Faust – Faust IV(1973)


★★★★★( ゚д゚ )彡
斜め上ロックチャンピオンの4枚目。またもジャンル分け、分類を拒む曲たち。執拗な繰り返しと意外性、期待を絶対に裏切ってやるという執念、でも曲として破綻していない上にエネルギーも感じられるという不思議な40数分間だった。ギターは(意図的に)コピー用紙みたいな音だし、ドラムも上手いわけじゃないのに、なぜか引き込まれてしまう。4曲目で下痢みたいなシンセもあるが悪くない。特に1曲目Krautrockの塊のようなサウンド、3曲目Jenifferや8曲目It’s a bit of Painの意味不明ギター、5曲目Picnic on a Frozen Riverのイントロと激しく乖離してずっこける歌部分と後半、はすさまじいものがある。過去の3作品と比べると、尖鋭性と演奏感が程よく合わさっているこのアルバムが個人的にはベストか。


King Crimson – The ConstruKction of Light(2000)


★★★☆☆
5年ぶり12枚目。何があった、と言いたくなるくらい音が変わっている。ヘビィなのはいいが、中途半端だ。FraKctured、Larks’ Tongues in Aspic-Part IV といった、以前の曲の焼き直しも、ヘビーなはずが以前よりも衝撃度がない。何がまずいってやっぱりドラムがスッカスカなところかなぁ。全然ドキドキしない。思い切りのいい ProzaKc blues と The World’s My Oyster Soup/Kitchen Floor Wax Museum は好きです。現時点で手に入るクリムゾンのオリジナルアルバムは、あと1枚。最後は、どんな音を聞かせてくれるのか。


Faust – The Faust Tapes(1973)


★★★★★ヽ(゚∀゚)ノ
3枚目。あらゆるカテゴライズや意味付けを拒むかのような挑戦的な楽曲たちだった。楽曲と呼んでいいのかどうかも怪しい。期待を裏切ることしか考えてない。ガラクタの寄せ集め。考えるな。感じるんだ。というセリフが今まで聞いたどのアルバムよりも一番似合う。狙ってできるものではない。


King Crimson – Thrak(1995)


★★★★★
11年ぶり11枚目。
解散したり再結成したり入れ替わりの激しいこのバンドが久しぶりに出した1枚は、ヘビーさと綺麗さに力を入れつつも以前の意味不明路線も同時に取り込んだ総合的なアルバムだった。2回登場するメインテーマ?のVROOOM、VROOOM VROOOM は力の入ったヘビー系の曲。ストレートに気持ち良いナンバーです。Codaは2曲目のMarine 745の方が好み。
Dinosaur、Inner Garden、People、One Timeといったポップ寄りの曲でも聞かせてくれます。特にOne Timeのヴォーカルの切なさがよいです。残るは意味不明系、6曲目の表題曲THRAKは若干リズムがずれているせいもあって今一つインパクトが足りないが、13曲目のSex Sleep Eat Drink Dreamが非常ーーーによかった。1分41秒地帯から、しばらくの間何が起こっているのかわかりません。この地帯の酩酊感は異常です。後でレビューを見たらドラムとベースが2セットあるのだそうだ。なるほど。リズムが二重になってたのね。ラストにもう一回あってそっちは何とか意味が分かるけど、1回目の意味不明地帯は本当にすごいエネルギーだ。この曲だけのために買ってもいいかもしれない。そんなアルバムです。


Faust – So Far(1972)


★★★★★
2枚目。こいつらはホンマもんのアホです。いい意味で。たぶん確信犯なんでしょうけど、絶対楽しみながら作ってます。
特筆すべきはやはり1曲目It’s Rainy Day, Sunshine Girlと3曲目No Harmでしょう。1曲目はロックのポップ成分だけを抜き出してミニマライズしたあとにアホ成分を加えたような名曲、3曲目はプログレ風に壮大さを感じさせて始まるもののその後意図的と思われるチープな音とバカで埋め尽くされる感動の大曲です。ぜひ聞いてください。ギターの音がメトロクロスみたいだよね。後半は若干インパクトが薄れますが5、7曲目もよいです。


King Crimson – Three of a Perfect Pair(1984)


ヽ( ´ー`)丿★★★☆☆
2年ぶり10枚目。うーーん、いまいち。。なぜ、なぜ四つ打ちなのか。
4曲目までの前半戦はいかにもな80年代サウンドに、オリジナルのテイストを振りかけたような作品群。1曲目表題のThree of a Perfect Pairには前作前々作に引き続きミニマルテイストのギターが使われており、もう定番として定着したような感がある。
5曲目Nuagesは少し時代の早すぎたエレクトロニカもどき、6曲目以降はいつものような意味不明路線になるが、ドラムに80年代電子タムタムが使われているせいか、迫力に欠ける。欠けすぎ。特に8,9曲目はこの気の抜けた電子ドラムがなかったら、もっといい曲だったんじゃないかなぁ。ラスト9曲目Lark’s Tongue In Aspic Part IIIも、前半はよいが後半に期待していたような衝撃がなかった。むぅ
このアルバムで80年代のキング・クリムゾンとしての活動は終了する。Redのときといい、毎回、終わりが良くないのう。


Faust – Faust(1971)

