フィスコレポートを読む セレクト6030アドベンチャー、2153EJホールディングス、3681ブイキューブ

 

6030 アドベンチャー(ややうさんくさい小規模バカ高株)

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格安航空券予約販売が主力の企業です。従業員数17人、まだまだスタートしたばかりと言った感じです。直近の通期決算は売上69.1%増、営業利益413.6%増ととてつもない成長を遂げています。強みはLCCを生かした価格優位性と18か国語対応という窓口の広さです。航空券というその特性上、ほぼLCLとインバウンド頼みに近い銘柄ですね。説明会資料の「インバウンド」が「インバンド」になっていたりウェブサイトに所々リンク切れがあったり雑でちょっと心配になります。

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これはやりすぎじゃないのwww

1兆円ってオンライン市場全体じゃん!2020年まではそれなりに成長するとは思いますが。

今後も新規事業を立ち上げインバウンド市場の囲い込みを図ります。航空機だけではなく、訪日観光客向けのツアーやアクティビティ、宿泊先やレストランの手配などを手掛けていくそうです。

あまりに成長率がすごいので株価はいかに。。?

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PBRは15.22倍、実績PERで142倍ですね。うん高すぎ!利益が1年で4倍にならなきゃ正当化されない価格ですね。先月末の暴落時ぐらいしか怖くて拾えない株でした。

 

2153EJホールディングス(激安放置株)

公共事業のコンサル会社です。官公庁中心でインフラ・治水・治山などの地味な案件が多いため成長率は低く、最近の人件費高騰により利益率が徐々に低下しています。

これだけだと魅力が無いですがPERがなんと4倍。超割安です。建設業であることと配当性向が9.7%と非常に低いことが原因と思われます。でもこの安値のため配当利回りは2.19%と中間値よりほぼ上の水準です。もし増配があれば一気に株価は上がるでしょう。

官公庁向けなので業績が突然大幅悪化することはないでしょう。しかし成長もあまりないので、増配やら突然の人気高騰やらを見込んで長期保持するしか道のなさそうな銘柄です。

3681 ブイキューブ(安定急成長割高株)

V-CUBE

Web会議・TV会議のクラウドサービスのトップシェア企業です。SaaSによる月額課金が収入源ですので非常に手堅いストックビジネスである上に、2Q売上は前期比+55.8%と破竹の勢いで成長しています。

海外展開も急拡大中で、2Q決算では中国市場で前期の3倍以上に売上を伸ばしました。強みはアジアを中心とした海外拠点間のデータセンター間に張られた専用線で、これにより不安定になりがちな多国間の高速通信を可能としています。また、最近買収したアプライアンス事業(電子黒板)が文教市場での需要が高まっておりこれも成長ドライバーとなりそうです。更にドローン、オンライン研修、遠隔監視・医療・教育ともう目まぐるしいくらいのホットな話題が詰まっています。

目立つリスクもなく財務も健全、解約されにくいビジネスモデルの上に急成長とハッキリ言って強みしか見つかりません。

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ああーやっぱりなあ。株価は年初来安値から2倍以上になっていてPER88.82倍です。過熱にもほどがあります。

今年頭に買っていれば倍バガー。実に残念ですね。と言ってもここまで高騰しているととっくに売ってるでしょうけど。

 

 

今週は両極端な銘柄揃いですね。面白かったですが買えそうな銘柄はありませんでした。


書籍レビュー: 刺激的な数学教養書『数学入門 <上>』 著:遠山啓

★★★★★(≧ω≦)

2年生の途中までしか終えていない大学教育の水準に追いつくため、まずは数学の勘から取り戻さないといけません。そこで尊敬している遠山先生の新書、名前もそのものずばり「数学入門」という本があるというので手に取ってみました。

数学者は語学マニア

著者の遠山啓(とおやまひらく、1909-1979)さんは数学者・数学教育者です。タイルを使って量の概念を確実に身に着ける「水道方式」で有名です。

1959に出版されたという本書では、「ものを数える」という概念の誕生から始まって加減乗除~方程式・代数学~幾何学~複素数までの説明を新書1冊で(演習無しで!)完結させるというなかなか野心的な書でした。

あちこちで目を引くのは遠山先生の教養レベルの高さ、というかマニアさです。まず数の概念についてはあらゆる言語や部族の数詞に言及します。

たとえば、英領ニューギニアのビュギライ族はつぎのような数詞をもっている。

1→タランジェサ

2→メタ・キナ

3→ギジメタ

4→トペン

5→マンダ

6→ガベン

7→トランクジンベ

8→ボデイ

6→ンガマ

10→ダラ

これは身体の各部分の名であるという。人間の身体の各部に関連させて数えていく、という流儀によると数百の数まで数えられるだろうが、これは覚えこむのが大変で会って、これでは記憶力をひどく酷使することになる。

