CDレビュー: DakhaBrakha – Yahudky (2007)

★★★★★(∂ω∂)

 

ウクライナのエスノカオス集団DakhaBrakha、1枚目のスタジオアルバムです。前回聴いたLightは3rdでした。公式サイトによると1stの前に”Na dobranich”ってライブアルバムがあるらしいんですがAmazonで取り扱いがありませんでした残念。

あ、よくみたら公式サイトで全曲公開されてるじゃん!

DakhaBrakha official site – ДахаБраха офіційний сайт

すばらしいすばらしい次回はこれを聴きます。

 

で、1stアルバムは見込んだ通りめちゃんこ熱くて暑いアルバムでした!このアルバムは全編にわたって燃える打楽器群に支えられており、女性ヴォーカルの野太いお祭りコーラスによって気持ちが燃え上がること間違いなしです!ヒャッハーヒャッハー言ってますふなっしーもびっくり。

 

1曲目Sho z-pod duba(なんて読むんだ!?)からぶっ飛ばしてます。この曲は男性の掛け声もイケてます。

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不気味度とトランス度では6曲目Na dobranichが図抜けてますね。これはライブアルバムと同じタイトルですので、あっちにも入ってるのでしょう。

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こわすぎ

 

 

 

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CDレビュー: Jaga Jazzist – A Livingroom Hush(2002)

★★★★★

 

先端ジャズ集団Jaga Jazzistの2ndアルバムです。器楽ジャズをベースとして前半はポップ寄りの構成、表参道明治神宮前系のオサレサウンドをミックスした曲が中心です。ラフォーレとかフランフランとかでかかってそう。

中盤からエレクトロやドラムンベース、訳わからん曲調に変わっていき私好みのサウンドとなりました。ラストCinematicが一番意味不明で好きですね。ほぼ電子音楽で、もはやどこらへんがジャズなのか分かりません。6曲目からが勝負です。

 

何かが終わってしまったような8曲目Made For Radio

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喪失感を二周くらい通り越したCinematic。ビデオクリップは気味悪すぎ

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CDレビュー: Sarah Vaughan – Crazy And Mixed Up (1983)

★★★★☆

ジャズの100枚。シリーズ24枚目です。邦題は『枯葉』。

くんせいジャズ

サラ・ヴォーン(1924-1990)はアメリカ出身のジャズヴォーカリストです。煙焼けしたハスキーボイスが特徴ですが予想通りヘビースモーカーで、死因は肺がんでした。

33分ちょいと短いアルバムですがいい曲揃いです。彼女の声によるところが大きいですね。2曲目That’s Allは彼女の可愛い一面が見られる名曲。3曲目Autumn Leavesはシャバダバしか言ってませんが滑らかに歌もドラムもピアノも流れていきます。ラストYou Are Too Beautifulも燻製しきった低音が出まくっててよいです。こんなに焼かなくても、、なんか切ないです。

 

1曲紹介するとしたらこれですね。邦題タイトル曲Autumn Leavesです。

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ボンボルッボルッボルッダッパッパ

 


CDレビュー: Oliver Messiaen Complete Edition – Catalogue d’oiseaux, Livre 4, 5 (CD6)

★★★★☆

 

メシアン「鳥のカタログ」2枚目です。4,5集は次の鳥たちが登場します。

  • 第4巻

第7番 ヨーロッパヨシキリ

Acrocephalus scirpaceus Vlaskop cropped.jpg

ヨーロッパヨシキリ – Wikipedia

一夫一妻を取る珍しい鳥です。曲は28分26秒という超大作で、途中にはガラガラドーンとこれ絶対鳥の鳴き声じゃねぇって音も現れます。もしかすると環境音が混じってるのかもしれません。メシアンの鳥観察日記を8mmフィルムで撮ったらこんな音になる、っつーことです。鳴き声は比較的かわいい系ですね。単音の鳴き声は分かるとして、時々コードっぽいベース音が入れるなんてどういう感性をしていたら作れるんでしょうねぇこの曲。

  • 第5巻

第8番 ヒメコウテンシ

ヒメコウテンシ

ヒメコウテンシ – Wikipedia

日本名「姫告天子」、見た目と違って厨二臭のする名前です。ヒバリ科スズメ属ということで鳴き声はほぼスズメと同じです。スズメと思ってこの曲を聴いてみると面白いかも。私が住んでいる付近の川でよくスズメが大群で木に群がって鳴きまくっていることがあるんですが確かにこんな感じです。曲は5分と短め、やはり謎の低音部分などがあります。これは歩いている音なのか?

