書籍レビュー: 鋭く的確な現場の目 『福島第一原発収束作業日記: 3.11からの700日間』 著: ハッピー

★★★★★

現場の目から見た福島第一原発事故

著者は原発作業に20年以上従事している大ベテラン作業員です。東電と交渉している記述も見られますので、作業員を束ねるチームリーダー的な立場で働いていると思われます。この書籍は彼が事故直後から現実にtwitterで書き込んでいた内容ほぼそのままで構成されており、資料価値の高い書籍です。twitterからいつアーカイブが無くなるかについての保証はありませんから、このような形で現場の声が残ることはとても貴重なことでしょう。

鋭い視点、的確な分析、ちょっと変わった口調

著者の分析力の高さは見事です。今行っている作業の非効率性と本来行われるべき対処方法を必ずセットで書きます。また社会の変化により予想される福島への影響、東電や政府のコメントの裏の意味、全て筒抜けです。

例えば2011年の時点で「今行われている作業は全て仮のものであって、ホースや継手などはすべて耐用年数が低い。必ず耐用性の高いものに取り換えなければならない。でなければすぐに劣化して汚染水が漏れるなどの被害が出る」と予告しています。この後、何度も何度も汚染水流出のニュースが流れることになります。。

「でし。」という語尾や顔文字を多用しています。本という体裁からすると若干抵抗を覚え、慣れるまで時間がかかります。しかし読んでいれば著者はごくまっとうな文章が書ける人であることは推測できるので、twitterというメディアの特性上仕方ない、と割り切るしかないでしょう。

2年後の原発は?

内容についてはこれ以上詳しく書きません。読んでください。これ以後は、原発事故のその後についての私なりの補遺です。

本が出版されてから2年。ハッピーさんはまだtwitterでの発信を続けています。

2014年末で現場からは身を引くことになったそうです。

 

フォロワーは出版時は7万人、いま8.6万人(私も今日その1人になりました)です。出版後、2倍くらいになったのではと思っていましたがそれほど増えていません。2013年時点での関心の低さがうかがわれます。

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https://www.google.co.jp/trends/explore#q=%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E7%99%BA

こちらはgoogleトレンドによる「福島第一原発」の人気度です。原発事故直後を100とすると2013年は3、いまは2です。2013年の時点でもうほぼ完ぺきに忘れ去られています。人の噂は75日といいますが本当ですね。

肝心の原発収束の様子ですが、一番マシだった4号機の燃料取り出しのみが2014年末に完了しています。

東電による予定は以下の通りです。

号機別のスケジュール(改訂後)

  燃料取り出し 燃料デブリ取り出し
現行目標 2013年12月(初号機) 2021年12月(初号機)
1号機
(最速プラン=プラン2)
2017年度下半期 2020年度上半期
(1年半前倒し)
2号機
(最速プラン=プラン1)
2017年度下半期 2020年度上半期
(1年半前倒し)
3号機
(最速プラン=プラン1)
2015年度上半期 2021年度下半期
4号機 2013年11月
(1ヵ月前倒し)

                           平成25年6月27日 廃炉対策推

 https://www.jaero.or.jp/data/02topic/fukushima/status/kouteihyou.html

4号機の予定ですら1年以上遅れていますから、1-3号機については2021年に終わるとはまったく思えません。これから作業員の確保はより厳しくなりますし、ハッピーさんのような優秀な作業員もどんどん辞めていきます。

 

2015年5月30日のニュースです。2013年じゃないですよ。

本書で指摘されている賃金低下による人手不足も、さらに深刻になっているようです。被爆上限を2.5倍に引き上げる改正案が今年に出されています。 www.nikkei.com

マイナンバーの施行により、作業員の確保はさらに大変になりそうですね。本書でも言及されている通り、原発業界を含む建設業界は過去持ちが多いですから、事情があってマイナンバーを持てない人間は従事できなくなるんじゃないでしょうか。

 