この調子でいろんな方言などを比較しつつ数の概念の誕生に迫っていきます。。現代の天才数学者ピーター・フランクルさんは14か国語を話せるそうですので、数学者というのは語学に精通していることが多いようです。言語は面白いパターンに溢れていますから数学者好みと言えましょう。私も外国語は大好きですが数学は苦手です。

まさかクラメルの公式の意味が分かるとは

数論・四則演算で最も驚くべき個所は分数の足し算引き算・通分約分のところです。約分を「たたむ」、通分を「ひろげる」と折り紙に例えている個所はマジ感動しました(画像が無いのが残念です)。ここから量をタイルで考えるという発想に至り「水道方式」に繋がっていったのでしょう。

代数の章では一次方程式→行列→クラメルの公式までぶっ飛ばします。行列が多元1次方程式の解を求める要請から出てきたので必然とはいえここまで進むとは思いませんでした。さすがにここはしんどかったですが線形代数の授業で丸暗記するしかなかったクラメルの公式の意味が分かり驚きました。

公理を積み上げてできた幾何学

幾何学の章では浪人になる直前になんとなく本屋で手に取ったこの本を要約したような感じでした。

幾何への誘い (岩波現代文庫―学術)

幾何への誘い (岩波現代文庫―学術)

 

幾何学は「2点を通る直線は必ずあり、しかも1本しかない」などの公理と呼ばれる直感的に「当たり前」な数少ない事実だけを基にして複雑な証明を組み立てていく美しい学問です。と上の本を読んで感動したことを思い出しました。大学1年で買わされた杉浦「解析入門」も公理から微積分を導いていく本なのですがこちらは美しいと思えずただ苦痛だった記憶しかありません。いつか読破してやるんだ。。

 

あちこちにダンテやらプラトン、ショーペンハウエル、デカルト、スタンダールなどの引用が散りばめてあり、著者の教養の高さが伺えるとともにそれらの書物もまとめて読みたくなってしまう素敵な本でした。 下巻は関数、極限、微積分です。どういった説明が出てくるのかワクワクです。

 

 

参考書籍

イスラム数学者の話。

ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)

ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)

 

 

数学が得意だったダンテ。7や100といった数字が大きな意味を持つ。

神曲 地獄篇 (河出文庫 タ 2-1)

神曲 地獄篇 (河出文庫 タ 2-1)

 

 

幾何学の聖書。

ユークリッド原論 追補版

ユークリッド原論 追補版

 

 


数独ソルバー

最近webプログラムを全く作成しておらず腕がなまって仕方ないので、新聞で見たシルバーウィーク数独特集!みたいな記事に触発されて数独ソルバーを作ってみました。時間もないので即興で2時間半しかかけてません。ですので予想が必要な難しい問題は一切できず一意に決まるごく簡単な問題しか解けません。

 

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プログラム倉庫に置きました。

 

今日はここまでだけれど、あとは再帰処理を使って予想→矛盾発見→候補から外す→予想しなおし→の繰り返しで一つずつ潰していけるはず。計算処理よりもインターフェースなどの準備段階の方が時間がかかったので問題を解く処理の強化自体は案外すぐできてしまうかも?


CDレビュー: Ludwig van Beethoven, Emil Gilels(pf) – Piano Sonatas, No.21, 26, 23(DG111 CD20)

★★★★★

 

111 Years of Deutsche Grammophon、ようやく20枚目です。DG111シリーズのピアノ作品は並行して聴いているGreat Pianistsシリーズとかぶることが多いのですがこのCDは運よく重複していなかったので、聴きました。

エミール・ギレリス(1916-1985)はソビエト・ロシアのピアニストです。例によってユダヤ人です。音楽家ってなんでユダヤ人ばっかりなんでしょうね。金持ちだからレッスンや教育に金をかけられるからなのかな。ジャケットを見ると72~75年の録音なので50代、そこそこ高齢の演奏ですね。本CDではベートーヴェンのピアノソナタ21番「ワルトシュタイン」26番「告別」23番「熱情」が収録されています。中期傑作選といったところでしょうか。

両手剣でぶった切るベートーヴェン

しょっぱなのワルトシュタイン第一楽章が硬い硬い。音切りまくりであっさり塩味か?と思っていたら油っ気がないだけでスピアーで突くような正確で力強い演奏でした。とても変わった音を持つ人ですね。ワルトシュタインは第三楽章が神展開なのですが見せ場でも音を切る切る。すっげぇ変わった弾き方。好みが分かれるところだと思います。私は慣れないので何とも評価できませんでしたがここまで極端だといやな感じはしませんね。

告別第一楽章も見せ場の和音を剣でも振り回すように切りまくりです。腹にはもたれないけれどコショウのように非常に刺激的な音です。第三楽章のフォルテッシモのあとのキラキラパートですら金属的で硬質です。

