Great Pianists of the 20th Century Vol.02 – Martha Argerich I(CD1)


★★★★★
ピアニスト界きってのヒステリーピアニスト、アルゲリッチ。とても硬質な音を出すので、昔から苦手だった。昔と言ってもまともにクラシックを聴き始めて3年くらいしか経ってないけれど。暴走する感情をそのまんまピアノで出すような人なので、時々バチンバチンと頭の神経に触れるような音が出る。それが聴いていて苦しかった印象が強い。が、このCDはピアノ協奏曲ばかりなので、ピリピリ感がかなり薄まって、何とか聞くことができた。
1曲目はリストのピアノ協奏曲。まずイントロが信じられないくらいダサい!リストは天才だね!ちゃーーらちゃっちゃっちゃちゃちゃーーぱぱーん(このぱぱーんがダサい)。常人には絶対思いつかないイントロ!たまらん!褒め言葉です。リストは自分の演奏技術を見せびらかす曲を書くことに長けているので、アルゲリッチさんにとっては当たり曲と思った。第一楽章の終盤の鬼のような階段譜面をわざと速く弾いてるし。
2曲目はラヴェルのピアノ協奏曲。終始発散していてつかみどころがない。第三楽章にはゴジラ地帯があって、ここもふざけているような変わった曲。伊福部昭さんはラヴェルのファンらしいので、ここから拝借したと思われる。
3曲目がラフマニノフのピアノ協奏曲3番でライブ版、伝説の演奏となっていて、CD化されることが多い演奏です。うちにも実は以前からありました。オケが異様に上手く、抒情的な曲のはずが迫力で押す謎の熱気に包まれた曲になってしまっている。オケがドカーーンと鳴らしたと思ったらピアノが「おーっほっほっほ!私よ!」と前に出てくる、その繰り返しで成り立つ、かなり特殊な演奏と感じた。またラフマニノフさんが、うっとりするような演奏を突然終盤でバレエ曲にシフトさせラストまでどんちゃんして終わる、というこれも素人が絶対に思いつかない構成が大好きなトンデモ作家なので、そりゃあ熱くもなる。生で聞いてたらブラボーって言ってただろうなぁ。久しぶりに聴いて、評価が変わった。
このCDのおかげで、彼女の私の中での評価はホロヴィッツと並ぶドカ弾きネタピアニストとなった。クラシック愛好家に怒られるだろうなぁ。


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