書籍レビュー:『ファインマン物理学を読む 力学と熱力学を中心として』著:竹内薫

★★★☆☆

生徒さんに面白い物理の授業をしたいのでファインマン物理学を読みたいのですが、いきなり読んでも太刀打ちできないだろうから、先に概論を読んでおくことにしました。原書は無料で公開されていますがチャプター1だけ読んだところで時間が無くて続きを読めていませんし。

ファインマン物理学は1冊400ページくらいのものが5冊もある大著です。著者の竹内薫さんは物理学者で、いかにファインマンさんが優れた学者なのかよく分かっています。良い手引書です。ですが、体系だっていないので結局「ファインマンさんはすごいんだぜ!」ということが理解できる、ということが最大の収穫となりました。ほかには

・相対論、量子力学はノリノリで書いているが、磁力については苦しい

・量子コンピュータは面白いらしい(が、肝心の内容については説明が雑でよくわからん)

・エネルギーとは何か、とは、物理学では説明できない

・物理学は実験して測定して理論を裏付けるから、計算が超大事

ということを学びましたが、各トピックの内容がペラいので消化不良です。長いけど5巻セットを読んだ方が満足度が高いだろうと予想されます。

 

もうこのシリーズはお腹いっぱいなので、高いけど買うしかないですね


書籍レビュー:『今日から使える物理数学』著:岸野正剛

★★★★★

物理数学を平易な言葉で解説することを目指したと思われる書籍です。

これ1冊で

  • 微分方程式
  • ベクトル解析
  • 複素関数
  • フーリエ解析

のエッセンスをざっと掴むことができる、という野心的な本でした。数式は理工学系のカタい教科書の半分以下、でも意味分からん省略はされてないし、したとしても必ずフォローが入っている親切な本で、非常に読みやすいです。しかも力学、電磁気学、量子力学(ちょっとだけ)で実際に使われている場面にも触れることができます。数学でよくある執拗な厳密さはなく、ひたすら「数学はこうやって使うと楽だよ!便利だよ!」と数式を道具に使うことに徹することを学びました。

物理数学のイントロとしては最適だと思います。ぼくは複素関数やフーリエ解析を大学で学習する前に退学してしまったので、なんとなく理解するために役立ちました。250P程度の紙面では限度があるため、4分野の他の詳しい書籍も読んでみないといけないでしょう。

 

 

次はこれ



書籍レビュー:『力学の考え方』著:砂川重信

★★★☆☆

120ページしかないし力学のおさらいに良いかと思ったのですが、あまりお勧めできません。力学の基礎~慣性モーメントのあたりは直感的でそれなりに面白かったのですが、終盤の波動~解析力学のあたりは数式が難しいし説明は飛びまくりで、逆に難しく感じました。

ときどき砂川先生が内容を大きく離れて物理について熱く語るのが印象的でした。こんな風に物理のことを好きになれたらいいなあと思いますが10年くらい学習しないと無理

物理屋は、考えられる無数の微分方程式の中から、神の意図したただひとつの微分方程式を選び出し、それを自然法則と認める。これが物理学者の仕事である。このように無限の可能性の中から、ただひとつの微分方程式を選び出す才能は、真白なキャンバスの中から微妙な曲線を取り出す画家の芸術的才能に類似している。(P18)

 

 

最初の一冊には次の本を読むのが良いと思います。

レビューも以前に書きました

書籍レビュー: 苦しいことは良いことだ 『力学 (物理入門コース1)』 著: 戸田盛和

 


書籍レビュー:『微分積分(理工系の数学入門コース 1)』著:和達三樹

★★★★☆

微分積分の復習用です。

厳密さはガン無視して、微分積分の最低限の知識を身に着けるのに最適です。これ1冊でイプシロンデルタ法から多変数関数の微積分、無限級数までほぼ網羅的なおさらいができます。巻末には公式集もついており至れり尽くせり、数学をツールとして使う工学系学生にとってはもってこいの1冊です。

昔、大学で指定図書だった「解析入門」はガチガチの理論書で、足し算とはこういうものだと公理にしておきます、というレベルから話が始まるため、計算ができるまでに超大な推論の回り道を抜けないといけなくて、ぼくにはまったく理解できませんでした。本書のような概論を先に読んでおけばよかったですね。

