CDレビュー: Dave Weckl Acoustic Band – Of the Same Mind (2015)

★★★★★(๑˃̵ᴗ˂̵)و 

Dave Wecklさんはアメリカのジャズドラマーです。昔はチック・コリアのバンドで有名だったらしいですが、私は彼がソロになってからのアルバムしかまだ聞いたことがありません。この人の演奏は異常に手数が多い上に正確で安定していて好きでした。最近新作が出たというので、早速聴いてみました。

えーと、1曲目What Happened To My Good Shoesからもう何も言うことがありません!最高です!Daveさんもう55歳なんですね。かつての力押しの演奏ではもはやなくドラミングに味がついてます!Tom KennedyさんのエレキベースもCool!全く非の打ち所がありません。ピアノは小曽根真さんなんですね。私の大好きな不安定と安定の中間で弾きまくるスタイルですね。Gary Meeksさんのサックスは軽く往年のジャズとは毛色が違いますがこの曲調ならむしろ軽い方がよいです!

3曲目Songo Mikeleなどラテン系の曲がいくつかありますね。ドラマーはラテン系の曲が好きです。それは叩く楽器の数が増えるからです。右側でポコポコしたカウベルを延々叩き続けているのにハイハットが左からいつまでも聞こえそんな状態でタムタムやドラムロールを通常運転で叩いてます。いつ聞いても腕が4本あるんじゃないの?と思わせる演奏です。

ドラムセットの要塞化はすさまじく、こんなドラムセットを構えている人もいます。

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テリー・ボジオが明かす巨大ドラム・キットの秘密:Fuck The Fuckin’ Fucker !:So-netブログ

Daveさんもすごいですよ。

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Dave Weckl – Biography

ベースの見せ場は7曲目Pacific Groove Fogの中盤。小曽根さんのローズピアノに乗せて卒倒しそうなベースを長時間堪能できます。ラストAll Bluesにもいい聴かせ処があります。

圧巻は5曲目Koolzです。ドラマーのDaveさんがメインのバンドなので、比較的長い「デイブゾーン」とでも呼ぶべきドラムソロがアルバム中何度も登場しますが、この曲のソロはすごいです。ラスト2分がほとんど独壇場です。彼のプレイには正確さだけではなく美しさがあります。メタルのような激しさはありませんが、美しいドラムを聴きたい人にはうってつけの1枚と言えるでしょう。

 

※日本では7/22に発売予定です。15.5$とクレジットカードがあれば公式サイトでダウンロードできます。

Dave Weckl: Of The Same Mind

 

ジャズの他のCDレビューはこちらです。


CDレビュー: Joseph Achron(comp), Michael Ludwig(vn), Alison d’Amato(pf) – Music for Violin and Piano

★★★★★(๑•̀ㅂ•́)و✧

久々のクラシック部門大ヒット!

ジョゼフ・アクロン – Wikipedia

作曲者のジョゼフ・アクロン(1886-1943)はユダヤ系ポーランド人のヴァイオリニスト兼作曲家です。ユダヤ人の天才ミュージシャンの例に漏れず、後年はアメリカに渡ります。

ヴァイオリニスト兼作曲家と言うと、まずパガニーニが思い浮かびますね。アクロンの曲はパガニーニほどテクニカルではありませんが、ユダヤの伝統音楽を下敷きにした情熱的で覆いかぶさるような迫力のある曲が多いと感じました。本アルバムはほとんどがユダヤ関連の曲で占められています。

まず耳を引き付けるのは2曲目Hebrew Piecesの1曲目Hebrew Dance。現代のダンス曲であるEDMはパターンと仕掛けが意図的かつ単純すぎて正直辟易ですが、ユダヤのダンス曲は違います。緩急も泣きも激情もヒステリーも静寂も全部詰まっています。後半の3連符畳みかけゾーンを聞けば胸にパッションの波がきっと湧き上がって来ますよ。

11曲目、Suite No.1の1曲目はJSバッハとパガニーニを足して2で割ったようなピアノVSヴァイオリンの対位法掛け合いの応酬に、8分+アルペジオを基調として上昇下降を見事に組み合わせた美しい曲です。これも素晴らしい。

17~19曲目のStempenyu Suiteは元ネタがユダヤ人のヴァイオリニストを主人公にした小説だそうです。3曲目の構成はどこでも聞いたことが無いようなユニークなものです。高周波も出していてとても楽しいですよ。CD中2番目のお気に入りです。

アクロンが活躍した時期は20世紀前半ですが、伝統に忠実に堅実な音作りをする作曲家であると感じました。当時活躍したバルトークやドビュッシーと比べて冒険的な曲は見当たりません。私はどちらも好きですが、アクロンの曲は当時ほとんど売れなかったそうです。

