書籍レビュー: 自分に正直であれ『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』 著:赤城大空

 

★★★★★

 

2012年発売。仕事用にセレクトしました。ラノベを読むのは18年ぶりです。中学生のとき、友人に押し付けられたこの本→スレイヤーズ! (富士見ファンタジア文庫)を読んで以来、ラノベには抵抗がありました。面白くなかったのです。

仕事用の課題図書にはあまり面白そうなものがなくがっくりしていた所、本作品のタイトルが目に飛び込み「こいつはバカなので期待できるかもしれない」と思いハズレ覚悟で手に取ってみました。

バカは好きです。

背景

舞台は近未来、国民にはPM(Peace Maker)という情報端末の装着が義務付けられあらゆる言論が監視される、「公序良俗健全育成法」の制定により政府が「不健全」とした表現はすべて禁止され罰則が設けられるという日本が舞台です。「言論のクリーン化」が極限まで突き詰められた世界です。もちろん性教育はありません。精通はちょっとした病気みたいなものと捉えられています。

いわゆる「監理社会モノ」「ディストピアもの」の一ジャンルですが、本作品は「性教育」一点においてだけ過剰に制限が加えられているという特徴があります。

 

実はこんな世界、いま現実に存在しますよ!

神聖なる金正恩同志率いるノースkoreaですよ!

“Whenever one of my friends had a wet dream, everyone gathered to console him over his ‘unknown disease’” (友達が無精すると、みんなが集まって「訳わからん病気」になった彼をはげますんです)

ですから舞台を北朝鮮にしたらそのまま現在進行形で感情移入できると思います。

脳波に影響しそう

本作品の重要な要素として芸術的な下ネタの数々が挙げられます。

やっぱり期待していた通り、排泄孔が太いデキる男ね!大根くらいなら余裕で飲み込んじゃうくらいガバガバね!いろいろな場面で活躍する度胸のある男の括約筋は全く活躍してないって感じ?(P58)

これだから盛りがついて常に股間にテントでキャンプファイヤーボルケーノ状態の淫乱男は…village villageしてんじゃないわよ!(P127)

僕は机に倒れ込み、現実逃避を開始する。ふふふ。もっこり。(P190)

しょせん世の中は弁とチンコの立つ奴が勝つのよ!(P204)

単にくだらないだけなのですが、単純ではない下ネタを量産しなければいけない、というのはお笑い芸人がボケを考えるくらい苦痛であることだと思います。このシリーズは2巻以降も続いていくそうですが下ネタは構造上バリエーションが少ないので枯渇が心配されます。village villageは元ネタあるんでしょうか。しばらく意味が分かりませんでした。

ラノベはたいてい学園モノです。ターゲットが中高生だからです。中高生男子といえば下ネタでご飯100杯行けるバカの権化です。IQが50くらい下がりそうな文章です。

抑圧するな

ところで「下ネタ」というのは人間の本質を表した重要な表現の一つです。全世界の人類は例外なく性行為から生まれているわけですから、下ネタを公権力を使って禁止することは人間性の抑圧と同義です。抑圧への対抗がこの物語の主題となっています。深読みすれば監理社会への風刺、性的なものへの肯定、マイノリティ批判への対抗などいくらでも深読みできそうではあります(私がやるとこじつけになりそうなので省略します)。

本書の大きなストーリーとして、思想統制されている学園の生徒ほぼ全員が「禁断の知識」の収められている書物を求めて立ち上がる。。というものがあります。その書物は何かというとエロ本です。男女区別なくエロ本を求めて立ち上がる姿は感動的でした。

「自分を変えることは不可能だから、世界を変えることにしたの」(P68)

ヒロイン華城綾女のこのセリフに思想が集約されています。自分を偽るよりも、正直のままでいた方がいい。

不自然に抑圧したらどうなるかは生徒会長の「アンナ・錦ノ宮(ひどい名前ですね)」が体現してくれていると思います。純潔一辺倒できた人間は、線引きが分からなくなってしまうため簡単に一線を踏み越えようとしてしまうのです。逆に、歩く下ネタ量産器である華城が実際の恋愛や距離感を詰めることに消極であることが象徴的であると感じました。作者がギャップ萌えを狙ってるだけかもしれませんけど。