 


書籍レビュー:『入門線形代数(放送大学テキスト)』著:隈部正博

★★★★☆

放送大学で使われているテキストです。放送大学はよい教授陣が揃っているので、テキストは概してよくまとまっています。

著者の隈部先生の授業で以前に数学基礎論をとったこともあったので、信頼してこのテキストで勉強しました。初学者にも読みやすく具体例を頻繁に交えながら書かれており、かつ一般性を失わないように行列をn次に拡張した場合の証明もなされており、幅広い読者が読むことのできるテキストです。大学時代は機械的に行っていただけの行・列基本変形の意味、階数・次元や線形独立・従属、線形写像のあたりの説明は分かりやすく、授業で大いに役立てることができました。

しかし先生の体力が途中でなくなったのか、終盤3章の固有値、基底変換、対角化については全然ページが割かれておらず、そこだけが残念です。他の本で補う必要がありそうです。


書籍レビュー:実体部分にくわしいネットワーク書『ネットワークエンジニアの教科書』 著:シスコシステムズ合同会社テクニカルアシスタンスセンター

★★★★☆

 

自分がネットワークの最新技術に疎いためネットワーク関連のニュースを読んでもどうも実感がわかないことと、さくらインターネットなどデータセンターやクラウドを取り扱う会社が中で何やってるのか興味があったので読みました。

広く浅く

「意外と幅広いネットワークエンジニアの業務と必須スキルを網羅!」という謳い文句通り、インターネットプロトコルの基本であるTCP/IPからイーサネット、ルーティングプロトコル、スイッチ・ルータ、セキュリティに無線LAN、データセンターや実際の保守作業までめちゃんこ幅広い分野について解説があります。

幅広すぎて項目ごとの解説が通り一遍になってしまっている欠点はありますが、あまり詳しすぎても混乱するだけなので仕方ないと割り切ることが必要です。

電波の解説が面白い

本書はシスコの中の人たちが書いてることもあって、論理面よりも物理面の解説が優れていると感じました。

例えば6章の無線LANについての説明では、まず「『波』としての電波の2つの性質」というセクションから始まり、図を多用して波の解説がされています。電波は電磁波だから回折する、ビル陰は日向より暗いけど真っ暗じゃないっしょ?あれは電磁波が回折しているからだよ。電波もこういう場所では回り込んで存在してるんだよ、という解説を読んでなるほど!そうか!と感心しました。

他にも電波はあちこち飛んでるから反射したり回折したりして干渉しあい、打ち消し合って受信しにくくなることがある、でもその干渉を工夫して強め合うようにしてやれば感度を2倍にすることができるんだぜ!という解説も目からうろこでした。

トラブルシューティング対応は頭が痛くなる

もうひとつ気合が入っているのは、トラブルシューティングについてです。テクニカルアシスタンスセンターというのは障害対応の部門なので、日常どのように障害対応をしているのか、についてなんと1章が割かれています。

例えばクライアントが「インターネットに接続できない!」と文句を言ってきた場合、考えられるのは次のような場合があるそうです。

・インターネット側に異常がある

・ルータがPPPoEのセッションを確立できていない

・PCがルータからIPアドレスを確立できていない

・PCがルータからDNSサーバーのIPアドレスを取得できていない

・NATが機能してない

・ルータがトラフィックを転送できていない(ルータが処理過剰)

・ブラウザの設定が間違っている

これらのどれに該当するのか原因を切り分け、「問題を正確に把握する」ことが第一に要求されます。私が日頃行っているデバッグとやっていることは本質的に変わりませんね。問題がなんだか分からなかったのでとりあえずルータを再起動したら事態が悪化し問題が複雑になった、などの例も書かれており頭が痛くなります。

現場で学べ

解説が用語を並べるだけだったり表面をなぞるだけの箇所も多く、本書ではエンジニアに必要不可欠な知識を学ぶためには不十分です。「知ってるだけでは役に立たん。実地で苦労して学ぶのが近道」と身もフタもない記述もあります。でも実際その通りだと思います。現地でどんな面倒なことが起こるかなんて1冊の本に書ききれるものではありません。これはネットワークエンジニア、プログラマー、など土木的な性格の強いIT業種全般に言えることなのではないかと思います。いやもっと広げて、どんな職業にでも言えることではないでしょうか。