現在福島第一原発から海に放出されている放射性物質は

トリチウム 150億Bq/日

ストロンチウム90 27億Bq/日

セシウム137 12億Bq/日

セシウム134 4億1000万Bq/日

です。累計ではなく1日の値です。

毎日、海に流出している放射性物質の最新評価値 | 原発事故 | OSHIDORI Mako&Ken Portal / おしどりポータルサイト

復興予算も適当に使われています。

復興予算、9兆円使われず 11―13年度、需要とズレ:朝日新聞デジタル

除染が住んでいないのに無理やり帰宅させる方針も以前と変わりません。

東電はどうなった?決算資料から読み解く

せっかくなので、絶対投資対象になりそうにない東電の決算資料を読んでみます。

東電は2014年3月期、2015年3月期と大幅黒字です。あと5年で赤字を全て取り返してしまいそうな勢いです。なお、自己資本比率は去年の時点でプラスになっています

http://www.tepco.co.jp/ir/data/images/zaimu_il01.jpg

財務ハイライト|企業情報|東京電力

昨年度にプラスに転じた理由は、「原子力損害賠償支援機構資金交付金」が9,689億円特別利益に計上されているためです。なんじゃこりゃ?

http://www.tepco.co.jp/ir/tool/setumei/pdf/140430setsu-j.pdf

原子力損害賠償・廃炉等支援機構というのは、原発事故を受けて官民合同で作った(という建前の)賠償専門の機構の組織だそうです。政府が金を調達して、東電に流すための機構です。

原子力損害賠償・廃炉等支援機構 – Wikipedia

支援金は既に5兆円を超え、今でも毎月数100億~1000億円程度注入しています。今年度も支援金だけで当期純利益の2倍近い8,685億円の特別利益を計上しており、東電の黒字はまやかしです。国に頼めばいくらでも黒字を増やせるなんて詐欺同然ですね。いま粉飾決算でボロボロの東芝が喉から手が出るほど欲しい仕組みでしょう。国は東電の大株主なので、利益を上げて株価を上げたいんでしょうけど。。

今後も廃炉に向けて1基1兆円(で済むかどうかは疑問)の費用を見込んでおり、資金注入は当分の間続くと思われます。

政府の金の調達方法は国債と政府保証債権が半々です。このうち政府保証債権については毎年2,000~5,000億円という巨額のローンの入札が年2回ほど行われており、銀行がこぞって群がっています。金利は0.1%程度と低いですが、1年ローンかつ政府相手で貸し倒れの心配ほぼ0なのが魅力なのか、応募倍率は4倍程度と高いです。いかにも利権が生まれそうです。

調達した資金は無金利で東電に貸しているという建前だそうですので、政府が調達している資金の金利は税金から払われ、金融機関などを潤すということですね。で、どうせ東電に5兆円貸したお金は将来的に電気料金で支払われるんでしょうね。

 http://www.ndf.go.jp/capital/ir/kiko_ir.pdf

国から被害者に直接保証が出るのではなく、東電に金を貸して東電に払わせる、という面倒なスキームをとっているのは、政府が払うお金は0.1%の金利負担だけで済むし、賠償金は将来にわたって国民が電気料金で払ってくれることが理由だとわかりました。払う金が1/1000!なんというマジック!ついでに金融機関も潤って景気対策もバッチリですね!

ところで売上高がめちゃ伸びてます。事故当時から26.7%増です。電気使用量が急激に増えるとは思えないので、これはほぼ電気料金が26.7%上がったことを意味します。今後も円安などを理由に上げるのでしょう。JTと同じ必須品独占ビジネスモデルですが、タバコと違って市場は縮小せず海外展開する必要もない素晴らしく強固な商売です。

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二期連続増益増収をうけ株価もうなぎ上りです。

最後に引用

昨日読んだ本によれば、リスクは恐怖の大きさと起こりうる確率を掛け算して求め、数値化して比較検討するべきと主張しています。

私はその主張に疑問がありましたが、本書のエピローグの次の言葉で疑問が吹き飛びました。

原発事故に確率論なんてないよ。何百万、何千万、何億分の1であっても、原発がある限り、あした事故が起きても不思議じゃないのだから…

 