 

ストーリーは粗めで進行上色々不自然な点はありますし、ジェンダー的に全然コレクトでない表現が多いなどの欠点はありますが、設定勝ちで予想より遥かに面白く読むことができました。

 

次は本稿を下敷きにして本書のプッシュ記事(5000文字以上)を書く仕事です。。
 


ウルフ村田「2016年申年の株式相場はこう動く!」に出てみた

2月21日に

ウルフ村田「2016年申年の株式相場はこう動く!」

に参加してきました。無料のためか満員御礼で、50人ほどの参加者がいました。

動機は村田さんがどんな人か興味があったということと、個人投資家ってどんな人がいるの?ということにも興味があったためです。

 

予想通りというか、得体の知れない人間は多数いました。まずヨボヨボの謎のじいさん。

 

謎の老人、各地でプレイヤーにヒントをくれる謎の老人。

※イメージ画像です  出典:アルカタイプ公式サイト

主催している投資会社の人や他の来場者と知り合いっぽい雰囲気を出していましたが謎すぎるので実は知り合いではないのかもしれません。高いのか安いのかわからない服がいかにも叩き上げではない金持ちっぽく、生命力はありそうですが杖をついていて歩くのも大変そうでした。なぜかセミナー中はほとんど寝ていました。何しに来たの!

 

他にも秋葉原のオタクをステレオタイプにした感じの人、見た目は公務員風だけどアントレプレナーシップがありそうな人(唯一質問していた)、真珠のネックレスをつけたマダム風(何人もいた)、ずっとタブレットをいじってるギーク、普通の爽やか好青年だけど実は金持ちそうな若者などなど。

写真:マダム由美子※イメージ画像です 出典:マダム由美子

主催の投資会社の社長が「シストレ知らない人いる!?」と聞いて誰も手を上げなかったのでみなそれなりに経験があるのでしょう。女性が半分以上を占めていたので、村田さんのファンが多数存在するようです。常連?なのか知り合い同士も多いようで挨拶している人も沢山いました。みんなじいさんと同じで金持ってるのか持ってないのかわからないような人ばかりでした。

 

wolfmurata

メインの村田さんの講義はひたすらマシンガントークで話が右へ左へ移動する楽しいものでした。口癖は「これ本当は言っちゃいけないんですけど」。twitterを相当有効活用されていらっしゃるようで、半分くらいが「億トレさんは何を考えているのか」という話でした。デイの皆さんには非常に参考となる話だと思いました。プッシュされていたそーせい、インフォテリア、ASIAN STARは今日みんな上がりまくってましたしね。テーマ株に乗っかって波の分け前を得る手は有効だと思いますが、初動を掴むのがむつかしい。残念ながら私はサラリーマンですので、日中の値動きをリアルタイムで見ることはできず苦しいものがあります。

ノリが女子大生って言うか女子高的でしたね。ちょっと調べてみたら桜蔭出身でしたやっぱり当たった。

この講義で最も爆笑したのは、テーマ株が上がる要因はたいてい「よくわかんないけどすごい」「もっともらしい」IRが出たときだ、ということでした。市場ってバ カ。みんなバカだと自覚しつつもカネを投げ込むと山ができて、値段が上がるわけです。大昔にたまごっちが高騰したときも同じ論理でしたね。資本主義は本質的にバカです。

知らないことで利益を逃すのが「くやしい」という思想を持っていました。私と同じです。知らないことは許せません。相手には求めちゃいけないけど、自分が知らないのは嫌です。

村田さんはtwitterで「買い煽りじゃねぇか」などなど叩かれることが多いですががんばってほしいです。個人投資家は誰であろうと偉そうじゃなければ応援します。個人の人はインサイダー情報が一切入らない・資金が少ないという立場上、みんな本質的に弱い存在なので。

 

後半はサラインベストメントの北川社長によるシストレ売り込みの宣伝でした。勝率は5分5分じゃないシストレは間違っているというのが持論で(理由は言ってくれませんでしたが、おそらくバックテストの過剰学習になるためだと思います)、ボックス相場は捨ててトレンド相場で順張りで儲けるシステムだそうです。商品先物・為替・日経先物の3本立てでヘッジするという面白いシステムでした。でも他人に頼るのはくやしいから申し込まないよ。っていうか申し込みたくても1か月の料金すら払えんよ。