 

 

関連書籍

昔読みました。インターネットの仕組みだけ知りたいのならこっちの方が詳しいです

マスタリングTCP/IP 入門編 第5版

マスタリングTCP/IP 入門編 第5版

  • 作者: 竹下隆史,村山公保,荒井透,苅田幸雄
  • 出版社/メーカー: オーム社
  • 発売日: 2012/02/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 4人 クリック: 34回
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セキュリティならこれがよさそうです

おうちで学べるセキュリティのきほん

おうちで学べるセキュリティのきほん

 

 

本書とは関係ありませんが今日本屋でみてよさそうな本でした

コンピューター&テクノロジー解体新書 ビジュアル版

コンピューター&テクノロジー解体新書 ビジュアル版

 

 

 


書籍レビュー: ソフトウェアデザイン 2015年11月号 すいすい分かるHTTP/2, ファイアウォールの教科書

 

ソフトウェアデザイン 2015年 11 月号 [雑誌]

ソフトウェアデザイン 2015年 11 月号 [雑誌]

 

★★★★☆

最新技術に疎いので雑誌の助けも借ります。Web上にもたくさんドキュメントはあるんだけれど、探すのは意外とむつかしい。ニュース系のサイトだと、広告の都合上何回もページをめくらなきゃいけなくてレスポンスも悪い。電子書籍という手もあるけど、タブレットは文字小さいしそもそも本体が高くて買えないし、図書館にない。紙媒体は私にとってまだまだ現役です。

雑誌の良いところは、分かりやすく解説してくれる記事が多いこと、トピックが雑多で一つの記事についていけなくても他の記事で読めるものが必ずあるところです。初心者向けの記事も必ずあります。

 

メインとなっているHTTP/2とは、現行のHTTP/1.1だと同時に6アクセスまでしかできない(本当は規格上シリアルに1アクセスまでしかできない!)ので速度に限界があり、今まで涙ぐましい工夫により延命が計られてきましたが、加速度的に必要アクセス数が増えていく現代のweb環境では現状に合わなくなってきたため開発された新プロトコルです。

主な特徴はTCPコネクションを使いまわすことで1接続で複数のデータを送れるようになっていること、いくらでも並列接続できるようになること、ヘッダを圧縮して容量を減らせる、サーバー側から先読み用のデータをリクエストを待たずに自動送信して速度を上げる、などなどです。

 

イメージ図

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HTTP/2の現状とこれから

 

すでにgoogleやtwitter, facebookなどではHTTP/2が実装されており、対応ブラウザ(FireFox, Chrome, IE11※Windows10のみ)を使うとその恩恵を受けることができます。通信プロトコルのレベルの実装ですから見た目は何もわかりませんが、速度は確実に上がります。

分かりやすい記事でしたがUNIXの動作に入ると突然チンプンカンプンになります。ubuntu入れたことだし、実際に手を動かしてみないと歯が立ちません。時間がないなぁ。。

 

ファイアウォールの記事もおもしろかったです。いかにうちの会社のセキュリティ構成が甘いかもわかりました。

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ワイルドウエストにしちゃあかわいいよね

 

ところで背表紙のGMOインターネットのクラウドサービス、ConoHaサーバーのこの広告はどーかと思いました

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名前もあれですけどやっぱりネットワークエンジニアさんはこの手のキャラ好きなんかなぁ。中高生向けならともかく、二次元なんぞ20代前半で卒業するもんちゃうの。。?

 

 

この雑誌の収穫は

 

・UNIX知らないと話にならん!