熱情は上記2曲よりも力が入っていて第一楽章は超爆音展開を見せ、第三楽章は今まで聴いた他のピアニストの演奏と比べるとテンポを落としていてかつ静かな狂気っぽいものを帯びるコワい演奏です。この曲だけ何故か硬質性が全くありません。ラストの16分ユニゾンパートは誰の演奏を聴いても素晴らしいですね。

 

amazonレビューは総じてベタ褒めですが私はとてもクセのある奏者であると感じました。嫌いな部類ではないのとベートーヴェンが好きなので評価は高めですが、Great Pianistsシリーズ(3組6枚もある)の彼の収録曲は一体どんな音を聴かせてくれるのか楽しみです。

しかしピアノ曲って言うのは創意工夫が難しそうな楽器のはずなのにピアニストによってなんでこんなに印象が変わるんでしょうね。不思議でなりません。

 

 

 

日本版は同じジャケなのに収録曲が違います。どうも悲愴・月光・熱情のいわゆる三大ソナタを1軍、それ以外を2軍と分けて2軍だけでCDを出したようです。これはいただけない。作曲時期で分けるべきです。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」、第21番「ワルトシュタイン」、第26番「告別」

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」、第21番「ワルトシュタイン」、第26番「告別」

  • アーティスト: ギレリス(エミール),ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2012/05/09
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

クラシックの他のCDレビューはこちらです。


CDレビュー: Claudio Monteverdi, John Eliot Gardiner(cond.) – Vespro della Beata Vergine (DG111 CD18, 19)

★★★★★─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ

 

クラウディオ・モンテベルディ(1567-1643)はイタリアの作曲家です。2枚組100分ちょいの長大なこの楽曲の邦題は『聖母マリアの夕べの祈り』。いつまで祈るんだ!

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クラウディオ・モンテヴェルディ – Wikipedia

いい感じのじーさんですね。

単純なのに爽快

この曲が作曲されたのは1610年。有名な作曲家の中では古株のモーツァルトが生まれるより146年も前です。ですので曲はとても古風、というか単純です。1曲目なんて同じ和音でずっと押しまくるだけです。アーメンでシメるお馴染みのラストも多発します。

ところが2枚組であるにもかかわらず、このCD、全く飽きません。それどころか演奏から感じられる異様な熱気と、独特の音響(教会内で演奏しているらしいです)により演奏中ずっと興奮しっぱなしになりました。昔の曲は単調で飽きるというイメージがあったのですが完全に裏切られました。このCDすごい。私は人間の持つ迫力が直接ぶつかってくる声そのものが大好きなのかもしれませんね。

 

動画ありました!2014年、ヴェルサイユ宮殿・王家礼拝堂(すごい名前)での収録です。ということはこのCDとはバージョン違いですが、やべーマジで大聖堂だよ、、


Monteverdi – Vespers, &quot;Vespro della Beata Vergine …

本CDでは中央に穴が空いているかのような音場効果を感じることができたのですがこの動画を見て納得しました。教会って上部が巨大な空洞になってるんですね。壁画がきれいすぎます。ヨーロッパの人々の宗教心には本当に恐れ入ります。奏者真ん中の大きな素敵楽器はリュートというそうですよ。CDだと見えない独唱の人の表情が濃すぎてちょっと引きます。

なぜ魅力的?

私はこんな古い曲にどうして惹かれてしまったのでしょう?疑問が尽きません。人間の声の力?教会のパワー?実は祖先がイタリア人だった?最近仕事中にヘビーローテーションしているバッハのカンタータのせい?

音楽が人間の感情を喚起するためには音というただの空気の振動を脳が分析して一定のパターンを解釈して意味づけをすることでしか得られないと考えます。したがってより感情を動かすのは「慣れている」曲であるパターンが多いはずです。現代音楽みたいな訳わかめの曲を聴いたとしても「わかんねえよバカ」とか「眠い」と感じてオシマイになりがちです。ですが、本CDのような曲を聞くのはほぼ初めてで馴染みはありません。一聴して気に入る曲ってなんでしょう?一目惚れみたいなもの?一聴き惚れ?色々要素はあると思いますが引き続き考え続けていきたいと思います。

 

 

 

Vespro Della Beata Vergine [DVD] [Import]

Vespro Della Beata Vergine [DVD] [Import]

 

こっちが本CDに対応する映像のようです。イタリアはヴェネチア、サン・マルコ教会での収録。

 

 

クラシックの他のCDレビューはこちらです。


書籍レビュー: 智者たちの戦争『ローマ人の物語 (4) ― ハンニバル戦記(中)』 著:塩野七生

★★★★★

 