社長はファンダ・長期投資は儲からないと言い切っています(これも理由は言っていませんでした)。そりゃあ職場で長期投資したら安定的な利益でないもんね。定期的に分配金を出さなきゃいけないファンドとは違い、個人投資家は金の動かし方が自由です。現物長期は個人のためにあるような戦略だと感じました。

 

講義後みなさん村田さんに行列作って話しかけてましたね。私は初回ですし基本的にコミュ障の人見知りですから(しゃべりたいんだけど勇気の出ない言い訳です)ギャラリー界を堪能した後に会場を出ました。あの謎の老人がどこに住んでいる何者なのか未だに気になっています。

 

このあと2時間半かけて赤坂見附→新宿→荻窪まで13km歩いてコンサートに向かいました。さすがに疲れました。これはまた次の記事にします。

 

 プッシュされていた本とtwitterアカウントを貼っておきます

株こそが最強の投資である 1億円稼ぐテクニック2 新書版 (金融)

株こそが最強の投資である 1億円稼ぐテクニック2 新書版 (金融)

 

 

知識ゼロでも大丈夫! 基礎から応用までを体系的に学べる!  株式投資の学校[入門編]

知識ゼロでも大丈夫! 基礎から応用までを体系的に学べる! 株式投資の学校[入門編]

 

 

RING (@xRINGx) | Twitter

このほかキジン?さんとナチ?さんという人の名前を何度も出していたのですがアカウント名が分かりませんでした。。

あとどうでもいいことですが「約定」は「やくてい」ではなく「やくじょう」と読むことを初めて知りました。

 

追記:

twitterで村田さんご本人から正確なアカウントを教えていただきました!感謝

きじんさん=

なつさん=


書籍レビュー: 2002年の自閉症認識『ぼくはうみがみたくなりました』 著:山下久仁明

★★☆☆☆

 

自閉症の青年・淳一と女の子、老夫婦を軸に展開する小説です。

随所に現れる淳一のこだわりエピソードの描写の細かさから、施設の人か親かどちらかだなぁと思っていたらやはり、作者は自閉症の息子の親でした。文章全体から啓蒙思想が強く感じられます。

自閉症を知る入門書として2002年時点では最適だったかもしれません。老夫婦の夫、ちょっと説教気味な園長先生は作者の心理を一番投影した人物だと思います。私はこの園長先生のセリフ、ところどころ違和感をもちました。

「自閉症の人の場合、特に子供の頃はそんな状態なんだって、ボクは思うようにしている。いろんなことがどうにもならなくて、仕方なく自分の世界の中に楽しみを見つけることしかできない。それが自分の中に閉じこもっているように見えるから、他の病気と同じように受け取られてしまう」(P106)

~しかできない??仕方なく????

なんでそんな上からなん?

彼らのこだわり行動って、本当にそれが好きだから、こそだよ!!??

「だからさ、人間は自分の下に線なんて引いちゃいけないんだ。自分の背負うべき分のハンディの確率まで背負ってきて生まれてきてくれた1/100の存在に感謝しなきゃいけないんだ。わかってくれるかな?」(P132)

感謝?

なんで?

当人は感謝されたいなんて思ってないよ?

親御さんは大変なので彼らには感謝しなきゃいけないと思うけど。

 

あとこういう淳一のモノローグ。

ぼくの名前はあさのじゅんいちです。

ぼくはおしゃべりがにがてです。

リアルさを求めているわけではないんだけど、わざとらしい。

 

詳しくはネタバレになるので書けませんが、極めつけはラストです。私はこのラスト、最悪だと思います。なぜ一般人の価値観の枠組みの中の感動的な物語に彼らを回収するのでしょうか。そうすればウケるからでしょうか。涙を誘えるからでしょうか。それとも作者本人がそのような物語の中に昇華されたいという願望があるのでしょうか。

なぜ彼らを彼らの文脈の中に置いてやらないのでしょうか。

 

