CDレビュー: Electric Wizard – Come My Fanatics…(1997)

★★★★★

 

Electric Wizard2枚目です。1枚目と比べると重低音と曲の「遅さ」が際立ちます。

1曲目Return Tripが一番やばい。やばすぎます。この1曲でお腹一杯。

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ただ苦しんでいるだけのヴォーカル、胃の内容物を上に押し上げる効果しかなさそうな低音強調し過ぎのギター*2とベース、そしてずっと泣いているドラム、、この苦しみはいつまで続くのか、10分これを演奏し続けるなんてホンマモンのアホですな。

3曲目Doom Mantiaも聞いていると魂が遊離しそうです。4曲目Ivixor B/Phase Inducerも頭がどうかしている。

このアルバムの怖いところは、よく若いモンが背伸びしてカッコつけてタバコ吸っちゃうもんねーっていうような痛さが全く見えない、ごく自然にプレイしているところだと思います。日常なんでしょうねこれが。

 

 

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CDレビュー: Electric Wizard – Electric Wizard(1995)

★★★★★┐(´ー`)┌

今回のロック枠ではイングランド出身のドゥーム・メタルバンド、エレクトリック・ウィザードのアルバムを順に聴いていきます。ドゥームとは「遅くて重い」ぐらいの意味で解釈しています。1993年結成、現時点でアルバムを10枚発表しています。2014年発表の”Time To Die”が最新作品です。以前”Black Mass”という曲を聴く機会があり、こいつらやばいんじゃねと記憶していたので聞いてみることにしました。

遅い重いだるい、内臓に物を詰め込む音楽

1枚目の1曲目Stone Magnetからもうダウナー炸裂です。イギリス的ロックを踏みつけた上に墨を塗りたくったようなこのバンドを選んだのは間違いではなかったと確信しました。後半もともと気怠いのにさらにテンポを落として仕事も何もかも嫌んなっちゃうような雰囲気に突入します。歌詞も”No hope, no future, no fuckin’ job, yeah”と今書いた気持ちそのまんまでしたビックリ

2曲目Mourning Prayerなんてイケてるタイトルの曲は音弄りすぎでお腹に応える、ずっと古い油で揚げたメンチカツを胃袋に突っ込まれてる感じです。褒め言葉です。

3曲目Mountains Of Marsもベースだけでお腹一杯、ついでにエコーの聴いた触れると危険そうなギターが異世界の扉を開きそうです。

4曲目Behemothはもうイントロだけで勘弁してくれという気持ちになります。最速どころか最遅、ボーカルの二日酔いみたいな声のせいですべての意欲が削がれていきそうです。中盤のベースゾーンも強烈。このテンポと音圧で繰り出されるリフはラーメン二郎で言うと山盛りの野菜を食べ終わった後に出現する極太麺と油の浮きまくったスープくらいのインパクトがあります。

全部紹介していくと腹に悪いのでクライマックスのバンド名を冠した7曲目Electric Wizardについて書いて終わります。6/8拍子なのですがビートが時々前後に揺れていて船酔いのような目まいをおこします。意図的なのか計算ずくなのか分かりませんが曲に陶酔するための大きなベースになっています。メインメロディー?の合いの手として入るギターのジョワーンという音が背脂の役割を果たして内臓が揺れます。やはり中央にギター抜きの豚骨味な間奏が流れ次のような歌詞が気の抜けた声で流れます。

Higher and higher, through the cosmos we had tripped
Seeing stars turned inside out, we thought our minds had flipped
Colors swirling, sounds are drifting, thinking we were dead
The wizard turned and spoke to us and, this is what he said

ってこれ明らかに幻覚じゃねーか!

ラストは繰り返しにグッチャグチャなギターを混ぜてはいゲテモノ丼~!

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2006年リイシュー版ボーナスのIllimitable Nebulieもゴアトランスを強引にバンドでやった感じのかなりやばい曲でした。デモテープ音質なのが気味悪さを助長しています。1枚目からこの内容で、レビューによると2ndや3rdの方がぶっ飛んでるってどういうバンドなんだよ。。

 

 

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CDレビュー: Metallica – Death Magnetic (2008)

★★★★★

 

メタリカ9枚目のアルバムにして最新、最後のアルバムです。

総決算を超えて次のステージへ

結論から言うと、本アルバムがメタリカの中で最も優れていると感じました。名盤と言われている3rdよりもいいです。

10曲ほとんどが7分超、しかもハズレ曲なし。長さが苦にならない上手な曲作りは本作でピークに達しています。昔あったような青臭い曲調や斜め向きのカッコつけた曲が存在せず、彼らの円熟を十分に感じさせる内容です。音量バランスは時代を反映してかなり爆音寄りになっており耳にも刺激的です。爆音のせいでバスドラがヘタクソなのがばれてしまうのですが。