書籍レビュー: 科学者の自負をかけて 『お母さんのための「食の安全」教室』 著: 松永和紀

★★★★☆

必要ができたので食・農薬・原発関係の本をしばらく物色します。

一般向けに科学者の立場から見た食の安全を語る

放射性物質や化学物質、遺伝子組み換え食品や微生物など食の安全に関わるトピックを30ほど取り上げ、科学ライターとしての著者の知見を一般向けに読みやすく分かりやすい文章で書いた本です。

連載されていた雑誌が女子栄養大出版の月刊誌「栄養と料理」であったことから「お母さん」をターゲットにしたのだと思われますが、別に「お母さんのための」という縛りを付けてターゲットを絞る必要はないと感じました。お父さんも読んでよいと思います。 

消費者をなめすぎ

この本から大きく受ける印象は、科学者のわたくし様がアホな消費者を啓蒙してやろうという姿勢です。例えば次のような記述です。

消費者は誤解に基づき忌避し、別の食品添加物がむしろ多めに使われていることに気づかない。

消費者も反対のための「レトリック」を見破る力をつけたいものです。

いかにも高所から見下ろしたような言い方です。「消費者は~だ」という書き方が良くありません。もしアホと思っていないのであれば、もう少し別の書き方があったでしょうから。でも私は馬鹿にしていると思います。

一方、著者は

私は科学ライターでありつつも消費者です。

とも言っています。私は誤解する消費者やマスコミのレトリックを見破れない消費者とは違う存在というわけです。どうにも引っかかってしまいます。

興味深い内容だが、論理がうさんくさいことも

食中毒に関する記事はよくできています。2011年4月に生ユッケで有名になった腸管出血性大腸菌は、ほんのわずかな菌数で人に大きな影響を及ぼすこと、カンピロバクターの鶏肉保有率は32~96%(!)と超高率であること、ノロウイルスの吐瀉物は地面に落ちると粒子状に舞い上がって更なる感染を引きおこすこと。。などなど枚挙にいとまがないほどです。

しかしながら、「農薬より菌の方が怖い。農薬は気にするほどではない」「発がん性物質より塩分過多の方が問題。発がん性物質は気にするほどリスクはない」「カリウム40と水爆実験の時の放射性物質を毎日食べているのになぜ原発の放射性物質が問題なのか」という論調には同意しかねます。「AよりBの方が危ない。だからAは危なくない」という考え方よりも「Bは当然避ける。Aも避けた方が賢明」と考えた方がずっとよくありませんか?

著者の記述が意図せずに逆説的

P68の「メディアリテラシー」のコラムで、朝日新聞と福島日報の2011年9月19-20日の一面を引用し、朝日新聞の偏向を明らかにするコラムについては、

朝日新聞:「外部被爆 最高37ms 半数、年間限度量越す」

福島日報:「被ばく推計 1ms未満が6割 最高値は原発作業者か」

という見出しを紹介して、朝日新聞が恐怖を煽っている、福島日報を見ると大したことがない、という様子を目立たせようとしたようです。しかし私には「半数、年間限度量越す」がとても重大に見えます。掲載されている福島日報の記事本文(ぼやけている)には3割強が年間限度量を越していると書いてあり、朝日が若干数字を盛っているように見えます。しかし3割強だとしても相当に問題だと思います。逆に、福島日報がパニックを起こさないために数字を少なくするようにしているという印象を受けました。

また本書では、「日本のマスコミはリスク面で重要でないことで騒ぐから、基準が不当に厳しくなる」といった論調が多く見受けられますが、これは逆に、日本に対して外国がリスクのある商品を輸出しづらいという事実が見えてきます。日本には安全な物である確証が持てる者しか売れないということです。すぐ騒ぐマスコミは、我々にとってはむしろ好ましい存在だと考えられます。

