日本市場参加者は英語が読めるのか

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150429/k10010064791000.html
アクトスという糖尿病治療薬によって癌になったとアメリカの患者から訴訟を起こされ、和解が成立した。武田薬品は3200億円の特別損失の計上を決め、650億円の黒字→1450億円の赤字に転落。つい最近武田薬品のレポートを読んだばかりなので、まさかこんなニュースが飛び込んでくるとは思いもしなかった。何の因果か。この数字はひどいので、赤字により明日は暴落するだろう。
ところでこのニュースは日本時間の4/29 11時50分付けだが、アメリカの訴訟なのでアメリカのニュースサイトを見てみたら、記事があった。
Takeda Agrees to Pay $2.3 Billion to Settle Actos Cases – Bloomberg Business

The company will take a $2.7 billion charge against earnings in the fourth quarter of fiscal year 2014 to cover the settlement and costs of defending the remaining suits, according to the statement from Osaka, Japan-based Takeda. The company’s loss for the year will be its first since being listed on the Nikkei in 1949, the Nikkei Asian Review said.

と書いてあるので、今日のニュースの内容と全く同じだ。注目すべきは 12:55 PM JST April 28, 2015 という時間だ。日本時間で昨日の昼12:55、なんと取引時間内なのだ。日本語訳に時間がかかったか、武田が意図して日本版の情報を取引時間外に発表したかのどちらかだろう。そして、昨日の武田のチャートはこれだ。

記事が出たと同時に株価が垂直に下がっている。下げ幅は少ないが1日のうちで明らかに大きい幅に見える。このニュースを英語で読んだ人間が売りに走った結果なのは間違いない。デイトレ勢は反射で売買する。彼らのスピードは本当に速い。参考記事。そしてこの売りは海外投資家の可能性が高い。日本人は、たぶん英語が読めない。そしてザラ場での上げは、13時の下げの意味が理解できなかった人間の買いによるものに違いない。一方、武田の掲示板には「悪材料出尽くしで上がる」「保険金が下りるからチャラになる(?)」という意見もある。しかしこれは「俺が勝った株が下がるはずがない」とか「俺は損したくないからお前ら買え」というバイアスがかかっているように見える。ここで短期的には2通りの考えができる。
1. 3200億の和解は明らかな悪材料である。13時に逃げた人間は賢明で、午後の上げは英語が読めない人間による買い増し。明日株価は下がる。
2. 3200億の和解はむしろ不確定なリスクが見えるようになった好材料である。13時の下げは条件反射したアホの仕業。日本市場の機関投資家は英語が読める。好材料だからそんなニュースがあっても売ったりしない。海外の投資家だって売ってないじゃないか。だって終値は始値より高いんだもの。明日も株価は上がる。
長期的には次の二通りが考えられる。
1. 短期的に暴落し、未来の訴訟リスクを敬遠した投資家層がなかなか戻ってこず元の株価に戻るのは数年後。
2. 短期的に暴落するかもしれないが、それは狼狽した弱い人間がやることにすぎない。すぐに元に戻る。むしろ上がるかもしれない。
私は市場を見くびっているので、短期的にも長期的にも1と予想する。この読みが外れてどちらも2に転べば、日本市場の参加者は賢い。負けました。1なら参加者はバカ。さあ明日はどちらに転ぶか。そしてもし1になるのなら、外国語を学んで情報を先に制すれば大きな利益のチャンスがあるのではないか、という私の予想に根拠が与えられることになる。。


