★★★★★( ˘•ω•˘ )
表紙買いです。この表紙すごく気になりました。
この本には呼ばれていたのだと思います。自閉症関連の本では現時点で最強です。
著者のLobinさんはカナー型自閉症かつ高機能、なんと精神科医です。プライバシー保護のため仮名にされているのが実に残念ですが仕方ないです。表紙イラストもLobinさんによるもののようです。ああやっぱりな。
背表紙も目を突き刺します
中身は著者の半生記とも呼べるもので私なんかよりよっぽど苦しい人生を送っているわけですが、一番心を打ったのは本文の文体から感じられる雰囲気全部です。私の文章とそっくりなのです。特徴的な分かち書きを多用する、話が飛ぶし指示代名詞がどこから来たのかわからなくなるし、自分の中の固定観念っぽいものを他の人間もまるで分かっているかのような口調で書くし、とにかくユーザーに優しくないのです。終盤にサポーターの先生2名(常識人)の解説があるのでこれを読むと彼女の文章が一層引き立ちます。
人に対する”love”という感情は、私の中には存在しません。物は愛します。物には簡単に”love”を抱きます。でも人には、せいぜい”like”までです。その男子にも、ただその目立っているカリスマ性の様なものに惹かれ、例の通り、私はその人を真似しようとしました。(P26)
分かりますかこの違和感?文面からは分かりづらいけどなんとなく感じる普通の文章とのずれ。全く言語化できなくて申し訳ありませんが何か違うんです。
なお本全体を読んだ感じだと、彼女のなかにloveは存在しています。特にセラピストの坂本先生やP69に出てくる「同じ世界に居る」人に向けられた気持ちはどう考えてもloveでした。ただ表出方法が普通の人と違うだけです。そう考えると一般的な言語であるloveという言葉に当てはめるのは適当ではないかもしれません。同様の理由でlikeも適当ではありません。
内容の詳細については直接読んでいただきたいので書きません。手記の内容は超ブログといったような感じで精神力を絞って泣いて泣きながら書いたことが推測されるような大作です。P80-81の障害者センター見学の様子は感動的でした。
もう1点だけすごく気になったところを引用します。
わたしが最も印象に残っているものは「あなたは自閉症とはどういうものだと考えていますか?」という質問です。私は暫く考えて、「自分の事も他人の事も解らない」と答えました。咄嗟に答えた事ですが、今も正にこれがASDの本質だと、私は思っています。
わたしは未だに何故家を出たのかわかりません。もう3か月も経ちましたが総括に至っていません。人に説明できたことがありません。言いたくなくて言ってないのではないのです能力的に言えないのです。置いて行かれたこどもにとっちゃひどい話ですが理由もわからずとにかく出ました。
自分も他人も解らない。これが本質であることには疑いが全くありません。なんでみんな「~~~だからさ!!!!」って明確に理由説明できるん?そして理由を他人にも求めるん?
まともに解説できなくてごめんなさい
(追記)参考書籍
Lobinさんは「仮面」を使って生きていたと告白しています。他人にとって理解されないであろう自分を覆い隠し、生きていく上で必須の社会性を自動化させるためのツールです。「仮面」の元ネタはこれです
わたしも身に覚えがあり過ぎるのでこれも読んでみないといけません。
Lobinさんが好きだったというねこぢるの作品です。前から思っていましたがこれは自閉症と親和性の高い作品です。うちにもありましたがこどもに良くないという理由で廃棄しました。もう一度読みたいです。
なぜよくないかというとねこぢるは首をつって自殺しました。夫の手記です
この表紙私も好きです。読んでみたい。
自閉症作者による本は「変光星」と「動物感覚」「自閉症だったわたしへ」を読んだことがあります。
子供のころ、私は自分が自閉症じゃないかと思っていたのですが、今になってみると家庭環境による情緒障害だったのかと思います(>_<) 周りとの違和感というか、孤立感というかそういう部分に共感しながら読んだ思い出。
3冊とも読んだことないです。特に前の2つは今まで知らなかったので覚えておきます。
リコリコさんは血へどを吐くような訓練で幼少期を乗り切っておられますので、周りと合わなかったことは想像できます。
苦しかったと思います。