CDレビュー: Yes – Big Generator (1987)

★★★★☆

前作90125でドキドキ感が完全に失われてしまったYesに私は失望してしまいました。Yesのアルバムを聴き続けるかどうか悩みました。聴き続けても音楽的な感動が全く得られないんじゃないか、残り時間の限られている人生の無駄遣い、金の浪費になるのではないか。

しかしYesというバンドを選択した責任は私にあります。選択した以上は最後まで付き合うのが筋です。音楽性の変遷、時代の流れ、メンバーの入れ替わり、期待、失望、すべてひっくるめて聴くのは示唆に富むはずであり長い目で見て今後の音楽体験に役に立つに違いない、と納得させるような気持ちで聴きました。

今後も1つのアーティストを追いかけるように聴いていくスタイルを続けます。

80年代サウンドの枠内だが所々光る音も

1曲目Rhythm of Loveのイントロが終わるや否や、案の上ださい音遣い、頭からどこかに抜けてしまうエフェクト付きのへにょドラムにがっくり来ました。しかし前作と違って全くドキドキしないわけではありません。所々に小さい仕掛けがあり微ドキします。

3曲目Shoot High Aim Lowで突然音の作り方が変わります。シンセがださくないし、私の好きなオルガンが入ってきて単純なポップとは毛色が変わってきました。

後半2曲で創作性が復活か

6曲目Final Eyes, 7曲目I’m runningが若干長めで起承転結・メリハリのある構成です。単純な8ビートも嫌いではないのですがどうしても心にしみてきません。この2曲は音に時代の影響があり昔の曲と比べるとパワーが落ちるものの、久々に創作性が感じられドキドキする曲を聴くことができました。

 

 

プログレッシブロックの他のCDレビューはこちらです。


日本株久々に反落するも、6731ピクセラが2連S高。後ろ盾のOakキャピタルってどんな会社?

日本株は久々に反落

今日の日本株は7日ぶりの反落、日経平均は-248円の20593円で引けました。利益確定売りにより下がったようですが、ギリシャ・中国ショックと比べれば屁みたいなものですね。

今バブルですか?

http://static.reuters.com/resources/media/editorial/20150721/survey0722wEUt8X-1-min.gif

バブルである、と答えた企業は2割。7割の企業が「実力相応」と回答しています。

私はおおむね実力相応、これ以上値上がると割高だがまだまだバブルには程遠い水準だと思います。根拠はPERです。

現時点の日経平均のPERは19.45倍です。

アメリカDJIAのPERが16.08倍とふつうのレベル、NASDAQが22.49倍とやや高めで、この間くらいが日本の値です。上海総合のPERはバブルの高値のときですら19.18倍です。全然バブルじゃないじゃん!?一体なぜあんなに煽られていたのかわからなくなってきました。ずっとPER10倍程度だった(=中国市場はリスクが大きいと見積もられていた)のが突然2倍になったからなんでしょうかね。

この表を見ると、リーマンショック時はどこの企業も収益がガタ落ちだったため、未曽有の株安にもかかわらずPERは40倍程度で推移したことが読み取れます。金融危機の真っただ中ではPERなんぞ役に立ちそうにないですね。2010年中旬以降は、おおむねフェアバリュー内で推移していたようです。今後株価が上昇するかどうかは、企業の成績次第というわけです。

ちなみに日本のバブル期のPERはなんと70倍でした。異常です。投資した金額が70年経ってやっと回収できるレベルがまともな投資基準とは思えません。

ピクセラとOakキャピタル

6731ピクセラが今日もストップ高、+32.89%と2日でツーバガーとなりました。立役者のOakキャピタルという会社に興味がわいたので調査してみました。まずは有報を読みます。

http://pdf.irpocket.com/C3113/yZlC/p9ZZ/CS2O.pdf

創立は慶応4年(1868年)と超老舗ですがこの時点ではなんと漁網製造会社です。ところが2001年に突如投資事業に進出し、2005年に海洋事業を切り離し投資事業に特化した会社になる、という異色中の異色です。

投資方針は「純粋な投資」「口を出さない」がモットーであると書いてあります。

http://www.oakcapital.jp/common/img/jigyo/equity/feature_01.gif

投資方針・5つの特長|Oakキャピタル株式会社

再建計画を全く建てないというのはものすごく気にかかります。例えば最近読んだ「ハゲタカ」の主人公鷲津が率いるホライズン・キャピタルは経営に口出しまくり、役員の総取り替えすらも辞さない強硬派ですが、それは資本投入先企業の経営を必ず立て直せる自信があってこその判断です。潜在価値の高い企業をファンドの手で立て直し、その結果として利益を得るというモデルです。投資先企業はいずれも大復活を遂げます。