ペパボ1Q決算

株主・投資家情報 | GMOペパボ株式会社
未だ売り上げの2/3を占める主力のレンタルサーバー部門で過去最高売上。
積極投資のminneでは売り上げ大幅増+28%(2.7→3.46億円)。アプリダウンロード数は3か月間で4倍の130万DLに。
1Qの売上進捗率25.9%。
一方、広告費3億円増で1.2億の赤字。
順調なもののminne一本が頼りの綱渡りドキドキ決算だ。今日の小休止を挟んで、明日は赤字を懸念した暴落が予想される。暴落したところを拾いたい。しかし暴落しないかもしれない。長期視点を持つ人が多ければ多いほど暴落しない可能性は高まる。過去、エニグモの3/17の決算発表は赤字ではないが大減益予想を出し、一時1040→858と17.5%程度下がった。これを考えるとストップ安の4730→4000円程度まで落ちてくれるかもしれない。買いの基準を決めておけばいいだろう。ストップ安まで下がれば市場はアホ、あまり下がらなければ市場は冷静。市場の値踏みにもなる。
前期の営業利益は7.25億円、純利益は4.1億円。今期は営業利益、純利益とも0円の予定。来期の利益をいくらと見積もるかによって、拾いたい値段が変わってくる。
現時点、1Qで3億円の広告費を使っている。アプリダウンロード数の目標が500万DLなので、広告費は追加投入するだろう。仮に単純で4倍の12億円と見積もる。EC事業2014年度通期の売上は約9.77億円、セグメント利益が3.95億円。1Qの売り上げを単純に4倍すると13.84億円、29%の増加だ。すると広告費抜きの営業利益が8.02億、+4.07億円となる。ここから広告費を引いて-7.93億円。これを前期の営業利益7.25億円と相殺すると、ややマイナスの-0.68億円。だいたい会社予想と一致する。広告の効果によって6800万円の利益は確保できそうだが、上振れするか下振れするかはまだ未知数だ。
来期は広告を何円減らすのだろう。全く予想できない。仮に広告費の増加分が10億減、かつminneの営業利益が25%増、2年間で約5億円の増加になったとする。すると営業利益は2年で+3億円となり、純利益は1.5倍の6億円程度と予想される。現時点の株価4730円の2年後の予想PERは21倍ということになる。これが4000円まで下がれば、予想PERは17.8倍。ここまで下がらないにしても20倍のラインが4490円。これを割ったら買い、割らなければ放置。この方針で行こうと思う。ど素人判断の戦略だが、2年後にどれだけ当たっているか楽しみだ。


TOPIX Core30銘柄リサーチ中

2914 日本たばこ産業
3382 セブン&アイ・ホールディングス
4063 信越化学工業
4502 武田薬品工業
4503 アステラス製薬
5401 新日鐵住金
ここまで順番にチェックした。アニュアルレポートは面白い。どこも売上が1兆円を突破しておりクラクラしそうだ。またどの会社も資産が兆単位で売り上げの数倍くらい存在し、倒産の心配はない。ほぼ0だ。
どの会社も、決定的な強みを持っている。JTならタバコという爆益商品、セブンアイなら食品とコンビニによる民衆支配、信越化学なら塩ビ・シリコンウエハ市場の独占、武田とアステラスは薬剤という必須商品、新日鉄は世界一の鉄製品、などなど。民衆にとって欠くことのできない物・サービスを手中に収めることによりこれらの企業は巨大になった。
そしてこれらの強みは依存であり、欠点でもある。JTはタバコ業界の縮小、セブンアイは高齢化・人口減に苦しめられることがほぼ見えている。武田とアステラスは2年ごとに確実に訪れる薬価引き下げと特許切れによる後発品の台頭により新薬をハイペースで開発せざるを得ず、研究費がかさむ。これらの日本独特の原因で、成長を続けるためには海外に出ざるを得ない。特にJT、武田、アステラスは国内が減益、海外で大幅増益と海外頼みの傾向が著しい。新日鐵もほぼ製鉄業1点が頼み(売上の88%)だが、世界中の鉄の供給過剰に苦しんでいて、売上高は5年間ほぼ横這いが続いている。巨大企業といえども、巨大ゆえの悩みがあることがわかった。
なお信越化学は本日決算が発表され純利益13.2%増と非常に堅調だった。主力の塩ビの営業利益が16.5%減と苦しい。国内住宅需要が振るわなかったからだそうだ。しかし強みを持つ製品が2以上あり、今期はスマホ関連のシリコン製品が大幅に伸びたため2ケタ増益を達成した。ここは事業の分散も海外展開も理想的に進んでいるようだ。
業績とは関係ないが、新日鐵や信越のサイトは製品情報が充実していてワクワクする。
引き続き他の大型銘柄の調査を続けていく。日曜にはフィスコを参考に話題の中小株も調べる。とにかく今は日本中の企業について知りたい。私はこの年まであまりに勉強しなさ過ぎたので。


BS11が爆下げ進行中

BS11【9414】:株式/株価 – Yahoo!ファイナンス
3月前半から2か月間で綺麗な負の二次関数のような曲線を描いて、元に戻ってきたBS11。2Q好決算・東証1部指定・増配のスペルが切れて大口が売りに入ったということなのだろうか。3月頭頃に買った私は一時期PF全体の4%ほどに迫って大喜びしていた含み益も今や含み損に転換してしまった。買い増しで対抗したが、上昇する気配がない。会社自体には悪い材料が全く見当たらないので、投資家の心理だけの問題だ。この銘柄を持ち続けられるのかどうかで、今後の方針が決まってくる。