買いか

一読するに値する本です。内容そのものだけではなく言説の背後に潜む思想的にも様々なことを考えさせてくれる材料にあふれた本でした。

いい加減な取材は行われておらず、資料の集め方・提示の仕方も丁寧です。できるだけ中立な視点から書こうと努めている姿勢が見えます。しかし、全体として私は上のような印象を受けてしまいました。これも著者に言わせればメディアやインターネットの情報に惑わされている影響なんでしょうかね。

 


温度計に空気が入った時の直し方

赤い液体が入っている温度計ありますよね。

私は↑と同じものを持っています。ある日、この温度計を落としてしまいました。すると、空気が入って次のような状態になりました。

http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/021/617/73/N000/000/003/132803991667413224644_ekigire1.jpg

http://nagominokaze.at.webry.info/201202/article_1.html

 

正しい温度なのかどうか全く分からず、温度計の用をなさなくなってしまって困りました。手で温めてみても水につけてみても、空気の部分が同時に動いてどうしようもありません。

調べてみると、温度計の限界ギリギリのお湯につけると治るそうです。先ほどの温度計は50度が限界ですので、ならばと風呂の最高温度の湯につけてみました。

勢いよく温度が上昇し、50度を超えないように注意しようと思っていたら45度を超えたくらいでいつのまにか空気の部分が無くなっていました。

どうやら、急激な温度上昇がポイントのようです。私の仮説では、下から昇ってくる液体の圧力が一気に強まったため、空気に打ち勝って離れた液体に届いたのではないかと思っています。

不思議な体験だったので残しておきます。


CDレビュー: Hampton Hawes – Trio Vol.1 (1955)

★★☆☆☆

ジャズの100枚。の17枚目です。

ハンプトン・ホーズ(1928-1977)はアフリカ系アメリカ人のジャズピアニストです。例に漏れずドラッグ中毒であり、早死にです。

こんなこと言うとジャズ好きの方に怒られると思いますが、全く良さが分かりません。雑です。雑すぎます。酔っぱらいの音楽です。トム・ウェイツのようにその酔っぱらい加減が味になるアーティストもいますが、この人の演奏は自分のタンパク質が拒否します。全体を通して演奏が悪い意味で崩れており、音が固く肌にペチペチと当たる感覚がしてノれません。爽快なはずのグリッサンドすらも耳に立ちますし、いいところが見当たりません。9曲目 The Foolish Thingsもいい曲なのに、石でも投げられるような適当なラストで幻滅してしまいます。

 

タンパク質と言えばうちには「タンパク質の音楽」という本がありました。以前飛ばしながら読んだことがあるだけなので、このモヤモヤした気持ちを解消させてくれるかもしれません。今度読んでみようと思いました。

 

 

ジャズの他のCDレビューはこちらです。


日本株5連勝!ギリシャ中国は沈静化か。北の達人大幅反発。

日本株はふわふわとたゆたっています。

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中国株も波打ちながら安定しました。良かったですね。不気味ですね。

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ギリシャ情勢の次の大イベントは20日の銀行解放です。

といっても、

現在、ATMでは1日に引き出せる現金を60ユーロ(約8千円)に制限しているが、まずはこの枠を翌日に持ち越してまとめて引き出せるようにする。

だそうですので、突然銀行の現金がカラになるということはなさそうです。

とりあえず経済面はしばらく大きな動揺はなさそうですが、チプラス首相は自ら率いる与党が賛成できない支援案を受け入れざるを得なかったので、今後長い目で見ると国内情勢の悪化は必至です。

ギリシャ、中国と騒動が一回りし、来週は株式市場に大きな動揺はなさそうです。

 

昨日予想した通り、2930北の達人は大幅高の+5.89%となりました。一昨日の終値を超えています

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今日はハウスコムやユニリタがかなり下がりましたが、昨日北の達人にかけた2倍ナンピンが効いて一週間で約+6%、年初来+18.3%とギリシャ・中国で毀損する前の金額を上回り、最高値を達成しました。現金比率が40%になってしまったので、どこかで売ります。

 