★★★★★┐(´ー`)┌

ドイツ出身のバンド、ファウストの1stアルバム。
わけわかりません。
でたらめなようで、曲の構成があるにはあるが、最初から最後までどこをどう聞いても予想の斜め上の音しか出てこない。ここまで混沌としたものは狙ってもなかなか作れないんじゃないか。壊れたおもちゃとUFOと電波、ネオンサイン、喫茶店の古びたテーブルゲーム、それらを体育館に整列させたような感じ。まず曲名が変だ。Why Don’t You Eat Carrots「にんじん食え」。
3曲目Miss Fortuneは16分36秒と超巨編だけれどこれは感動巨編。今までに聞いたことがなく、これからも聞くことのできないようなサウンドだろう。なんというか言葉で説明するのがあほらしくなるような楽曲なので、一聴をお勧めします。昔はこんなバンドにお金出してたんだからすげぇよな。
今年一番わけわからん衝撃を受けたアルバム。


Steven Wilson – The Raven That Refused To Sing (2013)


★★★★★
21世紀のプログレを聞いてみたい、と思い、事前知識何もなしで、こちらのTop 2013 albumsの1位のアルバムを試しに聞いてみた。
これは。。良いです!UKロック、ジャズ、少々のクラシック、エフェクト、古いプログレ、ビートルズなどの良いところを全部持ってきながら、芯の部分はスタンダードなUKロックを貫き通している、という、現代ならではの楽曲たちだった。6曲すべてに相当気合が入っているのがわかる。ヴォーカルも若さで飛ばしている。さすが21世紀だけあって、録音技術、マスタリングは完璧だ。そして、本当にたまたまなんだけど、キングクリムゾンがいつも使っていたメロトロンの音が!驚いた。
Steven Wilsonについて調べてみると、若さで飛ばしていたと思っていたのに、46歳だった。でも顔はめちゃ若い。なぜあんな澄んだ声が出せるのか。。そしてやはりというべきかイギリス出身のプロデューサー兼ミュージシャン。クリムゾンの魂を受け継ぐ者ということか。
日本人、特にファミコン・スーファミ世代にプログレは親しみ深い。ゲームミュージックでよく使われる曲調だから、だ。おそらくこの時代のゲーム作曲者がみなプログレファンだったんだろうな。特に3曲目The Holy Drinkerなんか、クロノトリガーやFF6をやりこんだ人にはグッとくるのではないか。
そして特筆すべきはドラムスだ。Marco Minnemann という人らしい。異常に上手い。普通のリズムを叩いているかと思うと時々あり得ないようなリフを繰り出す。力をためておいて攻撃力2倍という感じだ。この人も要チェックだな。
ジオンはあと10年は戦えると言いつつ2か月で敗北してしまったけれど、プログレはまだまだ戦えそうだ。ポップな要素も取り入れつつ次のステージに向かうのでしょう。


King Crimson – Beat(1982)


★★★★★
2年連続9回目の作品。前作に引き続きキレイなキングクリムゾンが展開されていますが、ミニマルテイストを増加させ、かつ気怠い歌声と混ぜることで完全なオリジナルに昇華させた1曲目Neil and Jack and Meにまず度肝を抜かれました。さらに4曲目Waiting Manではそれにら加えて切なさとわけわかめギターも混じってまいっちりんぐです。3曲目Satori In Tangierは世に現れるのが10年早かったと思われる強烈なロックとチルアウトの融合、5曲目Neuroticaはジャズやらポップやらロックのクラシックなのもハードなのもドラム萌えやら何もかもが混ざっていてこのアルバム中での一つの山となっています。
で、7曲目からヴォーカルとギターに謎のエフェクトがかかって、キレイなことをやめます。俺は人間をやめるぞー!ラストRequiemは久々の意味不明インプロで、レクイエムっていうかこれは水木しげるの世界ですね。全楽器が爆裂していて、魑魅魍魎が跋扈して後には何も残らない、という感じです。演奏していて楽しいだろうなぁ。
前作が単なる前哨戦に思えた。各曲の個性が高くて好きです。


King Crimson – Discipline(1981)


★★★☆☆
7年ぶり8回目のアルバム。いったい何があった、と言いたくなるくらい音が変わりました。「あの有名女優・・・が激ヤセ!?」ってタイトルを付けたくなるぐらい。7年の間の録音技術の進歩もあったのでしょうがなんか根本的にサウンドが変わってます。良くも悪くもクリアー、泥が抜けてキレイです。
小畑健さんという漫画家がいますね。ヒカルの碁はジャンプで現役で読んでました。彼の絵は初期は拙いのですが、作品がヒカルの成長、そして佐為の消失、と佳境に向かうにつれてグングン上達し、圧倒的な美しさを誇っていました。その後デスノート、バクマン、と時代が進むにつれ彼の絵も変化します。デフォルメが過ぎるようになっていき、自分としてはだんだんと受け付けなくなっていきました。これと同じようなものを感じます。
綺麗なんです。特に1〜3曲目。いや、悪くはないんです。4曲目Indisciplineは昔のわけわからなさが戻ってきたようで心地よく、5曲目Thela Hun Ginjeetはドラム萌えもできる楽しい曲ですが、タイトル曲Disciplineがいただけない。この四つ打ち、変拍子のようで実は規則的で、繰り返し、徐々に変化する・・ってこれはまんまミニマルテクノじゃん!ミニマル自体はもっと歴史が古いし、ライヒちゃんのフェーズシフトのようにドキッとするわけでもなく、高揚する盛り上がりがあるわけでもなく、自分としては大ハズレでした。緩急に乏しいのが自分としては大きなマイナスポイントです。もっとドラムが頑張ればいいと思う。惜しい1枚。もうワンクッション欲しかったなぁ。