CDレビュー: Yes – Yes(1969)


★★★★★
プログレバンド、イエスの1stアルバム。イエスのアルバムは今まで5枚目のClose To The Edgeしか聞いたことがない。しかしこのファーストアルバム、方向性が見えにくいとはいえ、しょっぱなからレベルの高い作品を完成させている。何がすごいってドラムスです。ドラムなのに歌っている。右に左に揺れ動くドラムス。ジャズでもなかなかないです。ただの16分連打が迫ってくる様子を想像できますか?ヴォーカルも非常に抒情的で澄んだ声ですよね。2曲目I see you、5曲目Halord Land、ラストSurvival、この3つが◎。ちなみにセールスは鳴かず飛ばずだったそうな。

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The Rough Guide to Flamenco (1997)


★★★★☆
フラメンコといっても、カスタネット鳴らしてオーレ!って叫んでるだけではない。スペインは昔ウマイヤ朝が存在していたこともあり、ヨーロッパでも異色のイスラム色が非常に強い音楽が特徴だ。っていうかここはどこの中東だ!?って曲ばっかりだった。手を叩いてリズムを取る曲はベドウィンの音楽と同じだし、男のアアーーーアーアーーーアーーーって叫びはまんまコーランだ。しかしヨーロッパのスパイスも効いており、ギターはカッコ良い。こんな曲ばっかり流れてれば情熱的になるよラテン系。おすすめはテンポも展開も気持ちよすぎる2曲目Mi tiempo、観客と歌い手の熱気だけがすべての4曲目Buleria de la mocita、とてつもない歌い手の声の伸びが聴ける8曲目Y yo que culpa tengo。後半ちょっとだれてくるので星は-1とした。


Enrico Pieranunzi & Paul Motian – Flux And Change (1992)


★★★★★
ピアノとドラム2人だけのライブ・アルバム。ベースがいないので真ん中に吹き抜けができたような不思議な空間が広がる。面白い。大きく3つのセッションに分かれており、1つ目は不気味で捉えどころのない即興が中心。たまに Someday My Prince Will Come のようなスタンダードナンバーを混ぜる。2つ目がもっとも聞きやすく、心地よい。ピエラヌンツィさん作曲のSweet Little Swan が最高だ。二人ともめちゃんこ上手。


Miles Davis – Bag’s Groove(1957)


★★★★★
ジャズ100枚の6枚目。マイルスさんは、息を超圧縮したような音が特徴です。禅トランぺッター。1音1音の後で常に多くを考えているような、そんな感じが伝わってくる珍しい演奏者だと思います。ちょっと諧謔気味のタイトルチューンでは、7分あたりからピアノがありえないソロをかましてくれます。誰なのかと思ったら、セロニアス・モンクだそうです。この人もすごい。アルバム中の他の曲では3,5,7曲目がとてもよい。


Great Pianists of the 20th Century Vol.01 – Geza Anda (CD2)


★★★★★
2枚目はモーツァルトのピアノ協奏曲とショパンのワルツ。両方とも、いい意味で安定した演奏だ。感情の出し過ぎにならず、かといって平坦ではない。時々びっくりするような揺らぎを聞かせてくれる。有名なショパンの子犬のワルツも収録されていて、この曲は大抵のピアニストが爆速で弾いてしまうところを、ワルツの形がはっきり出るテンポまで敢えて落として演奏しているのには驚いた。バランスの取れた優れたピアニストだった。


Great Pianists of the 20th Century Vol.01 – Geza Anda (CD1)


★★★★★∩( ✧Д✧)∩
Great Pianists of the 20th Century – Wikipedia, the free encyclopedia のシリーズを聞いていきます。その名の通り20世紀の名ピアニスト全集です。すべて2枚組の100シリーズ、計200枚。いつになったら聞き終わるのか。
1番目はアンダ・ゲーザ(1921-1976)、ハンガリー出身のピアニスト。1枚目は同じくハンガリー出身の作曲家、ベーラ・バルトークのピアノ協奏曲、全3曲。熱い!熱過ぎる!同じハンガリー出身だからなのか、ピアノの気合の入り方が半端じゃない!バルトークの曲は現代の作家だけあって不協和音入りまくり、意地でも伝統と違う革新性を目指そうとする執念が見て(聴いて)取れる。特に第1番。複雑すぎて私には難しいが、熱気がとてつもない。何故か、1番→2番→3番の順で意味不明さは薄れていく。年を取ったことでバルトークさんも丸くなったのか?最も良いと感じたのは、2番。第1楽章の序盤からもうドキドキの連発。テンションコードが多用されていて、まるで超人ジャズを聞いているかのようだった。オーケストラは特に木管のズレが目立つが、ピアノにつられたのかド迫力の演奏を聞かせてくれて、多少の粗っぽさは気にならなかった。1枚目からビッグな大当たりで、これはもう全集を揃えるしかないか。


