★★★★☆
永田カビさんの2冊目です。1冊目はこちら
pixivに連載されていたものがそのまま本になりました。
並々ならぬ葛藤の描写がメインですので中身を読んでくださいとしか言えません。自己分析と理由付けが明確に書かれていて面白かったです。
amazonのレビューはウォッチスレをコピーしたような説教や人格攻撃ばかりで腹が立ちます。作者が不合理な行動を取っちゃうのは分かっちゃいるけどどうしようもないことなんですけどね。全部理由書いてありますよ。
★★★★☆
永田カビさんの2冊目です。1冊目はこちら
pixivに連載されていたものがそのまま本になりました。
並々ならぬ葛藤の描写がメインですので中身を読んでくださいとしか言えません。自己分析と理由付けが明確に書かれていて面白かったです。
amazonのレビューはウォッチスレをコピーしたような説教や人格攻撃ばかりで腹が立ちます。作者が不合理な行動を取っちゃうのは分かっちゃいるけどどうしようもないことなんですけどね。全部理由書いてありますよ。
★★☆☆☆
2冊目です。
『誰も懲りない』を読んだ人が(これは、どこにもフィクションともノンフィクションとも書いてない、否定も肯定もしていないものなんだけど)「中村珍先生のフィクションは読んだことがない」と言っていて、「自分がそうと思ったら公式情報なんかなくてもそう思う」のだなぁと思って見ている。
— キヨ(中村珍) (@nakamura_ching) August 11, 2015
フィクションかノンフィクションか、否定も肯定もしていないと筆者が言っているので、そう解した上での感想を書きます。
『お母さん二人いてもいいかな?』と同様に、読みづらく、何を言っているのかわからなくなることが何度もありました。素人のぼくから見ても遠近に違和感のある絵がたくさん存在し、気持ち悪くなりました。読ませる漫画にすることって、難しいんですね。
では内容に注目することとなりますが、この物語は、いかに主人公の登志子がお父さんを好きか、を長々と見せつけられる物語でした。登志子の父が登志子を虐待し、母は自分も殴られるから登志子を庇うことができない。母は虐待に耐えかねて登志子を連れて離婚したと思われます(経緯はぼかされています)が、その際に他の男と浮気したことを、登志子は成人してからも許さず、母に暴言を吐き続け、殴り、踏みつけます。父を捨てた母を許せないからです。どんだけお父さん好きなの!
母の浮気相手と少しの間破局したときだけ、母への評価が180度変わって凛とした表情に変わります。で、浮気相手と続いていたことが発覚するとまた母への恨みを爆発させます。登志子にとって、お父さん以外の男はゴミなのでした。お父さんは最初から最後までイケメン風に書かれていました。お父さんには虐待されていたはずなのに、ずっと連絡を取りあっていました。
レビューで話題になっている「ものさし」の話は、「誰もが自分のものさしで他人の心を測る」といった相対主義で、しかもその「ものさし」は『容赦なく変わらない』『誰かのために目盛が改まることはきっとない』と決めつけられているものでした。徹底した拒絶でした。
とどめに作品の最後で「家族を否定していいのも肯定していいのも私だけなんです」と書かれてしまうと、もう何も言えなくなりました。。
じゃあなんで書いたの。
★★☆☆☆
漫画家・ライター・エッセイストの中村キヨさんによる漫画です。年上の女性と3人の子供を10年育てた『私生活をエッセイ風に漫画化した』作品です。
c71さんが読んでいたのでぼくも読みました。一緒に考えました。
中村さんの本を読んだのは初めてです。
これはぼくの理解力が足りないのだと思うのですが、全体的に読みにくかったです。時系列は前起きなく飛ぶし、セリフの構成も見づらい。LGBT向けの本の体裁をとっていますが、レズビアンについては中心的なテーマではない。「分かる人に分かればいい」というスタンスなのかもしれませんが、難しかったです。