 

第9番 ヨーロッパウグイス

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Bouscarle de Cetti — Wikipédia

名前の通り残念ながら日本にはいない鳥です。鳴き声も日本のものとはずいぶん異なりチィーチィーと鳴くらしく、曲も全然ホケキョじゃないです。もっと甲高くて耳につく感じです。CD収録曲中一番気合の入っている曲でしょっちゅうピアニストが息吸ってる声が拾われてます。スズメくらいの大きさの鳥なのにパワフルですね。

 

別の人の演奏ですがヨーロッパウグイスです

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CDレビュー: Great Pianist of the 20th Century Vol.10 – Jorge Bolet I (CD2)

★★★★☆

2枚目はライブ版ともあってレパートリーがぐっちゃぐちゃです。美しきドナウの流れにはじまりタンホイザーやらクマンバチやら愛の喜びやら小曲の集合です。

聞くたびに毎回思いますが熊蜂の飛行をピアノに編曲したラフマニノフとこれを弾こうとするピアニストはキチガイだと思います。

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ラストに入ってます。7:00から。

 

あとはタンホイザーがいいですね。リスト編曲だけあって超ド派手です。前のCDに引き続きややべたっとしてますがリスト派手パワーのおかげで過度の甘みが酸味料ですっきりするかの如く聴きやすくなっています。

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 途中までですけど、youtube上なら続きも聴けます。

 

Tracklist:

Johann Strauss/Adolf Schulz-Evler

2-01     Arabesques On “An Der Schönen, Blauen Donau”     11:25

 

Richard Wagner/Franz Liszt

2-02     “Tannhäuser” Overture     16:39

 

Moritz Moszkowski

2-03     La Jongleuse (From Etudes, Op. 52)     1:55

 

Anton Rubinstein

2-04     Etude In C, Op. 23 No. 2 “Staccato”     4:53

 

Nicolai Rimsky-Korsakov/Rachmaninoff

2-05     The Flight Of The Bumble Bee     1:07

 

Fritz Kreisler/Rachmaninoff

2-06     Liebesleid     4:47
2-07     Liebesfreud     5:35

 

Felix Mendelssohn Bartholdy/Rachmainoff

2-08     Scherzo (From “A Midsummer Night’s Dream”)     4:40

 

Johann Sebastian Bach/Rachmaninoff

2-09     Prelude (From Violin Partita No. 3)     3:35

 

Modest Moussorgsky/Rachmaninoff

2-10     Hopak     1:43

 

Sergei Rachmaninoff

2-11     Polka De V.R.     4:13

 

Peter Iryich Tchaikovsky/Rachmaninoff

2-12     Lullaby, Op. 16 No. 1     4:10

 

George Bizet/Rachmaninoff

2-13     Menuet (From “L’Arlésienne”, Op. 23     2:45

 

Gaetano Donizetti/Franz Liszt

2-14     Réminiscences De “Lucia De Lammermoor”     6:20

編曲ラフマニノフばっかだった

 


CDレビュー: Great Pianist of the 20th Century Vol.10 – Jorge Bolet I (CD1)

★★★★☆

Great Pianistsシリーズの10組目のセット1枚目です。

ホルヘ・ボレット(1914-1990)はキューバ出身のピアニストです。フレディマーキュリーに似てますね。

このセットは1974年のカーネギーホールでのライブ録音で、彼の出世作だそうです。

1枚目はバッハのシャコンヌ(ブゾーニがアレンジした奴)、ショパンの前奏曲集、ヨハン=シュトラウスのワルツが2曲です。シャコンヌはややべったりした印象を受けました。納豆バッハ。

前奏曲集もべっとりしてますがこれは陰鬱なショパンの曲調とマッチしていい効果を生んでいます。ピアニストによって向き不向きがはっきり出る曲なんですね。この人見た目はマッチョですが前奏曲のラストなど心の奥まで粘着してきそうなDV的怖さがあります。

 

前奏曲の最後の方

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Tracklist:

Johann Sebastian Bach/Feruuccio Busoni

1-01     Chaconne In D (From Violin Partita No. 2)     15:04
    Préludes, Op. 28

Frederic Chopin
1-02     No. 1 In C     0:35
1-03     No. 2 In A Minor     2:08
1-04     No. 3 In G     0:52
1-05     No. 4 In E Minor     2:04
1-06     No. 5 In D     0:33
1-07     No. 6 In B Minor     2:01
1-08     No. 7 In A     0:50
1-09     No. 8 In F Sharp Minor     1:48
1-10     No. 9 In E     1:34
1-11     No. 10 In C Sharp Minor     0:30
1-12     No. 11 In B     0:41
1-13     No. 12 In G Sharp Minor     1:08
1-14     No. 13 In F Sharp     3:45
1-15     No. 14 In E Flat Minor     0:27
1-16     No. 15 In C Sharp     6:30
1-17     No. 16 In B Flat Minor     1:05
1-18     No. 17 In A Flat     3:50
1-19     No. 18 In F Minor     0:49
1-20     No. 19 In E Flat     1:15
1-21     No. 20 In C Minor     1:45
1-22     No. 21 In B Flat     2:05
1-23     No. 22 In G Minor     0:45
1-24     No. 23 In F     0:53
1-25     No. 24 In D Minor     2:43

Johann Straus/Carl Tausig
    From “Nouvelles Soirées De Vienne”
1-26     Man Lebt Nur Einmal, Op. 167     7:30
1-27     Nachtfalter, Op. 157

 

 


CDレビュー: Ametsub – The Nothings of The North (2009)

★★★★★

 

和製ひとりテクノユニットAmetsubの2ndアルバムです。このアルバムを聴くのは久しぶりで2度目なのです。やっぱり良いですね。

前作と大きく変わったのは、メロディーラインと和音の方向性が鮮明になったことです。サンプリングのぶっ飛び具合はより洗練されていますが、名状しがたい寂寥感を生む和音とメロディーの力が非常に強くなっています。

1曲目Solitude。「北」を打ち出しているだけあってのっけから過冷却冷え冷えです。8分で延々刻まれる虫が歩き回ってるような音が可愛悲しい。

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3曲目Repeatedly。ただ繰り返してるだけではなくもう寂しくてしょうがないです。中盤に繰り返しの中から現れる渦のような3連符でノックアウトされてしまいました。そのあたりから曲調が変わり16分地獄となります。

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初めて見ましたが目と心によくないビデオクリップですね

 

9曲目Faint Dazzlingsはラストのブリザードで死ね

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CDレビュー: Electric Wizard – Electric Wizard(1995)

★★★★★┐(´ー`)┌

今回のロック枠ではイングランド出身のドゥーム・メタルバンド、エレクトリック・ウィザードのアルバムを順に聴いていきます。ドゥームとは「遅くて重い」ぐらいの意味で解釈しています。1993年結成、現時点でアルバムを10枚発表しています。2014年発表の”Time To Die”が最新作品です。以前”Black Mass”という曲を聴く機会があり、こいつらやばいんじゃねと記憶していたので聞いてみることにしました。

遅い重いだるい、内臓に物を詰め込む音楽

1枚目の1曲目Stone Magnetからもうダウナー炸裂です。イギリス的ロックを踏みつけた上に墨を塗りたくったようなこのバンドを選んだのは間違いではなかったと確信しました。後半もともと気怠いのにさらにテンポを落として仕事も何もかも嫌んなっちゃうような雰囲気に突入します。歌詞も”No hope, no future, no fuckin’ job, yeah”と今書いた気持ちそのまんまでしたビックリ

2曲目Mourning Prayerなんてイケてるタイトルの曲は音弄りすぎでお腹に応える、ずっと古い油で揚げたメンチカツを胃袋に突っ込まれてる感じです。褒め言葉です。

3曲目Mountains Of Marsもベースだけでお腹一杯、ついでにエコーの聴いた触れると危険そうなギターが異世界の扉を開きそうです。

4曲目Behemothはもうイントロだけで勘弁してくれという気持ちになります。最速どころか最遅、ボーカルの二日酔いみたいな声のせいですべての意欲が削がれていきそうです。中盤のベースゾーンも強烈。このテンポと音圧で繰り出されるリフはラーメン二郎で言うと山盛りの野菜を食べ終わった後に出現する極太麺と油の浮きまくったスープくらいのインパクトがあります。

