書籍レビュー: インターネットはプル型メディア 『売上と集客が確実にアップする 儲かるキーワード広告の使い方』 著: 竹内謙礼

★★★☆☆

偶然ですが、意図して選んでいないのに直近に読んだ本と著者がかぶっていました。

要点とそれ以外

この本のポイントは、次の2点に絞られているようです。

  • 従来の広告はプッシュ型だが、キーワード広告はプル型である
  • コストを最適化せよ

1点目については、おおむね次のようなことです。従来のTV広告や新聞広告はプッシュ広告、すなわち内容に興味がないユーザーに広告を押し付け、興味を持たせるものです。テレビ・電車・新聞などのメディアを利用して目に触れる人数を多くすることと、奇抜なキャッチコピーで目を引くことに特化する傾向があります。これに対してキーワード広告はプル型、ユーザーが積極的に検索エンジンを使って情報を探してもらってはじめて成立する広告です。プッシュ型広告と戦略が変わってくるのは当然です。この点については目から鱗が落ちました。

2点目はコストの最適化についてです。キーワード広告にかかるコストは

クリック単価*クリック数

ですべてが決定します。明快ですが、話はそう単純ではありません。

クリック単価はオークション形式で価格が決定し、金を出すほど上位に表示されます。したがって、クリック単価を下げればコストは安くなるものの、広告効果も落ちます。

クリック数についても、クリックされれば必ず商品が売れる(コンバージョンする)わけではありません。広告に使用したキーワードによって、コンバージョン率が変化します。コンバージョン率がなるべく高いキーワードを選ぶことが必要になります。

以上が要点です。この2点については読む価値があります。しかし280Pとそれなりの長さがあるものの、アドワーズやスポンサードリンクの使用方法、経験則などに終始し、あまり濃い内容とは言えません。前回読んだ本とは気合の入り方が違うように思いました。

買いか

上の2点の要点を押さえておけば、あとはアドワーズ、スポンサードリンクをしばらくの間使っていればこの本に書いてあるくらいの内容については自然と経験できるのではないでしょうか。評価は高いですがあまりお勧めできる本ではありません。


CDレビュー: Great Pianists of the 20th Century Vol.6 – Claudio Arrau III (CD1)

★★★★☆

前半はショパンの前奏曲集。正直なところ、はじめの14曲はいまいちでした。。アラウさんは決して汚い音を出しません。こんなこと言うと世界的ピアニストにすごく失礼なのですが、現代音楽に毒されている私にはメリハリがなく飽きてしまいました。ところが15曲目の「雨だれ」以後は激しい曲が増え俄然面白くなってきます。ラスト24曲目は初めから終わりまで積乱雲でもかかっているような不安定さで落ち着きませんが、締めくくりにfffという最強音をぶつけてきます。彼はなんとここに強弱をつけてきました。いいですね。

前奏曲集は12音階+長調短調を全て使用した画期的な曲集です。私なんかよりずっとエレガントな解説がこちらにあります。読んでみてください。

ショパン・前奏曲(プレリュード)〜作品解説・難易度・演奏法〜

30曲目のリストによるアイーダ」から神前の踊りと終幕の二重唱、は全体的にかわいらしく、なのに悲劇的要素も威厳に満ちたフレーズも備わっている不思議な曲です。これもよいですね。

Track Lists:

Frederic Chopin

1. Preludes, Op. 28: No. 1 In C
2. Preludes, Op. 28: No. 2 In A Minor
3. Preludes, Op. 28: No. 3 In G
4. Preludes, Op. 28: No. 4 In E Minor
5. Preludes, Op. 28: No. 5 In D
6. Preludes, Op. 28: No. 6 In B Minor
7. Preludes, Op. 28: No. 7 In A
8. Preludes, Op. 28: No. 8 In F Sharp Minor
9. Preludes, Op. 28: No. 9 In E
10. Preludes, Op. 28: No. 10 In C Sharp Minor
11. Preludes, Op. 28: No. 11 In B
12. Preludes, Op. 28: No. 12 In G Sharp Minor
13. Preludes, Op. 28: No. 13 In F Sharp
14. Preludes, Op. 28: No. 14 In E Flat Minor
15. Preludes, Op. 28: No. 15 In D Flat ‘Raindrop’
16. Preludes, Op. 28: No. 16 In B Flat Minor
17. Preludes, Op. 28: No. 17 In A Flat
18. Preludes, Op. 28: No. 18 In F Minor
19. Preludes, Op. 28: No. 19 In E Flat
20. Preludes, Op. 28: No. 20 In C Minor
21. Preludes, Op. 28: No. 21 In B Flat
22. Preludes, Op. 28: No. 22 In G Minor
23. Preludes, Op. 28: No. 23 In F
24. Preludes, Op. 28: No. 24 In D Minor
25. Prelude In C Sharp Minor, Op. 45 – Chopin
26. Prelude In A Flat, Op. Posth. – Chopin
27. Nocturnes, Op. 48: No. 1 In C Minor
28. Nocturnes, Op. 48: No. 2 In F Sharp Minor