CDレビューインデックス 2015(随時更新)

※この記事は古くて見づらいので、次の記事を参照してください。rokujo.hatenadiary.com
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2014年度はこちら
2015-04-25まで

クラシック

一覧

  • Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – The Symphonies, Kindertotenlieder

2015-01-02 Symphony No.5(CD8) ★★★★☆
2015-01-10 Symphony No.6(CD4,5の一部) ★★★★☆
2015-01-12 Symphony No.7(CD9,10の一部) ★★★★★
2015-01-24 Symphony No.8(CD11,12) ★★★★★
2015-01-26 Symphony No.9,10(CD13,14) ★★★★☆

  • Great Pianists of the 20th Century

2015-02-05 Vol.01 – Geza Anda (CD1) ★★★★★
2015-02-06 Vol.01 – Geza Anda (CD2) ★★★★★
2015-02-28 Vol.02 – Martha Argerich I(CD1) ★★★★★
2015-03-02 Vol.02 – Martha Argerich I(CD2) ★★★☆☆
2015-03-24 Vol.03 – Martha Argerich II(CD1) ★★☆☆☆
2015-03-26 Vol.03 – Martha Argerich II(CD2) ★★★★☆
2015-04-20 Vol.04 – Claudio Arrau I (CD1) ★★★★★
2015-04-21 Vol.04 – Claudio Arrau I (CD2) ★★★★★

  • 111 Years of Deutsche Grammophon

2015-02-16 Johannes Brahms, Claudio Abbado(cond,), Vienna Philharmonic Orchestra(orch.) – 21 Ungarische Tanze (Hungarian Dances) (CD1) ★★★★☆
2015-02-17 Ludwig Van Beethoven, Amadeus Quartet – String Quartets Op. 59 No. 1, Op. 131 (CD2) ★★★★★
2015-03-13 Morris Ravel, Daniel Barenboim(Cond), Orchestre de Paris(Orch) – Boléro, La Valse, Pavane pour une Infante défunte, Daphnis et Chloé, Suite No. 2 (CD4) ★★★★★
2015-03-15 Leonard Bernstein(Comp + Cond), Jose Carreras, etc – West Side Story: Highlights (1985 Studio Recording) (CD6) ★★★★★
2015-04-05 Mozart, Karl Böhm (Cond), Vienna Philharmonic Orchestra : Requiem (CD7) ★★★★★
2015-04-07 Igor Stravinsky, Pierre Boulez (Cond), The Cleveland Orchestra : Petrouchka; Le Sacre du Printemps (CD8) ★★★★★

  • 75 Jahre Donaueschinger Musiktage 1921-1996

2015-02-13 Paul Hindemith, Igor Stravinsky, Ernst Krenek, Kurt Weill, Hans Haass (CD1) ★★★★★
2015-02-25 Arnold Schoenberg, Alban Berg, Roman Haubenstock-Ramati (CD2) ★★★☆☆
2015-03-11 John Cage, Alois Hába, Dieter Schnebel, Paul-Heinz Dittrich, Friedrich Cerha (CD3) ★★★★★
2015-03-22 Luciano Berio, Rolf Liebermann, Cristobal Halffter, Igor Stravinsky (CD4) ★★★★★
2015-04-02 Henri Pousseur, Mauricio Kagel, Rolf Riehm (CD5) ★★★★★
2015-04-16 Brian Ferneyhough, Mathias Spahlinger, Hans Zender, Hanspeter Kyburz, Pierre Boulez (CD6) ★★★★★

ジャズ

一覧

  • ジャズの100枚シリーズ

2015-01-02 Red Garland – Groovy(1957) ★★★★★
2015-02-07 Miles Davis – Bag’s Groove(1957) ★★★★★
2015-02-19 Wes Montgomery – Full House(1962) ★★★★☆
2015-03-04 Thelonious Monk – Thelonious Himself(1957) ★★★★☆
2015-03-16 Miles Davis – Cookin’(1957) ★★★★★
2015-03-27 Wynton Kelly – Kelly Blue (1959) ★★★★★
2015-04-08 Modern Jazz Quartet – Django (1956) ★★★★★
2015-04-22 Kenny Dorham – Quiet Kenny(1959) ★★★★★

