書籍レビュー: 死ぬまで呪われる『旧約聖書 民数記・申命記』


 

★★★☆☆

 

民数記はその名の通りユダヤ人何人いる?と数える話が冒頭に挿話されています。なんと20歳以上の男子だけで603550人もいたそうですよ(1章)。エジプトからどうやって世田谷区の人口よりも多い100万人以上が逃げたのか疑問ですので、この数字は1ケタ(2ケタかも)盛ってあるに違いありません。

主は異教徒と不信心な民をすぐ殺します。言うこと聞かない奴には容赦ありません。民数記は血塗られた歴史書です。

民が、主の与えるマナという食物に「マナ不味い肉食いたい」と文句を言うので主は怒り、大量のウズラを鼻から肉が出るくらい食わせた後に疫病で大量に殺しました(11章)。約束の地に偵察に行った人々がその地にいる屈強な戦士を見てビビったので、一人だけビビらなかったカレブという民を除いて全員殺しました(14章)。偵察隊の報を聞いて嘆き神を信じなくなった者も全員殺しました(14章)。安息日に働いた人間を民に石打ちで殺させました(15章)。反乱した部族を地割れと火事と疫病で皆殺しにしました(16章)。エドムの地で水飲みたい腹減ったと言った民全員に火の蛇を送りつけて殺しました(21章)。ミデアンという異教を拝する民族と交わった民を24000人殺しました(25章)。さらにミデアン人も男と非処女を皆殺しにし、処女は略奪しました(31章)。

酷い仕打ちは民にだけではなく、ただ一人だけ主と交信できるくらい可愛がっているモーセに対しても行われました。水不足で民が水飲みたい飲みたいエジプトに帰りたいと文句を言うので、主はモーセに杖を授け「水出してやれや」と言いましたがモーセは疲れていたのか、民に向かって「なんでお前らに水ただしてやらなきゃいかんのや」と言ってしまいました。

主は激おこプンプン、これを「メリバの水」と呼びモーセが死ぬまで恨み続けます。この失言1回でモーセは約束の地に一生入れない運命となってしまい、しかも聖書内で何回も「お前はあのときひどいことをした」と責めます。後世の人間に対してモーセを辱めています。可愛さ余って憎さ百倍ってやつですか。まさに一片の疑いもなく信じることを強制する厳しい、って言うかキチガイな宗教です。

申命記は超退屈で、モーセが今までのおさらいを一人語りした後寿命で死ぬだけの話でした。一言でいうと「神を信じろ信じないと死ぬ。私も死んだ」

主がどういった存在なのか、モーセが突然歌いだす32章にわかりやすく表現されていました。

わたしは殺し、また生かし、傷つけ、またいやす(32章)

これでいわゆる「モーセ五書」を読み終えることができました。もう律法系はこりごりです。この内容を神学的にああでもないこうでもないと解釈したり想像力を働かせたりする人たちを尊敬します。

 

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