さてOakの手法を要約すれば「金は出すが後のことは知らん」となります。なんかものすごく無責任に見えます。

過去に投資した企業をいくつかピックアップして、その後を見てみましょう。

・2011年2月 7992セーラー万年筆に出資→株価2倍→すぐに元に戻る→5年連続赤字記録更新中

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・2013年7月 2321ソフトフロントに出資→イナゴで2倍→すぐ元に戻る→純損失は過去最悪を更新中

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・2015年4月 4777ガーラに出資→株価5倍→元に戻る→ゲーム売れてない

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経営が良くなっている企業がひとつもなさそうです。株価が死んでいる企業に投資すればピクセラのように株価は爆上げ必至です。1を2にするのは難しいですが、0.1を0.2にするのはあまり難しくないという論理ですね。

経営実績はまるでジェットコースターのようです。

回次 第150期 第151期 第152期 第153期 第154期
決算年月 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
3月 3月 3月 3月 3月
売上高 千円 4,351,979 926,885 1,538,774 4,167,096 8,315,754
経常損益 千円 8,152 △656,078 △342,391 564,038 1,862,608
(△は損失)
当期純損益 千円 115,419 △659,537 △485,518 554,651 1,809,145
(△は損失)
 

平成24, 25年の成績から、この会社は投資ではなく投機を行う会社と判明しました。大儲けもするけど大損もする。そして、ギャンブルの原資はOakへの投資家から徴収し、ギャンブルの儲けはイナゴの高値掴みの連中から出るというわけです。

ちなみに株価は低迷しているようです。時価総額から割り出した平成27年度の実績PERは8.43倍ですが、高いのか安いのか全く分かりません。

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本質的にギャンブルを行う会社ですので、競馬やプロレスの勝ち負けの予想に等しく、私にはとても怖くて手を出せない企業です。。


不正会計の東芝が暴騰!日本株6連勝、上海総合は4000ポイントを回復。優良銘柄が軒並み値上がり

不正会計の東芝が暴騰

https://lh3.googleusercontent.com/-DVvu9qhJR6Y/AAAAAAAAAAI/AAAAAAAAAOE/4pwUfX4LcCs/s120-c/photo.jpg

今ホットな話題と言えば東芝です。

組織的に水増ししていた利益は合計1562億円です。会社が何社吹っ飛ぶくらいの金額でしょう。

ところが今日の発表を受けて、東芝の株価はストップ安どころか+6.13%の暴騰となりました!

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よく見ると先週の金曜日にもかなり上昇していたことが分かりますね。

理由はこちらです。

東京証券取引所は内部管理に問題ある企業として投資家に注意喚起を促す「特設注意市場銘柄」に指定する見通しだ。

「特設注意市場銘柄」とは、有価証券報告書の虚偽記載など悪質な行為があったものの、調査の結果上場廃止にあたるほどではないと東証に認められた場合に指定されるものです。1年ごとに内部管理体制確認書を提出し、東証が問題なしと判断したら指定が解除されます。要するに「反省文を書いたら許してやる」という処分のことです。

なんと東芝が上場廃止をとりあえず免れたために、ほっとした投資家が群がってこんなに株価が上がってしまったのです。

ただし上場廃止の可能性がなくなったわけではありません。

今後東芝経営陣が刑事告発されたり、反省文に反省の余地が認められない場合は「監理銘柄」への転落もあり得ます。

ただ、上記記事で比較されているのが京王ズ・石山ゲートウェイという超がつくくらい真っ黒な企業なので、さすがにここまで転落しないのでは、という思いはあります。

 

 今年は「チャレンジ」が流行語になりそうですね。

日本株6連勝、上海総合は4000ポイントを回復

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実に順調です。このまま年初来高値更新といきそうですね。

優良銘柄が軒並み値上がり

以前フィスコレポートで取り上げた銘柄がいくつか高騰しています。

2483翻訳センター +17.35%

2464ビジネス・ブレイクスルー +17.20%

5998アドバネクス +12.99%

9928ミロク情報サービス +8.37%

9757船井総研 +7.86%

3064MonotaRO +7.17%

3079DVx +5.11%

これらは一度ちょっとしたレポートを書いています。DVxは私の主力でもありますし、船井総研やミロク情報サービスも魅力のある銘柄です。



 