Enrique Granados:
29. Quejas O La Maja Y El Ruisenor (From: Goyescas)

Giuseppe Verdi(arr. Franz Liszt)

30. Aida: Danza Sacra E Duetto Final 

 

 

クラシックの他のCDレビューはこちらです。


フルッタフルッタが仕手株化、掲示板がお花畑モードに。BS11はまたも長期低迷の道へ。

フルッタフルッタが仕手株化

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フルッタフルッタが本日も+6.49%と大幅高、完全に仕手株化しました。

掲示板がお花畑モードに

 修羅の国(Yahoo掲示板)では上げ調子のときは御花畑、下げ調子のときは恨み節で埋め尽くされる特徴があります。ここも例に漏れず、浮かれています。

 

昨日私がこき下ろした決算説明会資料を根拠に持ち上げている人がいらっしゃいます。私は13番さんと全く同じ意見です。アグロフォレストリーを行っているのはCAMTAというアサイー仕入先の会社であり、フルッタフルッタではありません。

なおYahoo掲示板は情報が早く重宝しますが、経験上80%以上の情報はゴミです。上の投稿なら11(=14,15)は仕手を利用したい買い煽りですし、29の言うような株価予報は絶対に聞いてはいけません。ノイズです。16は一般人ですが心配です。

新たなリスクと矛盾を発見

フルッタフルッタの有価証券報告書をちらっと読んだところ為替リスクについて書いてありました。

⑥ 為替相場の変動について
当社は、CAMTAへの商品代金の支払いはドル建てで行っており、為替相場の影響を受けております。為替予約等の活用により、為替リスクを回避する努力を行っておりますが、業容の拡大に応じて適時にすべての為替
リスクをヘッジできる保証はなく、為替変動が短期間に乱高下した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
いまは超絶円安ですから、原料は大幅高騰間違いないですね。

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よく見ると昨日張った画像にも書いてありました。

ところでこの一番下の「アグロフォレストリー自社プランテーション開発への取り組み」ってなんでしょうね。アグロフォレストリーとプランテーションはどう考えても相反する概念ですよね。

バナナやパームヤシなどの単一の作目を大量生産するプランテーションへの反省から広がりを見せている環境保全型一次産業がアグロフォレストリーです。 

そりゃそうですよね。プランテーション=単一作物の大量生産=森林破壊ですよね。経営陣がアホなのか、CAMTAが怪しいのか、どっちにしてもだめですね。

BS11はまたも長期低迷の道へ。

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いかにもこれから元の1050円に向かいそうなチャートですね。まあしょうがないです。無限ナンピンで身動きが取れなかった反省を踏まえ、本日保有割合を20%強まで減らしました。

昨日今日と日経平均は続落しました。今週はBS11復活効果などのおかげで、一時+4%まで落ち込んだ年初来からの損益は+17%まで回復しました。持株ではユニリタ、イーギャランティが好調です。イーギャランティは明らかに過熱していますが、こちらも以前の反省を踏まえ換金せず数年見守りたいと思います。今月中に有価証券報告書が発行される予定なので、ゆっくり読んでみたいです。


フルッタフルッタが大幅高。そもそもどういう会社なの?決算説明会資料から読み解いてみる

(21:00 画像を追加して追記しました。)

突然の株高

本日、2586フルッタフルッタが謎の値上がりをしています。

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今年2月、上場ゴールで有名に

フルッタフルッタと言えば、いわゆる「上場ゴール」で話題になった銘柄です。上場ゴールとは、上場するために実力を過大評価させるような怪しい決算の数字を作り投資家の期待を煽ることで、公募値と比較して異様な高値で株価が取引された後に、激しい下方修正を出して株価が実力相応の位置に落ち着くまで下がり続ける銘柄のことです。もちろんベンチャーキャピタルや証券会社などの初期出資者は初期に売り抜け、莫大な利益を出しています。ひどい会社に至っては社長や取締役が高値で株を売り抜けることがあります。まさに上場自体が「ゴール」で、後のことは知らないという企業です。

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どんな会社?アサイーって何?

