書籍レビュー:『図解入門よくわかる物理化学の基本と仕組み』著:潮秀樹

★★★☆☆

化学を生徒さんに教えるときの参考用に、図がきれいだったので読んでみました。

チョイスを失敗しました。「よくわかる」系の本はたいていよくわからない、の法則に本書も当てはまっていました。

図は豊富で直感的に理解できそうに思えるのですが、肝心の論理的な説明がばっさりカットされていて、全然納得できません。キャラクターに「圧力と温度が一定ならば、体積は分子数に比例するんだ!」と言わせてわかりやすさをアピールしているっぽいですが、そんなの隣のグラフ見りゃわかるわ!と思うし、逆に「だから仕事量を同じにすると、|Q2´|>|Q2|が成り立つんだ!」と言われてもええー全然わかんねえよ、、と思うし、キャラクターが全然意味をなしていませんでした。

既習分野の総まとめ的な使い方をするのには、よくまとまっていて優れていると思いますが、この本で1から勉強しようとしてもさっぱりぷーです。量子化学や気体分子運動論はブラディ化学上で一度学んだのでそれなりに楽しく読めましたが、熱力学は未習なので何が書いてあるのか全く分かりませんでした。ブラディ化学を読んだ方がよさそうです。

書籍レビュー:『ブラディ 一般化学(上)』著:J.E.ブラディ



暴力を自覚させることが暴力?

 

「暴力を受けている被害者が何をされているかわかっていないのは、幸せだ。うらやましい。被害者に加害されていることを自覚させる必要はないし、ありがた迷惑だし、上から目線の暴力である。」
とおっしゃっています。

元妻はぼくが気に入らないことをすると何時間も説教し、何日の間も無視し、一度あったことは何度でも蒸し返して無限ループするし、物置に閉じ込めて自由を奪いお金も奪い、子どもに「父」「お父さん」ではなく本名ですらない通称で呼ばせることで親としての立場を壊し、会話もさせず、食事を減らしてぼくの体重を30kg台まで落とし、ぼくに猫の面倒を見るだけの隔離された生活をさせていました。ぼくは全部「愛されている証拠」だと思っていました。本気で。

「それ暴力だよ」と言ってくれた人のおかげで、ぼくはようやく生きられるようになりました。外の世界を知りました。人生には楽しいことが沢山あると知りました。

ところがこれは必要なく、ありがた迷惑の、上から目線の暴力だったらしいです。

なんということでしょう。

あの閉じ込められた生活で幸せに死んでいけばよかったらしいです。


書籍レビュー:『自然言語処理』著:黒橋禎夫

★★★★☆

放送大学の教材です。一度見送った試験の受験資格が半期後まだ切れていなかったので、ダメもとで受けることにしました。

自然言語処理、とは機械による言語処理のことです。ぼくは言語をうまいこと理解できないので、機械が理解できるように言語を理解できれば、楽になるのでは?という期待をもってこの教科を取りました。

機械が言語を理解する方法は、私たちが学ぶ文法と全然違います。日本語・英語どちらの解釈にも「主語」「述語」なんて存在しませんでした。英語の5文型っていったい何だったんだろう?機械にとっては人間用の文法って曖昧すぎるんですね。

機械ではまず文を単語に分解して、句を作って、意味を考えると句と句がどこに係っていくのかを解析し…というような、ボトムアップの手段を使います。人間が機械に意味を教えてやるのは手間がかかりすぎるので、機械学習でweb上から大量の文章をインプットして、その結果『「包丁」と「切る」は親和性があるな』などという情報をスコア化して保存する、といった作業を高速・大量に続ける地道な方法を取らざるを得ないようです。コンピュータが発達したからこそ可能になったことですね。

200P程度では概論しかわからなかったので、実際の処理も作ってみたいです。

ここら辺を参考にして、twitterにそれっぽい文章を自動で投稿するbotを作ってみたいです。


書籍レビュー:『ファインマン物理学 Ⅲ 電磁気学』著:ファインマン、レイトン、サンズ 訳:宮島龍興

★★★★☆

生徒さんから電磁気の質問を受けることが増えたため、波・熱力学の2巻は飛ばして3巻から読みました。1巻・力学の世界は見えるものを扱うため想像しやすくすっきり読めましたが、電磁気は見えないもの、「場」の世界を扱うので、頭がついていかず読むのが大変でした。

ところが電磁気力、特に静電気力はこの世の中に存在する力のほとんどを占めているそうです。何しろすべての物質は正電荷を持つ陽子と負電荷をもつ電子の混合体で、人体の電子が1%多ければ地球すら持ち上げられるほどの力になるそうです!(P1)。

訳者ができる人のようで、ところどころ注で「ファインマン先生、ここは間違っているよ」というツッコミが入っています。

全体的に「マクスウェル先生は偉大」、「4つの方程式

http://www.maroon.dti.ne.jp/koten-kairo/works/transistor/Section2/momentum2.html

こそが偉大」ということを300頁にわたって説明された印象を受ける本でした。難しかった。


ばたばた

c71さんのつわりが始まってから1か月以上が経ちました。c71さんは具合が悪く起きられない日が多く、食べては吐くことを繰り返していました。ぼくは特にできることがなく、せいぜい食べられそうなものを買ってくるくらい、あとはオロオロしているばかりで、もどかしい気持ちでした。年が明けてからたまに調子のいい日があるので、このまま早く波が引いてくれるといいなと思っています。

