Great Pianists of the 20th Century Vol.01 – Geza Anda (CD2)


★★★★★
2枚目はモーツァルトのピアノ協奏曲とショパンのワルツ。両方とも、いい意味で安定した演奏だ。感情の出し過ぎにならず、かといって平坦ではない。時々びっくりするような揺らぎを聞かせてくれる。有名なショパンの子犬のワルツも収録されていて、この曲は大抵のピアニストが爆速で弾いてしまうところを、ワルツの形がはっきり出るテンポまで敢えて落として演奏しているのには驚いた。バランスの取れた優れたピアニストだった。


Great Pianists of the 20th Century Vol.01 – Geza Anda (CD1)


★★★★★∩( ✧Д✧)∩
Great Pianists of the 20th Century – Wikipedia, the free encyclopedia のシリーズを聞いていきます。その名の通り20世紀の名ピアニスト全集です。すべて2枚組の100シリーズ、計200枚。いつになったら聞き終わるのか。
1番目はアンダ・ゲーザ(1921-1976)、ハンガリー出身のピアニスト。1枚目は同じくハンガリー出身の作曲家、ベーラ・バルトークのピアノ協奏曲、全3曲。熱い!熱過ぎる!同じハンガリー出身だからなのか、ピアノの気合の入り方が半端じゃない!バルトークの曲は現代の作家だけあって不協和音入りまくり、意地でも伝統と違う革新性を目指そうとする執念が見て(聴いて)取れる。特に第1番。複雑すぎて私には難しいが、熱気がとてつもない。何故か、1番→2番→3番の順で意味不明さは薄れていく。年を取ったことでバルトークさんも丸くなったのか?最も良いと感じたのは、2番。第1楽章の序盤からもうドキドキの連発。テンションコードが多用されていて、まるで超人ジャズを聞いているかのようだった。オーケストラは特に木管のズレが目立つが、ピアノにつられたのかド迫力の演奏を聞かせてくれて、多少の粗っぽさは気にならなかった。1枚目からビッグな大当たりで、これはもう全集を揃えるしかないか。


Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – Symphony No.9,10(CD13,14)


★★★★☆(9-4は★★★★★)
マーラー集もこれで終わり。9,10番は純粋器楽曲で、やっぱり、歌入りのものと比べると迫力に欠ける。テクニックに走り過ぎて気持ちが置き去りにされてる感じだ。9番の4楽章の弦楽無双、ラストの静寂はとても良かったけど、他はいまいち印象に残らなかった。悪くはないけれど。
マーラーさんはカッコつけさんだと思います。最高と思った8番もすごいカッコつけ曲。人によって評価が分かれそうだ。どの曲も異様に長く、30分を超えるのはざら、ひどいと一時間近くもある。俺の曲を聴けーって匂いがよく感じられる、ワーグナーと双璧をなす中二病作家。なので外れるとひどいけど、人によっては当たって熱狂的なファンになる、というタイプなんだろう。
時々聞いているのが苦しかったけれど、8番というお気に入りの曲もできたし、それなりに楽しい14枚でした。


Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – Symphony No.8(CD11,12)

小澤征爾: マーラー交響曲全集 14枚組
★★★★★(≧ω≦)
『千人の交響曲』として有名らしい超大規模編成の交響曲。少なくとも850人は必要らしい。なので、演奏機会に恵まれないかわいそうな曲。
曲はもうすげぇすげぇとしか言いようがない。今までの厭世的だったり暗かったりふざけてみたりという要素は完全にどこかに吹っ飛んでしまい、全編にわたって生の肯定と高揚とド派手で押す押す押す。特に第一楽章を聞いている時は二十数分間ドキドキが止まらないという過去に体験したことの無い経験をした。第二楽章も56分というアホみたいに長い構成だけど、最後まで聞けた。ラストのクライマックスが終わった後、風呂なのに(毎晩風呂で密閉型イヤホンで音楽を聞いてる)拍手してしまった。その後しばらく呆然としてしまった。
マーラーは自分でも絶賛していたらしい。絶賛してもいいと思う。