買い時を逃した3031ラクーンはどんどん上昇を続けています。

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今日のイナゴ

3113ピクセラがストップ高の+49.02%で断トツの値上がり率首位です。

ピクセラはPC向けテレビキャプチャユニットなどを売る会社ですがスマホ・タブレットの台頭により売上が4期前の1/5に落ち込んでおり、すでに債務超過の継続疑義のうえ、7/17に超絶下方修正で大幅赤字となった企業です。

http://www.pixela.co.jp/ir/data/2015/ir_20150714.pdf

ストップ高となった材料はこちらです。


href=”http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201507210150″
data-mce-href=”http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201507210150″>ピク
セラがストップ高カイ、Oakを割当先にエクイティファイナンス実施 | 個別株 – 株探ニュース</a>kabutan.jp

 

Oakキャピタルによる資本注入で上場廃止を免れたことにより、大量の買いが入りました。この資本をつかって他業種への転換を図るとのことです。

http://www.pixela.co.jp/ir/data/2015/ir_20150717.pdf

ただこれを読むと進出先の業態は多岐に渡っており、本当に大丈夫なのかかいな。。?という気がします。

・Z-Waveを搭載したゲートウェイ
Z-Wave
の通信をインターネット通信規格に変換する機器。センサー同士の制御も行う
・Z-Waveを搭載したセンサー製品
マルチセンサー(温度/湿度/照度/人感等を検知するセンサー)
、ドアセンサー等
・リモート監視用ネットワークカメラ
特定のユーザーがインターネットを介して遠隔地からスマーフォンにて視聴可能なWi-Fi搭載カメラ
・IoT 専用サーバー
センサーやカメラのデータを保存し、必要に応じセンサーを遠隔で制御する。また、蓄積されたビッグデータの解析も行う
・IoT 専用スマートフォン用アプリケーション
各種センサーやネットワークカメラの情報を閲覧したり、操作するためのスマートフォン用アプリケーション

 ・簡易ホームセキュリティ

鍵の閉め忘れ検知、一人暮らしの女性向けストーカー対策など
・見守りサービス
高齢者の安否確認、お子様の帰宅検知、ペットの状況確認など
・家電遠隔操作
スマートハウス

 ↑一例です。まだ3倍くらいあります。

 


C++で書かれたDLLにC#からポインタを渡す

C++で書かれたDLLにポインタを渡したいことがあります。例えば次のような関数がエクスポートされていたとします。

void WINAPI ConvertToShort(char* pstr, short* pret);

これをC#側から使用したい。char* は文字列なので C# 側からは string を渡してやるだけでよいですが、short* については何を渡していいものやら困ります。

C#には IntPtr という型があります。これは汎用的なポインタを表す型で、ほぼ void* と同義です。

ただしC#は超厳しい型付け言語なので、void* みたいな万能選手は万能ゆえの曖昧さを解決するために、回りくどい変換メソッドを経由しないと使えません。

具体的には、IntPtrの変数に Marshal.AllocHGlobalで必要なサイズのメモリを確保し、それをC++のDLLに渡します。

さらにMarshal.ReadInt16(必要な型によって異なる)などで変換後、確保したメモリをMarshal.FreeHGlobalで解放する、と3段階の面倒なプロセスを経なければいけません。

C#はその厳しさゆえテキトーなC++とは違いメモリ破壊など厄介な問題が発生しませんが、こういうときに手続きが面倒です。リスクと面倒さはトレードオフですね。

//usingではこれが必要
using System.Runtime.InteropServices;
//ここはクラス内で定義
[DllImport("DrsUtil.dll", EntryPoint = "ConvertToShort")]
extern static void ConvertToShort(string pstr, IntPtr pret);
//ここは関数内の記述
IntPtr buffer = new IntPtr();
buffer = Marshal.AllocHGlobal(2); //2バイトのメモリ確保
ConvertToShort("XXXXXX", buffer);
short sval = Marshal.ReadInt16(buffer); //変換
Marshal.FreeHGlobal(buffer); //メモリ解放