今日のイナゴ

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3587グローバルアジアホールディングスが2日で2倍になっています。ここは粉飾決算で強制捜査が入ったり、疑惑が尽きない上に他のどんな会社もかなわない赤字(売上の4倍の純損失、更にその3倍のマイナスの利益余剰金)、いつ倒産してもおかしくない超レッド企業です。

明日紙切れになってもおかしくないのに、欲の力はすごいですね。

 

二階建てさんでは偶然、昨日触れたケイブの危機について記事が書かれていました。私が貼った5年分のやばい業績の画像もあります。

この記事が出た直後コロプラ効果で高騰し、今日はほぼヨコヨコだったようです。

 

3138富士山マガジンはまた逆富士になりました。6000→4000→7000→5000→また7000とホルダーさんの心臓に悪い乱高下を繰り返しています。どう考えても分不相応な価格なので、いずれは富士山並の3776程度の金額に落ち着くのではないでしょうか。

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CDレビュー: J.S.Bach, Pierre Fournier(Vc) – Cello Suites (DG111 CD14, 15)

★★★★★(*´ω`*)

ピエール・フルニエ(1906-1986)によるバッハ無伴奏チェロ組曲集(全曲)です。2枚組138分とかなりのボリュームです。第一番の前奏曲は非常に有名ですので、聞いたことがある方は多いでしょう。私も昔テレビCMで聞きました。

www.youtube.com

バッハの曲と言うと形式ばって堅苦しく取っつきにくい印象を持つものが多いですが、この曲は親しみやすさを感じました。というのも、ほとんどが舞曲であるため人間のリズムと調和しているからだと考えられます。

一本の楽器で演奏するとは思えないダイナミックな曲、フルニエさんの鳥肌が立つような気持ちの入れ方が際立つ演奏。いま↑の音声を聴きながらこの記事を書いていますが前奏曲のラストはお腹に響く歌いっぷりですよ。すごい。

他にはNo.2のジーグの快活なノリの良さ、No.3の前奏曲のアルペジオを引いているだけなのに大きな塊が迫ってくるような圧倒性にも驚かされました。No.5以降は突然趣向が変わり暗く重々しくなり長大になります。何があったのでしょうね。フルニエさんは全曲を通してとにかくタメるは歌うは全身全霊を賭けているような印象を持ちました。でも聞いていて疲れるわけではありません。不思議です。

チェロ組曲を通しで聴いたのはこれが初めてです。他にもヨーヨーマなど名立たるチェリストがこの曲を録音しているそうですが、フルニエさんと比べてどのような演奏をしているのかとても気になります。

 

クラシックの他のCDレビューはこちらです。


日本株は今日も好調。北の達人爆下げは一時的か?ラクーンまさかの大続伸。イナゴ注目は3760ケイブ

日本株は今日も平和でしたね。上海総合も微増と、一時の大荒れは何だったのやらという雰囲気です。

 

ただ、中国市場が平和なのは、こいつのせいが大きいと思います。

中国政府は「日本の右傾化」だの言って煽るでしょうから、投資家の不安をそらせます。

 

北の達人の1Q決算発表により、前場が大荒れとなりました。

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-4.83%の爆下げです。一時は-9%に近い500円台まで落ち込んでいます。原因は昨日出た1Q決算の営業利益マイナス45.4%という一見絶望的な数字です。


href=”http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201507160116″
data-mce-href=”http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201507160116″>北の
達人が続落、広告宣伝費が圧迫し第1四半期は45.4%営業減益 | 個別株 – 株探ニュース</a>kabutan.jp

しかしながら、四半期報告書を読むとTwitter, Facebook, LINEへのプロモーションを積極的に行ったことが原因と書いてあり、売り上げ自体は大幅増の+21.9%です。どう見ても一過性です。

特にtwitterでは効果が顕著なようです。

Twitter広告からの購入者が530倍増加しています。また費用対効果が改善したことで、Twitterへの投資額が97倍も増加しました。さら に、短期間のキャンペーン中に、ツイートインプレッションが1億3,000万回、エンゲージメントが2,400万回を超える結果になりました。

