Amon Tobin – Bricolage(1997)


★★★★☆
前から気になっていたAmon Tobinさん。昔、supermodifiedというアルバムを聴いたことがあって、これがまた攻めるリズムのよく乗ったテクノ?ブレイクビーツ?のような不思議なサウンドだったことを覚えている。今回は、1stアルバムを聞いてみた。
輪郭のぼやけた都会の裏通りの霞がかった夜の風景にブレイクビーツが密集する、なんともジャンル分けできないトラックが14も入っていた。ジャズっぽいものから歌舞伎町か荒木町かと思うような不気味なバックトラックもある。1997年ということもありビートのエッジがあまり効いておらず、野菜のような音がする。それがまたよい効果を生んでいるように思う。東京っぽい。
全曲安定して良いが大きな衝撃になるような曲もなく、敢えて挙げるなら6曲目The New York Editorと11曲目One Day In My Gardenがよかった。


Ministry Of Sound – Ibiza Annual 2014(2014)


★★☆☆☆
最近のクラブ・ミュージックを聞いてみたくてセレクト。
10年前と使っている音はあまり変わっていない。新しいといえば時々ガラージのようなサウンド、ダブステップのようなサウンドを4つ打ちに絡めてくるくらいか。
全体的にパンチが足りなすぎる。ググッとビビッと来る曲が全然ないぞ!はずれと思った曲は飛ばし飛ばし聞く羽目になった。特に1枚目は全然ダメ。2枚目はアップリフティングな曲も入ってくるけれど、ワンパターンだったりサウンドに魅力がなさすぎだったりでまいった。もうクラブミュージックは聞けないんだろうか。。
1曲、Galantis の You という曲だけはよかった。サウンドコラージュと不思議なヴォーカルを天空城に乗せていざボブルの塔へ(DQ5)・・・という感じだ。この曲だけ目立ってるね。スウェーデンから最近出てきたユニットで、まだアルバムもないらしい。リンク先のPVは全然天空じゃなくてアンダーグラウンドだった。


Dalhous – Will to Be Well(2014)


★★★★☆
イギリスの電子音楽アーティストDALHOUS(だろうす?)の2ndアルバムらしい。これも適当にジャケットを見て選んだので、事前知識なし。アンビエント・ノイズ・テクノ・ビッグビートなどを全部混合させた、特定のジャンルに囚われない独創的な音が全アルバムに渡って展開する。diskunionの紹介ページによると、スコットランドの精神科医のロナルド・D・レインから影響を受けたらしい。そのせいか時々精神的にきつい曲がある。序盤は大人しいが5曲目Lovers of the Highlandsは曲全体の雰囲気が、その次の6曲目Four Daughters By Four Womenは時々混じるヒステリーな音色がお腹をムズムズさせる。ここら辺が一番きつく、その後は10曲目Someone Secure、12曲目Abyssal Planeのような落ち着いた曲が続き、一番のキモが14曲目DSM-III、という直球なタイトルの曲。メインで流れている音は静かだが後ろでずーっと削り出すようなビートが鳴っていて、これは精神科医対患者ってことなんでしょうか。でもそうだとすると患者のビートはずいぶんと規則的なので、精神病というよりは自閉症なんじゃないか。
オウテカやエイフェックスツインなんかは電気の主張が強すぎるのと展開の乏しさからどうしても馴染めなかったけれど、この人の音は流転し展開し自己完結しないので好みだ。


Kraftwerk – Autobahn (1974)


★★★★☆
元祖テクノポップ。当時のシンセサイザーはまだそれほど多重発声ができないせいか、音数が非常に少ない。音質も、スーファミに毛が生えた程度。ドラムマシンに至ってはファミコン並み、時々ずれるので手動でたたいてるのかもしれない。しかしこの音を1974年に出していたということは刮目すべきだ。ファミコンは1983年発売、スーファミなんて1990年発売なんだから、いかに当時前衛的であったろうか。使われたシンセはミニモーグだったそうで、こいつは今でもさまざまなアーティストが現役バリバリで使っている。。ちなみに当時は、フォルクスワーゲンと同じ値段だったらしい。
表題曲AutobahnはYMOを思わせる、いやYMOがパクったと思われる8ビートで22分40秒も延々走り続ける曲。ボコーダーもまんまYMOが模倣してるやないけ。おいおい。もちろんクラフトワークが4年も先行してます。所々に工場勤務のお兄さんが呟いてるようなヴォーカル(?)が入りずっこけかけるが、これも愛嬌か。中盤の車の音はよく大昔のシンセで出せたなぁとおもう完成度。
他の曲ではラストのMorgenspaziegangが良い。うにうにしたシンセの中に気が抜けたリコーダーが入り、非常にシュールな雰囲気を出している。MOTHER2(1994年発売)でこんな感じの曲があったな。20年も先をいっていたということか。