明日実さん、お母さん、弟の描写はよかったので★2つとしました。淳一を兄に持つために空白の存在にされた弟の話についてはもっと突っ込んでもよかったのではないでしょうか。

自閉症系の本は本人か、医者の書いたものじゃないとだめ。創作物は感動モノ、泣ける文脈で消費されるためのものだからもういや。反省。

 

Amazonのレビューは満点です


書籍レビュー: ソフトウェアデザイン 2015年11月号 すいすい分かるHTTP/2, ファイアウォールの教科書

 

ソフトウェアデザイン 2015年 11 月号 [雑誌]

ソフトウェアデザイン 2015年 11 月号 [雑誌]

 

★★★★☆

最新技術に疎いので雑誌の助けも借ります。Web上にもたくさんドキュメントはあるんだけれど、探すのは意外とむつかしい。ニュース系のサイトだと、広告の都合上何回もページをめくらなきゃいけなくてレスポンスも悪い。電子書籍という手もあるけど、タブレットは文字小さいしそもそも本体が高くて買えないし、図書館にない。紙媒体は私にとってまだまだ現役です。

雑誌の良いところは、分かりやすく解説してくれる記事が多いこと、トピックが雑多で一つの記事についていけなくても他の記事で読めるものが必ずあるところです。初心者向けの記事も必ずあります。

 

メインとなっているHTTP/2とは、現行のHTTP/1.1だと同時に6アクセスまでしかできない(本当は規格上シリアルに1アクセスまでしかできない!)ので速度に限界があり、今まで涙ぐましい工夫により延命が計られてきましたが、加速度的に必要アクセス数が増えていく現代のweb環境では現状に合わなくなってきたため開発された新プロトコルです。

主な特徴はTCPコネクションを使いまわすことで1接続で複数のデータを送れるようになっていること、いくらでも並列接続できるようになること、ヘッダを圧縮して容量を減らせる、サーバー側から先読み用のデータをリクエストを待たずに自動送信して速度を上げる、などなどです。

 

イメージ図

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HTTP/2の現状とこれから

 

すでにgoogleやtwitter, facebookなどではHTTP/2が実装されており、対応ブラウザ(FireFox, Chrome, IE11※Windows10のみ)を使うとその恩恵を受けることができます。通信プロトコルのレベルの実装ですから見た目は何もわかりませんが、速度は確実に上がります。

分かりやすい記事でしたがUNIXの動作に入ると突然チンプンカンプンになります。ubuntu入れたことだし、実際に手を動かしてみないと歯が立ちません。時間がないなぁ。。

 

ファイアウォールの記事もおもしろかったです。いかにうちの会社のセキュリティ構成が甘いかもわかりました。

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ワイルドウエストにしちゃあかわいいよね

 

ところで背表紙のGMOインターネットのクラウドサービス、ConoHaサーバーのこの広告はどーかと思いました

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名前もあれですけどやっぱりネットワークエンジニアさんはこの手のキャラ好きなんかなぁ。中高生向けならともかく、二次元なんぞ20代前半で卒業するもんちゃうの。。?

 

 

この雑誌の収穫は

 

・UNIX知らないと話にならん!

・「そこにシビれる!メメタァ」とジョジョを記事に入れられると読んでいてうっとおしい(P129あたり)。ギークはほどほどに

Wiresharkってソフトでパケットをリアルタイム解析できるらしいのでこれを使ってメッセージに慣れてみよう

 

でした。

Wiresharkはすごいですよ。放っているだけでどんどんメッセージをキャプチャしてあっという間に画面がスクロールしてしまいます。

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参考書籍

書籍広告に面白そうな本がありました。

たのしいインフラの歩き方

たのしいインフラの歩き方

 
データサイエンティスト養成読本 機械学習入門編

データサイエンティスト養成読本 機械学習入門編

  • 作者: 比戸将平,馬場雪乃,里洋平,戸嶋龍哉,得居誠也,福島真太朗,加藤公一,関喜史,阿部厳,熊崎宏樹
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2015/09/10
  • メディア: Kindle版
  • この商品を含むブログを見る
 
あなたの知らない超絶技巧プログラミングの世界

あなたの知らない超絶技巧プログラミングの世界

 

 