前半~中盤にかけては子どもたちへの愛情を強く感じました。子どもたちの描写も、表情に乏しいものの、かわいかった。しかし、愛情があるからって何をしてもいいわけではありません。
c71さんのブログにも書かれていますが、トナ君に出生の秘密を打ち明けるシーンはいやでした。もしぼくがトナ君だとしたら、言わないでほしかったし、ぼくが親の立場だとしても、言いません。
あの状況で「出生の秘密を聞きたいか、聞きたくないか」と言われて「聞きたくない」と答える子どもはいません。だって、中学生の時点で、聞きたいか聞きたくないかを判断する能力なんてないですよ。子どもが愛されてることは毎日の生活で本人がよく分かってるんですから、愛を盾にして大人の事情を背負わせる必要なくないですか?子どもが、親のバックグランドを背負わされて、いくつになっても親から身動きが取れなくなっている状況っていっぱいあるんですよ。
お前はお前、うちはうち、お前に語る権利なんかないと言われたら、そうですね、ごめんなさい、何にも言えませんけれど。
もう一点ひっかかたのは、P144から、パートナーのサツキさんと中村さんの関係を、中村さんがママ友に言おうとしたときに、サツキさんが中村さんを諫めるシーンです。
「あなたがママ友だちに『あの子たちの親』としてカミングアウトした瞬間、あの子たちは自分の意志と一切関係なく家庭環境を晒し上げられるんです!親によって!」(P145)
「子どもたちが自発的に『うちのままは女同士で結婚したんだよ』と自発的に言うまでは、あの子たちの『隠す権利と自由』を私たちは死守すべきなんです!」(P146)
サツキさんの言い分はもっともです。中村さんも正しさを認めています。すると、この本の存在意義が疑われます。だってこの本は子どもたちと自分たちのプライバシーを切り売りした作品だからです。作品中にはその気になれば居所や関係性を特定できるような要素が紛れ込んでいます。危険です。
子どもたちを守りたいのなら、この本を出さなきゃよかったのでは?
★★★☆☆
京都旅行に行ったとき金閣寺に寄らなかったので、どんな寺なのかなと思って読みました。1950年の金閣寺放火事件をモチーフとした小説です。三島がマッチョになりかけている途中で書いた小説らしいです。彼の長編作品を読むのはこれが初めてです。
主人公はきもいです。金閣寺に妄執と言っていいほどの執着があります。これから女性と初体験というときに、彼にとっての永遠の美の象徴である金閣がイメージとして現れ、不能になるという設定でした。しかも2回も。この設定自体きもい。クライマックスでは金閣の美について何Pにも渡って饒舌に語られ、ぼくは高校の同級生でNHK教育テレビの出演者や番組について長々と説教を垂れてくる友人のことを思い出しました(彼はいい人です)。
三島の日本語は美しく精緻ですが、ぼくには理解力や感受性が足りず、高尚な美について理解できませんでした。巻末の解説で「三島はその溢れる言語宇宙できもい人間を的確に描写してるんだぜ!(意訳)」と書いてありましたが本当なんでしょうかね。
現代が舞台だったら主人公はオタで、永遠の美=二次元キャラに翻訳されるであろうと思います。想いのままの妄想をぶつけられる点で金閣とよく似ています。世界的文学作品にこんなこと言ってごめんなさい。あと金閣にもごめんなさい
大槻ケンヂが三島にハマってた理由がよくわかりました。
サウンドはいいんだけどなぁ。。
★★★★★
田房永子さんの代表作?です。
紹介文には「毒親との戦いを記録したコミックエッセイです。」とあるので、一体どのような母親なのだろう、と期待して読みました。
田房さんの母は、読めば読むほど元配偶者にそっくりでした。似ているエピソードがいくつかあります。