  • Complete Remastered Recordings on Black Saint & Soul Note シリーズ

2015-01-03 Enrico Pieranunzi – No Man’s Land(1989) ★★★★★
2015-02-09 Enrico Pieranunzi & Paul Motian – Flux And Change (1992) ★★★★★
2015-02-20 Enrico Pieranunzi Trio & Ada Montellanico – Ma L’amore No (1997) ★★★★☆
2015-03-17 Max Roach & Anthony Braxton – Birth And Rebirth (1978) ★★★★★
2015-03-28 Anthony Braxton – Four Compositions (Quartet 1983) (1983) ★★★☆☆
2015-04-09 Anthony Braxton – Six Compositions (1984) ★★★★★
2015-04-24 Anthony Braxton – Six Monk’s Compositions (1987) ★★★★★

  • その他

2015-01-14 Wadada Leo Smith – The Great Lakes Suites (2014) ★★★★☆
2015-01-15 David Virelles – Mboko (2014) ★★★★★
2015-01-27 Norma Winstone – Dance Without Answer(2014) ★★☆☆☆
2015-01-29 Django à la Créole & Evan Christopher – Live! (2014) ★★★★★
2015-03-06 PRISM – 1977 Live at Sugino Kodo (2004) ★★★★☆

プログレッシブロック

一覧

  • Allan Holdsworth

2015-01-31 Allan Holdsworth – Metal Fatigue(1983) ★★★★☆

  • Yes

2015-02-12 Yes – Yes(1969) ★★★★★
2015-02-24 Yes – Time And A Word(1970) ★★★☆☆
2015-03-09 Yes – The Yes Album (1971) ★★★★★
2015-03-20 Yes – Fragile(1971) ★★★★★
2015-03-31 Yes – Close To The Edge(1972) ★★★★★
2015-04-14 Yes – Tales From Topographic Oceans(1973) ★★★★★

  • その他

2015-01-07 Opeth – Pale Communion(2014) ★★★★★
2015-01-16 Logos – L’Enigma Della Vita (2014) ★☆☆☆☆
2015-01-19 IQ – The Road of Bones (2014) ★★★★☆

ロックなど

一覧

  • Slayer

2015-02-04 Slayer – Hell Awaits(1985) ★★★★★
2015-02-14 Slayer – Reign in Blood(1986) ★★★★★
2015-02-26 Slayer – South of Heaven(1988) ★★★★★
2015-03-12 Slayer – Season In The Abyss(1990) ★★★★★
2015-03-23 Slayer – Divine Intervention(1994) ★★★★★
2015-04-03 Slayer – Diabolus in Musica(1998) ★★★★★
2015-04-17 Slayer – God Hates Us All(2001) ★★★★★

電子音楽

非常に良かったもの(良かった順)

Flying Lotus – You’re Dead! (2014)

一覧

2015-01-05 beatmania IIDX 21 SPADA ORIGINAL SOUNDTRACK Vol.2 (2014) ★★☆☆☆
2015-01-06 Clark – Clark(2014) ★★★☆☆
2015-01-08 Aphex Twin – Syro(2014) ★★☆☆☆
2015-01-17 Andy Stott – Faith In Strangers (2014) ★★★★☆
2015-01-21 Flying Lotus – You’re Dead! (2014) ★★★★★
2015-02-02 Brothomstates – Claro(2001) ★★★★☆
2015-04-16 SLK-9888.sys – Mt.FUJI EP ★★★★★

ワールドミュージック、その他

Slayer – Hell Awaits(1985)


★★★★★ フオオオ(((卍(^ω^)卍)))フオオオ
3rdばかりが伝説になったバンドだけれど、2ndもすごかった。1曲目タイトルチューンHell Awaitsは、その演奏は粗削りを通り越してずれまくりの下手なんだけど、それを覆い尽くすくらいのエネルギーがあった。ギターだけでこんなに禍々しさが出せるもんなんだなぁ。1-2-3と早いし速いし曲調もバンバン変わるし飲み込まれること間違いなし。ラストHardening Of The Arteriesも信じられないようなリフを連発されるし参りました!!!ロックの限界突破を見せつけてくるアルバム。


Allan Holdsworth – Metal Fatigue(1983)


★★★★☆
アラン・ホールズワースの最も人気のあるアルバムだと思われる。やはりジャンル分けを拒む音楽だ。ジャンル:アランでいいだろう。コードワークとギターの変わったメロディーラインは馴染みのあるようなないような領域を行ったり来たりしている。5曲目The Un-Merry Go-Roundは14分と大曲だが、いくつかのパートに分かれているため、実質数曲を1トラックに収めたような感じだ。この曲の前半がこのアルバムで一番良い。しかし、彼自身のオリジナリティはあるものの前2作とあまり違いがなく、新しい試みがあまり見られないように感じた。アラン節が好きな人にはたまらないと思うけれど、自分は好きでも嫌いでもない、という領域をなかなか出ない。やはり瞑想ロックなので、どちらかというと高揚する曲(EDMのような上げ過ぎなものは嫌)が好きな自分にとっては、グッとくる成分がもう少し欲しい。