ネットワーク関連では去年話題になったらしい本が図書館から届いたので、近いうちにこれを読みます。

ネットワークエンジニアの教科書

ネットワークエンジニアの教科書

  • 作者: シスコシステムズ合同会社テクニカルアシスタンスセンター
  • 出版社/メーカー: シーアンドアール研究所
  • 発売日: 2015/09/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

 


書籍レビュー: 朗読CD10作品 芥川龍之介・浅田次郎・池波正太郎など

芥川龍之介 橋爪功『河童』|新潮社

 

ランニング中や料理中に時間を有効活用するため、朗読CDを聞いています。スマホにジップロックをつけて防水し、風呂でも聞いてます。CD1枚だとせいぜい短編1つ、文庫本50~100P分くらいでしょう。累計10作品になったので本1冊とカウントし、簡単なレビューをしておきます。

相模大野図書館にあるCD推定400枚を制覇することが目標です。アイウエオ順ですので今回はア行の作者ばかりです。

 

1

食味風々録 (中公文庫)

食味風々録 (中公文庫)

 

 

食味風々録 新潮CD

食味風々録 新潮CD

 

★★★☆☆

2015年8月に亡くなったばかりの阿川弘之さんによる、「食」に関するエッセイです。娘の阿川佐和子さんによる朗読でした。文章はとてもきれいです。戦争絡みの食堂車の話がおもしろかった。

阿川さんと言えばこれですよね。

きかんしゃやえもん (岩波の子どもの本)

きかんしゃやえもん (岩波の子どもの本)

 

 

2

三角の野望【朗読CD文庫】

三角の野望【朗読CD文庫】

 

★☆☆☆☆

南青山で金満する話。まじつまらん。はずれ

 

3

名作を聴く 芥川龍之介

名作を聴く 芥川龍之介

 

★★★☆☆

収録作品は「蜘蛛の糸」「杜子春」「羅生門」「鼻」「トロッコ」。定番ですね。朗読は上川隆也さん。へたです。もうちょっと上手に読めなかったかなぁ。

内容だけで判断するなら「杜子春」がいいですね。寓話なんでしょうけれどぶっ飛んでます。私は母親にこんな感情を抱けるのか疑問ですけれど。

芥川龍之介 杜子春

お前は何を考えているのだ。

 

4

★★★★★+

内容もさることながら、橋爪功さんの演技がキレすぎていて最強です。聴きながら何回も爆笑してしまいました。

河童は人間の一面をデフォルメしたり価値を反転したりした存在ですので、風刺入り不条理ギャグマンガ的な世界の先駆となる作品だと思います。大好きです。

新潮社のサイトで買えますが、お近くの図書館にあればぜひ聞いてみてください。笑い死にます。amazonにはなぜか無いようです。

芥川龍之介 河童

 

5

遺影

遺影

 
遺影(『霞町物語』講談社文庫所収)

遺影(『霞町物語』講談社文庫所収)

 

★★★☆☆

ぽっぽやの浅田次郎さんです。ちょっと複雑な、渋いじいさん達の話。

 

6

月島慕情【朗読CD文庫】

月島慕情【朗読CD文庫】

 
月島慕情 (文春文庫)

月島慕情 (文春文庫)

 

★★★★☆

吉原の話。朗読の小川道子さん、ドスが効いてて上手です。舞台を吉原にするのはずるく、状況押し切り勝ちって感じですがおもしろかったです。東京に住んでいた頃が懐かしくなります。MVPはダントツで人買いの卯吉。

 

7

聖夜の肖像

聖夜の肖像

 

★☆☆☆☆

フランスで別れた昔の男が想像の中で膨らんで苦しむ女の話。現夫がいい人すぎてお前絶対妻愛してないだろ、現実感なさすぎです。舞台が現代だと途端につまんなくなりますね。

 

8

井関道場・四天王

井関道場・四天王

 

★★★★☆

池波正太郎さんの小説を読む(聴く)のは初めてです。「剣客商売」シリーズから。井関道場の跡取り問題をめぐる騒動を描きます。朗読の神谷さん、すっげー上手!四天王の剣闘場面は臨場感があります。

 

9

徳どん、逃げろ

徳どん、逃げろ

 