何がいいって1曲も妥協が無いところです。4、7曲目はバラード要素が入っているものの決して軟派じゃないしきっちりぶっ飛ばしてます。特に7曲目The Unforgiven III は、Unforgivenシリーズは好きじゃないのになんでまた第三弾なんか作ったのかねバカねーと思ったら後半が全然別物になっていていい意味で裏切られました。

おすすめは5、9曲目です。5曲目All Nightmare Longは燃えがった後一瞬のブレークのあと入ってくる構成がカッチョいいし、9曲目Suicide & Redemptionはインストオンリー曲で、約10分を使って今までの道のりを振り返りつつさらに次の段階へ進んでいき、ラストにかけては肩肘張らない純粋なメタルを堪能することができます。

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ライブ版です。マッチョオヤジナイスヒゲ46歳

 

やはり変わっていくバンドというのが私は好きなようです。もう新譜が出ることはないかもしれませんが、メタリカは面白いバンドの一つでした。

 

 

いわゆる「ビッグ4(スレイヤー、メタリカ、メガデス、アンスラックス)」については全アルバムを聞いてみたいと思っていますが、他にも気になるアーティストは沢山いるので、次回はちょっと寄り道してみようと思います。

 

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CDレビュー: Metallica – St. Anger(2003)

★★★★★

 

メタリカ8枚目のオリジナルアルバムです。デビュー20周年。

中年の危機に拳を上げよ

サウンド変えすぎ!!!!

前作までの穏健路線はどこへやら、ギターもドラムも錆び付いた体にステロイド剤を大量投与するかのようにエフェクター全開、ドラムなんか掃除用のバケツをスティックで叩いているような訳の分からん音になっています。

まず頭2曲。1曲目Franticのめちゃめちゃなアウトロで度肝を抜きつつ2曲目St.Angerは耳に毒なくらいドラム叩きすぎ。前2枚は本作の溜めパンチのための布石だったのかと思えるほどです。

全体として、前作前々作で培ったキャッチ―なメロディーラインが洗練され、嫌みのない形で昇華されて上手いこと組み込まれています。メジャーな曲は嫌いですがこのアルバムの歌い方だと気にならない不思議。前作前々作はほとんど受け付けなかったのに、、

安定して中ヒットを飛ばしつつ本アルバムのキモ9曲目The Unnamed Feeling。この曲は今までの集大成じゃないでしょうか。ハードさも近年組み込まれたバラード的ギターもとてもいい形で融合していると思いました。

Get the fuck out of here
I just wanna get the fuck away from me
I rage, I glaze, I hurt, I hate
I hate it all, why? Why? Why me?

I cannot sleep with a head like this
I wanna cry, I wanna scream
I rage, I glaze, I hurt, I hate
I wanna hate it all away

彼らはFワードを滅多に使いません(今まではSo What?の1曲だけ)が、本曲で敢えて混ぜてきました。相当強調したかったのだと思います。歌声にメタリカ史上初めて鬼気迫るものを感じました。苦手なはずの裏声があるというのに。「名付けられない感覚」という歌詞の内容的からして、たぶん、自分たちの感じている実存的な危機がそのまんま込められていると思います。私も40代になったらそう感じるのかな。

今適当に検索したら「アルコールの離脱症状に陥った時の名付けようのない感覚(不安) についての曲。」って出てきましたがまじか。

 

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うわ―いいオッサン達になってる。。指摘の箇所は4分ちょうど以降です。

続く10曲目Purify、11曲目All Within My Handsも魂削って歌っている様子が伝わってきていいですよ。歌声ならこのアルバムが最高峰でしょう。スレイヤーと同様、方向性はどうあれ彼らが進化していく様子を辿っていくのはとても興味深いものです。

 

ちょっと評価低すぎじゃない?私は一番好きな5枚目Metallicaと並ぶくらいの評価です。

 

 

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CDレビュー: the HIATUS – A World Of Pandemonium(2011)

★★★★☆

 

ゴリ押しロック(と名付けました)のthe HIATUS、3rdアルバムです。

インストがより洗練されるも後半が残念

インストのレベルが前作よりも飛躍的に上がりました。特に先頭の1,3,4曲目に関しては非常にレベルが高い。1曲目Deephoundsは得意の音圧ゴリ押しの成功例。3曲目The Tower and The Snakeはリズム隊も私好みに爆裂しており本アルバム中で最も好きです。4曲目Soulsも小刻みなイントロがワクワクさせてくれる上にゲストのJamie Blakeさんの超透明な歌声がカンフル剤となり楽曲に華を添えます。

