Joe Pass – Virtuoso (1973)

★★★★★

ジョー・パスはアメリカのジャズギタリスト。録音がいいのか彼の演奏が上手だからなのか、目の前に演奏者がいるような迫力のある音がする。ギターの細かいことは知らないが1曲目のNight And Dayでぶったまげた。ギターってこんないい音したっけ!?一人しか弾いてないのにどんどん引き込まれていく。5曲目How High The Moonもいい。弦を弾く音が耳にペチペチ当たるのが心地よく、これが中毒性を増すのではと感じた。心の底から楽しんでくる様子がこっちまで伝わってくるので聴いていて楽しい。おすすめです。


Johann Sebastian Bach , Emerson String Quartet – Art of Fugue for String Quartet (DG 111 CD12)

★★★★☆

DG111の12枚目。BWV1080は最晩年に書かれた曲で、楽器指定がなされていない。チェンバロやピアノでも演奏されることがあるそうだが、このCDは弦楽四重奏版。彼の宗教家と言うよりは職人芸の極みという感のある曲をヴァイオリン四本が丹念に弾いてゆく。

wikipediaには次の評がある。

単純な主題を入念に組み合わせることによって究極へと導いた。

私にはまだ彼の創造性を理解することができない。分かりやすい現代商業音楽に毒されてしまっているためだろう、どうしても展開に乏しかったりドラマチックさに欠けるように感じてしまう。音楽に何を求めるか、という姿勢の問題だ。冒険や高揚感、ドキドキするスリルや奇抜性を求めるのか、調和や静寂、安心感、論理的整合性、音階や理論の緻密さを求めるのか。ふつーの人間は前者を求めてしまうだろう。私もそうだ。年を取れば後者を求めるようになれるのだろうか?知識と経験は音楽体験を豊かにしてくれるのか?もっとたくさんの音楽を聴き続けなければいけないのだろう、とごく当たり前のことを考えた。


Gustav Mahler, Gustavo Dudamel (Cond.), Simón Bolívar Youth Orch. of Venezuela(Orch.) – Symphony No.5 (DG111 CD11)

★★★☆☆

以前小澤征爾版でも聴いたでかい交響曲。

Gustav Mahler, Seiji Ozawa(cond.), Boston Symphony Orchestra – Symphony No.5(CD8) – diary 六帖

マーラーさんは勿体ぶるカッコつけマンだと思った。第一楽章のトランペットによる主題は堅苦しく「それが武士の務めでごわす」とでも言いそうな古武士のような印象を与える。前書いた記事ではちょっと褒めてるけど、2~4楽章はキレイではあるんだがこの演奏が悪いのか全然印象に残らない水出し緑茶のような感じ。引っ張って引っ張って最後に盛り上げるのが好き。5楽章のラストはさすがド派手どーんでお見事なんだけど40分くらいひっぱるのはちょっと。。私には勿体ぶり攻撃に耐えるだけの体力がまだないよ。


Metallica – Kill ‘em All (1983)

★★★★☆

デビューアルバム。若い!音がすっげー若い!やんちゃ!特に前半4曲に顕著で、オラオラ聴けやーって気持ちが伝わってくる。後半6曲は前半と比べてヘビーさが増し、1枚のアルバムの中で何故か成長しているように感じた。録音した時期が違うのか、レコーディングしながら得るものがあったのか。まだ発展途上のため、2曲目The Four Horsemenなどで顕著だが長めの曲がただ長い演奏の見せつけと感じて少々鼻につくのでもっと成熟してほしいなあ。


75 Jahre Donaueschinger Musiktage 1921-1996 (CD9) Karl Amadeus Hartmann, Pierre Boulez, Luigi Nono, Iannis Xenakis, Krzysztof Penderecki, György Ligeti

★★★★☆

 2と4がよい。いずれも弦の数で主張を押し通す類の曲で、特に4曲目がタイトル通り”Metastasis(転移)”を表していて気持ち悪くて良い。FF5をプレイしていた時、古代図書館で「64ページ」などの気持ち悪い敵が現れる。あの本の中から飛び出てくるエフェクトが気味悪くて後々まで印象に残っているのだが、あれに近い感じをうけた。

Xenakis: Orchestral Works, Vol.5 – Classical Archives ここで視聴可能。

他は相変わらず意味不明な曲揃いで、そろそろこのシリーズも疲れてきた。

Track List    

  1     
Adagio
Karl Amadeus Hartmann
                
    2     
Polyphonie X, for 18 instruments (withdrawn by composer)
Pierre Boulez
                
    3     
Espressioni (2), for orchestra
Luigi Nono
                
    4     
Metastasis, for 60 musicians (Anastenaria, Part 3)
Iannis Xenakis
                
    5     
Anaklasis, for string orchestra & percussion
Krzysztof Penderecki
                
    6     
Atmosphères, for large orchestra
György Ligeti 


CDレビュー: Yes – Tormato(1978)

★★★☆☆

い、いまいちだべ。。どうしたYes!まったくググっとこないぞ!