実用的には、次のようにConvertToShortをラップして使いやすい形に整えるのが賢明でしょう。

[DllImport("DrsUtil.dll", EntryPoint = "ConvertToShort")]
extern static void _ConvertToShort(string pstr, IntPtr pret); //呼び出し元の名前変えちゃう
short ConvertToShort(string str)
{
IntPtr buffer = new IntPtr();
buffer = Marshal.AllocHGlobal(2);
_ConvertToShort(str, buffer);
short sval = Marshal.ReadInt16(buffer);
Marshal.FreeHGlobal(buffer);
return sval;
}

IntPtrには何でも入りますから、例えば構造体をゲットすることも可能です。ただしC#側で構造体をC#流に定義してあげなければなりません。若干面倒です。

参考
IntPtr からの色々な型への変換 – Kenrowの覚書と日々
@IT:.NET TIPS Win32 APIやDLL関数に構造体を渡すには? – C#


C++で作るDLLにはDEFファイルをつけるべき

DLLファイル関連でハマりました。C++で作ったDLLで、

_declspec(dllexport)

を使ってエクスポートした関数をC#側から読み込もうとしても、うまくいきません。「エントリ ポイントがありません」と言われて動きません。原因を調べたところ、dllexportの仕様で、名前に余計な文字列を付けるからだそうです。

例えば、SetDataという関数をDLLに

__declspec(dllexport) void SetData(unsigned char* data)

と登録したとします。Dependency Walkerを使ってDLLを開くと

?SetData@@YAXPAEH@Z

という意味の分からない名前に変化してしまいます!!

C++アプリケーション同士のインポート、エクスポートなら問題ありません。呼び出し側が_declspec(dllimport) を使ってインポートすれば、わけわかめな名前を自動的に解決してくれます。しかしVBやC#などの外部アプリケーションからC++のDLLを使うなら、もともとのメソッド名(SetData)が公開されていないため、エントリポイントがないよ、と文句を言われてしまうわけです。

そこで、DEFファイル(モジュール定義ファイル)が必須となります。外部アプリケーションに対して、これこれのメソッドを公開しますよ、ということを明示するファイルです。

LIBRARY    “TestLib”

EXPORTS
    SetData

内容はこれだけでOKです。VC++を使っているなら、新規作成する項目の中にDEFファイルが存在するはずですので、EXPORTS以下だけを設定すればよいです。

これで、再度Dependency WalkerでDLLの内容を覗くと、見事 SetData というメソッドが公開されていることがわかります。

外部へのメソッドの公開はCOMで行うという手もありますが、COMはオブジェクトを作成することが前提の仕組みですので、目的によって使い分ける必要がありますね。

 

参考

DLLコンパイル時の注意点

COM (Component Object Model)


CDレビュー: The Rough Guide To Music Of Gypsies(1999)

★★★★★=͟͟͞͞(๑•̀=͟͟͞͞(๑•̀д•́=͟͟͞͞(๑•̀д•́๑)=͟͟͞͞(๑•̀д•́

ジプシー

ジプシーとは、Egipcienを縮めてgypsy、「エジプトからやってきた人」という意味です。「ジプシー」という表記は自称ではなく他称でしかも差別的な意味合いがあるそうなので、自称の「ロマ」と言い換えるのが適切と一般に言われているそうですが、このアルバムに限っては「ジプシー」という表記が正しいです。「ロマ」は特定の民族を表しますがこのアルバムはインド系のドム・バンジャラやギリシャ系・中東系など幅広い音楽が混じっているため、「ロマ」と一括りにできません。

シリーズ最高傑作

彼らは流浪の生活を経てきましたので、インド~中東~中央アジア~ヨーロッパのすべての音楽が混じり、さらにいかなる場所でも差別的待遇を受けてきたという過去から、どの音楽も楽観的・肯定的・底抜けの明るさの中に哀愁を感じさせるという特性を備えています。私の一番好きなタイプです。

まず衝撃を受けるのが2曲目Ussa Saです。聞いてみてください。

www.youtube.com

うっつぁっつぁ~うっつぁっつぁ~

極めて中毒的です。バンドネオンとバイオリンのコンビはスペインとイタリアの影響を感じさせます。

3曲目Doina Si Balaseancaも爆速でブラスが騒音をまき散らす他にない音楽なのですがyoutubeにありません。同アーティストの類似曲を貼っておきます。何故かこのビデオは渋谷が舞台です。まだHMVが撤退していない頃で、90年代のギャルも出てきます。

www.youtube.com

この必要以上の明るさと、根底にほんのりと流れる哀愁感。。たまりません。

5曲目Anguthiはなんと純インドを思わせる音楽です。一体どれだけの要素が混じっているんだこの人たち。。

www.youtube.com

 

