」と呼ばれるものです。例えば「リガーゼ活性(DNAをつなぐ能力。遺伝子修復などに使用する)が高いRNAが欲しいなぁ」と思ったら次のようなプロセスを踏むと臨んだ結果が得られるというのです。

  1. 適当にRNAを用意する
  2. 最も活性の高いRNAを選抜
  3. 選抜したRNAを逆転写でDNAにする
  4. PCRでDNAを増幅させる。いくつかのDNAは突然変異で高機能になる。
  5. DNAからRNAを作る
  6. 2に戻る

以上を繰り返すと10回でリガーゼ活性が700万倍になったそうです。すごい。

わかりにくいですか。では人間で置き換えてみます。「1秒に20連射できる高橋名人が欲しいなあ」と思ったとしましょう。

  1. 16連射できる高橋名人を何人か用意する
  2. 最も連射が早い高橋名人のDNAを採取
  3. クローンを複数作成する。突然変異によって連射の早い高橋名人が生まれることを期待する。
  4. 2に戻る

これを何度も繰り返すと20連射どころか100連射できる高橋名人が生まれるかもしれません。

生命史のスケールデカすぎ

後半は生命史のざっくりとした総まとめです。地球の気候変動から地層と考古学の方法論で準備をした後に地球46億年の歴史を駆け足で早送りします。大きな気候変動、特に海面の低下や気温の急激な低下などがあると生命は大部分が死滅します。これの大量絶滅が三畳紀やら白亜紀やらの「~記」を分けるポイントとなっているそうです。特にペルム紀(2.97-2.51億年前)の末期には全生物の96%が死滅したと推測されているそうです。ほとんど全滅ですが、残った生物が時間をかけて再び花開くなんてロマンがありますね。ちなみに原因は大規模な火山の噴火による気温の低下だそうです。箱根が噴火しそうだった時私はとても怖かったのですが、あれは生命に刻み付けられた先入観みたいなものなのかもしれません。

バランスと正確性にやや不満

前半は理論的な話が中心なのでしょうがないのですが、今までのシリーズと比べて図が少ないので理解がおっつかないのが欠点です。他の本を読んで補充する必要があります。また、原著の間違いが多いようで、訳者による訂正があちこちに見られます。

また、ゲノム中に現在でも存在している重複遺伝子はとても若いこともわかった。多くの重複遺伝子は、進化の時間スケールではまばたきするくらい短い(訳注:これはやや極端な表現である。数十万年の期間でもさまざまな進化は生じえる)、1000万年以内にゲノムから消えてしまうのだ。

上記のようなツッコミが20か所くらいはありました。訳者の指摘はありがたいですが、原著を読む気が失せます。

終盤の動物の進化については写真が多くて楽しいのですが、いかんせんページ数が足りず私としては消化不良気味です。

優れた本ではありますが、内容の濃さからするとブルーバックスのサイズで300ページちょいくらいでは不足です。他にもたくさん読んでみたいです。

 

補足

動物進化の章にいたキタオポッサムが可愛い

 

参考書籍

 

やっぱ読まないといけませんね。岩波文庫版よりも、新訳の方が評価が高いです。

種の起源〈上〉 (光文社古典新訳文庫)

種の起源〈上〉 (光文社古典新訳文庫)

 

 

これも定番。

利己的な遺伝子 <増補新装版>

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  • 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二
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木村センセの本。

分子進化の中立説

分子進化の中立説

 

 

そのまえにこっちを読もう。進化学全般。

生物進化を考える (岩波新書)

生物進化を考える (岩波新書)

 

 

 訳者の自推本。斎藤氏の他の新書は総じて評価が低い。

ゲノム進化学入門 CD-ROM付

ゲノム進化学入門 CD-ROM付

 

 

岩波のシリーズもある。全7巻。斎藤氏も関わっているのでこれも自推。

マクロ進化と全生物の系統分類 (シリーズ進化学 1)

マクロ進化と全生物の系統分類 (シリーズ進化学 1)

  • 作者: 佐藤矩行,馬渡峻輔,石川統,長谷川政美,西田治文,大野照文,柁原宏,川上紳一
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/12/07
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系統樹について。

系統樹曼荼羅―チェイン・ツリー・ネットワーク

系統樹曼荼羅―チェイン・ツリー・ネットワーク

 

 

生物や生命史は絵がないとだめ。重い高い長い。

生物の進化 大図鑑

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