・「そこにシビれる!メメタァ」とジョジョを記事に入れられると読んでいてうっとおしい(P129あたり)。ギークはほどほどに

Wiresharkってソフトでパケットをリアルタイム解析できるらしいのでこれを使ってメッセージに慣れてみよう

 

でした。

Wiresharkはすごいですよ。放っているだけでどんどんメッセージをキャプチャしてあっという間に画面がスクロールしてしまいます。

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参考書籍

書籍広告に面白そうな本がありました。

たのしいインフラの歩き方

たのしいインフラの歩き方

 
データサイエンティスト養成読本 機械学習入門編

データサイエンティスト養成読本 機械学習入門編

  • 作者: 比戸将平,馬場雪乃,里洋平,戸嶋龍哉,得居誠也,福島真太朗,加藤公一,関喜史,阿部厳,熊崎宏樹
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2015/09/10
  • メディア: Kindle版
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あなたの知らない超絶技巧プログラミングの世界

あなたの知らない超絶技巧プログラミングの世界

 

 

ネットワーク関連では去年話題になったらしい本が図書館から届いたので、近いうちにこれを読みます。

ネットワークエンジニアの教科書

ネットワークエンジニアの教科書

  • 作者: シスコシステムズ合同会社テクニカルアシスタンスセンター
  • 出版社/メーカー: シーアンドアール研究所
  • 発売日: 2015/09/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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書籍レビュー: プログラム版文章読本『リーダブルコード―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック』 著: Dustin Boswell, Trevor Foucher

★★★☆☆

 

文章を書くノウハウ本は多数ありますが、プログラムを書くノウハウ本もいくつか出版されています。本書は比較的新しく、かつ定番となる本だそうですので前々から興味がありました。

プログラムの抽象的な大構造やデザインパターンと言ったマクロな話には立ち入らず、変数の命名規則といったミクロな範囲~関数・テスト設計と言った中程度の規模の話に集中して、「どうやったら他人が読んで理解できるコードを書けるか」「パッと見て意味が分かるか」というテクニックと思想を詰め込んだ本です。

命名規則には特にうるさく、「tmpという単純な名前はやめなさい、抽象的すぎるから」「getMean()のような関数は、getという名前で軽い処理を行うと解されやすいから、重い処理を詰め込むのはやめよ」などなど、日常業務に即適応できそうな内容ばかりです。

ただし後半になってくると、職業プログラマーをやっていると当然のようにぶちあたる課題と解決方法の繰り返しになるので、自分としては得るものが少なかったのが残念です。ここのところ本業が佳境に入って時間が取れないにもかかわらず、ものすごく早く読み終わってしまいました。逆に考えると、日常の業務の遂行方法が本書出版時の2012年現在でもだいたい有効であるということですので、うれしいです。

また、翻訳のクセが私には鼻について全然合わない(Amazonではみんな褒めてますけど)のと、巻末の解説が冗長すぎて「読みやすい」を目指すはずの本書の趣旨と合ってない、最終章のサンプルコードが無駄に複雑でここだけ難易度が跳ね上がっていて初級者には絶対読めないのとで、★-1としました。

 

プログラム本を読んでいていつも思うことがあります。発達障害者はプログラマーに向いている、ビルゲイツもアスペだったとよく言われます。私は嘘だと思います。私の書くコードはきたないです。なかなか一発で本書のような綺麗なコードは書けません。なぜなら良いコードは「他人が読んでわかりやすい」コードであり、それは文章や会話と原則的に何も変わらないからです。私は自分にしか意味の分からないようなコードを大量に生産しています。これはコミュ障と同じです。

さらに現代で優れているとされるプログラム手法は「オブジェクト化」「疎結合」ですがこれも、高度な抽象化が必要になる作業です。私は実はこれ、すっげぇ苦手です。どうしても直接的でベタ打ちのコードを書いてしまいます。同じ機能をまとめて抽象化して、より高次の問題だけを取り扱うのが現代プログラミングの基本ですが、全然できません。経験を積むほど自分がプログラミングに向いてないのが分かります。

だからプログラミングが得意な人間とは本当は、コミュニケーション能力があって空気が読め、何でもすぐに抽象化して上位概念を操るのが上手い人間なんだろうなぁと思うのです。たぶん私とは正反対に位置する人間ですこれ。

 

 

 

 

参考書籍

分厚い類書です。これもいつか必ず読みたいと思っている本です

CODE COMPLETE 第2版 上 完全なプログラミングを目指して

CODE COMPLETE 第2版 上 完全なプログラミングを目指して

 

 

正直言って会社で書いてるコードはきたないものばかりなので、リファクタリングも学ばないとなりません。

新装版 リファクタリング―既存のコードを安全に改善する― (OBJECT TECHNOLOGY SERIES)

新装版 リファクタリング―既存のコードを安全に改善する― (OBJECT TECHNOLOGY SERIES)