ところが残念なことに5曲目以降失速します。5曲目Bittersweet/Hatching Mayfliesはゴリ押しの本領発揮ですが音量全開の見せ場で私の苦手な裏声も全開なので残念。裏声って下手なJPOPアーティストがみんなこぞって使用するので、よっぽど歌が上手い人以外はどうしても彼らと同じ印象を抱いてしまうのです。6,8,9,10は凡庸。7曲目Flyleafは良いですが肝になるフルート様の音色が明らかに打ち込みなのが残念です。せっかくここまでやったら全部生音にしましょうよ。

 

これでHIATUSについては発売中のアルバムを制覇したことになります。まるで成長株のように1st~4thといい感じに洗練されていっていますので、次のアルバムに大いに期待したいと思います。

 

 

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レベルの高いインストを聴くにつけ、以前1回通しで聴いたAmetsubというアーティストの曲が聴きたくなりました。次の日本人枠では彼のアルバムを4枚ほど聴き直してみようと思います。最新作以外は最後に聴いたのが2年以上前ですので、今の自分とはずいぶん違います。一体どのような印象を持つのか楽しみです。

 

Linear Cryptics

Linear Cryptics

 

 

Surge

Surge

 

 

All is Silence

All is Silence

 

 

The Nothings of The North

The Nothings of The North

 

 


CDレビュー: Metallica – Reload(1997)

★★★☆☆

メタリカ7枚目のアルバムです。前作Loadに続き76分とほぼフル時間での収録です。

1曲だけ大当たり

やはり心に残る曲は少ないです。1曲目Fuelでは「イエッヘー」なんて言っちゃって今回もちょっとはじけ過ぎです。5枚目Metallicaで見せたスローの中にも硬派魂の見える作風はどこに行ってしまったのか、気が抜けてダルいだけのナンバーが延々と続きます。このだるさも7曲目Carpe Diem Babyくらい弛緩していればそれなりに聴けますが、残念ながら中途半端な曲が多いですね。

1曲だけ良い曲がありました。9曲目Where The Wild Things Areです。「かいじゅうたちのいるところ」とは関係ないようです。他の曲が凡庸なメタルとポップの中間くらいの領域から出ないのに比べて、この曲はかなり浮いています。ダルダルをそのまんま幻想的かつ退廃的な水準までパラメーターを振り切った名曲ではないでしょうか。シングルカットもされないマイナーな曲のようですが何故でしょう?


Metallica – Where the Wild Things Are – YouTube

ビデオクリップを探してビックリしました。演奏風景一切なしでこれは退廃的なんてレベルじゃないですね。歌詞と完全に一致しているある意味直球な内容です。

ハズレが多いのでアルバム全体の評価は低くなりますがこの1曲はメタリカの表現力を大きく見せつけた曲と言えるでしょう。今後に期待です。

 

 

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CDレビュー: the HIATUS – ANOMALY(2010)

★★★★☆

日本のバンド、the HIATUSの2枚目のアルバムです。

ヘッドホン向けゴリ押しロックを確立

まず1曲目The Ivyが耳を引きます。音の繊細さや作りの細かさを全部かなぐり捨てて音圧だけ上げまくって音割れさせまくって上書きしたゴリ押し音楽です。ある意味大きな印象を残す曲でしょう。

2曲目Talking Reptilesもよいですね。5連打の連続は聞いていて気持ちが良い。このバンドはリズム隊が優れているのが特徴です。ドラムが上手なバンドはどこも好き。

他にも3曲目My Own Worst Enemy、4曲目Monkeys、5曲目Insomniaの後半もゴリ押し系です。7曲目Walking Like A Manの後半のリバーブ歪みかけ過ぎ押せ押せゾーンも嫌いじゃありません。10曲目Notes Of Remembranceも同様に歪ませ過ぎゾーンがありますね。ヘッドホンで聞く分には良い音響効果を出しています。

ただ一つ残念なのは6,11の日本語詞曲がすっごくダサいこと。この手の軽いだけの曲を一掃すれば★5つ付けてもよかったのに。ゆるい曲だと私のやや苦手なビジュアル系的歌声が耳についてしまうのです。

全体的にゴリ押しに頼り過ぎていた感のあるアルバムですが細美さんはエレクトロニカを上手に取り入れたりエフェクトの使い方も巧みで、インスト曲の才能があると思います。どうせならヴォーカルを抜いて純エレクトロ曲だけのアルバムを作ると私の好みの音を出してくれること間違いなしだと思うので、やってくれないかなぁ。

 

 