Genius

Jane Austen – Pride and Prejudice | Genius
なんということだ、世界は広い。有志により、全文に超細かい注釈がついてるぜ。。
このサイト、文学だけではない。歌の歌詞やら歴史、映画のスクリプト、様々なものに大量の解釈や注釈をつけているサイトだ。Pride And Prejudiceでさっぱりわからん言い回し(like Vingt-un better than Commerce、駆け引きのあるCommerceのようなゲームよりVingt-unのような運否天賦のゲームを好むということらしい)の意味を調べたら引っかかったサイト。ああ、読むべき文章に終わりなんて永遠に訪れない。
解釈は自分が読み終わってから参考にするべきなので、全作品を通しで読み終わってから、もう一度このサイトを見てみよう。時間かかるなあ。


好景気の終わり

One fairly dependable sign of the approaching end of a bull swing is the fact that new common stocks of small and nondescript companies are offered at prices somewhat higher than the current level for many medium-sized companies with a long market history. (It should be added that very little of this common-stock financing is ordinarily done by banking houses of prime size and reputation.)
―The Intelligent Investor, Chapter 6

IPOの過熱、マイナーな企業の株価高騰、この条件が揃うとやばい。


アメリカのIPOの勃興と景気循環

In the two years from June 1960, through May 1962, more than 850 companies sold their stock to the public for the first time―an average of more than one per day. In late 1967 the IPO market heated up again; in 1969 an astonishing 781 new stocks were born. That oversupply helped create the bear markets of 1969 and 1973–1974. In 1974 the IPO market was so dead that only nine new stocks were created all year; 1975 saw only 14 stocks born. That undersupply, in turn, helped feed the bull market of the 1980s, whenroughly 4,000 new stocks flooded the market―helping to trigger the over-enthusiasm that led to the 1987 crash. Then the cycle swung the other way again as IPOs dried up in 1988–1990. That shortage contributed to the bull market of the 1990s―and, right on cue, Wall Street got back into the business of creating new stocks, cranking out nearly 5,000 IPOs. Then, after the bubble burst in 2000, only 88 IPOs were issued in 2001―the lowest annual total since 1979. In every case, the public has gotten burned on IPOs, has stayed away for at least two years, but has always returned for another scalding. For as long as stock markets have existed, investors have gone through this manic-depressive cycle.
―The Intelligent Investor, Chapter 6, footnote

まとめ
1960-1962にIPOブーム、850社。1969年に再び大ブームで781社→供給過剰で1969, 1973-1974年に大不況
ブームが去り1974年に9社、1975は14社→供給不足により1980年は株価暴騰
1980年代は再度ブーム、4000社が上場→1987年にクラッシュ
1990年代は反動で5000社のIPO→ITバブル→2000年に死亡、2001年はほんの88社
歴史は繰り返す。


CDレビュー: Yes – Relayer(1974)


★★★★★
前作で伝統的なプログレから突き抜けようとして、今作で第二宇宙速度を突破し、空の彼方に行ってしまった。
1曲目The Gates Of Deliriumがとにかく爆裂している。今作は精密に作ったというよりは楽器同士が競い合ってジェットコースターのように移り変わる展開の速さが特徴的で、中盤に長い長いインプロゾーンがあり、それをブッ飛ばした後に流れる “soon” の美しいこと。ここによるとモチーフは戦争だそうだ。
2曲目Sound Chaserも3曲目To Be Overもとにかく変わる、変わる。Sound Chaserのチャッチャッチャー地帯の爽快感が比類ない。すごい。
この絶望感も退廃感もない希望にあふれたサウンドはYesしか出せない。

プログレッシブロックの他のCDレビューはこちらです。rokujo.hatenadiary.com


フィスコレポートのチェックを一週間さぼっていたら、

面白い銘柄ばっかり紹介されてて嫌になるね!
2186 ソーバル ファームウェア開発会社で唯一の上場企業。無借金、5期連続成長、営業利益率8%を維持、M&A・本社移転してるのに黒字、大手企業と契約多く安定、ソフト開発なのに有給休暇率が高くホワイト企業、増配しまくり、と優良な点しか見つからない。なぜこんな企業がいままでPER10倍程度で放置されていたのか全く理解に苦しむ。決算前後で、1.5倍に値上がってしまったが。1か月前に知っていたら買い間違いなし。ずいぶん上がってしまったので買うのは気が引ける。今後どのように価格が推移していくのか今後のためにチェックを続ける。
8771 イーギャランティ 信用保証会社。ビジネスモデルが面白すぎる!!倒産リスクにかける保険会社。金融機関の貸付→債権回収とは全く逆のパターンで、顧客はイーギャランティーに保険料?を支払う。顧客の取引先に倒産が発生したら、イーギャランティーが保証金を支払う。リーマンショックの前に問題になったCDSと非常に似た商売のようだ。ただこういう商売は、不況時に保証金支払いがかさんで破綻するケースが多い。が、実績を見ると2007-2008年を含め2004年から現在まで経常利益は右肩上がりだ。リスク算出が完璧ということなのか。営業利益率はなんと34.8%。最新の2015年第3四半期だと40.8%。ここも、かなりの優良企業なのでは!?しかし株価は、何故か横這いが続いている。現在でもPER22.3倍なので数年前の株価が高すぎたのだろう。今でも配当利回りは1.43%しかない。
フィスコのレポート