ヴァイオリンとピアノのペアって心にぐっときますよね。ヴァイオリンはもともと音程と音量を微妙にコントロールできる表現の豊かさ、直接脳に響いてくる共振性の強さなどから心をつかみやすい楽器ですが、それがしっとりとしたピアノと同時に聞こえてくると、特徴がより引き立ちます。久しぶりに体に染み入る曲を聴くことができました。ありがとうございました。

 

クラシックの他のCDレビューはこちらです。


Anthony Braxton – Composition No.173 (1994)

★★★★★✌(‘ω’✌ )三✌(‘ω’)✌三( ✌’ω’)✌

Amazon.co.jp: Anthony Braxton : Complete Remastered Recordings – 音楽

このボックスもとうとう8枚目。散々訳わからん曲を聴かされたが最後の最後でとんでもないアルバムが収録されていた。ダントツの最高傑作だ。

ジャケットもやばいが内容もやばい。主な構成は、BGMに即興の演奏のかけらみたいなものを流しつつ、4人がドライブしながら様々な「音」についての議論を繰り広げ、「そうそう、XXXXXXXXYYZZZ××ーーー、こういう音!」と誰も思いつかないような擬音語(英語)を交えて力説する。力説中はオーボエやサックスのソロが擬音に合わせて「音」を表現する。これがイントロとアウトロを除く30分以上に渡って続く。ドナウエッシンゲン音楽祭もびっくりな超前衛的体験だった。擬音に合わせて吹けるソロアーティストもすごいが、4人の演技力もすさまじい。そして演奏者をよく見てみるとAnthony Braxton氏は演奏していない。。なんと conductor、って指揮者かよ!この内容で指揮者いるんだ!!二重に衝撃を受けた。

www.youtube.com

本番は16分以降。


Shelly Manne & His Friends – My Fair Lady (1956)

 ★★★★★ヽ(•̀ω•́ )ゝ✧

アメリカっぽさが臓に染み渡るようなアルバム。映画は見たことないけれど、1曲目のウォーキングベースとドラムのノリっぷりを聞けば誰もが上機嫌になれるはず。7曲目With A Little Bit Of Luckは泣けるピアノ大炸裂だし、ラストの I Could Have Danced All Nightも燃えること間違いなしの優れたナンバー。クラシックな堅苦しさは全くなく、幅広いリスナーを獲得できしかも演奏が優れているというすごい1枚。レコード時代のものだから仕方ないが、もっと長く収録してほしいなぁ。


Great Pianists of the 20th Century Vol.5 – Claudio Arrau II (CD1)


★★★★★(ฅΦωΦ)ฅ
1枚まるごとベートーベン三昧。ワルトシュタインの2曲目が最高!!塞ぎこみがちな気持ちを一気にぶっとばしてくれる美しさ!1曲目の特徴的なイントロはなんとスピードを落として優しく優しく弾く、というサプライズな表現に。すげぇなあ。
ホントこの人は綺麗な音を出す。ピアノコンチェルト「皇帝」もトレビアーンセブレシューペールブボンソワール(アラウさんはフランス人ではない)。

Track List:
Ludwig van Beethoven
1. Piano Sonata No. 21 In C, Op. 53 'Waldstein': 1. Allegro con brio
2. Piano Sonata No. 21 In C, Op. 53 'Waldstein': 2. Introduzione. Adagio molto - Rondo. Allegretto moderato - Prestissimo
3. Andante favori In F, WoO 57
4. Piano Concerto No. 5 In E Flat, Op. 73 'Emperor': 1. Allegro
5. Piano Concerto No. 5 In E Flat, Op. 73 'Emperor': 2. Adagio un poco mosso
6. Piano Concerto No. 5 In E Flat, Op. 73 'Emperor': 3. Rondo. Allegro

CDレビュー: Yes – Going For One(1977)

★★★★★=͟͟͞͞⊂( ’ω’ )=͟͟͞͞⊃
前作で天に昇ってしまった後、今作では前衛的な度合いがガクッと減り、地上に降りてきたという感じ。今作は曲構成が神がかっている。1曲目タイトルチューンGoing For Oneがいきなりスマッシュヒット。さらに3曲目ParallelsはYesで私が一番好きな曲かもしれない。和音構成のせいなのかヴォーカルのせいなのかパイプオルガンのせいなのか、ぱっと聴いた感じ普通の曲なのになぜか涙が出てきてしまう。そして目玉となる重厚の5曲目Awakenでまた昇天してしまう。悪い曲一切なしの傑作。