★★★★☆

またも「剣客商売」シリーズから。登場人物は「井関道場・四天王」とリンクしています。ちょっと硬いラノベみたいなもんですね。スケベ気味なのもラノベと変わりません。そういえばちらっと読んだ吉川栄治の作品もすけべでした。歴史小説とラノベの一致を見ました。

 

10

唖の十蔵

唖の十蔵

 

★★★★☆

今日聴きました。「鬼平犯科帳」シリーズより。おそらく、シリーズ0話か1話のような位置づけなのではないでしょうか。拷問のシーンは心臓に悪いです。江戸時代も韓国王朝も自白させるためになんでもやりすぎです。ラストは何とも言えない気持ちに。

このシリーズも朗読は神谷さん。上手でした。

 

鬼平犯科帳(一): 1

鬼平犯科帳(一): 1

 

 


書籍レビュー: プログラム版文章読本『リーダブルコード―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック』 著: Dustin Boswell, Trevor Foucher

★★★☆☆

 

文章を書くノウハウ本は多数ありますが、プログラムを書くノウハウ本もいくつか出版されています。本書は比較的新しく、かつ定番となる本だそうですので前々から興味がありました。

プログラムの抽象的な大構造やデザインパターンと言ったマクロな話には立ち入らず、変数の命名規則といったミクロな範囲~関数・テスト設計と言った中程度の規模の話に集中して、「どうやったら他人が読んで理解できるコードを書けるか」「パッと見て意味が分かるか」というテクニックと思想を詰め込んだ本です。

命名規則には特にうるさく、「tmpという単純な名前はやめなさい、抽象的すぎるから」「getMean()のような関数は、getという名前で軽い処理を行うと解されやすいから、重い処理を詰め込むのはやめよ」などなど、日常業務に即適応できそうな内容ばかりです。

ただし後半になってくると、職業プログラマーをやっていると当然のようにぶちあたる課題と解決方法の繰り返しになるので、自分としては得るものが少なかったのが残念です。ここのところ本業が佳境に入って時間が取れないにもかかわらず、ものすごく早く読み終わってしまいました。逆に考えると、日常の業務の遂行方法が本書出版時の2012年現在でもだいたい有効であるということですので、うれしいです。

また、翻訳のクセが私には鼻について全然合わない(Amazonではみんな褒めてますけど)のと、巻末の解説が冗長すぎて「読みやすい」を目指すはずの本書の趣旨と合ってない、最終章のサンプルコードが無駄に複雑でここだけ難易度が跳ね上がっていて初級者には絶対読めないのとで、★-1としました。

 

プログラム本を読んでいていつも思うことがあります。発達障害者はプログラマーに向いている、ビルゲイツもアスペだったとよく言われます。私は嘘だと思います。私の書くコードはきたないです。なかなか一発で本書のような綺麗なコードは書けません。なぜなら良いコードは「他人が読んでわかりやすい」コードであり、それは文章や会話と原則的に何も変わらないからです。私は自分にしか意味の分からないようなコードを大量に生産しています。これはコミュ障と同じです。

さらに現代で優れているとされるプログラム手法は「オブジェクト化」「疎結合」ですがこれも、高度な抽象化が必要になる作業です。私は実はこれ、すっげぇ苦手です。どうしても直接的でベタ打ちのコードを書いてしまいます。同じ機能をまとめて抽象化して、より高次の問題だけを取り扱うのが現代プログラミングの基本ですが、全然できません。経験を積むほど自分がプログラミングに向いてないのが分かります。

だからプログラミングが得意な人間とは本当は、コミュニケーション能力があって空気が読め、何でもすぐに抽象化して上位概念を操るのが上手い人間なんだろうなぁと思うのです。たぶん私とは正反対に位置する人間ですこれ。

 

 

 

 

参考書籍

分厚い類書です。これもいつか必ず読みたいと思っている本です

CODE COMPLETE 第2版 上 完全なプログラミングを目指して

CODE COMPLETE 第2版 上 完全なプログラミングを目指して

 

 

正直言って会社で書いてるコードはきたないものばかりなので、リファクタリングも学ばないとなりません。

新装版 リファクタリング―既存のコードを安全に改善する― (OBJECT TECHNOLOGY SERIES)

新装版 リファクタリング―既存のコードを安全に改善する― (OBJECT TECHNOLOGY SERIES)

 

 

巻末に紹介がありました。気になるけど、すごく。。やばそうな本です

文芸的プログラミング (ASCII SOFTWARE SCIENCE Programming Paradigm)

文芸的プログラミング (ASCII SOFTWARE SCIENCE Programming Paradigm)

 

 


2016/2/14 アンディムジーク室内合奏団 第14回 教会の小さなコンサート

行ってきました!

