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大ベストセラーの評判通りの良書
本書は世界で3,000万冊、日本でも180万冊売れている書だそうです。私は人生哲学・自己併発系の書籍を読むのは初めてです。win-winという言葉は代ゼミの講師が良く利用していたので聞いたことがありましたが、この本が発祥だそうです。
560ページとかなり長いですが、ごく一般的な言葉で書かれていますのでスラスラ読めます。というより、引き込まれてしまって止まりません。
手段より原則が大事である
この本で繰り返し述べられるのは「原則の優位性」です。「公正さ」や「誠実」「正直」などの原則は世代や地域を超えて存在します。原則を鋭くえぐった古典が生き残り、世界中で読まれる理由はそこにあります。これらの原則に従って行動し、思考し、生きることの合理性・優位性について何度も言及され、小手先の手段で物事を取り繕う「個性主義」の無意味さを説きます。原則に従うことは、短期的な即効性はないが長期的に必ず利益を得る、という特徴があります。そしてこの「原則」に従うための具体的なパラダイムを、「7つの習慣」というトピックに分けて説明していきます。
第一、第五の習慣に感銘を受けた
詳しい内容を説明するのはおこがましいので、詳細は自分の目で読んでいただきたいです。以下は、私の感想です。
私が特に感銘を受けたのは第一、第五の習慣についてです。まず第一の習慣「主体的である」のポイントは、「自分が自分の責任を引き受ける」ということです。
私は数年前、発達障害であると医師に診断されました。いわゆるアスペルガー症候群です。最近基準が変わり、自閉症スペクトラムの一種であるということになりました。診断がついた時、自分はそれらの基準に良くあてはまることは納得しつつも、だから何なんだよ、私は私だよ、他人が私のことを規定するんじゃないよ、という大きな反発が自分の中に生まれました。
決定論が大嫌いになりました。決定論の中でも特に「○○だからしょうがない」「××だからできるわけがない」という論理が嫌です。アスペルガーを含む自閉症スペクトラムは他人の感情を想像することができないと言われています。例えばwikipediaを見てみましょう。
アスペルガー症候群 – Wikipedia
空気を読むことが出来ない、会話が一方通行になりがち、あいまいな指示が理解できない、白黒はっきりつけたがる、一般人の持つ常識が備わっていない
心の理論の欠如
彼らにとって「行間を読む」ことは、困難ないし不可能である。
なんだか絶望的ですね。アスペルガー症候群は国の後押しもあり有名になったので、決定論的に次のような考えをする人間が増えました。
アスペルガーは死ね!2(1ページ) – 2ログ
しかしながら、発達障害というのは「発達が遅れている」ということであって、「発達できない」というわけではありません。努力すれば克服できないわけではありません(確率は低いけれど)。
前置きが長くなりましたが、「主体的である」という章では、ざっくり言えば「環境、他人などに原因を押し付けるのは間違っている。あなたの人生を決めるのはあなたである。責任はあなたにある」ということを説きます。
極端な例を出せば、家族が亡くなって悲しいとします。しかしその悲しむという選択をしているのはあなたです。究極の自己責任論です。そしてすべての責任を引き受けることができれば、自ら変わるという選択をすることができます。
これは胸にすとんと落ち、なおかつほっとする考え方でした。自閉症スペクトラムはほぼ遺伝的要因で決まるので、診断当初は自分の境遇を恨むこともありました。どうせ自分にはできないから、と投げやりな気持ちになることが多くなりました。しかし決定論に屈すれば、成長はありません。「私は私だ」という押さえつけられた気持ちを止めることはできません。私は規定された存在ではなく、努力で如何様にもなれるはずだ、という反発を根底とした気持ちは、この章を読むことにより根拠づけられました。とても嬉しいことです。
第五章は「まず理解に徹し、そして理解される」というテーマです。この章も第一章と大きくリンクしています。ポイントはタイトルそのままで、相手を理解しなければ、他人に理解されるわけがない、ということです。特に、家族間の問題に対しての効果が大きな章です。
「自叙伝」の有効性のなさについて再三警告がなされます。他人は自分と境遇・考え方・発達段階が異なることが前提です。他人に「自叙伝」を押し付け服従させようとする試みは、たとえそれが正しいことだとしても、失敗します。なぜなら、第一章で言及がある通り、人間は自分が選択することによってしか変われないからです。これは実感と極めてよく一致します。したがって、相手を理解することなしに自分を理解してもらうことは不可能です。
実践している人がいる
さらにこの本を読んで驚いたことは、日ごろ読んでいるサイトや最近読んだ本に実例があった、ということでした。
まずこの人です。
少し前から感銘を受けて読んでいる投資ブログです。必ず長期的に利益を得る「原則」に従って、30年先を見据えて鉄壁の心で順守し行動する、ブログにより他人とのコミュニケーションを図りどんな意見でも聞いて自分に取り入れシナジー効果を図る、という手法は、完全にこの本と一致します。たぶん、読んでいるのでしょう(読んでいなかったらもっとすごいです)。
さらに、この本の内容とも一致しました。
セブンイレブンでは優れた電子端末の力を利用し、アルバイト人員自らが在庫を管理し工夫を重ね、自分たちの力で売上を増やしていく仕組みを作りました。鈴木氏を頂点としたトップダウンの仕組みも大きいですが、基本は現場の人間が自ら考えて行動する、細かい積み重ねがベースとなっています。
この2つに共通するのは、共に大きな利益を上げていることです。ゆうゆーさんはすでに資産が2.77倍になっていますし、セブンイレブンは業界ダントツ1位の収益率です。
今後も長期にわたって効果が続けば、「7つの習慣」の有効性はさらに揺ぎ無いものとなるでしょう。
(2015/07/26追記)日を追うごとにこの本の有効性が実体験的に証明されていくので、評価を上げました。