CDレビュー: Clark – Feast/Beast(2013)


★★★★★
エレクトリック魔人Clarkさん。この人は天才であると思う。1曲として似たような曲がない。自分の好きな音を重ねていったらこんなんできちゃいました、と思われる29曲(他人の曲も数曲入ってるけど)。狂気と哀愁と静謐と押しの強さが全部同居している。

Disk1はどちらかというと静。6曲目 Glow は何が起きてるのか分からんが中毒性がある。10曲目Peterのようにこっちに迫ってくる曲はダメージが大きい。さらに11曲目Untitledで底まで落ち込んだ心を12,13曲目のBibioさんのリミックスが救ってくれる構成に驚いた。1枚目は深入りするとマズそうな曲が多い。

Disk2は動、テクノ系ビートが多め。2曲目My Machinesのような変態シンセはどうやったら作れるんだろうね。3曲目D&T、6曲目Let’s Get Clinicalもやばい。原曲一つも知らないけど、きっと目茶目茶になってるんだろうなぁ。11曲目Siberian Hootyはこれは一体リズムがどうなってるの?12曲目Hammersmashedが一番このアルバムで破壊力大きい。最初から最後までわけわかめの狂気尽くし。いや、ちゃんと曲の体裁は整ってるんだけど、わかるようで何やってるのか全然分からない。で、ラストThe Galactic Tusks、珍しいパッド重ねまくりのアンビエントで荘厳に全く救いがなく終わってしまう。

バカ高い技術と常人には真似の出来ない音の配置を2時間程度たっぷり堪能できる素晴らしいアルバムでした。
この人の曲で初めて聞いたHerr Barの衝撃はいまだに忘れられない。ビデオは初めて見たけれど、相当キテるね。これを作ったR James Healyという人の精神を疑う。

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CDレビュー: L.E.D. – 電人K (2008)


★★★★☆
だいぶ前の作品。beatmania5鍵盤時代からいるアーティストさんの1stアルバム。はじめてGENOM SCREAMSをプレイしたときはびっくらこいたな。こんな難しいの叩けないよ!と思ってたけれど、あっという間にレベルのインフレが起こって12段階の7程度の中堅曲になってしまい、IIDXになり7鍵盤になって、時代が進んでいった。。

で、このアルバムはレベルが高い!1枚目はERaSeR EnGinE DistorteD、SOLID STATE SQUAD、STEEL NEEDLEがゲーム版を超えており、2枚目のリミックスも総じて外れが少なく、特に2,3のTHE SHINING POLARIS-kors k mix-、ACID VISION-Allotropy Artcore Mix-が原曲を凌駕している。
bemani系では一番のおすすめです。

昔を振り返ってbemani系を聞いていたけれど一旦中断します。

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CDレビュー: beatmaniaIIDX 21 SPADA Original SOUNDTRACK Vol.1


★★☆☆☆
いまいち。前作よりパワーダウンしている印象を受ける。

以下良いな、と思った曲です。好きな順。

1.ジャカルタファンクブラザーズ – INSOMNIA
今作ではダントツでよい。初っ端の超重低音、突飛な音ネタ、全体的な意味不明の空気、終盤のダサいメロディーどれを取っても好き。

2.L.E.D. – EXTREME MACH COLLIDER
乾いた四角い金属テクノならこの人。

3.猫叉Master+ – Funny Shuffle
なんというアシッドジャズ。。こんな曲をIIDXで聞けるとは思ってもなかった。前作に引き続き脱帽しました。

番外.youhei shimizu – mnemonic
鼻血が出るくらい懐かしい曲。これは当時自宅からかなり離れたところにあるゲーセンにしかないbeatmaniaIIIという筐体に収録されていた曲で、当時気に入っていただけに、ゲーセンに一緒に通った友人たちのことが思い出されてならない。みんな元気でやってるだろうか。2000年のゲームなので、なんと14年前だ。

以上4曲以外は、いまいち。このサントラにはデフォルト曲しか収録されておらず、隠し曲やボス曲は8月に出る第2弾のサントラに収録されるそうなので、そちらに期待するしかない。

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CDレビュー: 猫叉Master+ – Backdrops(2009)