保証料率の低下は売上高の減少要因となるが、一方で、リスク移転先への支払いコストも低減するため、売上総利益率という点では中立要因となる。

つまり好況でも不況でも安定している。金融業なのにストックビジネス、保証は最終的には上流の提携金融機関がかぶるのでこの会社自体もリスクヘッジがなされている、という何重にも堅牢なモデル。しかも近年は最終リスク分散先のファンドを自前(!)で創設し、原価率を51%→27.5%までなんと半分程度まで引き下げることに成功している。
一番気になるリスクは次だ。

信用リスク保証サービスに関しては、「保険業法」 や 「金融商品取引法」 などの法的規制の対象となっておらず、今後、法的規制が制定された場合に、ビジネスモデルの変更が必要となってくる可能性

法的規制は大手金融機関がここからパクリ商法を行いたいと考えたときにできるのだろう。
2127 日本M&Aセンター M&A仲介業者。ウェブサイトに気合が入っており熱気が感じられる会社。業績は好調中の好調で売上も利益も株価も爆速で右肩上がり。株価は2013年初頭から2年3か月で4倍になった。利益2倍に対し株価4倍なのでかなり割高である。


クリティカル・シンキング―「思考」と「行動」を高める基礎講座


★★★★☆
ブックオフでタイトルに惹かれて購入。ブックオフは新本屋の敵だけれど、我々貧乏人にとってはゴールドラッシュだ。ただし都市部の大型店に限る。新宿西口店は100円コーナーですら山のような一般書があり感動した。近くの西新宿小滝橋通り店とは月とスッポンだ。小型店はマンガくらいしか見るものが無い。といっても、地方だと大型店ですらほとんど漫画とゲームソフトばっかりだが。
クリティカル・シンキングと大仰な用語が付けられているが、一言でいうと「理性に照らして妥当かどうか考えよ」とまとめられる。本全体がこれの言い換えに過ぎない。その考えは権威に従っているだけではないか、自分の感情による非理性的なバイアスがかかっているのではないか、根拠があるのか、その根拠は正しいか、信頼できるか、基準があるか、、、などなど。
この本は原書の半分程度しか抽出されていないと冒頭にあった。いきなりがっかり。内容自体は、amazonでボロカスに言われているようなものではない。訳も素直に読めたので悪いわけではない。失礼だが、内容が理解できなかったんだと思う。。
抽出した箇所は特に自己中心性の認識、修正に重点が置かれていると感じた。自己中心性は、自己の中にあるがゆえに自分で意識することが非常に難しい。自分の中の第三者の力を使って認識しなければいけないからだ。したがって自らの誤りは他人に指摘される可能性の方が高い。ところが私たちは自分が間違っているとは思いたくない。自分を変えることには大きなエネルギーが必要であるから、できるだけ避けたいと思う。私たちは問題をすり替えたり、非論理的に反駁したり、最終的には無視することでエネルギー消費を節約している。この本は理性の力で誤りを正し、客観的妥当的な思考を養うことが目的だ。自己欺瞞を自分の力で発見し修正するのは困難だ。本書に指摘されて治るのならこんな良いことはない。
この本の欠点は概念的な解説が大部分を占め、具体的な記述が不足していることだ。学生向けに書かれたと思われ、ワークショップ形式の設問が多い。なので授業で使ってみて初めて意味がある。読むだけでは得られるものは少ない。なお回答例は邦訳者が追記したと思われる。携帯メールの良しあしなど卑近な例に問題が落とし込まれてしまい、今どきの大学生ならちょうどいいのかもしれないがいい年をした自分にとっては不満だ。多数存在する設問に、自分なりに回答を出してみる必要がある。
自分としてはここ10年何となく考えてきたことがほぼそのまま書いてあることが多く、思考が文章化されてとても助かった。