私はフルッタフルッタの企業情報など見たことがないので、早速読んでみました。

【アサイーのフルッタフルッタ オフィシャルサイト】トップページは無駄に重く、カクカクしています。ここはコピペで埋め込みリンクが作成できませんね。何かHTMLに足りてないタグがありそうです。

さてフルッタフルッタは主にアサイー製品を売る会社です。アサイーとは、アマゾンに自生するブルーベリーみたいな果実です。

https://www.juice100.jp/img/acai-2.jpg

オフィシャルサイトによる解説

ポリフェノール、鉄分、食物繊維、カルシウム豊富と健康食品の見本のようなフルーツです。南国の植物にありがちな味の癖が少ないものの、甘味もあまりないそうです。商品のターゲットは主に若い女性層でしょうから、スイーツにするならかなり砂糖を入れないといけないですね。コンビニにあるでしょうから、一度買ってみようかと思います。

さてこの会社は短信にリスクの一つとして「アサイーに9割以上依存しています」と書いてあります。つまりアサイーのブームが去れば終わりです。怖いですね。

前期決算の様子と見通し

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material_for_fiscal_ym&sid=15998&code=2586

こちらは2015年3月期の決算説明会資料です。今期の純利益は+31.2%の2.01億円ですが、営業利益が-56.7%の1.06億円とかなりやばい数字です。主に販管費の伸び過ぎによるものです。計画性なさすぎですね。純利益が増えたマジックは「外貨預金の時価評価0.88億円+デリバティブ取引の時価評価益1.67億円」だそうです。やっつけすぎます。来期損失出たらどうするの。

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むろんこれらはキャッシュフロー計算書には組み入れられませんから、こちらの数字はメタメタになります。新株発行で何とか持っている感じに早変わりです。

 

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21Pに「戦略:アサイーに次ぐスーパーフードの育成」と書いてあるのにP25は「期待されるアサイーの市場性」とさらにアサイーフードを開発しまくる矛盾、「ベンチマークは青汁:市場規模800億円」って青汁とアサイーじゃ全然ターゲット違わないか!?アサイーはスイーツ系だと思うんですけれど。。

 

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P27に一応ココナッツとピタヤの育成を進めると書いてあるがココナッツの商品名は「アサイーボウルアイス・ココナッツミルク」ってやっぱりアサイーじゃん!?

アグロフォレストリーという美辞麗句

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同社は「アグロフォレストリー」を提唱しているようです。これまでの、自然のコントロール(=破壊)により人間が効率的に作物を生産するシステムとは正反対の、自然を再生しながらその過程で作物を生産していくという画期的な仕組みです。

この思想は自然農法に近いか、全く同じものだと感じました。

 

自然農・栽培の手引き

自然農・栽培の手引き

 

自然農とは、無農薬は当たり前、雑草は生えっぱなし、土を耕さない、有機肥料すら与えないという男前の栽培方法です。実は、我が家は自然農の野菜を定期購入して食べています。土に自然に存在する微生物がそのまま生きていること、過酷な環境でも育つ野菜しか商品にならないことから、めちゃんこ美味しいし栄養価も高い上に絶対安全です。アグロフォレストリーの思想自体は、持続的な農業であること・自然に可能かなぎり手を加えないことから、自然農と共通します。それ自体は素晴らしいことです。

