Wadada Leo Smith – The Great Lakes Suites (2014)


★★★★☆
2014年特集その5。フリージャズの生ける伝説らしい、ワダダ・レオ・スミスの新譜2枚組。フリージャズなるものは、初めて聴いた。ピアノなしのサックス・トランペット・ベース・ドラムの4人編成で、全員が適当に吹き鳴らしてるだけにしか聞こえない!一応五大湖ということでミシガン湖・オンタリオ湖などの曲名がついているものの、わっかんねえっす。
しかし全員演奏は上手で、破綻は全くしない。特にドラム、ベースはすごい。リムショットだけで2分くらいポコポコ叩きまくる。ベースも狂ったように弾きまくるシーンが何度もある。一番良いと思ったのは1枚目3曲目のスペリオル湖。この手の曲は馴染みがないけど、ドラムとベースがズイズイ引っ張りまくってるのが分かる。なんか良くわからないけど試合が終わってみたら11対0でした。


Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – Symphony No.7(CD9,10の一部)

小澤征爾: マーラー交響曲全集 14枚組
★★★★★
化けた化けた!初めから聞いてきた甲斐があった。
この交響曲7番にして初めて、無調で不安定な和音展開が頻発するようになった。この無調の導入が、いままで単にダサいだけだった彼の曲に、スパイスというか、ワサビ的な役割を果たしている。ただ生臭いだけだった寿司にワサビを投入して音のメリハリがはっきりし、私のような聴衆によく訴えるようになった。気が付くと20分超の長大な曲が終わっている。第一楽章では弦が唸る唸る!さすが小澤さんだ。第二楽章は序盤が木管無双で、クラリネット好きの私にとってうれしい展開。Nachtmusik(夜曲) というタイトル通り夜を思わせ、美しい。第五楽章は賛否両論あるらしいけど、私は好きです。そんなにどんちゃんしてるかなぁ。

ersterbendを境に音楽は「天上界」に至るという解釈から、第5楽章を「天上の祭典」と見なす説もある。

という解釈が一番しっくりくる。第7番がマーラーの交響曲の中で一番人気が無いらしい。私は現時点では一番好きです。


Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – Symphony No.6(CD4,5の一部)

小澤征爾: マーラー交響曲全集 14枚組
★★★★☆
長大曲で退屈と感じる部分が消滅した。20分超の楽章がいくつかあるが冗長さを感じなくなった。打楽器に特徴があり、カウベル?や謎の鐘が数カ所に登場する。第一楽章にはダサカッコいいフレーズが多数登場し、ドイツ魂を感じさせる。静かな第三楽章もよい。第四楽章が最も盛り上がるがやはり前作と同じく、ドラムロールに金管の乗っかる軍隊調だ。しかしこんなにポンポン曲調が変わるんだから、いずれの部分にも作者にイメージがあったに違いない。詳細な解説テキストを読むと理解が深まるのかもしれない。良くなってきたがまだまだ彼の曲に乗れない。次作にも期待。


Aphex Twin – Syro(2014)


★★☆☆☆
テクノ界の巨匠、13年ぶりの新作。みんなが待ちに待ったAphex Twin。2014年内のエレクトリック系CDの中でも断トツの人気トップ。期待高まる。
でも、、ごめんなさい。私、この人の作る音が苦手なの!昔からそうなの!Selected Ambient Worksも、Richard D James Albumも、なんか受け付けないの!このアルバムも例外じゃないの!
1曲目の冒頭のビートで少しドキドキするも、シンセ音、パーカッション、ベース、それらの音の使い方が神経に合わない。2曲目XMAS_EVET10も10分間拷問の思いでした!辛うじて聴けるのは、ヒップホップと融合した3曲目Produk 29、わりとポップな9曲目タイトルチューンSyroぐらいか。ラストのピアノ曲Aisatsanaも哀愁そして優しさ成分が弱すぎ!に感じた。リンク先でレビューの人の言ってる「わずか数分の間にこれほどの情報量をもちこみ、かつそれらの膨大な要素が違和感なく溶けあっているよう」とか「独特の匂ってくるようなハーモニーセンス、そして強烈な牽引力を持った曲展開力」とか「精神の機微の様なものが感じられる」とか全然わからなかった。わたしゃ感性が死んでるのかね。


Opeth – Pale Communion(2014)