大学編入の生徒さんの勉強の進度がとても速いので、ついていくのが大変です。予習で物理の本を毎日読んでいますが、冬休みの間に学習範囲を追い抜かれていました。また、これとは別に塾講師の副業を始めましたが、ここでも2月くらいから仕事が増えそうです。でも人に教えるのって、本業のプログラムよりずっと楽しいんですよね。人と関わる仕事をするのは初めてなので。

落ち込むときがあるので困っていると精神科の先生に相談したら、エビリファイ1mgを増やしてもらいました。元気が出ます。困りごとを相談できれば、解決が早くなることを学びました。

予習が多すぎて時間が取れないので、という理由でピアノの練習をさぼっていましたが、今日から10分でも20分でもいいから弾くことにしました。心が落ち着きます。今日はツェルニー30番を一通り終わらせることができました。次はインヴェンションの制覇が目標です。現在7/30曲目。ツェルニーが終わったからインヴェンションに集中して、できれば3か月くらいで全部マスターしてしまいたいですね。

あと、子どもが生まれるまでの間に、車の免許を取りたい。忙しいしお金もないけど、何とかなるような気がします。


書籍レビュー:『ブラディ 一般化学(上)』著:J.E.ブラディ

★★★★★

大学編入用の化学を学びたくて購入しました。化学未履修の人向けの大学1,2年生で講義する内容だそうです。高校の化学よりも取り扱う範囲は広いです。上巻では、モル、電子構造、化学結合、溶液、気体、熱力学などを扱います。

全体的に、知識の詰込みよりも「なぜそうなるのか」を言葉で説明することに重点を置いた教科書でした。ファインマン物理学とも類似しています。アメリカ発の教科書はみんなそうなのかもしれません。極性分子と無極性分子が混ざらないのはなぜか、分子間力(ロンドン力)が働くのはなぜか、やエンタルピー、エントロピーとは何か、などなど分かりやすく解説されていました。

数々の化学理論が出てきますが、著者は理論については謙虚な姿勢を取っています。

おのおのの理論は、同じ物理現象を表そうとしている…どの理論をとっても完璧なものではない。もし、完璧な理論があれば、その理論だけを習得すればよい。おのおのの理論には、一長一短がある。(P185)

大学受験用の化学の参考書としては化学の新研究が有名ですが、ぼくはこの本を大学受験に使用してもよいと思いました。電子軌道論まで説明がないと、遷移元素が典型元素と反応が違う理由が分かりませんし。暗記ゴリゴリで進めると必ず納得ができない箇所がでてきますから。

ただし難関大学への3年次編入を目指す場合は、シュレディンガー方程式の解の求め方などがバッサリ省略されているなど、この本だけでは不足でしょう。物理化学の本を他に読む必要があります。


書籍レビュー:『ファインマン物理学 Ⅰ 力学』著:ファインマン、レイトン、サンズ 訳:坪井忠二

★★★★★

リチャード・ファインマン先生による講義をテープ起こしして、さらに物理学者が再編集したテキストです。訳者は地球物理学者の坪井忠二さん。

数式は最小限に抑えられていて、かつ物理未履修の人でも理解できるよう、代数や微積分、ベクトルの解説もされています。ほとんどが「言葉による説明」であることがこの教科書の最大の特徴です。授業は脱線するし、そもそも第一講が原子の話から始まってます。

この教科書には「これについてはわからない」という記述が何度も出てきます。

「じっさい、我々の知っていることは、すべてなんらかの近似である。というのは、我々はまだすべての法則を知り尽くしているのではない」(P2)

「エネルギーとは何だろうか。それについては、現代の物理学では何も言えない。」(P50)

「自然界を記述するには…いろいろなものごとが不確定だということは、すべて取り除いてしまうことができると直観的に信じている。しかしこのことに成功した人は、まだ一人もいない」(P88)

ファインマン先生は分かることと分からないことにはっきり線を引いています。相対性理論や不確定性原理を考慮に入れると、時間とは、空間とは、確率とは何かという問題に必ず行きつくので、これらについてもページをずいぶん割いてあります。一回読んだだけでは分からないのでもう一度読んでみたいです。

読んでいて面白いし、サクサク読み進められる良い教科書でした。物理学を始めて学ぶ方におすすめです。ぼくは大学時代全く理解できなかったベクトル解析やポテンシャル関数、相対性理論の考え方をこの本で理解できるようになりました。

ただし具体的な力学の問題については、演習問題が章末に解説なしで載っているだけなので、これ1冊ではどうしようもありません。問題集は別途必要です。

書籍レビュー:『ファインマン物理学を読む 力学と熱力学を中心として』著:竹内薫

ちょっと前にファインマン物理学のまとめ本?を読みましたが、読む必要はありませんでした。原書の方が刺激的でずっと面白いです。

 


書籍レビュー:『一人交換日記』著:永田カビ

★★★★☆

 

永田カビさんの2冊目です。1冊目はこちら

書籍レビュー: 『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』 永田カビ

pixivに連載されていたものがそのまま本になりました。

並々ならぬ葛藤の描写がメインですので中身を読んでくださいとしか言えません。自己分析と理由付けが明確に書かれていて面白かったです。

amazonのレビューはウォッチスレをコピーしたような説教や人格攻撃ばかりで腹が立ちます。作者が不合理な行動を取っちゃうのは分かっちゃいるけどどうしようもないことなんですけどね。全部理由書いてありますよ。