9曲目Jastar Amenge Durもすごいです。今までに聞いたことのない泣きの強いギター、そしてこの歌!酒焼けでかすれたような吠えるど太い迫力ヴォーカルです。あなたの心臓鷲掴み!

www.youtube.com

おばちゃんかと思っていたらイケメンでした。表示されている通り彼はギリシャ人です。本当に守備範囲の広いアルバムです。

他にもいかにもイスラム的な7曲目Love Birds、独特のスウィングでぶっ飛ばす8曲目Cind Eram La’48、「ハッ!」と合いの手を入れるフラメンコの要素を強く含んだ16曲目Cigany Szinekなどプッシュしたい曲ばかりです。どの曲も心の底からノッている、魂を絞り出しているようなパワーが感じられる稀有のアルバムです。

ジプシーたちの音楽はRough Guideシリーズで他にも何枚かリリースされているので、他のアルバムも期待大ですね。

 

 

ワールドミュージックの他のCDレビューはこちらです。

 


jQuery: 『getter→引数なし、setter→引数あり』の思想

learn.jquery.com

ふつうのオブジェクト指向なプログラミング言語に馴染んだ人間にとって、次のコードは直感に反します。

// This doesn't work; text() returns a string, not the jQuery object:
$( this ).find( "li a" ).eq( 2 ).text().replace( "foo", "bar" );
// This works:
var thirdLink = $( this ).find( "li a" ).eq( 2 );
var linkText = thirdLink.text().replace( "foo", "bar" );
thirdLink.text( linkText );

1行目のコードが動かないことはまあわかります。問題は4, 5行目です。

thirdLink.text();
がgetterで、”li a” でセレクトされる要素の3番目に入っている文字列を返す。

thirdLink.text( linkText );
はsetterで、”li a”でセレクトされる要素の3番目、にlinkTextの内容をセットする。戻り値は謎。

ややこしい。なんで引数の数によって動作を変えるの!!??すっごく不自然です。

var str = thirdLink.text;
str.replace( "foo", "bar" )
thirdLink.text = str;

のような書き方ならとても分かりやすいけれど、javascriptの仕様でそれはできません。javascriptではgetter, setterの中身を定義することができないので、textオブジェクトの内容を書き換えてしまうだけで終わりです。ならば

var str = thirdLink.text.get();
str.replace( "foo", "bar" );
thirdLink.text.set(str);

としてくれた方が曖昧さが無くてうれしいです。これなら実装も可能です。

しかしjQueryの思想は “Write Less, Do More.” です。開発陣はget() や set()という冗長な記法を許さなかったわけです。
なので、極限まで記述を切り詰めた方法――それが『getter→引数なし、setter→引数あり』という記法に繋がったとのだと理解しました。
jQueryを使うなら暗記は必須です。


フィスコレポートを読む セレクト 2464ビジネス・ブレイクスルー、3674 オークファン、3387クリエイト・レストランツ・ホールディングス、4820EMシステムズ

2464 ビジネス・ブレイクスルー

一言で言うと大前研一大学の会社です。氏のことは名前しか知りませんでしたが、かなりエキセントリックなものが感じられますので、興味があります。何か本を読んでみたいです。

ビジネスブレイクスルー大学は通信教育でMBAや国際バカロレアが取れるという位置づけの大学です。入学金31.5万+授業料年85.5万と国立大より高く、私立大より安いくらいの学費です。ビジネスを学びたい人にとっては魅力がありそうです。

インターナショナルスクールや幼児教育企業を傘下に入れるなどして売上は着実に伸びており、収益性も一定はしないものの営業利益率が8~12%の間で推移し、それなりに高いです。通信教育の利点は、一度収録した授業を何度も再利用できる実質のストックサービスであることです。

なお、インターナショナルスクール(小中高一貫)は年108~222万もかかるそうです。高いですね。今後、同社の成長けん引役はインターナショナルスクール事業が担っていきます。

企業としてはまともな方だと思いますが、あからさまな仕手株の動きをしているので投資対象としてはお勧めできません。

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3674 オークファン

オークションサイトのまとめサイトみたいなものかと思っていたら、オークションの取引情報300億件というビッグデータの活用・データマイニングやノウハウの提供などなど面白い事業をやっていたんですね。