こどもが中学校に通っている時、担任とトラブルになりました。詳しいことは忘れましたが、担任が顧問をしている部活に勧誘されたのを断ったら、担任にイヤミを言われた、という程度のことだったと記憶しています。元配偶者は、これを聞いて、担任に殴り込みをかけ、中学校をやめさせました。公立中です。転校先の私立中でも、部活で人間関係のトラブルがあったため、やめさせました。この子は、それ以後学校に通っていません。もっと正確に言うと、通わせませんでした。
元配偶者はこどもと自分との切れ目が無く、こどもが攻撃されたことと自分が攻撃されたことを同一視し、自分が攻撃されたことと同様にふるまいました。元配偶者はいつも「こどもの自主性が大事」といっていましたが、こどもの自主性は無視されていました。中学校でのトラブルは、こども自身が解決するべきでした。担任がクソだったことは事実なので、こども自身の力で考えて、その結果、学校に行くのをやめたと判断するなら、その決断は尊重されるべきでした。元配偶者は、こどもの力をスポイルしました。残念ながらぼくには当時、元配偶者の行動を止める根拠も判断力もありませんでした。
元配偶者は、こどもが親を慕っていることがわかっているから、言うことを聞かせるために、こどもを一人置き去りにするという罰を与えることがありました。置き去りにした時の様子を、こどもとぼくの前で事細かに説明したこともあります。こどもに生活力が無いことを分かっていて「この家を出て一人で生活すればいい!」という脅しをかけることもありました。
こどもにこういう罰を与えたこともありました。
一番不安定だった子には、あまりに言うことを聞かないので元配偶者が「殺してやる」と言ったこともありました。この子は、生きるために、「殺してやる」とおうむ返しして、逆上しました。包丁を持ち出してこどもに言うことを聞かせたこともあります。
内容紹介になっていませんがこのようなことを想い出しながら読んでいました。
Amazonレビューには壮絶な毒親体験記がいくつも書かれていて、ここだけで読み物として成立します。
そういえば元配偶者の愛読書の一つはこれでした。
元配偶者の親もアル中暴力父+父に告げ口する母とたしかに毒親でしたが、自分もそうであるとは、彼女にはわからなかったようです。こどもを殴らなければいいわけじゃないですよ。本書にもお母さんは永子さんのことを「殴りはしない」と書いてあってぞっとしました。
★★★★★
レズ風俗のレポというよりも、作者の心象風景がメインとなる作品です。
人生で一度でも挫折の経験がある人は、彼女の根底にある真っ暗なものとシンクロして、心が揺さぶられるのではないかと思います。個人的には、以前自己評価がマイナスになっていた時期の記憶が耳かきでほじくり出されるような気持ちがしました。いい作品です。
パン屋のお兄さんのシーンが見所です。
amazonレビューが好悪極端に割れていますね
連載中。こちらの方が苦しいです
前の家の長女は一人暮らしできたのかな。
★★★★★
2012年発売。仕事用にセレクトしました。ラノベを読むのは18年ぶりです。中学生のとき、友人に押し付けられたこの本→スレイヤーズ! (富士見ファンタジア文庫)を読んで以来、ラノベには抵抗がありました。面白くなかったのです。
仕事用の課題図書にはあまり面白そうなものがなくがっくりしていた所、本作品のタイトルが目に飛び込み「こいつはバカなので期待できるかもしれない」と思いハズレ覚悟で手に取ってみました。
バカは好きです。
舞台は近未来、国民にはPM(Peace Maker)という情報端末の装着が義務付けられあらゆる言論が監視される、「公序良俗健全育成法」の制定により政府が「不健全」とした表現はすべて禁止され罰則が設けられるという日本が舞台です。「言論のクリーン化」が極限まで突き詰められた世界です。もちろん性教育はありません。精通はちょっとした病気みたいなものと捉えられています。
いわゆる「監理社会モノ」「ディストピアもの」の一ジャンルですが、本作品は「性教育」一点においてだけ過剰に制限が加えられているという特徴があります。
実はこんな世界、いま現実に存在しますよ!
神聖なる金正恩同志率いるノースkoreaですよ!