プログレッシブロックの他のCDレビューはこちらです。rokujo.hatenadiary.com


Great Pianists of the 20th Century Vol.4 – Claudio Arrau I (CD2)


★★★★★◖ฺ|´⌣`*|◗·˳♪⁎˚♫
2枚目はブラームス集。1-2曲目はパガニーニの主題による変奏曲で、有名なパガニーニの奇想曲24番をひたすらアレンジしまくった大作。この曲はリスト、ラフマニノフといった人外ピアニストたちも編曲しており、現代ではビーマニに収録されるほど熱狂的なファンが多い。ブラームス版は超絶技巧を多用しているらしいが、アラウさんの演奏は全く苦しさを感じさせず、柔らかい。ソフト。なんという安定感。しかもかっちょいい。
3曲目はピアノ協奏曲第1番。イントロが私の大好きなダサカッコ良い境地で、いまさらながらブラームスは超がつくくらいの正統派なのだと感じた。第一楽章中盤のクライマックスゾーンは個人的なここ数日の憂鬱さが吹っ飛ぶ爽快感をもたらしてくれたので、このCDは今年一番のお気に入りです。最高。

Track List
1 Johannes Brahms: Variations on a Theme by Paganini, Op.35 - Book 1 13:57
2 Johannes Brahms: Variations on a Theme by Paganini, Op.35 - Book 2 11:23
3 Johannes Brahms: Piano Concerto No. 1 in D Minor, Op. 15 - 1. Maestoso - Poco piû Moderato 24:04
4 Johannes Brahms: Piano Concerto No. 1 in D Minor, Op. 15 - 2. Adagio 15:42
5 Johannes Brahms: Piano Concerto No. 1 in D Minor, Op. 15 - 3. Rondo (Allegro non Troppo) 12:49

Slayer – God Hates Us All(2001)


★★★★★┗=͟͟͞͞( ・∀・)=͟͟͞͞┛
大幅に進化した。デビューから20年もたっているというのに、信じられない。もはや3rdすら軟弱に思えてくる、鋼のヘヴィネスサウンドと化したスレイヤー。激しく爆音寄りのマスタリングがされており、まさに近代兵器。発売日は何の因果か9/11アメリカ同時多発テロと同日である。。またこの作品は歌詞から悪魔的なものが消えており、より人間の内面に潜む破壊性、暴力性を抉るものとなっている。歌詞は何となくしか聞き取れないので全体的な雰囲気からそう感じていたが、後で裏付けられてびっくり。人間寄りになったためか、初めてFワードが歌詞に乗るようになった。トム・アラヤのヴォーカルはこれまでにないくらい爆発しており、特に4曲目New Faithは強いインパクトを与える。またドラムのポール・ボスタフの気が狂ったようなリフ回しがこのアルバムの火力を大幅に底上げしている。いままでのどのアルバムよりも激しい。ちなみに彼はこの作品の後肘の故障で脱退した。遅いドローン系ダウナーからリズム変速曲、スピード違反の超スラッシュまですべて取り揃えたオールラウンドかつ迫力マシマシの一作。スレイヤーでまずどれを聞くかと言ったらまずこのアルバムを薦める。
感覚的なものだがこの作品はいままでのただ破壊するだけと言った世界観から、抗い闘うものへと昇華されつつあるような気がする。いや歌詞は今まで通り中二的で暴れまわってるんだけど、何故か、聞いていて元気が出た。


Unwired: Acoustic Music From Around the World(1999)


★★★★★ヽ(•̀ω•́ )ゝ✧
アコースティックな曲だけ集めた特別版。アメリカ、アフリカ、アジア、ヨーロッパからオールスターで集められているせいか、このシリーズの中でダントツで出来が良い。ほぼはずれの曲はないが、特に14曲目Red Ribbonは熱い!暑すぎ!パーカッションは日本のお祭りみたい、、と思ったらアーティストは日本人+中国人だった!どおりで。他にも1,3,5,8曲目が燃え燃えでよいです。気持ちいい!


Modern Jazz Quartet – Django (1956)


★★★★★(๑˃̵ᴗ˂̵)و
ジャズの100枚、ようやく10枚目。MJQの代表作、有名すぎるアルバム。ビブラフォンが特徴的なこのバンドのサウンドはとにかく可愛い!可愛すぎる!ドラム、ベース、ピアノ、みんなお菓子みたいに音に聞こえる。ジャズ界きっての萌え萌えサウンドだ。ぎゅってしたくなるよね。全曲超おすすめ、胸が締め付けられます。10枚目(実はWynton Kellyが11枚目だったので正確には11枚目)にしてダントツ首位のお気に入り。