私はちょうど、第8番を完成させたところです。これはこれまでの私の作品の中で最大のものであり、内容も形式も独特なので、言葉で表現することができません。大宇宙が響き始める様子を想像してください。それは、もはや人間の声ではなく、運行する惑星であり、太陽です。–本人談

マーラーは歌を入れるのがとっても上手。器楽だけだと無理して金管系でブカブカバーンって不自然に盛り上げなきゃいけないところ、合唱が入ったことでごく自然に上昇していけるようになった。感情、情念、大きなもの、を器楽だけで表現するのは難しいのかもしれないね。


Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – Symphony No.7(CD9,10の一部)

小澤征爾: マーラー交響曲全集 14枚組
★★★★★
化けた化けた!初めから聞いてきた甲斐があった。
この交響曲7番にして初めて、無調で不安定な和音展開が頻発するようになった。この無調の導入が、いままで単にダサいだけだった彼の曲に、スパイスというか、ワサビ的な役割を果たしている。ただ生臭いだけだった寿司にワサビを投入して音のメリハリがはっきりし、私のような聴衆によく訴えるようになった。気が付くと20分超の長大な曲が終わっている。第一楽章では弦が唸る唸る!さすが小澤さんだ。第二楽章は序盤が木管無双で、クラリネット好きの私にとってうれしい展開。Nachtmusik(夜曲) というタイトル通り夜を思わせ、美しい。第五楽章は賛否両論あるらしいけど、私は好きです。そんなにどんちゃんしてるかなぁ。

ersterbendを境に音楽は「天上界」に至るという解釈から、第5楽章を「天上の祭典」と見なす説もある。

という解釈が一番しっくりくる。第7番がマーラーの交響曲の中で一番人気が無いらしい。私は現時点では一番好きです。


Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – Symphony No.6(CD4,5の一部)

小澤征爾: マーラー交響曲全集 14枚組
★★★★☆
長大曲で退屈と感じる部分が消滅した。20分超の楽章がいくつかあるが冗長さを感じなくなった。打楽器に特徴があり、カウベル?や謎の鐘が数カ所に登場する。第一楽章にはダサカッコいいフレーズが多数登場し、ドイツ魂を感じさせる。静かな第三楽章もよい。第四楽章が最も盛り上がるがやはり前作と同じく、ドラムロールに金管の乗っかる軍隊調だ。しかしこんなにポンポン曲調が変わるんだから、いずれの部分にも作者にイメージがあったに違いない。詳細な解説テキストを読むと理解が深まるのかもしれない。良くなってきたがまだまだ彼の曲に乗れない。次作にも期待。


Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – Symphony No.5(CD8)

小澤征爾: マーラー交響曲全集 14枚組
★★★★☆
作風が勇ましいものに変わった。スター・ウォーズのような金管バリバリの第一楽章、過剰なくらいの盛り上げの第二楽章などなど、派手めの曲が続き、第四楽章でようやくメロディーがいい感じの曲がやってきた。歌曲以外では初の比較的そそられるメロディーだ。最終第五楽章も牧歌的ながら悪くない。1楽章あたりの長さも最大で18分程度となんとか聴けるサイズだった。このあたりからマーラーの本気が始まるのか。


Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – Symphony No.4(CD7)

小澤征爾: マーラー交響曲全集 14枚組
★★★☆☆
第3楽章の突然のクライマックス風の部分が謎、4楽章の歌入りの曲はよく出来ている。全体的に映画の一場面のような曲が多く、退屈でなくなってきた。演奏時間も50数分と普通のサイズ。まだ感動するには遠い。ここからどう化けていくのかマーラーさん。


Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – Symphony No.3(CD5の一部、CD6)

小澤征爾: マーラー交響曲全集 14枚組
★★★☆☆
全100分。長すぎ。馬鹿じゃねーの?緩急の緩の部分が長すぎて、だれる。私にマーラーを聞く心がないということなんだろうか。綺麗な旋律もあまりない。全体的にださい。彼もドイツダサいの系譜に該当するが、ダサカッコよくない。ただダサい。ただし、最終6楽章の序盤〜中間部分の弦楽オンリー→だんだん楽器が増えてきて高揚する部分はよかった。ラストはひっぱりすぎ。