Don’t Kill The Whale, Onwardはそれなりに聞けるレベルだが、あとはプログレ的とかプログレ的じゃないとか以前に軽い!軽すぎる!決してクォリティが低いわけではないのだが、ポップな曲なら他にいくらでも聞けるアーティストがいるぞ!リマスター版のボーナストラックもへちょいぞ!

 

プログレッシブロックの他のCDレビューはこちらです。


The Rough Guide to Cajun & Zydeco (1998)

★★★☆☆

ケイジャン、ザディコとはルイジアナ発祥のフランス語を話すクレオール系黒人達が演奏するフォーク音楽。アメリカと言うより中世フランスを想起させるような曲が多い。アコーディオンが特徴で、初期ロックンロールと融合したような曲もいくつか収録されている。マザー2に出てきそうだ。

残念ながらオリジナル性が私にはあまり感じられず、いまいちな印象だけが残った。楽しそうではあるんだけれどね。


Anthony Braxton With The Northwest Creative Orchestra – Eugene (1989)

★★★★★

即興演奏サックス奏者アンソニー・ブラクストンのボックス

Amazon.co.jp: Anthony Braxton : Complete Remastered Recordings
の7枚目で、8曲79分にわたるライブ版。どの曲も “Composition No. 112” のように意味のないタイトルが付けられていて、見た目は情緒が全くないように思える。またブカブカ訳わからんインプロが続くのかと思ったら、3曲目で衝撃を受けた。単純な拍子のベースが1本入っただけで、突然ストーリー性が附加されたのだ。曲全体に1つの筋が通り、一見目茶目茶なようで分かりやすくなる、不思議な体験をした。

ここから考えると、曲の体をなしていないようなインプロ曲は、てめーが聴きながらバックグラウンドを想像しろ、音が発せられるコンテキストは自分で考えるんだ、というメッセージなのではないかと思った。奏者にも創造力が求められるが、リスナーにも想像力が求められる。通りで聞くのが苦しいと思ったよ。

同様の体験は7曲目でも起きた。こちらはドラムが恒常的にリズムを刻んでいるため、そこから我々に蓄積されたドラム体験が喚起され、曲のイメージを大幅に膨らませてくれる。なので他と比べて聴くのがとても楽だった。

普通の曲とインプロ曲の関係は、漫画と小説の関係に似ている。漫画は視覚イメージを絵に固定する。この人物はこういう顔、この場面ではあんな表情、、そのため我々に残されている想像力の余地が少ない。一方、小説には視覚イメージが用意されていない。そこに書いてあるのは概念の集合体で、具体的なイメージは全くない(ラノベは除く)。そのため我々の想像力を使わなければ読むことが不可能である。同様に、普通の曲はコードもメロディーもサビも、歌なら歌詞も用意されている。視覚的イメージはないが聴覚的イメージはすべて用意されている。しかしインプロ曲はこれらがほとんど欠けている。我々のいままでの音楽体験を総動員して、想像力で音の背景、意味、これらを補完して聴かなければならない、ということが分かった1枚だった。ありがとうブラクストンさん。


Shelly Manne & His Friends – My Fair Lady (1956)

 ★★★★★ヽ(•̀ω•́ )ゝ✧

アメリカっぽさが臓に染み渡るようなアルバム。映画は見たことないけれど、1曲目のウォーキングベースとドラムのノリっぷりを聞けば誰もが上機嫌になれるはず。7曲目With A Little Bit Of Luckは泣けるピアノ大炸裂だし、ラストの I Could Have Danced All Nightも燃えること間違いなしの優れたナンバー。クラシックな堅苦しさは全くなく、幅広いリスナーを獲得できしかも演奏が優れているというすごい1枚。レコード時代のものだから仕方ないが、もっと長く収録してほしいなぁ。


Great Pianists of the 20th Century Vol.5 – Claudio Arrau II (CD2)


★★★★☆
主にリストとシューマン。リストのピアノソナタで4枚目にして初めて爆音で弾いた。だが汚くはない。このジャケットの写真のせいでヒゲのナイスミドルが華麗に弾いている場面しか想像できなくなってしまった。流れるようにそつなく弾きこなし、第一楽章が特にお見事。だがインパクトには欠けるか?シューマンのピアノソナタは盛り上がるのか盛り上がらないのかつかみどころのない印象だった。

Track List:
Frederic Chopin
1. Fantaisie In F Minor, Op. 49
Franz Liszt
2. Piano Sonata In B Minor, S. 178: Lento assai - Allegro energico
3. Piano Sonata In B Minor, S. 178: Grandioso - Recitativo-
4. Piano Sonata In B Minor, S. 178: Andante sostenuto-
5. Piano Sonata In B Minor, S. 178: Allegro energico - Andante sostenuto - Lento assai
Robert Schumann
6. Fantasie In C, Op. 17: Durchaus phantastisch und leidenschaftlich vorzutragen - lm Legendenton
7. Fantasie In C, Op. 17: Massig. Durchaus energisch - Etwas langsamer - Viel bewegter
8. Fantasie In C, Op. 17: Langsam getragen. Durchweg leisi zu halten - Etwas bewegter