フィスコレポートを読む セレクト 2146UTグループ、6089ウィルグループ、4650SDエンターテイメント、2483翻訳センター、3031ラクーン

2146 UTグループ

半導体製造派遣が主力の派遣会社です。正社員を派遣する、工程全体を一括受託するというユニークな業態と、低離職率・質の高さが同社の強みです。近年は、設計開発・建設エンジニアの増強によりニッチトップからの脱却を狙っています。5期連続増収増益、ROE35.3%と力強いものの、リーマンショックで売上半減と一度窮地に立たされています。やはり人材派遣は景気敏感株なのようですね。短期的には業績良好となりそうですが、長期的には製造業・半導体業界への依存が懸念されます。

6089 ウィルグループ

上場1年と少しの派遣会社です。主力はテレマーケティング(電話営業)とコールセンター、工場の軽作業の派遣です。

同社の特徴は「ハイブリッド派遣」という、「フィールドサポーター」というウィルの社員も実際に派遣先で働くという一見奇抜で、しかし効率的なシステムが特徴です。クライアントはフィールドサポーターに要望を出すことができ、フィールドサポーターは職場の状況を正確に把握しウィルに報告することができます。これによりクライアントの信頼を受け、利益率の高い業務一括請負に繋げていくという攻めの派遣会社です。

ただその割には、営業利益率3%と非常に低い数字なのと、介護分野やM&Aなど手を広げすぎなのが痛いですね。

4650 SDエンターテイメント

2014年に健康コーポレーション傘下に入った同社は、ライザップの手下となって「SDフィットネス」というライザップ連携プログラムを実施するそうです。

ターゲットはライザップとは異なり、シニア世代です。中期計画では横這いの業績を5年で4倍にする目標を掲げました。同社は果たして結果にコミットするのでしょうか?(公式資料にも「コミット」って書いてありました)

2483 翻訳センター

日本の翻訳最大手で、その規模はアジア1位、世界12位、70言語対応と華々しい企業です。利益にはブレがありますがグローバル化の進行とともに5期連続増収を達成しています。特許、工業、製薬、金融に特化することで専門性、顧客満足度を高めています。

決算短信に記載されているリスクに「機械翻訳」はありません。専門的な文章はまだまだ機械の入る余地はなく全く脅威ではないようです。

3031 ラクーン

今週の注目企業、かなりアグレッシブです。

主力は雑貨・アパレル小売店向けのEC業ですが、普通のEC業というよりは、金融業に近いです。ラクーンはメーカーに商品をサイト上に出展してもらいます。小売店はそこから商品を購入し、メーカーから商品を送ってもらいます。ラクーンは小売店から代金を回収し、出展メーカーに支払います。

メーカーは販売先を開拓する費用を削減でき、小売店は今まで取引できなかった商品を仕入れられ、ラクーンは小売店、メーカーの双方から手数料を受け取れる、win-win-winの関係です。しかしloserも存在します。既存の卸売業です。つまりラクーンは既存の卸売企業に対してネット上で喧嘩を売る企業です。手数料を徴収するビジネスモデルはエニグモと似ていますが、エニグモは消費者向けです。

第二の柱は売掛債権保証事業です。一定の保証料を企業から受け取り、貸し倒れが発生したら保証金額を企業に支払う仕組みで、イーギャランティと丸かぶりです。なお、営業利益率はイーギャランティが37.8%、同社が12.8%と実に3倍もの差があり、まだまだノウハウに改善の余地がありそうです。

そして第三の柱にしようとしているのが、Paid事業です。これは、ネットを介した掛売り決済を保証付で行うというものです。利用者は保証額の3%程度を支払うことで、売掛金が回収不能となった場合でも100%金額が保証されるという仕組みです。画期的なアイデアですが、この事業はまだ若干の赤字です。直線的に事業が拡大していますので、来期は黒字を達成する見込みです。

絶好成長期待株ですが既にPER27.73倍とチャイナショックにもかかわらず高騰し過ぎです。残念です。


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