一人で死にたい(1)

一人で死にたい。こんなことを毎日考えるようになったのはいつの日からか。
一人で死ぬと言っても、自殺するわけではない。死ぬときに一人でいたい。
私は自閉症スペクトラムに該当する。皆がそうなのかどうか、自閉症スペクトラムだからなのかどうかわからないが、私は模倣しかできない。しかも、模倣が下手だ。
私の感情はすべて模倣で習得されたものだ。喜び、高揚、笑い、怒り、嫉妬、どれも、腹の底から込み上げてくるものではなかった。そう思おうとしてきた。しかし違う。突き詰めていくと、どれも、他人や書物や漫画などを見て獲得して、こういうときにはこうするものだ、と学習して身に着けたものだ。お決まりの動作、いわゆるお約束だ。
例えば、面白い時に笑う。私の笑い方は不自然だった。声が妙に大きい。タイミングも間違っている。これは、「何か面白いと考えられているもの」に出会ったら、「笑う」、というインプットとアウトプットを繰り返して身に着けた様式だ。本当に何がおもしろいのかはわからない。お笑い芸人がボケるタイミング、漫画のどアップ、「笑え!」と提示されたものに反応して笑っていた。心の底から面白いとは思ってないくせに。そうしないと他人と違うから。でも他人の笑い方を真似しても、私の模倣は下手だ。絶対に違ったものになる。不自然なので他人が引く。どれだけ他人と合わせようとしたってできない。(続く)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。