しかし当然ながら、自然そのまま=人間にとって効率が悪いという大きな欠点があります。ぶっちゃけ、価格が高いのです。自然農の野菜は市場で売られている野菜の価格の何倍もします。もちろん大量生産もできません。一般的に行われている集約的な農業とは縁遠いです。アグロフォレストリーも、作物の組み合わせが難しいでしょうし・森林が回復するにつれて樹木相が変わったりすることで栽培できなくなる作物が増え、目的の農産物を栽培するには他の土地の買収が必要になったり、技術者が必要になったりするでしょう。つまり、コスト高が運命づけられています。市場が求める効率主義とは正反対に位置する思想です。

本当にアグロフォレストリーを実施していれば、年々原価が大幅高となってフルッタフルッタは破綻するでしょう。イオンなど大手企業に卸す業者がそんな質めんどくさいことをするとは思えません。生産地はブラジルですから、実際何をやっているかユーザーは分からないでしょう。経営者すら把握していない可能性もあります。イメージアップのために、それっぽく導入しているように見せかけているだけだ、と思います。無理ですよ工業製品では。

まとめ

以上のことより、きわめて胡散臭い企業であることがわかりました。資料の〆の言葉も「ヒット商品が世界を救う」と偽善的です。具体的な収益性の構想が全く見えてきません。

 

 

ちなみに、来期はデリバティブや為替損益のスペルが消えて、純利益の予想は-63.5%の0.73億円だそうです。私は資料全体から漂うお花畑な雰囲気から、来期も下方修正して赤字になるんじゃないかと思います。今日の株高は一時の投機熱に過ぎないのでしょう。


CDレビュー: Joseph Achron(comp), Michael Ludwig(vn), Alison d’Amato(pf) – Music for Violin and Piano

★★★★★(๑•̀ㅂ•́)و✧

久々のクラシック部門大ヒット!

ジョゼフ・アクロン – Wikipedia

作曲者のジョゼフ・アクロン(1886-1943)はユダヤ系ポーランド人のヴァイオリニスト兼作曲家です。ユダヤ人の天才ミュージシャンの例に漏れず、後年はアメリカに渡ります。

ヴァイオリニスト兼作曲家と言うと、まずパガニーニが思い浮かびますね。アクロンの曲はパガニーニほどテクニカルではありませんが、ユダヤの伝統音楽を下敷きにした情熱的で覆いかぶさるような迫力のある曲が多いと感じました。本アルバムはほとんどがユダヤ関連の曲で占められています。

まず耳を引き付けるのは2曲目Hebrew Piecesの1曲目Hebrew Dance。現代のダンス曲であるEDMはパターンと仕掛けが意図的かつ単純すぎて正直辟易ですが、ユダヤのダンス曲は違います。緩急も泣きも激情もヒステリーも静寂も全部詰まっています。後半の3連符畳みかけゾーンを聞けば胸にパッションの波がきっと湧き上がって来ますよ。

11曲目、Suite No.1の1曲目はJSバッハとパガニーニを足して2で割ったようなピアノVSヴァイオリンの対位法掛け合いの応酬に、8分+アルペジオを基調として上昇下降を見事に組み合わせた美しい曲です。これも素晴らしい。

17~19曲目のStempenyu Suiteは元ネタがユダヤ人のヴァイオリニストを主人公にした小説だそうです。3曲目の構成はどこでも聞いたことが無いようなユニークなものです。高周波も出していてとても楽しいですよ。CD中2番目のお気に入りです。

アクロンが活躍した時期は20世紀前半ですが、伝統に忠実に堅実な音作りをする作曲家であると感じました。当時活躍したバルトークやドビュッシーと比べて冒険的な曲は見当たりません。私はどちらも好きですが、アクロンの曲は当時ほとんど売れなかったそうです。

ヴァイオリンとピアノのペアって心にぐっときますよね。ヴァイオリンはもともと音程と音量を微妙にコントロールできる表現の豊かさ、直接脳に響いてくる共振性の強さなどから心をつかみやすい楽器ですが、それがしっとりとしたピアノと同時に聞こえてくると、特徴がより引き立ちます。久しぶりに体に染み入る曲を聴くことができました。ありがとうございました。

 

クラシックの他のCDレビューはこちらです。


クソ株ツインタワーは1日で崩壊。BS11が優待変更(実質の新設)で躍進。

昨日の値上がり上位2銘柄が本日値下がり上位1,3位となりました。

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8013 ナイガイ -18.89%

 