全部紹介していくと腹に悪いのでクライマックスのバンド名を冠した7曲目Electric Wizardについて書いて終わります。6/8拍子なのですがビートが時々前後に揺れていて船酔いのような目まいをおこします。意図的なのか計算ずくなのか分かりませんが曲に陶酔するための大きなベースになっています。メインメロディー?の合いの手として入るギターのジョワーンという音が背脂の役割を果たして内臓が揺れます。やはり中央にギター抜きの豚骨味な間奏が流れ次のような歌詞が気の抜けた声で流れます。

Higher and higher, through the cosmos we had tripped
Seeing stars turned inside out, we thought our minds had flipped
Colors swirling, sounds are drifting, thinking we were dead
The wizard turned and spoke to us and, this is what he said

ってこれ明らかに幻覚じゃねーか!

ラストは繰り返しにグッチャグチャなギターを混ぜてはいゲテモノ丼~!

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2006年リイシュー版ボーナスのIllimitable Nebulieもゴアトランスを強引にバンドでやった感じのかなりやばい曲でした。デモテープ音質なのが気味悪さを助長しています。1枚目からこの内容で、レビューによると2ndや3rdの方がぶっ飛んでるってどういうバンドなんだよ。。

 

 

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CDレビュー: Yes – Fly From Here(2011)

★★★★☆

42年目のアルバム

イエス19枚目のアルバム。結成から42年が経過しており、もう存続していること自体が奇跡的です。

ヴォーカルのジョン・アンダーソンは呼吸不全でリタイア、キーボードのリック・ウェイクマンは心臓病でリタイアしていますが、新しいメンバー(ウェイクマンの息子もいる)を加えて出したのがこのアルバムです。

曲のクオリティはそこそこ良いし、新しいヴォーカルのベノワ・デイヴィッドの声は悪くありませんが、やはり音にパンチが足りないです。ドキドキするような展開が足りません。

8曲目Life On A Film Setは良かったので動画を貼っておきます。後半~ラストにかけてのせり上がっていく感じが好きです。

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アルバムを出せただけですごいと思いますがもう少しひねってほしかった。。

 

 

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CDレビュー: DakhaBrakha – Light(2010)

★★★★★

 

自称エスノカオスの名は伊達じゃない

ワールドミュージック枠に4枚ほど最近気になったアーティストのDakhaBrakhaを投入します。キリル文字ではДахаБрахаと書きます。ロシア語は昔から憧れていましたのでこの文字も勉強したいです。いいジャケット。

DakhaBrakhaはウクライナのフォーク4人組です。公式サイトでは自分たちを”ethno-chaos”(民族カオス?)バンドと呼んでいます。バンド名はウクライナの古い言葉で give/take という意味だそうです。ウクライナ音楽をルーツとして、インドやらオーストラリアやらいろんな民族音楽をミックスして、彼ら独特の現代的な味付けを加えるというとても変わった作風を持ちます。なおメンバーは全員キエフ大学の文化芸術科の卒業生だそうです。

1曲目Сухий дуб(よめない)からしてスゲェ変です。バンドネオンとどこのものか分からない打楽器、ウクライナの古代語?と思われる謎語りにトランスを誘うコーラスが薄気味悪い雰囲気の中で展開されます。2曲目Specially For Youも中盤の男声シャウトによるクライマックス部分は今までに聴いたことが無いような異様な曲調です。

4曲目Жаба(よめない)のような曲はいいですね。ノリノリの中に一種のやさしさのようなものが見えます。とても心地よい。5曲目Тьолкиはまさかのヒップホップです。民族楽器とコーラスのせいで高揚感あふれた音楽になっています。

真打は7曲目Babyでしょう。前半のライトな感じに騙されていると突然ウクライナ語による無表情に次々と畳みかけられるヴォーカルが出現し、背後に現代的な和音展開の群れと気持ちの沈む弦バスに何故か切ないエレピを混ぜ、さらにソウルフルなサイドヴォーカルが加わってついでにハーモニカも加えたりなんかしてもう何だかわからないのに聞いている方は追いつめられるというスゲェ曲です。

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面白いアーティストを知ることができました。いろいろ手を出してみるというのはいいことですね。

 

 

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