一時期営業利益率40%という驚異の数字を誇っていましたが、今期は投資拡大のため10%まで落ちる見込みです。大量のM&A(2年で16社!)によるものと思われます。

ビジネスモデルはプレミアム会員の課金収入+オークファン経由で商品を買った場合の広告収入(アフィリエイトと同じ)+データ活用の利用料金の3つです。課金収入が5割を占め稼ぎ頭ですが、データ活用面については近年大幅に伸びており、こちらを大きな柱に育成させる予定のようです。M&Aも布石でしょう。今後は価格情報を提供するBtoBや、商品価格予想・レーティング機能の追加など面白い案件がてんこ盛りです。

レポートにはSEO対策が効かなくなることがリスクと書いてありますが、同社は有名すぎるのでSEO対策自体が必要ないと思われます。

成長有望株でしょう。大投資により一過性の大幅減益となっているでしょうから、今が買い場であろうと思いますが、株価はいかに。。?

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予想通りどん底、それでもPER88倍と超高倍率です。純利益予想は前期比2/5ですので、実質のPERは35.2倍、売り上げの伸びを加味すると30倍程度と考えられます。暴落後の現時点でも若干過熱気味というわけです。決算と同時に爆上げする可能性もありますが、M&Aが報われなければさらにどん底です。超ハイリスク・ハイリターン株と言えます。

3387 クリエイト・レストランツ・ホールディングス

積極的なM&Aで業態を拡大しまくるレストランチェーンです。同社は主にショッピングモール内のフードコート向けレストランが主業務ですが、成長性があると判断した業態に目を付け自社の「グループ連邦」にM&Aで囲い込み、ブランド力を強化していくという手段でバリバリ業績を拡大し、現在180業態・647店舗という数に達しました。

株価も好調です。

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なんとここ3か月で2倍になっています。今後もまだ拡大余地があり、成長は続くかもしれません。グロース投資の見本になりそうな銘柄ですね。

気になるのはクリレス本体の売り上げが低迷していることです。つまり、同社の成長を牽引しているのはほぼM&Aによる業態拡大のみです。M&Aによる拡大にはいずれ終わりが来ます。M&Aで業績を急拡大した後、とてつもない粉飾決算とリーマンに次ぐ全米2位の規模の破綻をしたワールドコムの例もあります。いつ撤退するかが大きく問われる銘柄でしょう。5年後を見据えると厳しいのではないでしょうか。

4820 EMシステムズ

調剤環境向けの医療事務システム開発・販売会社です。近年では医科システムも開発しており、医科の売上増で成長を狙います。

利益率が11~15%の間で推移しており、比較的高めです。従量課金制のストックビジネス型モデルを採用したことから収益はそれなりに安定すると思われますが、医科システムは超複雑です。2年ごとに制度改正はあるし調剤のようにはいきません。まともな品質のものを作れなければ成長は難しいでしょう。

PERは11倍程度と比較的割安に見えますので、長期的には報われるかもしれません。株価はおおむね業績と連動しているようです。

 


CDレビュー: Paul Motian – The Story Of Maryam(1984)

 ★★★★★

Complete Remasteredシリーズです。このボックスを聴くのは3回目です。安く過去の名盤がリマスター込みで手に入るのはとてもうれしいです。今回は、ドラマーのPaul Motian(1931-2011)のボックスを聴いていきます。手に入れてから気が付きましたが6枚目Flux And Changeがエンリコ・ピエラヌンツィのボックスとかぶっているのが痛いです。。

ポール・モチアンはジャズドラマーです。ビル・エヴァンスやセロニアス・モンク、ポール・ブレイ、キース・ジャレットなどと共演し、50-60年代に活躍しました。70年代以降はリーダー作を作るようになり、このアルバムもモチアンがリーダーです。

またインプロ!

6枚組の1枚目となるThe Story Of Maryamはいきなりインプロだらけの抽象性が強い1枚です。前回アンソニー・ブラクストンのボックスもインプロだらけで苦しい作品が多かったのですがこのアルバムも相当なものです。何故かエレキギターも入っており訳の分からなさに拍車をかけていますが、このエレキギター、上手だし妙に美しいのです。Bill Frisellというギタリストらしいですね。

特に前半は退廃的で、テキサスの荒野に放り込まれて置き去りにされたような気持ちになります。

5曲目の破壊力と6曲目の切なさのコントラストでハートを掴む

5曲目Look To The Black Wallがやばいです。最初から最後まで7分近く全員全力で演奏を続けます。コード進行や8ビート16ビートというような秩序だったものは全くありません。濁流を流し込むようなサックス2本と真ん中でうねるギター、何やってるのかわかんないけど気合だけ伝わってくるモチアンの爆裂ドラミングが一体となって、台風(アメリカだからハリケーンか?)がやってきたような目茶目茶な演奏を奏でます。