第4巻。ようやく全体の約1/10です。本書では紀元前219-206年、ローマvs地中海の盟主カルタゴの第二次ポエニ戦争の中盤戦が舞台です。

ハンニバル登場

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ハンニバル – Wikipedia

本書に登場する最大の難敵ハンニバルは時々名前を聞く武将です。イタリアでは悪いことをした子供に対して「戸口にハンニバルが来ていますよ」と言って脅すそうです。まるでナマハゲのような扱いです。

彼は潜在兵力75万と言われるローマにたった2万6千の兵力で単身乗り込み、本書の中盤では南イタリアをほぼ制圧してしまうという天才的な才能をもちます。

ハンニバル進撃路

 

奇跡的な行軍を成功させたのは彼の智慧が全てと言ってもよいでしょう。ハンニバルは手薄な北側からローマを攻めることを考えました。しかしハンニバルの拠点のスペインからフランスを超えてイタリアに攻めるまでの間には1つ難所があります。

アルプス山脈です。これはハンニバルの「アルプス越え」と呼ばれ非常に有名であるそうです。

この写真は最高峰のモンブラン山、標高4810m。他にも4000m級の富士山を超える山々が連なる難所を、ハンニバルは4万6千の兵と30頭の象を連れて超えました。すげぇ。富士山を4万6千と30頭の象が行軍する様子を想像すると気が遠くなります。そして上で2万6千の兵力と書いたように、2万人が山越えで死にました。しかしこの犠牲をあらかじめ計算してまでもハンニバルは山越えが重要と考えていました。

この無謀な行為はローマの油断につけこむことに見事成功し、ローマに壊滅的な打撃を与える前216年のカンネの戦いなどを通して10数年にわたりハンニバルはイタリア内で暴れ続けます。アレクサンダー大王、ハンニバル、優れた武将が1人出ると戦局はこうも大きく変わるものかと驚かされます。

あの偉大な数学者も登場

本書ではもう一人、誰でも名前を知っている智者が登場します。

アルキメデスです。彼はシチリア半島の自治区シラクサの大科学者でした。シラクサは本書でハンニバルの暗躍によりローマからカルタゴに寝返ります。したがってアルキメデスはローマの敵として登場します。浮力の原理という偉大な発見をした彼は、まるでアニメのお約束よろしく、ビックリドッキリメカでローマ軍を翻弄しました

兵器その1

Claw of Archimedes – Wikipedia, the free encyclopedia

「アルキメデスの鉤爪」と呼ばれるこの兵器は、城壁に取り付けたクレーン装置のようなもので、図のように船をひっかけて転覆させます。ローマ海軍は大きな被害を被りました。

兵器その2

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/58/Archimedes_Heat_Ray_conceptual_diagram.svg/220px-Archimedes_Heat_Ray_conceptual_diagram.svg.png

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%B9#.E3.80.8C.E3.82.A2.E3.83.AB.E3.82.AD.E3.83.A1.E3.83.87.E3.82.B9.E3.81.AE.E7.86.B1.E5.85.89.E7.B7.9A.E3.80.8D.E3.81.AF.E5.98.98.E3.81.8B.E7.9C.9F.E5.AE.9F.E3.81.8B

「アルキメデスの熱光線」。これは本書に登場せず、リンク先でも存在を疑問視されていますが本当にあったと考える方がロマンがあります。

虫眼鏡で紙を焼く如く巨大な鏡で船を焼く、ソーラ・レイシステムです。紀元前に実用化されていたのですからガンダムは遅れていると言わざるを得ません。

なお彼は戦火の中ローマ兵に手違いで殺される直前まで数学の問題を解いていたマジな数学オタクだったそうです。本書のMVPはアルキメデスにあげたいと思います。

 

 

 

関連書籍

シラクサ攻防戦を描いた漫画。読みたい。もちろんアルキメデスも登場します。なんと作者は寄生獣の人です。

ヘウレーカ (ジェッツコミックス)

ヘウレーカ (ジェッツコミックス)

 

 

これも読んでみたいですね。

ハンニバルに学ぶ戦略思考

ハンニバルに学ぶ戦略思考

 

 


CDレビュー: the HIATUS – A World Of Pandemonium(2011)

★★★★☆

 

ゴリ押しロック(と名付けました)のthe HIATUS、3rdアルバムです。

インストがより洗練されるも後半が残念

インストのレベルが前作よりも飛躍的に上がりました。特に先頭の1,3,4曲目に関しては非常にレベルが高い。1曲目Deephoundsは得意の音圧ゴリ押しの成功例。3曲目The Tower and The Snakeはリズム隊も私好みに爆裂しており本アルバム中で最も好きです。4曲目Soulsも小刻みなイントロがワクワクさせてくれる上にゲストのJamie Blakeさんの超透明な歌声がカンフル剤となり楽曲に華を添えます。