 

http://uccj-sagamihara.sakura.ne.jp/sblo_files/uccj-sagamihara/image/03_access/MAPs3.png

日本基督教団 相模原教会 は付属の幼稚園もある立派な教会で、礼拝堂もキレイで趣のあるものでした。

 

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ちょっとぼけてますがシャンデリア風の照明と十字架

 

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礼拝堂ですので演壇もあります

 

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プログラムです。右上の「午前3時 毒いちご」などは何でしょうね?質問すればよかった。

 

生演奏はいいですねぇ。クラリネットの奏者さんの息遣いたっぷりの演奏が上手でした。プッチーニの「菊」が一番かっこよかったかな。オペラ作曲者だけあって弦楽重奏曲といえどもドラマチックでした。

www.youtube.com

 

アマチュア作曲者の平田真夫さんの「炉辺にすわって」もよく出来ていました。なんと作曲者ご本人さんも来場されていて、ちょっと感動しました

 

せっかく教会で演奏するんだから次はバッハの演奏が聴きたいなぁと思ったら、次回はバッハの演奏会なのだそうです。楽しみ。

アンディムジーク室内合奏団 演奏会のご案内

 

 

 

 

来週はこれを聴きにいきます。

 

この日は昼に次のセミナーに参加する予定です。

 

セミナーからコンサートまで時間があるので、赤坂見附から荻窪まで10数kmを歩いてみようと思います。


書籍レビュー: 人はなぜランニングキチになるのか『BORN TO RUN 走るために生まれた』 著:クリストファー・マクドゥーガル

★★★★★

 

箱根駅伝が好きで10年くらい前から毎年見ています。しかし今年はやや複雑な思いでレースを眺めていました。

箱根というブランド、栄光を背負うための戦いというシナリオは自分でないものにロマンを抱く多数の日本人に支持されています。同調圧力や虚構に支配された雰囲気が次第にうっとおしくなってきました。それでも毎年見てしまうのですが。

箱根駅伝には小田原~芦ノ湖間の5区山登りという23.2kmで標高差860mを登る区間があります。ここで大差をつけたチームが毎年優勝しています。去年、今年は青山学院の圧勝でした。1時間ちょいで登山するなんてアホみたいな区間だなぁ、、と思っていましたが私は甘かった。反省しています。

本書の前半は100マイル(160km!!!)の「ウルトラマラソン」にまつわる話です。走るのは舗装道でもトラックでもなく、自然の中です。「トレイル」とも呼ばれています。箱根なんてメじゃありません。参考に、言及されているレッドビル100のレース画像を載せておきます。

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http://www.summitdaily.com/csp/mediapool/sites/dt.common.streams.StreamServer.cls?STREAMOID=lRlHlDck5gCIJ13cuiuwk8$daE2N3K4ZzOUsqbU5sYuEC0v0nyQHjbQ8p1aEAiFBWCsjLu883Ygn4B49Lvm9bPe2QeMKQdVeZmXF$9l$4uCZ8QDXhaHEp3rvzXRJFdy0KqPHLoMevcTLo3h8xh70Y6N_U_CryOsw6FTOdKL_jpQ-&CONTENTTYPE=image/jpeg

Leadville Trail 100 ultra race draws athletes from all over the world | SummitDaily.com

Leadville Trail 100 Run Introduces Lottery System | Competitor.com

 

いやあなんつうか、バカですね!(褒めてます)

これほどまでにランナーを魅了するのは「走る」ということが人類の獲得した偉大な財産であるということが、後半で綿密な科学的考察を持って描写されます。そしてとある研究者は次のように結論付けるのです。