そしてラスト6曲目タイトルチューンThe Story Of Maryamだけ秩序がありしかもしっとり切ないチューンです。5曲目と落差がありすぎます。このコントラストのせいでいつまでも胸を締め付けられるような感覚が残るというわけです。上手に構成してます。なお、Maryamというのはアラビア語でキリストの母マリア様のことだそうです。一体どういう気持ちで演奏していたのでしょう。。

 

 

 

ジャズの他のCDレビューはこちらです。


書籍レビュー: 鋭く的確な現場の目 『福島第一原発収束作業日記: 3.11からの700日間』 著: ハッピー

★★★★★

現場の目から見た福島第一原発事故

著者は原発作業に20年以上従事している大ベテラン作業員です。東電と交渉している記述も見られますので、作業員を束ねるチームリーダー的な立場で働いていると思われます。この書籍は彼が事故直後から現実にtwitterで書き込んでいた内容ほぼそのままで構成されており、資料価値の高い書籍です。twitterからいつアーカイブが無くなるかについての保証はありませんから、このような形で現場の声が残ることはとても貴重なことでしょう。

鋭い視点、的確な分析、ちょっと変わった口調

著者の分析力の高さは見事です。今行っている作業の非効率性と本来行われるべき対処方法を必ずセットで書きます。また社会の変化により予想される福島への影響、東電や政府のコメントの裏の意味、全て筒抜けです。

例えば2011年の時点で「今行われている作業は全て仮のものであって、ホースや継手などはすべて耐用年数が低い。必ず耐用性の高いものに取り換えなければならない。でなければすぐに劣化して汚染水が漏れるなどの被害が出る」と予告しています。この後、何度も何度も汚染水流出のニュースが流れることになります。。

「でし。」という語尾や顔文字を多用しています。本という体裁からすると若干抵抗を覚え、慣れるまで時間がかかります。しかし読んでいれば著者はごくまっとうな文章が書ける人であることは推測できるので、twitterというメディアの特性上仕方ない、と割り切るしかないでしょう。

2年後の原発は?

内容についてはこれ以上詳しく書きません。読んでください。これ以後は、原発事故のその後についての私なりの補遺です。

本が出版されてから2年。ハッピーさんはまだtwitterでの発信を続けています。

2014年末で現場からは身を引くことになったそうです。

 

フォロワーは出版時は7万人、いま8.6万人(私も今日その1人になりました)です。出版後、2倍くらいになったのではと思っていましたがそれほど増えていません。2013年時点での関心の低さがうかがわれます。

f:id:happyholiday:20150719123950p:plain

https://www.google.co.jp/trends/explore#q=%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E7%99%BA

こちらはgoogleトレンドによる「福島第一原発」の人気度です。原発事故直後を100とすると2013年は3、いまは2です。2013年の時点でもうほぼ完ぺきに忘れ去られています。人の噂は75日といいますが本当ですね。

肝心の原発収束の様子ですが、一番マシだった4号機の燃料取り出しのみが2014年末に完了しています。

東電による予定は以下の通りです。

号機別のスケジュール(改訂後)

  燃料取り出し 燃料デブリ取り出し
現行目標 2013年12月(初号機) 2021年12月(初号機)
1号機
(最速プラン=プラン2)
2017年度下半期 2020年度上半期
(1年半前倒し)
2号機
(最速プラン=プラン1)
2017年度下半期 2020年度上半期
(1年半前倒し)
3号機
(最速プラン=プラン1)
2015年度上半期 2021年度下半期
4号機 2013年11月
(1ヵ月前倒し)

                           平成25年6月27日 廃炉対策推

 https://www.jaero.or.jp/data/02topic/fukushima/status/kouteihyou.html

4号機の予定ですら1年以上遅れていますから、1-3号機については2021年に終わるとはまったく思えません。これから作業員の確保はより厳しくなりますし、ハッピーさんのような優秀な作業員もどんどん辞めていきます。

 

2015年5月30日のニュースです。2013年じゃないですよ。

本書で指摘されている賃金低下による人手不足も、さらに深刻になっているようです。被爆上限を2.5倍に引き上げる改正案が今年に出されています。 www.nikkei.com

