ガーラは分析不能

短信を真面目に見てみたらこりゃ、えらいことですよ。まず今期の損益計算書は売上6.8億に対して原価1.9億販管費7.8億、営業利益-2.8憶(営業利益率-41%)、純利益-2.7億。やばすぎ。

貸借対照表については株主資本に利益余剰金-29.3億・為替換算調整-5.1億(円安損)ととんでもないマイナスの勘定があり、負債の欄にも長期前受収益(あやしい)1億、資産は現金3.8億と長期貸付金1億(なんで貸せる?)くらいしか目ぼしいものが無い。売掛金1億だって怪しいもんだ。この会社が持ちこたえているのは株主から吸い取った資本金+資本余剰金36億があるおかげだ。

キャッシュフロー計算書は営業キャッシュフローが純損失に諸々足して-3.4億、投資キャッシュフローは定期預金の解約で辛うじてプラス0.2億、投資はほとんどなし。(たぶん借金できないから)財政活動で毎年株式を発行して3-4億円の増資でしのぐ、もちろん無配。

とどめに、ラストに「継続企業の前提に重要な疑義」と書かれている。真っ黒。いままで見たどの企業と比べてもダントツに悪い状態だ。AKB効果で売り上げが倍になったとしてもせいぜいプラス3億くらいだから、配当が出るまで10年かかる。それまでにAKBが終了したり、スマホ業界に大幅な転換が訪れている可能性は高いだろう。

MBAバリュエーションという本を読んでいて、会社の値段の付け方が具体的に示されているので、これを参考にして株価予想をしてみようと思ったが、ガーラでは不可能だった。赤字が多すぎるからだ。PER、EBITDA倍率などで同業他社と比較すればそれなりに予想はできるのだが、これだけ赤字が多いとEBITDAすらマイナスなので、どうにもならない。

仕方ないので、資産の少ないゲーム業界では当てにならなさそうだが、同業他社のPBR比で分析してみよう。例えばガンホー3.88倍、イグニス11.87倍、ミクシィ7.82倍、メディア工房5.65倍、これらの平均値は7.3倍。いまガーラのPBRは119.7倍(!)なので、同業他社比で16.4倍も過剰に評価されていることになり、適正な価格は2160/16.4=131.7円ということになる。。驚異の数字だが、昨年末に急騰する直前の株価は150〜200円だったのであながち間違った値ではないことがわかった。AKB効果によるプレミアムに加えて投機プレミアムとでもいうべきものが発生し、それらは1540%という頭の狂った値に膨れ上がっている。普通、株式市場プレミアムは3%、シナジー効果や経営合理化効果を目指すM&Aですらせいぜい20〜50%くらいのプレミアムしかつかないので、AKBごときで乗せられる1540%という値がどれだけ危険なのか、波に乗ってる人はわかってるんだろうか。。?

(13:00追記)
http://info.finance.yahoo.co.jp/kabuyoso/article/detail/20150517-00021969-minkabuy-stocks-5010
黒岩先生の買い煽り砲が投下された。


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