ところが残念なことに5曲目以降失速します。5曲目Bittersweet/Hatching Mayfliesはゴリ押しの本領発揮ですが音量全開の見せ場で私の苦手な裏声も全開なので残念。裏声って下手なJPOPアーティストがみんなこぞって使用するので、よっぽど歌が上手い人以外はどうしても彼らと同じ印象を抱いてしまうのです。6,8,9,10は凡庸。7曲目Flyleafは良いですが肝になるフルート様の音色が明らかに打ち込みなのが残念です。せっかくここまでやったら全部生音にしましょうよ。

 

これでHIATUSについては発売中のアルバムを制覇したことになります。まるで成長株のように1st~4thといい感じに洗練されていっていますので、次のアルバムに大いに期待したいと思います。

 

 

ロック等の他のCDレビューはこちらです。

 

 

レベルの高いインストを聴くにつけ、以前1回通しで聴いたAmetsubというアーティストの曲が聴きたくなりました。次の日本人枠では彼のアルバムを4枚ほど聴き直してみようと思います。最新作以外は最後に聴いたのが2年以上前ですので、今の自分とはずいぶん違います。一体どのような印象を持つのか楽しみです。

 

Linear Cryptics

Linear Cryptics

 

 

Surge

Surge

 

 

All is Silence

All is Silence

 

 

The Nothings of The North

The Nothings of The North

 

 


書籍レビュー: 嫉妬されると死ぬ 『ギリシア神話』 著: 中村善也・中務哲郎

★★★★☆

 

岩波ジュニア新書2冊目。ジュニアと言えど内容は普通の新書と全く変わりません。著者の一人中務哲郎(なかつかさてつお)さんは、どこかで聞いた名前だと思ったら放送大学(ここも中退しそう)で西洋古典文学の授業でギリシャ篇を担当していた方ですね。先生からはとてもいいお話を聞けました。

放送大学 授業科目案内 ヨーロッパ文学の読み方―古典篇(’14)

いまはradikoという便利なツールがありますので授業は誰でも無料で効くことができます。

Radikool – radiko録音ツール

こいつを使えばタイマー録音もできます。放送大学は良質な授業が揃っていてとても良い学習アイテムです。

昔話

ギリシャ哲学を学びたいという野望があるので、背景知識として必須と思われるギリシャ神話についてどうしても知っておきたくて読みました。本書はギリシャ神話を愛・罪と罰・生と死などのテーマからとらえるという構成になっていますが、単にぶつ切りにするのではなく導入~神~英雄~人間~各テーマというよく練られた構成となっており非常に読みやすかったです。

ギリシャ神話は我々いうところの「昔話」に相当します。しかし日本の昔話は民話の寄せ集めで、名前の固定した登場人物はいません。紀元後8世紀に古事記が成立してやっと固有名詞付きの昔話が出現します。ギリシャ神話は紀元9世紀には記録が残ってますから彼らの知恵には恐れ入りますね。

神大杉

ギリシャ神話には膨大な人物が登場します。適当に画像検索すると目の痛くなりそうな系図が見つかりました。

http://harmonyatsugi.web.fc2.com/kyusoku/016graecia.gif

パンドラの箱の謎

 

実際にはもっといます。これ全部覚えるのはすぐには無理ですので、少しずつ慣れていくしかなさそうです。

ギリシャ神話の「神」はほとんど人間と変わりません。旧約聖書では神が自分に似せて人間を作りましたがギリシャ神話においては人間の誕生については特に語られません(上の図ではプロメテウスが作ったことになっていますが、本書ではこの説が比較的新しい作り話であると懐疑的です)。どうやらギリシャ人が自分たちに似せて神話を作ったようです。神は恋もするし全知全能じゃないし不死ではありません。上の系図から分かるように唯一神ではなく大量に存在します。違うところと言ったら、有名なゼウスの雷をはじめとしてみな特殊能力が使えることくらいでしょうか。サイヤ人みたいなものと考えればいいかもしれません。それから生殖方法は異常です(後述)。

神増え過ぎ

ギリシャ神話は旧約聖書なんてレベルじゃないほど人や神が死んだり生まれたりします。まず上の系図でいうとカオスが自然発生します。キリスト教徒はえらい違いですね。カオスは我々が思い浮かべるカオス(混沌)とは違い、すべての発生元の大きな穴、むしろ「何もない」というくらいの意味と思われます。

ここからが恐ろしくて、ギリシャ神話の世界では必ず何かから何かが生まれます。即ちカオスからガイアがポンと生まれるわけですがまあこれは穴から出てきたってわけだからまだ分かります。次にガイアからウラノスやらポントスやらが生まれます。ここまでもまだわかりますが、さらにガイアがその子ウラノスと夫婦の営みをしてその右側の大量の訳わからんものが生まれたことになっています。一番下にはドラクエにもいるキュクロプス(サイクロプスとも読む)やFFにもいるヘカトンケイルやらの名前も見えます。