マイナンバーの施行により、作業員の確保はさらに大変になりそうですね。本書でも言及されている通り、原発業界を含む建設業界は過去持ちが多いですから、事情があってマイナンバーを持てない人間は従事できなくなるんじゃないでしょうか。

 

現在福島第一原発から海に放出されている放射性物質は

トリチウム 150億Bq/日

ストロンチウム90 27億Bq/日

セシウム137 12億Bq/日

セシウム134 4億1000万Bq/日

です。累計ではなく1日の値です。

毎日、海に流出している放射性物質の最新評価値 | 原発事故 | OSHIDORI Mako&Ken Portal / おしどりポータルサイト

復興予算も適当に使われています。

復興予算、9兆円使われず 11―13年度、需要とズレ:朝日新聞デジタル

除染が住んでいないのに無理やり帰宅させる方針も以前と変わりません。

東電はどうなった?決算資料から読み解く

せっかくなので、絶対投資対象になりそうにない東電の決算資料を読んでみます。

東電は2014年3月期、2015年3月期と大幅黒字です。あと5年で赤字を全て取り返してしまいそうな勢いです。なお、自己資本比率は去年の時点でプラスになっています

http://www.tepco.co.jp/ir/data/images/zaimu_il01.jpg

財務ハイライト|企業情報|東京電力

昨年度にプラスに転じた理由は、「原子力損害賠償支援機構資金交付金」が9,689億円特別利益に計上されているためです。なんじゃこりゃ?

http://www.tepco.co.jp/ir/tool/setumei/pdf/140430setsu-j.pdf

原子力損害賠償・廃炉等支援機構というのは、原発事故を受けて官民合同で作った(という建前の)賠償専門の機構の組織だそうです。政府が金を調達して、東電に流すための機構です。

原子力損害賠償・廃炉等支援機構 – Wikipedia

支援金は既に5兆円を超え、今でも毎月数100億~1000億円程度注入しています。今年度も支援金だけで当期純利益の2倍近い8,685億円の特別利益を計上しており、東電の黒字はまやかしです。国に頼めばいくらでも黒字を増やせるなんて詐欺同然ですね。いま粉飾決算でボロボロの東芝が喉から手が出るほど欲しい仕組みでしょう。国は東電の大株主なので、利益を上げて株価を上げたいんでしょうけど。。

今後も廃炉に向けて1基1兆円(で済むかどうかは疑問)の費用を見込んでおり、資金注入は当分の間続くと思われます。

政府の金の調達方法は国債と政府保証債権が半々です。このうち政府保証債権については毎年2,000~5,000億円という巨額のローンの入札が年2回ほど行われており、銀行がこぞって群がっています。金利は0.1%程度と低いですが、1年ローンかつ政府相手で貸し倒れの心配ほぼ0なのが魅力なのか、応募倍率は4倍程度と高いです。いかにも利権が生まれそうです。

調達した資金は無金利で東電に貸しているという建前だそうですので、政府が調達している資金の金利は税金から払われ、金融機関などを潤すということですね。で、どうせ東電に5兆円貸したお金は将来的に電気料金で支払われるんでしょうね。

 http://www.ndf.go.jp/capital/ir/kiko_ir.pdf

国から被害者に直接保証が出るのではなく、東電に金を貸して東電に払わせる、という面倒なスキームをとっているのは、政府が払うお金は0.1%の金利負担だけで済むし、賠償金は将来にわたって国民が電気料金で払ってくれることが理由だとわかりました。払う金が1/1000!なんというマジック!ついでに金融機関も潤って景気対策もバッチリですね!

ところで売上高がめちゃ伸びてます。事故当時から26.7%増です。電気使用量が急激に増えるとは思えないので、これはほぼ電気料金が26.7%上がったことを意味します。今後も円安などを理由に上げるのでしょう。JTと同じ必須品独占ビジネスモデルですが、タバコと違って市場は縮小せず海外展開する必要もない素晴らしく強固な商売です。

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二期連続増益増収をうけ株価もうなぎ上りです。

最後に引用

昨日読んだ本によれば、リスクは恐怖の大きさと起こりうる確率を掛け算して求め、数値化して比較検討するべきと主張しています。

私はその主張に疑問がありましたが、本書のエピローグの次の言葉で疑問が吹き飛びました。

原発事故に確率論なんてないよ。何百万、何千万、何億分の1であっても、原発がある限り、あした事故が起きても不思議じゃないのだから…