“Whenever one of my friends had a wet dream, everyone gathered to console him over his ‘unknown disease’” (友達が無精すると、みんなが集まって「訳わからん病気」になった彼をはげますんです)
ですから舞台を北朝鮮にしたらそのまま現在進行形で感情移入できると思います。
本作品の重要な要素として芸術的な下ネタの数々が挙げられます。
やっぱり期待していた通り、排泄孔が太いデキる男ね!大根くらいなら余裕で飲み込んじゃうくらいガバガバね!いろいろな場面で活躍する度胸のある男の括約筋は全く活躍してないって感じ?(P58)
これだから盛りがついて常に股間にテントでキャンプファイヤーボルケーノ状態の淫乱男は…village villageしてんじゃないわよ!(P127)
僕は机に倒れ込み、現実逃避を開始する。ふふふ。もっこり。(P190)
しょせん世の中は弁とチンコの立つ奴が勝つのよ!(P204)
単にくだらないだけなのですが、単純ではない下ネタを量産しなければいけない、というのはお笑い芸人がボケを考えるくらい苦痛であることだと思います。このシリーズは2巻以降も続いていくそうですが下ネタは構造上バリエーションが少ないので枯渇が心配されます。village villageは元ネタあるんでしょうか。しばらく意味が分かりませんでした。
ラノベはたいてい学園モノです。ターゲットが中高生だからです。中高生男子といえば下ネタでご飯100杯行けるバカの権化です。IQが50くらい下がりそうな文章です。
ところで「下ネタ」というのは人間の本質を表した重要な表現の一つです。全世界の人類は例外なく性行為から生まれているわけですから、下ネタを公権力を使って禁止することは人間性の抑圧と同義です。抑圧への対抗がこの物語の主題となっています。深読みすれば監理社会への風刺、性的なものへの肯定、マイノリティ批判への対抗などいくらでも深読みできそうではあります(私がやるとこじつけになりそうなので省略します)。
本書の大きなストーリーとして、思想統制されている学園の生徒ほぼ全員が「禁断の知識」の収められている書物を求めて立ち上がる。。というものがあります。その書物は何かというとエロ本です。男女区別なくエロ本を求めて立ち上がる姿は感動的でした。
「自分を変えることは不可能だから、世界を変えることにしたの」(P68)
ヒロイン華城綾女のこのセリフに思想が集約されています。自分を偽るよりも、正直のままでいた方がいい。
不自然に抑圧したらどうなるかは生徒会長の「アンナ・錦ノ宮(ひどい名前ですね)」が体現してくれていると思います。純潔一辺倒できた人間は、線引きが分からなくなってしまうため簡単に一線を踏み越えようとしてしまうのです。逆に、歩く下ネタ量産器である華城が実際の恋愛や距離感を詰めることに消極であることが象徴的であると感じました。作者がギャップ萌えを狙ってるだけかもしれませんけど。
ストーリーは粗めで進行上色々不自然な点はありますし、ジェンダー的に全然コレクトでない表現が多いなどの欠点はありますが、設定勝ちで予想より遥かに面白く読むことができました。
次は本稿を下敷きにして本書のプッシュ記事(5000文字以上)を書く仕事です。。
ランニング中や料理中に時間を有効活用するため、朗読CDを聞いています。スマホにジップロックをつけて防水し、風呂でも聞いてます。CD1枚だとせいぜい短編1つ、文庫本50~100P分くらいでしょう。累計10作品になったので本1冊とカウントし、簡単なレビューをしておきます。
相模大野図書館にあるCD推定400枚を制覇することが目標です。アイウエオ順ですので今回はア行の作者ばかりです。
1
★★★☆☆
2015年8月に亡くなったばかりの阿川弘之さんによる、「食」に関するエッセイです。娘の阿川佐和子さんによる朗読でした。文章はとてもきれいです。戦争絡みの食堂車の話がおもしろかった。
阿川さんと言えばこれですよね。
2
★☆☆☆☆
南青山で金満する話。まじつまらん。はずれ
3
★★★☆☆
収録作品は「蜘蛛の糸」「杜子春」「羅生門」「鼻」「トロッコ」。定番ですね。朗読は上川隆也さん。へたです。もうちょっと上手に読めなかったかなぁ。
内容だけで判断するなら「杜子春」がいいですね。寓話なんでしょうけれどぶっ飛んでます。私は母親にこんな感情を抱けるのか疑問ですけれど。
お前は何を考えているのだ。
4
★★★★★+
内容もさることながら、橋爪功さんの演技がキレすぎていて最強です。聴きながら何回も爆笑してしまいました。
河童は人間の一面をデフォルメしたり価値を反転したりした存在ですので、風刺入り不条理ギャグマンガ的な世界の先駆となる作品だと思います。大好きです。