ツイッターの内容は主力のカイテキオリゴが中心です。便秘解消食品であることから表現がちょっとアレですが、みなさん本当に苦しい思いをしていらっしゃるようです。

 

 

通期業績予定に変更はなく、販管費を1Qに大幅に積み増しても残りで回収して営業利益率20%以上を維持する予定だそうです。心強いですね。

ただ一つ不安なのは、カイテキオリゴ並みのヒット商品がなかなか生まれないということですね。未だに依存率53%と非常に高いです。

健康食品・化粧品という業態上、定期購入率70%と実質上のストックビジネスですので、成長するかどうかは新商品の開発にかかっています。カイテキオリゴへの依存率が高止まりしてしまえば、成長減速は間違いありません。高いマーケティング能力を生かして消費者をがっちり捕まえてほしいものです。

 

3031ラクーンは昨日に続き+8.53%の大続伸となり、PER36.87倍という雲の上まであと少しの水準に達しました。。

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月曜に寄り買していれば+26%でしたね。。結果論ならどうとでも言えますが。

 

持株では8771イーギャランティが突然+7.36%と高騰したので、北の達人の損失を丸々吸収してしまいました。ただ今日は、後述しますが死んだはずのイナゴが全員蘇った日なので、新興市場にどっと金が入った日なのだと思います。明日は油断ができません。

今日のイナゴ

3138富士山マガジン、3409北日本紡績、4572カルナバイオなど直近の怪しい株たちが軒並み15%以上の高騰です。

注目のイナゴは3760ケイブです。

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4月に一度怪しい動きをして2倍近くになったあと、元値を割れています。本日、突然1515→1824まで上昇しました。

ケイブと言えば怒首領蜂、虫姫さまに代表される敵の弾多すぎのSTGメーカーですね。私もよく後ろから見てました(自分ではやりません)。

ところが今、ケイブは2013年にAC業界から撤退し、ブラウザゲー・オンラインゲー・スマホゲーメーカーになっています。しかも、5年連続売上減・4年連続の赤字(しかもほぼ毎年拡大中)というクソ株に成り果ててしまいました。売れないスマホゲーなどを清算し、今期は大量の減損損失を計上し過去最悪の純損失7.28億円(売上は16.6億円)です。

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財務も危機的です。金を借りられず増資で生き残っている企業の証明、利益余剰金マイナス15.6億円。1年分の売り上げにほぼ等しい金額です。ここまで危機的なのに、なぜか継続疑義はついていません。

今日のイナゴ材料はこちらです。

コロプラでゲームを出したことが大きな材料となったようです。ずいぶんとライトなタイトルですね。果たして起死回生となるでしょうか。

『くにつく』は、世界の偉人たちとともに自分だけの「国」を作ることができる箱庭育成型ソーシャルゲームです。「全世界」、「全時代」を舞台として、文明 を発展させながらバリエーション豊かな2000を超える建物が登場。さらに1250種類以上の歴史上の偉人たちが「冒険」や「合戦」など、様々な場面で活躍します。今回のコロプラ上での配信に際し、GPSによる位置登録機能を強化し、移動した距離に応じて金貨や特産物ポイントなどの報酬がもらえるなど、毎日のおでかけが楽しくなるゲーム性となっています。

個人的には何が楽しいのか全く分からないゲームなので、ガーラと同じ道しか見えません。。

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コロプラは歩いたというその行動を数値化してゲームにしていくプラットフォームらしいですが、歩きながらゲームするなんて皆さん随分余裕があるんだなと羨ましくなります。


日本株続伸も、徐々に下がり始めた上海指数。3031ラクーンは1か月で1.5倍に。サイゼリヤもすごい

本日も日本株は続伸し、日経平均が20463円まで伸びました。

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長いスパンで見ると、7月頭のバブル崩壊危機の下げ幅はあまり大したことないですね。

一方、上海総合指数が落ちています。

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前日比-3%です。明日の値動き次第でまた日本勢がパニック売りになる可能性もあります。

今日の売買停止銘柄 – 中国株│株・投資信託は証券会社の内藤証券

ところで売買停止銘柄は未だ大量に存在していますが、この「重要事項に関する公告未発表のため」という理由は何なのでしょう?