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CDレビュー: Metallica – Load(1996)

★★★☆☆

賛否両論を巻き起こしたメタリカの6枚目のアルバムです。

オッサン達ははっちゃけすぎた

完成度が高いのかというと、高いんだと思います。アルバムとしてはよくまとまっているし、緩急もそれなりにある。演奏レベルも高い。

でも、残念ながらつまんねぇです。1996年だとメタリカのメンバーももう30代、いい年です。ロックは中二的な要素が強く私もそれを分かってて聞いていますが、ちょっとはっちゃけすぎです。ヴォーカルのヘットフィールドさんは「ッア!」「ッダ!」みたいなコブシ入れ過ぎです。ギタードラムベースも下手ではないのですがどうもお腹に響いてこないのです。ふつーーに聞こえます。いくらカントリー要素やらブルース要素やらが入っていたって良い曲はいくらでもあるのですが、だめです。ビビッと来ません。

このアルバムから出たシングルは、いくつか聞き覚えがありました。昔、小学生のときにCATVで見ていたビデオクリップを流す番組に、Mama SaidやKing Nothing、Until it Sleepsが流れていました。これを聴いて懐かしい気持ちがしました。でも、でもダサいよう。。それもワクワクしない意味でださいよう。懐かし恥ずかしいすごく複雑な気持ちです。

 

懐かしかったといえば最近聞いたこの人たちもそうでした。

 

力が欲しい。私をブッ飛ばしてくれるような力が欲しいです。それはスラッシュ特有のスピードや早弾きでなくともよいのです。大多数の人と同じく、私もこのアルバムには「軽い」という評価を付けざるを得ません。しかも14曲、80分近いフルレングスで長々と聞かされるのは苦しいです。とても残念。次作に期待します。

 

 

 

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CDレビュー: the HIATUS – Trash We’d Love(2009)

★★★☆☆

the HIATUSの1stアルバムです。直近で聞いた4thが割と良かったので、さかのぼって聞いてみることにしました。

 

リズム隊はよく出来ているが、単調

どうしても先に聴いた4thと比べてしまいます。音作りの丁寧さはこの頃から十分なレベルに達しているものの、洗練されておらず、似たようなパターンの曲が多すぎます。。39分と非常に短いアルバムであるにもかかわらず、同じことの繰り返しはよくありません。具体的には5、7、8、11の後半を除くすべての曲が同じに聞こえます。メジャー調でなんか希望を持ってるッぽい歌詞(なんとなくで判断してるので違ってたらごめんなさい)をブーストしたギターと共に載せる。ポップンミュージックで叩くと気持ちよさそうではあります。あんまり単調だと今度はヴォーカルの細さだけが目立ってくるのでちょっと厳しいです。もう少し時間をかけて作ってもよかったのでは。

時々輝く曲も

5曲目Daten、8曲目The Flareはリズム隊が一風変わっていて楽しめます。11曲目Twisted Maple Treesも悪くありませんが展開が5、8と同じギタードラムの音量上げ過ぎのごり押しで胸に強引に音を乗せまくる展開でやはりワンパターンかなぁ。こう書くと金縛りみたいですね。夜目が覚めると体が動かない、胸の上に幽霊が、、ってやつ。

 

せっかくなので2、3枚目も聴いてみます。

 

 

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CDレビュー: Metallica – Metallica (1990)

★★★★★

メタリカの5枚目にしてバンド名を冠したアルバムです。真っ黒なジャケットから「ブラック・アルバム」と呼ばれているそうです。

イキな若造からちょいワルオヤジへの進化

まず1曲目Enter Sandmanで感じた第一印象は「彼らも大人になったんだなぁ」ということでした。過去最大級の骨太サウンドに、安定感を増したジェームスのヴォーカルが印象的です。ロックとは伝統的に反体制かつ中二病的なものですが、この曲からはロールプレイとして中二病を楽しんで演じているような雰囲気が感じ取れます。前作から精神的に大きく成長したのだと思います。3曲目Holier Than Thouでも同じことを感じました。

当アルバムはいわゆるハイスピードでぶっ飛ばすスラッシュ的な曲はありません。4,8曲目のような軟派なバラード曲もあります(8はちょっと気に入りません)が、あとは全て硬派なスローで重めの曲で占められており、全てクオリティが高い。特に7曲目Through The Never, 12曲目The Struggle Withinは重さが最高潮に達しており独特の爽快感が味わえます。

ガラッと作風を変えたため当時は批判が多かったそうですが、私は過去作の中で一番の出来だと思います。1や7は中毒性もありますね。

そういえば7曲目って昔ネタ曲で聞いたことがあったのを思い出しました。

 

 

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