 

 

巻末に紹介がありました。気になるけど、すごく。。やばそうな本です

文芸的プログラミング (ASCII SOFTWARE SCIENCE Programming Paradigm)

文芸的プログラミング (ASCII SOFTWARE SCIENCE Programming Paradigm)

 

 


書籍レビュー: トレードオフなエコシステム『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第5巻 生態学』 著: デイビッド・サダヴァ他

★★★★☆

 

しばらく書籍レビューが簡素になります。

 

第5巻は生態学、英語で言うとエコロジーの分野です。第1巻~3巻がミクロ生物学なら、4~5巻はマクロ生物学。私はミクロよりもマクロ分野についてなかなか理解がついていかないようで、新書並み200ページちょいしかないのにずいぶん苦労して読みました。

気になった話題はまず生活史トレードオフ。生物が得たエネルギーは繁殖・成長・防御・ホメオスタシスという機能に分割され、すべてを足したエネルギー量は一定だからどれかの機能を高めるとどこかの機能が損なわれるよ、という理論です。例えばストレスが多い環境にいるとホメオスタシスで精一杯になるため他の分野にエネルギーが全然回らなくなります。だからストレスがかかると痩せるんですね。

取引と言えば相利共生。ミツバチが花粉を運んでくれるとかハキリアリがキノコのために葉を切って運んでくれるというような一見利他的に見える関係のことです。人間が美しいドキュメンタリーや物語に仕立てがちな動物の行動ですが本書では「他の生物のために形成される構造なんかあり得ない」というドライな立場を貫きます。ダーウィンがそう言っているそうです。ミツバチは蜜を吸いたいだけだしハキリアリはキノコ食いたいだけだよ、動物は詐欺を働いてまで他の動物から資源を搾取しまくるのが基本だよん、という見方はリアリスティックで好感が持てました。

あとタンパク質の基になる窒素分を生み出すための窒素固定は微生物しか行えるものがいないっていうのはゾッとする話でした。というのも空気中の窒素って三重結合してて強固だから簡単に切れる生物が全然いないんですって。微生物がいなかったら植物も動物も私たちもいなかった。微生物はすべての生物の母だ。偉大だ。微生物のことはもっと知りたいです。今でこそ人類が窒素分固定しまくって過剰に肥料やりまくりなんて贅沢もできるようになりましたが、その人類だって微生物がいなければ生まれようがありませんでした。

薄めの教科書だからしょうがないのかもしれませんがどの記述もページ数が少なめで私にとっては説明不足でした。詳しく知りたければナショナルジオグラフィックを定期購読するとか新しめの科学読み物を読んでいくといいのかもしれません。

これでこのシリーズは全部読破しましたが生物のことを全然知った気がしません。1万円超のでっかい生物書をローンで買ってゆっくり何度も読もうかしら。

 

関連書籍

 

ちょっと古いけど生態学のよさげな教科書

Ecology: From Individuals to Ecosystems

Ecology: From Individuals to Ecosystems

  • 作者: Michael Begon,Colin R. Townsend,John L. Harper
  • 出版社/メーカー: Wiley-Blackwell
  • 発売日: 2005/07/29
  • メディア: ペーパーバック
  • 購入: 1人 クリック: 17回
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 日本語訳。10000円超。たかい

生態学―個体から生態系へ

生態学―個体から生態系へ

  • 作者: マイケルベゴン,コリンタウンゼンド,ジョンハーパー,神崎護,曽田貞滋,幸田正典,Michael Begon,Colin R. Townsend,John L. Harper,堀道雄
  • 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会
  • 発売日: 2013/03
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログ (3件) を見る
 

 

 微生物。

微生物学 (基礎生物学テキストシリーズ 4)

微生物学 (基礎生物学テキストシリーズ 4)

 

 

 植物に絞った新しめの生態学書

植物生態学

植物生態学

 

 

 

 


書籍レビュー: 『よくわかる栄養学ハンドブック』 著:舛重正一

★★★★★

 

科学的でとても分かりやすい上に適度に網羅的です。厳密な生化学的記述も知りたいのですがそれは専門書を読めばよいでしょう。

色々参考になるところはあったのですが今日レビューを書いている時間がないのでここまでです。