★★★☆☆
IIDX trocoroの氏の猫叉Master+名義の曲が良かったので、期待して聞いた。プラス名義を使うときは冒険する曲が多いらしく、2曲目being torn the skyはヴォーカル+猫叉節+サビの前の溜めが上手く非常に良かったが、その後パンチの効いた曲がなかった。唯一、11曲目Crackはサックスソロとブレイクビーツをぶつける意欲作だと思ったが、肝心のサックスソロに破壊力が足りず「き・・・きかぬ きかぬのだ!!」と涙するラオウのような気分になった。ゲーセン現役時代にプレイした曲が6曲も入っていて感慨深かったが単一の楽曲として聞いてみるともうひとひねり欲しかった。

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CDレビュー: beatmania IIDX 20 tricoro ORIGINAL SOUNDTRACK vol.1

(ちょっと恥ずかしい)
★★★☆☆
昔ハマっていたゲームの第20弾サントラ。自分はまともにプレイしたのが13くらい、17以降は触ってもいないので、とうとう20も出たか、と思うと感慨深い。
回を追うごとにターゲット層が低年齢化していって、硬派な曲がどんどん少なくなっていって気持ちも離れて行ってしまった。前回Lincleのサントラが非常にイマイチだったこともあり、このサントラには期待していなかったが、どうしても気になるので効いてみた。いつも通りボーカル曲はほぼすべて量産型女性ボーカルなので飛ばしてしまったが、それ以外の曲のクオリティは高い。ほとんど、常連の作曲者ものだけれど。。

・気になった曲Top5

1.DJ MURASAME – 仮想空間の旅人たち
一番ツボに入ったのはこの曲。非常に不思議な音の使い方をする。ダサい一歩手前のガケを行ったり来たりする。メロディーも全然予測できない動きをする。古臭いような定番のようなでも一風変わっているアルペジオ。それらが全体的に組み合わさって曖昧で宙ぶらりんな浮遊感を形成している。4分もあるのでおかしいなと思ったら、なんとSPとDPで1曲を構成しているのだとか。プレイ末期はDPerになっていた自分としては嬉しい仕掛けだ。

2.yu_tokiwa.djw – rumrum triprets
好きだった曲 murmur twins + Linus のリアレンジバージョン。やっぱりいい曲でした。

3.Eagle – S!ck
流行りのダブステップを一応取り入れてみたものの、それの向こう側に駆け抜けてしまっている姿勢が素晴らしい。展開が慌ただしくごちゃ混ぜなのも非常に良いです。

4.ユニバーサル度胸兄弟 – Thor’s Hammer
ジャニーズ的存在のイケメンであると同時に天才ピアニストとして有名なリスト様が作曲した超絶技巧の代表曲ラ・カンパネラをIIDXで叩かせようとする意欲作。最初から最後まで爆音のクライマックスのまま進んで終わるので始め聞いたときは笑ってしまいました。

5.猫叉Master+ – portal
氏の曲は独特の哀愁コードを必ず使用していてそれはとても良いのだけれどワンパターンになりがちであまり得意ではありませんでしたが、この曲では独自性を保ちつつ6/8+4拍子混在など斬新なリズムパターン、今までにないメロディーなど新たな境地を見た気がします。

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CDレビュー: Fracus & Darwin – Filth And Dumb Hatred(2014)


★★★★☆
UKハードコアの有名どころ、だったらしい。もともと、DDRにWhy notという曲やOn The Breakという曲を提供していたので知っていたアーティストだった。試しに聞いてみたら、良く出来ていて驚いた。ダンス曲は一般的に単調で似たり寄ったりのものが多くすぐに聞くのをやめてしまうのだが、このアーティストは全く退屈させてくれない。

まず2曲目Free Form Fromが良い。エキゾチックなVoと打楽器(マリンバ?)で始まったかと思うとどことなく哀愁を帯びたメロディーで入ってきてやられた。ハッピーハードコアだろうのになぁ。このジャンルでびっくりさせられるとは思わなかった。4曲目Floor Burnのピコピコファミコン音、6曲目Oh Yeahのもの悲しさもよい、8曲目Little Shadowsのオーボエ(不自然に切れてるのは気になるけど)とメインメロディ、サブの電子音も寂しくなって心に残る。この曲が一番好きだな。そう、ハードコアなのに泣き、というこのギャップが印象を残す理由なのだろう。

後半は自分としてはもうちょっと頑張ってくれーという気持ちだが、最終14曲目End On A Hard Noteは非常に良い。ラストのBPMが徐々に上昇するところは是非DDRに収録してゲーム化して欲しい。足が壊れそうだ。洋王道ポップス寄りの曲からドラムンベース、ガバ、トラディショナル、マッチョ系など高速BPMダンス曲のお手本がぎっしり詰まったCDと言えるだろう。何度も聞き直したい。

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