CDレビュー: The Chemical Brothers – Born in the Echoes (2015)

★★★☆☆

The Chemical Brothersは私の音楽の嗜好を決定付けたグループです。

祖父の家には地方の老人が土着の電気屋に必ず加入させられる運命にある、本人は絶対見ないであろう多チャンネルCATV放送が見られるテレビがありました。

そこではスペースシャワーTVを見ることができました。邦楽洋楽のビデオクリップが多数放送されていました。私はこのチャンネルを通じて次の曲に出会いました。まだ小学生の頃の話です。


The Chemical Brothers – Setting Sun – YouTube

この刺激的で暴力的なビートはビデオクリップの怖さと相まって脳裏に刻み付けられ、その後10数年間の私の音楽の嗜好の基礎が作られました。

 

すぐ後に発表されたシングルがこちらです。


The Chemical Brothers – Block Rockin' Beats …

これもロック要素を基調として最新鋭の激しいビートをぶっこみまくって作られた中毒性の極めて高い曲です。私が複雑なリズムや上手に組み立てられたビートを聴くと頭がふにゃふにゃ喜んでしまうのは、主にこの人たちのせいだと思っています。

こんな記憶があるためケミカルブラザーズの最新アルバムが発売された!と聞いて早速仕入れてしまいました。

媚びぬ引かぬ省みぬ!が

そんな大きな期待の中聴いたアルバムですが、うーん、

筋肉質なガチムチテクノが中心の、シーンを完全に無視した我が道を行くアルバムであることは評価できます。でも、音があんまり面白くない。流行のEDM

変態サウンドとバカっぽいリズムが席巻する5曲目I’ll See You There、薄気味悪さと多幸感の同居する9曲目Taste of Honeyは好きです。他は印象に残る曲がない。デラックスバージョンのオマケCDも心に響きません。

>まさにどのアルバムを出しても1曲1曲が彼ららしい考えつくされた音。

 

>EDMで踊りまくる若者にも聴いて欲しい。
>それはもう比較しようがない、
>真似したくても真似出来ない、
>本物の音楽と流行の違いを認識出来る体験となります。

(Amazonレビューより抜粋)

そうですか?私にはもうわからなくなってしまいました。EDMと一線を画しているのは認めますが、もはやどっちもどっちとしか思えません。

ケミカルブラザーズの音を初めて聴いてからもう18年も経ちます。私も彼らも随分と変わりました。18年前は、たまたま彼らと私の周波数がシンクロしていただけに過ぎないのかもしれません。CDに固定された音は何十年もそのまま残りますが、それを受け取る存在である私たちは変わり続けます。音楽との出会いは常に一期一会ですね。

 

今は、もっと体を芯から揺さぶる音が欲しいです。。

 

 

参考

最近流行のEDM(Electronic Dance Music)とはこういう奴です。


New Electro & House 2015 Best Of EDM Mix – YouTube

極限まで音圧を上げまくったドラム群とシンセ隊による原色大炸裂なダンス・ミュージック、例えるなら化学調味料をかけまくったラーメンといったところでしょうか。これはこれでアリなんですが、化調が舌を壊すようにEDMは耳を壊しそうです。私にはしょっぱすぎて食べられませんでした。

 

 

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