この理由、内容はどうでもよくてでっち上げでいいらしいです。企業が「市場に取引停止されてくれ」と言えば止まります。ただし再開には当局の許可が必要でしょう。3000ポイント前半から4000ポイント近くへの大幅なリバウンドを苦々しく見つめる企業の中には、取引を再開させてほしい企業がたくさんいるはずです。それらが再び売買されるようになった時が、すなわち穴に落ちたマリオのスタートボタンを押すタイミングとなるのではないかと恐れています。

 

個別株では、日曜日に優れた銘柄であると紹介した3031ラクーンが大幅高騰しています。

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簡単な分析は次の記事の一番下にあります。ビジネスモデルとしては、エニグモとイーギャランティを足して2で割った感じです。

過去1か月の直近の安値が1000円程度なので、1か月で1.5倍になった計算です。先週の日曜の時点でPER27.73倍とそれなりの高値でしたが、今日はもう33.97倍です。3日連続で5%程度高騰しています。優良であると認定した企業の株がどんどん上がっていくのは嬉しい反面、もっと早く知っていれば得できたわけですから、機会損失で悲しくもあります。最近分析した安値の優良銘柄3800ユニリタも好調ですので、頑張ってほしいものです。


href=”http://rokujo.hatenadiary.com/entry/2015/06/28/145016″
data-mce-href=”http://rokujo.hatenadiary.com/entry/2015/06/28/145016″&
gt;有価証券報告書を読む 3800ユニリタ – 六帖のかたすみ</a>rokujo.hatenadiary.com

 

昨日3Q決算を驚異の利益2.5倍で通過した7581サイゼリヤが年初来高値を付けています。

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同社の1年チャートをご覧ください。美しいです。。

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サイゼリヤは非常に「尖った」企業です。尖っているのはもちろん価格です。ミラノ風ドリア299円。ピザALL399円。サイゼリヤの哲学を引用してみましょう。

創業者である正垣はヴェネチア商人の取引を観察してある仮説を立てました。売り側と買う側が価格交渉をすると両者の提示価格の中間で落ち着く。究極の取引 は「無料」と「有料」。その中間は提示価格の半分=5割引。5割引けば人間は直感的に「安い」とわかる。それでも「安い」とわかるだけで安くて驚くほどで はない。いっそのこと元の価格の3割にすれば、安くて驚いて、「食べないと損」と思ってくれるのではないか。お客様をびっくりするぐらい喜ばせるために7 割引きで売ってみよう・・・。そう決心した正垣は、ある日今までの商品内容そのままに価格だけを従来の3割にしました。すると翌日から店の前に長蛇の列が 並ぶようになったのです。 www.saizeriya.co.jp

それでいて不味くないのですからすごいですよね。現時点のPERは43.88倍。もはや雲の上の存在です。。

 

今日のイナゴ

3409北日本紡績、4335アイピーエス、9423FRS、3138富士山マガジンサービスが大幅減です。今後もっと下がったら改めて記事にしようと思います。

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2321ソフトフロントがストップ高、本日の値上がり2位の+29.41%です。KDDIと提携したことが材料となっていますが、この会社の有報を見た所、またも超級のクソ株です。

光回線を利用したIP電話・テレビ会議が主力製品のようですが、業績は思わしくなく4期連続の大赤字5年間安定した売上減で今期は5年前の半分、利益余剰金-54億円(今期の売上高は4億円)、資金繰りにすら困ってるくせにベトナムに現地法人を作成、当然の継続企業疑義とまたも真っ赤っかの企業です。リーバイスの二の舞でしょう。

 

そして絶賛進行中のイナゴが3689イグニスです。ストップ高の+20.95%で引けました。ここも大赤字を出している中型のクソ株です。

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ガーラの次のゲーム株イナゴ会場となりそうです。明日にでも9日前の2倍に迫ろうという勢いです。もちろん何の材料もありません。ただただ、金が流れ込んでいるだけです。


CDレビュー: Franz Schubert, Dietrich Fischer-Dieskau(Bar), Gerald Moore(pf) – Winterreise (DG111 CD13)

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美しい!