サイクロプス.jpg

モンスター/サイクロプス – ドラゴンクエスト モンスターパレード 攻略 Wiki

 

http://www.square-enix-shop.com/jp/ff-tcg/card/cimg6/6-052u.png

FINAL FANTASY ⅩⅢ | タイトル別カードリスト | ファイナルファンタジー・トレーディングカードゲーム(FF-TCG)

 

お前ら変なもの産み過ぎ。

 

また下ネタになってすみませんが、神の生殖能力は滅茶苦茶で、神がと交わってできた神すらいます。何だよ岩って!生物ですらない。他にもクロノスがウラノスのチンコを切り落としたらそこから泡が発生して生まれたアフロディテとか、そんな話ばっかりで現代人から見ると引きます。ちなみにアフロディテは美の神ですよ。チンコなのに。

最強の神として各地でシンボル化されているゼウス(私がまず思い出すのはスーパーゼウス)も超絶倫で、あちこちで子供を残します。シカになったり牛になったり、時には雨になるなどという謎の変装をして可愛い女の子を襲うのです。ゼウスが女の子に言いよる話はこの本だけで10回くらい出てきました。現代だったら確実にけしからん話ですがギリシャ神話には日常茶飯事。むしろ私たちの常識が間違っているんじゃないかと思わせられるほどです。神を通した生命賛歌と捉えるのが妥当かもしれません。

触らぬ神に・・・

なお旧約聖書と同様、人間が神に逆らうと大体死にます。ところがギリシャ神話の神は人間的だから余計にたちが悪い。例えば機織りの名手アラクネは女神アテネを機織りで打ち負かしたため嫉妬されて死にます。子供が多いことをレト神に自慢したニオベはレトに嫉妬され14人の子供全員を弓で射殺されます。すっげえ理不尽ですが、いずれも神に対する「傲慢」を突かれて罰を受ける、という共通点があるため、因果応報とみてよいのかもしれません。神に嫉妬されないように気を付けよう。

 

 

 

参考書籍

優れた本ですがやっぱり生の物語にはかなわない。紙面の都合で仕方ないですが物語をもっと引用しまくってほしかった。

 

 というわけで次はこれですかね。石井桃子さんですし外れるわけがない。

ギリシア神話

ギリシア神話

 

 

 さらに補強するならこれか。でも前著で十分な気もする。

ギリシャ神話集 (講談社学術文庫)

ギリシャ神話集 (講談社学術文庫)

 

 

これもよさそうなんだけどブルフィンチって人が作ったまとめだから生の物語はどのくらい収録されてるんだろう。。?

ギリシア・ローマ神話―付インド・北欧神話 (岩波文庫)

ギリシア・ローマ神話―付インド・北欧神話 (岩波文庫)

 

 

最終目標はこれ。

イリアス〈上〉 (岩波文庫)

イリアス〈上〉 (岩波文庫)

 

 

ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)

ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)

 

 

 本書のレビュー先で紹介されていました。これも読みたい。

神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 


書籍レビュー: プロセスとしてのリーマンショック『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(下) 倒れゆくウォール街の巨人』 著: アンドリュー・ロス ソーキン 訳: 加賀山 卓朗

★★★★★

上巻のレビューから一か月も経ってしまいました。原書は1冊にまとまってるのですがこの本は記述量が半端じゃないので2冊に分けたのは賢明だと思います。

プロセスとしてのリーマンショック

下巻は役者が全員そろっているので上巻のようにエキセントリックな人物紹介はなく、登場人物が動き回りながらあちこちで巨大企業が倒れていきます。本書は上巻で述べたように、主として登場人物のとった行動に焦点が置かれていますので、構造的な問題は他の本で補わなければなりません。もしくは次のサイトを泣きそうになりながら読んでみようかとも思います。

サブプライム住宅ローン危機 – Wikipedia

本書から分かる範囲で簡単にまとめます。

サブプライム証券の価値暴落により破綻寸前のリーマン・ブラザーズに対して政府は政治的な理由で「助けてやんない。金融機関同士で何とかしな」とメッセージを出し、他の金融機関は株が暴落したリーマンを買おうとするも結局サブプライム証券の評価損の大きさが怖くてどこも手を出さず、リーマン・ブラザーズは2008年9月15日をもって破産します。

同様のサブプライム系証券に手を出していた大手保険会社AIGも破綻寸前までいきますがこちらはこれ以上危機を広げたくない政府による大量融資で80%が国有化(東電みたいな感じ)され、ギリギリのところで救われます。

大手投資銀行モルガン・スタンレーも資金不足となり死亡寸前までいきますがここはなんと三菱東京UFJが90億ドルの融資を決定し生き残ります。取引成立が祝日前だったので、三菱東京UFJはモルガン・スタンレーまで90億ドルの小切手(こわすぎ!!)を届けることで危機を回避しました。三菱東京UFJはいまでも22%の議決権を占める筆頭株主です。