新潮社のサイトで買えますが、お近くの図書館にあればぜひ聞いてみてください。笑い死にます。amazonにはなぜか無いようです。
5
★★★☆☆
ぽっぽやの浅田次郎さんです。ちょっと複雑な、渋いじいさん達の話。
6
★★★★☆
吉原の話。朗読の小川道子さん、ドスが効いてて上手です。舞台を吉原にするのはずるく、状況押し切り勝ちって感じですがおもしろかったです。東京に住んでいた頃が懐かしくなります。MVPはダントツで人買いの卯吉。
7
★☆☆☆☆
フランスで別れた昔の男が想像の中で膨らんで苦しむ女の話。現夫がいい人すぎてお前絶対妻愛してないだろ、現実感なさすぎです。舞台が現代だと途端につまんなくなりますね。
8
★★★★☆
池波正太郎さんの小説を読む(聴く)のは初めてです。「剣客商売」シリーズから。井関道場の跡取り問題をめぐる騒動を描きます。朗読の神谷さん、すっげー上手!四天王の剣闘場面は臨場感があります。
9
★★★★☆
またも「剣客商売」シリーズから。登場人物は「井関道場・四天王」とリンクしています。ちょっと硬いラノベみたいなもんですね。スケベ気味なのもラノベと変わりません。そういえばちらっと読んだ吉川栄治の作品もすけべでした。歴史小説とラノベの一致を見ました。
10
★★★★☆
今日聴きました。「鬼平犯科帳」シリーズより。おそらく、シリーズ0話か1話のような位置づけなのではないでしょうか。拷問のシーンは心臓に悪いです。江戸時代も韓国王朝も自白させるためになんでもやりすぎです。ラストは何とも言えない気持ちに。
このシリーズも朗読は神谷さん。上手でした。
★★★★★
箱根駅伝が好きで10年くらい前から毎年見ています。しかし今年はやや複雑な思いでレースを眺めていました。
箱根駅伝って、本質的には孤独なはずのランナーに商業主義と大学の伝統という二大うざい要素を被せられマラソンへの適応も阻害されるという害悪でしかないんだけども、走っている様子は美しいので複雑な思いを抱きながらも毎年見てしまう。競馬の馬と同じようなものだ。私はランナーを消費している。
— 六帖 (@_rokujo) 2016, 1月 2
箱根というブランド、栄光を背負うための戦いというシナリオは自分でないものにロマンを抱く多数の日本人に支持されています。同調圧力や虚構に支配された雰囲気が次第にうっとおしくなってきました。それでも毎年見てしまうのですが。
箱根駅伝には小田原~芦ノ湖間の5区山登りという23.2kmで標高差860mを登る区間があります。ここで大差をつけたチームが毎年優勝しています。去年、今年は青山学院の圧勝でした。1時間ちょいで登山するなんてアホみたいな区間だなぁ、、と思っていましたが私は甘かった。反省しています。
本書の前半は100マイル(160km!!!)の「ウルトラマラソン」にまつわる話です。走るのは舗装道でもトラックでもなく、自然の中です。「トレイル」とも呼ばれています。箱根なんてメじゃありません。参考に、言及されているレッドビル100のレース画像を載せておきます。
Leadville Trail 100 ultra race draws athletes from all over the world | SummitDaily.com
Leadville Trail 100 Run Introduces Lottery System | Competitor.com
いやあなんつうか、バカですね!(褒めてます)
これほどまでにランナーを魅了するのは「走る」ということが人類の獲得した偉大な財産であるということが、後半で綿密な科学的考察を持って描写されます。そしてとある研究者は次のように結論付けるのです。
人はなぜマラソンを走るかわかりますか?とルイスはブランブル博士に訊いた。走ることはわれわれの種としての想像力に根差していて、想像力は走ることに根差している。言語、芸術、科学。スペースシャトル、ゴッホの『星月夜』、血管内手術。いずれも走る能力にルーツがある。走ることこそ、われわれを人間にした超大な力――つまり、すべての人間がもっているスーパーパワーなのだ。(P343)
これだけ読むと宗教がかっていて引きますが、本書をここまで読んできた人であれば合点がいくはずです。本書の訳者に至っては、訳しているうちに影響を受けて走り始め、ついにはハーフマラソンに応募してしまったそうです!一読をお勧めします。
個人的な話になりますが私も本書に会う前から走りはじめました
いずれはフルマラソンもやってみたいですね。まずは、10km以上安定して走れるようになることを目指します。
靴は本書によれば裸足が最も良いのですがそこまでの勇気はまだ持てず、ワークマンに売ってる「建さん2」というペラペラの靴を使っています。足裏の感覚が鮮明になるとても良い靴です。
680円と非常にお値打ちです。昔は500円だったそうです。サンダルでもいいらしいですよ!