シューベルトの歌曲集「冬の旅」は、ヴィルヘルム・ミュラーというドイツの詩集にシューベルトが歌を付けたものです。失恋した若者が死を求めながらクソ寒い冬の中さすらいの旅を続ける、という筋書きのためドイツ語が全く分からなくても冒頭からラストまでめちゃんこ暗いことが聴き取れます。また、シューベルト自身も体調を崩ししかも貧乏、さらに尊敬していたベートーヴェンが死ぬしもうどん底、死について深く考えていた時期であったことが暗さに拍車をかけています。そしてシューベルトは作曲した翌年に無くなります。後半12曲はシューベルトの死後に出版されたそうです。どんな気持ちで亡くなったのでしょう。

しかしながら、極度の絶望は転じて美しいものです。友達に絶望している人がいたら正直困りますが、作品の中で絶望しているのは美しく見えてしまうものです。人間とは無責任なものですね。

1曲目でいきなりマイナー→メジャー転調が出現します。少し前に聴いたタンゴ曲にも表れていた、日本歌謡曲黄金パターンの進行です。歌謡曲はシューベルトを参考にしていたのかもしれません。

フィッシャー=ディースカウさんのバリトンの歌唱も見事です。抑えて抑えて、ここぞというときに爆発させる私好みの歌唱法です。また歌では必須の要素ですが、声が良いです!魅力的。

それにしてもドイツ語が分からないのがもどかしい!絶対に勉強して詩を理解できるようになるのだ、という気持ちを奮い立たせる力のある楽曲でした。

 

クラシックの他のCDレビューはこちらです。


それでもお上なら…中国株ヨコヨコ続く。ギリシャは金の力で逆転負け。日本株は再び絶好調に

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中国は意外にもお上意識の強い国であるという記事を読みました。

中国株、止まらぬ下落 下支え策空振りで募る不信:朝日新聞デジタル

中国市場では「困ったら政府が何とかしてくれる」との心理がある。

徹底した個人主義だと思っていた中国の意外な一面です。しかしよく考えてみるとこれは金持ちに限るように思われます。そういえば中国では金持ちになるには共産党員になるのが一番近道なのでした。

日本でも状況は同じです。世界中どこでもお上に従えば儲かる、お上に反抗すれば損をします。政府の意向に沿ったマイナンバー(国民を政府の監視下に置くための番号)関連銘柄は高騰します。

 

お上の大きな介入により、今日も中国株はほぼヨコヨコで無事取引を終えました。

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売買停止状態は以前と変わりありません。

今日の売買停止銘柄 – 中国株│株・投資信託は証券会社の内藤証券

 

ギリシャ問題は「17時間協議」により決着がついたことになっています。

ただまあ、その合意内容はひどいものだったそうですよ。

チプラス首相はブリュッセルで午前9時ごろまで続いた首脳会議について、交渉というより異端審問だったと振り返った。当局者2人も別々に、屈服を強いられたチプラス首相は「打ちのめされていた」と語った。 

具体的には、500億ユーロ(6兆8000億円)の国有資産を売却しろ、その代り860億ユーロ貸してやるということだそうです。。

実質ユーロ勢に国内の経済を完全にコントロールする権利を明け渡してるようなもんですよね。あれだけ熱狂した国民投票にもかかわらず、チプラス首相の完全敗北と言っていいと思います。

 

嫌われ者が負ければ株価は上がります。日経平均は+1.47%の続伸、私の持ち株もほぼすべてが値上がりし年初来+16%となりました。

ギリシャの決着により、少し前に紹介したクソ株4335アイピーエスも手じまいとなりました。本日2番目の値下がり率-16.03%です。

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3409北日本紡績もおそらく終わりです。

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