金融機関が倒産するということは、経済の血液たる金の流れがストップするということです。リーマン・ブラザーズの倒産は内臓が一つオシャカになったことに相当します。例えば胃がんになったと言ったところでしょうか。AIG、モルガン・スタンレーが救われていなければさらに肺がんと肝臓がんがダブルパンチで襲ってくることに相当すると考えてよさそうです。まず死にます。間一髪で切除されて助かりました。

リーマンショックという出来事は、上手な人がまとめれば5行くらいで片付いてしまう出来事だと思います。本書は危機の端緒、フレディマックとファニーメイが国有化された2008年9月7日から、7000億ドルの不良債権を国が買い取る緊急経済安定化法案が成立する2008年10月3日までの話ですので、わずか4週間の出来事をこんな超分厚い本で語っています。

この本は歴史書だと感じました。まさに塩野七生さんの言うところの「プロセスとしての歴史」です。

すなわち構造的な理論書の補強として出来事を配置するのではなく、もっぱら出来事そのものを叙述することを目的とする本です。そこで必要となるのは、正確性と情報量の多さ、事実の多層性交錯性、登場人物の背景や性格、とった行動と彼らの思考です。著者の取材力には感心するしかありません。日本文で800Pくらいありますものね。

後知恵野郎はよく笑う

財務長官ヘンリー・ポールソンは今後長い間に渡って批判されるでしょう。なぜリーマンを救わず、他の金融機関は救ったのか、、と。しかしそれは結果論に過ぎません。リーマンを救うことは大きなモラル・ハザード(どうせ救われるんだから俺たちも無茶しちゃうぜーって他の金融機関が思うこと)に直結するというジレンマでポールソンは苦しんでいました。

ポールソンに限らずニューヨーク連邦準備銀行総裁ティモシー・ガイトナー、連邦準備制度理事会ベン・バーナンキも歴史の1点1点で彼らのベストを尽くし、できることを最大限にやり切ったのではないかと感じさせられます。

彼らを「あの時こうやればよかったのに」と、後知恵で非難することは簡単です。それは結果が分かっているからです。我々は現在を生きていて、未来を正確に予測することはできません。金融市場は大量の人間の意志という永遠に予測不可能な存在達の集合体です。非難する奴に言いたい「お前明日株が上がるかどうか分かるの?」

エピローグには、JPモルガンの代表ジェレミー・ダイモンのとても印象的な引用文が掲載されています。

重要なのは批評家ではない。ものごとを成し遂げるのに人がどこで躓いたか、どうすればもっとうまくできたか、そういう粗探しはどうでもよい。名誉はすべて、実際にアリーナに立つ人にある。その顔は汗と埃、血にまみれている。勇敢に戦い、失敗し、何度も何度もあと一歩で届かないことの繰り返しだ。そんな人の手に名誉はある。なぜなら失敗と弱点のないところに努力はないからだ。常に完璧を目指して現場で戦う人、偉大な熱狂を知る人、偉大な献身を知る人、価値ある志のためなら自分の身を粉にして厭わない人…結局最後に勝利の高みを極めるのは彼らなのだ。最悪、失敗に終わっても少なくとも全力で挑戦しながらの敗北である。彼らの魂が眠る場所は、勝利も敗北も知らない冷たく臆病な魂と決して同じにはならない。

――セオドア・ルーズベルト

 

私は感銘を受け、次の本を読みたくなりました。

決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)

決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)

 

映画版を見たことがあります。1945年8月14~15日。天皇を崇拝しクーデターを起こして最終的にピストル自殺する畑中をはじめとして、結果を知っている現代の私達から見れば、彼らは一見滑稽に見えかねない思考で行動します。しかし彼らは決して道化でもないし馬鹿でもない。私はあの時間を極限まで凝縮して生きた人たちの生き方考え方を知りたいと思いました。

 

 

 

関連書籍

リーマンショック一番の功労者。彼がいなければ世界同時不況はもっと深刻になっていたかもしれません。いつか絶対読む。

ポールソン回顧録

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 最近ガイトナーの回想録も出ました。超イケメン。これも絶対読む。

ガイトナー回顧録 ―金融危機の真相

ガイトナー回顧録 ―金融危機の真相

 

 

 ゴールドマン・サックスの本もある。これも読みたい。

訣別 ゴールドマン・サックス

訣別 ゴールドマン・サックス

 

 

でもこれらを読む前に基礎知識が必要です。次の本は図書館の入り口の無料譲渡本コーナーで手に入れたので近いうちに読みます。

金融入門 (岩波新書)

金融入門 (岩波新書)

 

 

これも必要

国際金融入門 (岩波新書)

国際金融入門 (岩波新書)

 

 

まずこれだけあれば十分かな?