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8260 井筒屋 -10.78% 今日の寄りで全力空売りしていれば18.9%の儲けですね。すごい。今回はたまたま当たりましたが、これを心理学などを駆使して毎回当てられるようになればあなたもソロスになれます。私はきっと一生無理です。

 

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さて、ここ3か月間死んだように低調であった9414 BS11が本日の値上がり16位にランクインしました。+12.01%で1,175円まで上がっています。上の図の13週・26週平均をぶち抜いてますね。

4月頭から始まった爆下げに対抗するため、無限ナンピンによりポートフォリオの4割近くを占めていました。ようやく本日報われました。全体への寄与はおおむね+4%です。比率調整のため、一部売って保有比率を3割ちょいまで落としました。

原因は優待制度の変更です。いままで、ショップチャンネルの1000円優待券というただの紙切れだったのが、ビックカメラ1000円優待券に変わりました。しかも1年半以上の長期保有者はさらに1000円分追加という太っ腹っぷりです。

日経平均は年初来高値を更新しましたが、持株はBS11と2930北の達人(過熱気味、怖い)以外はほぼ横ばいと低調でした。


PHP: GETとPOSTの思想的違い

フォームなどからサーバーにデータを渡す時に使用する GET と POST は、主に形式的な違いのみが取り上げられがちです。私もそのように理解していました。しかしProgramming PHPにはそのように書いてありませんでした。

形式的な違い

GETはURLの後に?をつけて

http://rokujo.esy.es/StockHoloscope/chart.php?mcode=4753&start=20050601&end=20060531

のようにサーバーにパラメーターを渡してやる仕組みです(リンク先はライブドア爆下げの様子です)。データ量が多くなればURLも長くなるので、当然ながら転送量にも限りがあります。また、URLからパラメータが丸見えなのでデータの安全性が低いです。

POSTはURLには手を加えないで、サーバーに直接データを渡してやります。テキストだろうがバイナリだろうがOK、データ量の制限もありません。プログラマからするとPOSTの方がデータが取り出しにくくちょいと面倒です。

思想的な違い

GETはidempotentでないといけません。初めて聞く単語ですね。これは数学用語で、日本語では冪等(べきとう)と言います。定義は

「何回操作を行っても、得られる結果が同じ」

です。つまり、GETは何回行っても必ず同じ表示がされなければいけません。必ず同じ表示がされるならば、URLをブックマークすることも可能です。

これに対して、POSTはidempotentである必要はありません。POSTすることによってウェブページが変化しても問題ありません。むしろ変化することが当たり前です。POSTを行ったページを再表示すると「フォーム再送信の確認」とか「webページの期限切れ」などと表示されます。これはページがPOSTの度に変化してしまうということですから、POSTに冪等性が無いことを表します。ブックマークも不可能です。

例えば

http://this.is.bbs/bbs.php?author=gokuu&content=icchoyattemikka

(URLは架空です)と、形式的にGETで掲示板への書き込みのようなidempotentでない動作をさせることは可能ですが、思想的に許されていません。URLをクリックする度にデータを変化させるようなアクションがあってはならないのです。GETはGETの名前通り、データの取得に徹しなくてはなりません。


jQuery, エレメント作成時には予約語のclassに注意

jQueryはDOMエレメントを動的生成できます。私の探していた機能のうちの一つです。ところが、次のコードを見ると不自然なダブルクォーテーションが見つかります。

// Creating a new element with an attribute object.
$( "<a/>", {
   html: "This is a <strong>new</strong> link",
   "class": "new",
   href: "foo.html"
});

すごく直観的で分かりやすいコードなのに、”class”、が囲まれているのが不自然ですね。これは、classがjavascriptの予約語なのでそのまま class と書くことができないから、なのだそうです。

予約語一覧を見ると、他にDOM作成時に使われる可能性がある予約語はdefault, forくらいですが、あまり使う頻度は高くなさそうです。classはしょっちゅう使いますから、これだけ覚えておけば当面は問題なさそうですね。


鈴木康之 – 名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方

★★★★★

コピーライターの鈴木康之さんは1937年生まれ。今でも現役で講演活動をしていらっしゃいます。もう80歳近いのですね、お若いです。

内容

新聞広告を中心とした名作コピーを掲載し、鈴木さんがその文章のどこが素晴らしいのか、どのような点に着目してこの文章を書いたのか、書いた人はどのような気持ちで書いたのか、などを解説していきます。例として使われている英会話のGabaやJTの広告はリアルタイムで駅構内や電車広告で目にしていたので、感慨深いものがあります。