★★★☆☆(巻末対談の一部分だけ★★★★★)
クラウドワークスでとあるライティング業務のトライアルに引っかかったので、大慌てで課題図書のうちすぐ読めそうで興味のある本を調べ、図書館まで自転車飛ばして借りてきて、大急ぎで全部読んで記事を書き上げました。今日本業の仕事が一段落した夕方~夜のことです。なにしろ、明日から本業の仕事量がドッと増えるかもしれないので、急ぐしかありませんでした。
ここではトライアル記事の体裁の制限で書けなかったことを書きます。採用されれば、ねんがんの安定収入(少ないけど)が入ることになります。
佐藤雅彦さんと言えば「ポリンキー」「だんご三兄弟」「ピタゴラスイッチ」で有名です。ピタゴラスイッチはこどもと一緒に見ていて好きだったので、こりゃあうってつけだぜ!と思ってマッハ借りして一気に読んだ、のですが、あんまりおもしろくなかったです。。
「プチ哲学」というのは哲学までは行かないけど視点をちょっと変えてみると世界の見え方が変わるぜ―系のビジネス書なんかでもありそうな奴で、彼の特徴であるkawaiiイラストとともに解説が添えられているのですが、残念なことに取り上げられている事柄への考察が浅かったです。軽く読んでもらえる本ということがコンセプトなのでしょうがないんですけれど。次はもっとマジメに書いてある本を読んでみたいです。
一点だけとても納得したことがあります。巻末に漫画家の中川いさみさんとの対談が収録されていて、ここで佐藤さんが面白いことを言っています。
佐藤:・・・中川さんは非常に常識人だと僕は思うんです。僕は自分を普通に常識だと思っているんですけど、それと同じ意味で常識人。例えば、「スコーン、スコーン、コイケヤスコーン♪」を僕が町でやっていたら、僕は変な人ですよね。ところが、こういうCMやれば、スコーンの認知率が70%になりますよってスポンサーに話すとき、僕はすごく常識的な人間ですよね。CMという枠の中では奇妙奇天烈なことをやりながら、同時に、どうしてそれがクラクラするのかということがわかる自分はすごく常識的なわけですね。そもそも僕が変な人間だったら、あんな変な状況にもクラクラこないわけです。あれがクラクラくるということは、自分がすごく普通の人なんですね。中川さんの漫画はやっぱり普通じゃないところがあります。でも、それが面白いと客観的に分かる中川さんは極めて常識的だと思います。
・・・
ああ!なるほど!
だからこの本面白いと思えなかったんだ!
私は「スコーン、スコーン、コイケヤスコーン♪」を町でやる人間が大好きなんです!それも、クラクラ来ないでフツーにやってる人間が好きなんです!!
壊れる壊れないといったレベルをハンドル使って調整している作品って後ろ側の手が見えちゃいますもんね!素でぶっ飛んでる人とはエネルギーの出し方が違いますね!
だからだ!
ありがとう佐藤さん!