入門 企業金融論: 基礎から学ぶ資金調達の仕組み

入門 企業金融論: 基礎から学ぶ資金調達の仕組み

 

 

 バーナンキが良さげな本を書いているので読みたい。

連邦準備制度と金融危機―バーナンキFRB理事会議長による大学生向け講義録

連邦準備制度と金融危機―バーナンキFRB理事会議長による大学生向け講義録

 

 


フィスコレポートを読む セレクト 6037ファーストロジック、4318クイック

 

6037 ファーストロジック(博打銘柄)

投資用不動産ポータルサイト「楽待」を運営する、今年上場したばかりの若い会社です。出来立てのためサイト上の情報量はとても少なくフィスコのレポートも1P半だけと全くやる気のないレベルです。仕事しろよ。

事業については株式売出届届出目論見書を読むのが最も良いです。

http://v4.eir-parts.net/Custom/public/parts/6037/ja/parts/pdf/mkr00.pdf

楽待は投資用物件を売る不動産会社とその顧客である会員をマッチングさせるサイトです。会員はなんと利用無料。収益はすべて不動産会社に依存します。

収益源は4つ。

  1. 物件掲載サービス・・・不動産会社が掲載する物件の数に応じて月額料金を徴収
  2. 提案サービス・・・会員が登録した条件に合致する物件を提案するメールを送付。不動産会社から提案数等に応じた月額料金を徴収
  3. 広告掲載サービス・・・サイト上の広告収入
  4. 査定サービス・・・会員の物件売却の仲介。不動産会社から手数料を徴収

サイトはこんな感じです。

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東京都文京区 1棟マンション 1億8480万円 5.51% 築年 | 国内最大の不動産投資サイト楽待(らくまち)

マンションで土地66.47平方メートルってマジですか。私の住んでる田舎の住宅用売地は平均でこの2倍近くはありますよ。しかも鉄筋コンじゃなくて重量鉄骨。コスト減ですなあ。こんなクソみたいなビルでも2億円するんだから都心の収益物件は恐ろしいですね。

それは置いておいて、昨年末の時点の実績は会員数41292人、アクティブユーザー数は16730人、PV数は1228万/年(1日3.4万)とまだまだ発展途上、成長著しい段階と言えます。なお今年4月からYahoo!と提携し、PVは直近の3Q決算時点で1771万/年と飛躍的に伸びました。

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(注:右端は1Qのみの成績)業績は急上昇中です。というのも緩和マネーで投資家は儲かってるので、消費増税を乗り越えてとてつもなく売上が伸びています。今期は売上868百万円、経常利益413百万円を見込んでいます。前期比50%の伸び、利益率47.6%。驚異の数字です。国内シェアは40%、寡占効果でまだまだ伸びしろのある企業でしょう。

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ただし心配なのは株価です。最高値から40%の値段まで暴落しているのでチャートだけ見ればチャンスにしか見えませんが、未だにPER40倍なのが気になります。成長企業とはいえこの数字は全く看過できません。

リスクとしては、不動産だけに不況が訪れたら一気に成績がズンドコに落ち込むと予想されることです。当面は大丈夫でしょうけれど。

また、通期決算は明日14日に発表です。直近で「大家さんの味方」をオープンし、中身がまだまだ工事中であることを考えると今は投資期で力を蓄える時期に相当し、来期予想の数字は大幅な見た目の成長鈍化が予想されます。また昨今の不安相場から考えてもこの価格では手を出しづらく、明日買うのは大博打と言わざるを得ません。大幅に下がったら買いかもしれません。明日の決算に注目します。

 

4318 クイック(微おすすめ)

派遣から出版までを手掛ける総合的な人材サービス会社です。金融・製薬・建設・看護師といった専門職の人材サービスに特化しているところが特徴的です。出版事業では北陸地域でのフリーペーパーも発行しています。前身はリクルート傘下の広告代理店だったそうで、今でもリクルーティング部門でリクナビ・タウンワークといったリクルートの広告作成を手掛けています。人材そのものを取り扱うことで事業を拡大していったようです。現在はリクルーティング部門の占める割合は20%程度と少なく、売上の約半分が人材サービス部門です。

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業績もとてもいい感じですね。中期目標はややバラ色に過ぎますが、実績でも営業利益率12.2%とそれなりに高収益で、事業拡大ペースも申し分ないです。さて株価は。。

 

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いい感じに暴落してました!現在PER14.28倍、悪い数字ではありません。派手ではないですがそれなりに投資対象として検討してもいいレベルだと思います。

ただし景気敏感の建設部門の派遣を取り扱っているのがやや心配ですね。製薬、看護師なんかは安定してるのでここに特化していたら間違いなく買いなんですが。

 

 

今週はファーストロジックが面白い企業でした。フィスコは今週レポートに全然やる気がないですね。

 

さて来週も全然決算がありません。明日14日にエニグモ、ファーストロジックがあるくらいですね。最近は時間が無く持ち株以外の決算は全然見られていません。