Gabaの広告から学ぶ「差別化」

例えばGabaです。ここでは「差別化」についての解説がされています。日本人は英語コンプレックスがあるので、英会話スクールの需要は今も昔も旺盛であり、そのためスクールは乱立しどこを選んだら良いのかさっぱり分かりません。そこで差別化が必要になります。同業他社と比べてオンリーワンな特性を顧客に提示し、「そうか、ここなら私にぴったりだ」と気付かせるための広告です。Gabaはマンツーマンレッスンを自社の特徴と位置づけ、次のような掴みのコピーで画面の大部分を占める広告を作成しました。

ボディコピー(本文)にもキモがあります。

たとえばあなたがおいしいお寿司を食べたいとき、天ぷらも焼肉も寿司もありますという店より、寿司だけ専門にしている店に足が向くのではないでしょうか。ひとつに集中している方が品質も期待できると考えるから。ぜひ、英会話スクールもその視点で選んでください。Gabaはマンツーマンレッスンだけの専門店。講師も1対1のための独自の指導法を身につけています。あなたをリラックスさせて、のびのび話す場を作る。Gabaのマンツーマンは、他とは違います。

わかりやすく、納得できるたとえ話です。この広告は主に山手線でよく見た記憶があります。解説には書いてありませんが、英会話スクールは主にビジネスマン向けですから、寿司や焼き肉を例に出すところがターゲット層の今日の晩御飯を的確に捉えています。「じゃあ、Gabaにしてみようかな。晩御飯も、ファミレスはやめて焼肉屋にしようかな」と思うこと請け合いです。

以上のように考えさせられるコピーがざっと20はあります。

人と同じことを思い、人と違うことを考えよ。

最も考えさせられた文句です。養命酒の広告を題材に、この言葉についての解説があります。前段は想像力について。多種多様な仕事に従事し一様ではない立場の人間が毎日生活し、どのようなことを考えているか想像し、言葉にする。その上で、想像した人間ともまた少し違う視点でものを見てみる。それが後段の「人と違うことを考える」ということです。いろんな人の「あたりまえ」をちょっと変わった言葉で取り上げる。すると次のようなコピーが生まれます。

30分半身浴するくらいなら、30分早く寝たい。

これは冷え性の女性を想像して書いた言葉です。

1年が過ぎるのは早いが、1日はなかなか終わらない。

これは疲れた男性を想像して書いた言葉です。いずれも、ターゲットとされている人間にとっては極めて実感が湧いてくる(人と同じことを思い)内容であり、かつ、言われてみればそうだけど自分で意識したことがなかった(人と違うことを考えよ)内容ではありませんか?

これらのコピーのあとに、「そんなあなたに養命酒・・・」というボディコピーが続いていくわけです。よくできてますよね。

天才なんかいない。いい文章を書くには、勉強と訓練しかない。

この本で学べること最も大事なことは、上のようなことだと思います。1つのコピーを書くためには、その何倍もの文章を書いて、さらにそれを何度も手直しせよ、という記述があります。プロでも言葉は大目に書いて、削っていく作業が重要だそうです。努力の必要な世界です。

著者の鈴木さんは、いいコピーに出会ったら必ず、まず何度も読み返すそうです。そしてそのコピーのどこが優れているのか研究し、自分の作品に取り入れていくという作業をずっと続けているそうです。ごく当たり前のことなのでしょうが、何事も努力しかないと超ベテランの方に言われるとうなずくしかありませんね。

買いか

買いです。これは文庫ですから、フルプライスでも十分おつりが来ます。自分としては学ぶところが大きかったと感じています。ただ1点気になるところがあり、日野原重明さんの新聞コラムを読むと感じることと同じなのですが、著者は謙遜しているつもりで「自分はこんなことやってきたんだぜー」という言いたがり感情が見えるところがあります。そこは年長者のご愛嬌、内容に期待してください。

なお、もう一点感動したところとして、書き出しのアンドレ・ブルトンにまつわるエピソードがあります。これは紹介するとつまらないので、ぜひ読んでみてください。。