人はなぜマラソンを走るかわかりますか?とルイスはブランブル博士に訊いた。走ることはわれわれの種としての想像力に根差していて、想像力は走ることに根差している。言語、芸術、科学。スペースシャトル、ゴッホの『星月夜』、血管内手術。いずれも走る能力にルーツがある。走ることこそ、われわれを人間にした超大な力――つまり、すべての人間がもっているスーパーパワーなのだ。(P343)

これだけ読むと宗教がかっていて引きますが、本書をここまで読んできた人であれば合点がいくはずです。本書の訳者に至っては、訳しているうちに影響を受けて走り始め、ついにはハーフマラソンに応募してしまったそうです!一読をお勧めします。

 

 

 

個人的な話になりますが私も本書に会う前から走りはじめました

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いずれはフルマラソンもやってみたいですね。まずは、10km以上安定して走れるようになることを目指します。

 

靴は本書によれば裸足が最も良いのですがそこまでの勇気はまだ持てず、ワークマンに売ってる「建さん2」というペラペラの靴を使っています。足裏の感覚が鮮明になるとても良い靴です。

商品カテゴリー:作業靴|ワークマン オンラインストア

680円と非常にお値打ちです。昔は500円だったそうです。サンダルでもいいらしいですよ!


放送大学科目申請2016前期

 

年初の目標通り、4年ぶりに放送大学に復帰するため科目登録しました。結構な金額ですので副業(無事採用されました)で何とかカバーしなくてはなりません。

放送科目
西洋政治理論の伝統(’09)|KAMOKUNAVI – 放送大学

現代哲学への挑戦(’11)|KAMOKUNAVI – 放送大学

ファイナンス入門(’12)|KAMOKUNAVI – 放送大学

入門線型代数(’14)|KAMOKUNAVI – 放送大学

自然言語処理(’15)|KAMOKUNAVI – 放送大学

面接科目
解析学、その考え方

 

趣味丸出しの科目履修で問題ないことがこの大学の素晴らしいところです。私は大学を2年で中退したので、卒業までに必要な単位が半分になる編入学の制度を使いました。編入学した場合は、去年までは既取得単位が所属コース(「自然の理解」など)の単位と認められないため、卒業までに所属コースの単位を30以上取らなければいけない縛りがありました。ところが今年からカリキュラムが大幅に変わり、編入前の取得単位がこの30単位に全部割り振られました。ですので余った単位は、どの授業をとってもよくなりました。私のような中退組にはとてもうれしい制度です。

私は「自然の理解」コースという超理系で申し込みましたがもはや理系の単位を取る必要がなくなりました。ですので安心して哲学やらファイナンスやらを申し込めます。

早速ストリーミングのラジオ授業で「現代哲学への挑戦(’11)」を歩きながら聞いたところ大爆笑してしまいました。めっちゃおもしろいです。

 

一般財団法人 放送大学教育振興会|全国テキスト取扱店検索店

大型書店に行くと教科書がずらっと展示してあります。通読するだけでも面白いものばかりです。

著作権法概論 (放送大学教材)

著作権法概論 (放送大学教材)

 

例えばこのテキストは以前受けた弁理士試験でも十分通用する素晴らしい出来のものでしたので、授業を取ってないのに買って何度か熟読したことがあります。今回取った授業についてもすべて事前に書店でテキストをチェックしました。なるべく簡単そうでないものを選びました。いずれここでも紹介します。


首都圏で無料の演奏会いっぱい

こんな素晴らしいサイトがありまして、全国で行われる演奏会の日程が大量に登録されています。N響など有名なオケの情報はありません。安価な演奏会の情報が中心です。私のようなド貧乏人にはありがたいサイトです。

 

明後日14日から、なんと3週間連続で日曜日に無料のコンサートラッシュなのです!

 

2/14(日)

 

 

2/21(日)

 

2/28(日)

 

3/6(日)

 

どれも出かけることを検討しています。2/14の矢部で行われるコンサートはなんと礼拝堂内ということで非常に珍しく、楽しみにしています。家から自転車で行ける範囲なので完全無料なのもよいですね。

3/6のコンサートの演目はなんとチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲です。この曲大好きなので、どのように演奏してくれるのか。。