★★★★★щ(゚д゚щ)
2014年特集その3。
オーペスはスウェーデンのプログレッシブメタルバンド。デビュー当時はデスヴォイスでぶいぶい言わせていたらしい。私はこのアルバムで初めて知った。
デス、メタル要素は皆無。やや古めの音の使い方を基調とし、近年の録音レベル・音圧上げ過ぎのメインストリームなロックとは一線を画す。プレイヤーの音量を2割上げる必要がある。北欧らしい哀愁と透明感、内に秘めた熱さを十分に感じさせる素晴らしいアルバムだった。まず2曲目Cusp Of Etenityがすばらしい。後半のギターソロから始まる展開部分は燃え燃えです。ハモンドオルガンとメロトロンに上手なギター、何故か中東的な響きのメロディーなんて燃えるに決まってる。3曲目Moon Above, Sun Belowもどことなく懐かしいメロディーがイケてる。一番ヒットしたのは6曲目River。プログレとカントリーが見事に融合してます。で、後半に中東風メロディーを混ぜたダブルギターソロから始まる大展開部分が最高。ドラムも上手いね。何故か日本風な部分もある。全体的にレベル高し、初期の作品も聞いてみようと強く思わせるバンドだった。今年の大ヒットトップバッターはこれ。


Clark – Clark(2014)


★★★☆☆
去年、Clarkさんの新譜が出ていた。チェックできていなかったのは不覚だった。
しかし、これは、、ドキドキしない!!なぜ!!??凡庸な4つ打ちテクノが多い。Unfula, Sodium Trimmerは辛うじて聴けるが、あとはあまり心奪われない。もっとハートを動かせてくれよ!!
私が電子音楽に求めるのは、高揚、焦燥、悲哀、狂気、独創性、そしてなによりもドキドキするかどうか。これが欠けていてはいけません。


beatmania IIDX 21 SPADA ORIGINAL SOUNDTRACK Vol.2 (2014)


★★☆☆☆
2015年になったので、しばらくの間2014年の話題盤、気になった盤を中心に聴きます。
同作のボス曲と移植曲が中心の2枚目。アニメ声のヴォーカル曲も少量含まれるものの、ハードな曲が中心で非常に好ましいのだが、パンチのある曲がぜーんぜんない。新規アーティストに魅力を感じられない。そこそこ聴けるのは古参の人の曲ばっかり。
Eagle – Hypersonik ※序盤の空気感といつも通りの上手な展開
Vivian – Shattered control ※薄まった現代音楽の香り、ピアノ次第でもっと化ける
劇団レコード – Pharaoh ※昭和ダサ
sampling masters MEGA vs 青龍 – VOX UP ※CS版の昔の曲の再録
DJ TECHNORCH – 廿 (Extended 甘 Version) ※Vol.1にもある
L.E.D. – EXTREME MACH COLLIDER-FULL SIZE MIX- ※Vol.1にもある
以上を除いて、すべて残念賞。がっかり。音ゲー漬けだった昔の追憶と、日本のアーティストの電子音楽を聞きたい、という2点から、時々思い出したようにチェックしていたけど、自分が随分と変わってしまった。いい年なので音ゲーのCDを手に入れるのはやめにしよう。もう恥ずかしくて買えない。
しかしアニメ声ってどれも同じだよな。なんで若い子はあれが好きなんだろう。いつも同じだと安心するのかな。「俺の…戻ってくる場所がある…ここが俺のベストプレイス」と思えるんだろうか。私が戻れる場所があるとしたら昭和(自分が生まれるより前)のダサい曲とドイツ(自分が生まれる2世紀前)のダサい曲だな。


Enrico Pieranunzi – No Man’s Land(1989)


★★★★★╭( ・ㅂ・)و ̑̑
うわーすげぇなあ。前作に引き続き大ヒットだった。まずタイトル曲No Man’s Landが泣きの超名演奏で、ベースソロも素晴らしい。4曲目Blues In CはどこらへんがCなのか分からないくらい発散しているが緊張感と優れたインプロが充満した傑作、5曲目Land Breezeも吹っ飛ばされそうなテンションコードの連発とかっこええドラムソロが交錯するヒット、7曲目My Funny Valentineは前作のSomeday My Prince Will Comeのように意表を突かれる即興まるけの長い前フリが実に優れている。マジで何なのこの人。


Red Garland – Groovy(1957)


★★★★★
レビューでも言われているけれど、ジャズの教科書、というのがしっくりくるアルバム。レッド・ガーランドさんは軽快かつ、やさしいやさしい音を出す。派手さ、革新性はないが非常に聴きやすい。万人に受け入れられる音だろう。疲れたときに戻ってこれる場所、といったような演奏だ。3,5曲目で聞けるウッドベースを弦を使って普通に弾く奏法(何て名前なんだろ?)は他に無いような音が出ていて、引き込まれる。


Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – Symphony No.5(CD8)

小澤征爾: マーラー交響曲全集 14枚組
★★★★☆
作風が勇ましいものに変わった。スター・ウォーズのような金管バリバリの第一楽章、過剰なくらいの盛り上げの第二楽章などなど、派手めの曲が続き、第四楽章でようやくメロディーがいい感じの曲がやってきた。歌曲以外では初の比較的そそられるメロディーだ。最終第五楽章も牧歌的ながら悪くない。1楽章あたりの長さも最大で18分程度となんとか聴けるサイズだった。このあたりからマーラーの本気が始まるのか。