書籍レビュー: 先生ちょっと美化入ってます!『ぼくらの中の発達障害』 著: 青木省三

★★★☆☆

 

広汎性発達障害や関連する精神病・心理学については考えるヒントにするためたくさん読みます。

著者の人柄の良さがにじみ出てる

青木省三さんは精神科医です。専門は思春期青年期精神医学と精神療法です。ので、本書で引用されている例は思春期~20代前半くらいの患者が多いように見受けられました。

序盤の発達障害と定型発達は連続していて、切れ目がない→でも、その程度が強ければ異質なものとなりうる、という理論は腑に落ちました。だれでも大なり小なり精神疾患的な物を抱えています。色々な精神病の本を読んで参考にしようと思っていた私の考えが補強されました。

ちくまプリマ―新書というのは初めて知りましたがヤングアダルト向けの新書だそうですね。なので語り口調が「~してほしい。」とか「僕は~だ。」とかちょっとアツいです。苦手ですがヤングメンに合わせてくれてるのですからいい人なんだろうなぁと思いました。実例でも時には1か月何の反応ももたらさない患者の言い分を辛抱強く聴き、彼らの立場を理解し一緒に問題を考えて、わずかずつでも彼らに変化をもたらしていった青木さんのまごころには心打たれます。青木さんのおかげで頭を打ち付ける自傷行為などの二次障害を克服した患者さんも沢山いるようですね。

ちょっと美化しすぎでは

いくつか納得できない個所があります。

青木さんは発達障害者を「表と裏のない純粋な人」とラベル付けていますが、これはどうなんでしょう?発達障害者だって表と裏はあります。内面での葛藤についてはおそらく定型発達者と同じです。ただし思考の方向性やアウトプットが間違っているため、表と裏のつもりなのに裏と裏に見えるような発言をしてしまうのです。

また、次の記述には全面的に反対です。それは特別支援級の自閉症を持つ生徒がバスの中で誰彼敵わず毎日「おはようございます」と言ってピリピリしているバスの中の空気をやわらげた、というエピソードについての青木さんの感想です。

人に対して内面を隠すという「自閉」は定型発達と呼ばれる人の中にあるものであり、逆に広汎性発達障害で「自閉」を持つと言われる人の中にこそ、内面を隠さず人と繋がり情報を伝達する可能性があると、僕には思えてならない。

美化しすぎ!集団生活の秩序という観点から見れば、間違った情報やその場にそぐわない情報を伝達しまくる発達障害者は、トラブルの原因にこそなれ集団の雰囲気をよくすることなんてレアケースです。

例えばまたリーマンショックの例で申し訳ないですが経営が危ないという噂のある世界的な銀行の頭取が発達障害だったとして、記者会見で「経営は盤石です」と言わず「一週間で資金が尽きます。破産です」と言ったらどうなります?全世界で取り付け騒ぎが起きて経済大崩壊ハルマゲドン、長期ズンドコ大不況に陥ったのちに頭取は1年後の回想録で「俺は真実を伝えたんだ。。」と書きベストセラーになるに違いありません。というわけで発達障害は迷惑です。話はそれますが金融マンというのは発達障害者が絶対になれない職業の一つですね。トレーダーなら向いてますけど。

わたしは「発達障害者はリーダーにするな」とか「仕事をしないという選択肢も尊重されるべきだ」という米田さんの方が好みです。

青木先生は集団生活になじめない発達障害者をケアし、その菩薩のような人格で彼らを集団内にとどまらせる力を持ったすばらしい人間だと思います。でも個人的には集団なんか出ちゃえばいいじゃん。と思うのです。

それに根本的な問題として、周りにケアしてほしくありません。発達障害者にどう接すればいいか、なんて考えてほしくありません。配慮されるなんて屈辱です。

すっごくいい人なのにごめんなさい。

 

 

関連書籍

 

青木さんの他の著書で読んでみたいもの。

僕のこころを病名で呼ばないで―思春期外来から見えるもの (ちくま文庫)

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大人の発達障害を診るということ: 診断や対応に迷う症例から考える

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2冊目はあまりよくない言い方をすると「精神科医はどのように発達障害者を見ているのか」を知るために必要と思いました。


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