書籍レビュー: 優れた歴史入門書『砂糖の世界史』 著: 川北稔

★★★★★

20冊セレクトした岩波ジュニア新書の中から、1冊目を読みました。

 

砂糖にはじまり世界システムに至る

本書は前評判通り、優れた歴史入門書でした。砂糖という不思議な食べ物が価値を持ち「世界商品」となり金の成る植物と化してから、ヨーロッパ諸国がプランテーション用の植民地を奪い合う数々の戦争の原因となったり、プランテーション用の労働力として連れてこられた奴隷たちが今日の中米の人口分布を形作ったり、様々な歴史の「熱量」と呼ぶべき物語が紡がれていく様子は、驚くべきものでした。世界の歴史を「砂糖」という側面から覗いてみるだけでも、数えきれないほどのドラマが込められているのです。ダイナミックでエキサイティング。欲を言うなら、あと2倍の紙面を使って欲しかったですね。

経済を通して世界が結び付く

この本から学んだ収穫は2つあります。1つは、近代の大きな歴史の流れは必ず経済と共にあること。金の流れが支配の構造を生み、また対立の原因となって戦争に至ります。

2点目は「世界商品」が世界の大きさを小さくすること。全世界で売れる商品は流通を活発化し、コストを下げるためにあらゆる工夫がされ、国々の距離を縮め、関係を密にします。まだ飛行機のなかった時代に、イギリスではインド産の茶に中米産の砂糖を入れて一般民衆が飲んでいました。世界を股にかける出来事です。

いま世界商品と言うと、例えばiPhoneが相当するでしょうね。世界中で売れる価値を手にしたものが世界を征服するのは、昔も今も変わりません。

 

 

参考文献

川北さんが本書を執筆するにあたり、参考にした手法はウォーラーステインの「世界システム論」です。私もいつか読んでみたいと思っていた本でした。

近代世界システムI―農業資本主義と「ヨーロッパ世界経済」の成立―

近代世界システムI―農業資本主義と「ヨーロッパ世界経済」の成立―

 

って、訳したの本人じゃん!!!!気付かなかった。

 

 類書。

チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 (中公新書)

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次はこれを読んでみたいな。

歴史とは何か (岩波新書)

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岩波新書は、読みたいものを古いものから順にセレクトしまくっている最中です。いずれ記事にします。


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