竹内謙礼 – 売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方

これはよくできた本だ。キャッチコピーの出来に売り上げが大きく左右されるのは、新聞広告、電車の吊り広告、そしてウェブ広告を見ればわかる。買いたくなるコピーには必ず目が行く。クリックしてしまう。楽天市場の商品紹介は、売りコピーの巣窟だ。

強い言葉と弱い言葉の区別(例:弱い言葉「安い」「痩せる」→強い言葉「激安」「3日で-○kg」)、「引き」「特徴」「説明」による要素の分解、日常のキャッチコピーの探し方などなど、軽めの筆致ながら重要なポイントがコンパクトにまとめられている。

この筆者は、顧客のことを心の底でアホと思っていながら、それを表に絶対に出さない究極の商売人だと感じた。

お客様というキャッチャーは、どんなボールでも受け取れるほど有能ではないからだ。自分が取れる範囲のボールしか受け取らないし、無理してボールを追いかけようともしない。

どんな文脈でも絶対に「客」や「顧客」と呼ばず「お客様」という表現を徹底して使い続けるところに商人魂を見た。

この本で最も圧巻なのは、巻末の「キャッチコピー言い回し辞典」だ。600語にも及ぶ筆者のキャッチコピーの頻出言い回しと用語解説がついている。3年間かけて集めたものだそうだ。またこの解説が身も蓋もなくて面白いのだ。何回も吹き出してしまった。

『感動プライス』安いのか高いのか判別しづらい言葉だが、温かさがあって「いい商品を安く」という印象を与える。安売りをしたくない時に使用。

『次回販売は未定』製造が追いつかない人気商品である印象を与え、即時の購入を促す効果のある言葉。もちろん、実際に未定であるか否かは問わない。

『気にならない』気にかかっている点を解消できる効能を宣伝する際に使用する言葉。お客様の気持ちを先取りして代弁することで、あたかも必然であるかのような心情へ導く効果がある。

筆者の努力の結晶であるこの辞典には気合が溢れている。

人間は楽をしたい生き物、虚栄心のある生き物、金を節約したい生き物である。ここを如何にして突くかが問われている。という商売人の基本中の基本を叩きこまれる思いのする本だった。言い回し辞典は折を振れて何度も読みかえしたい。新聞広告やチラシ広告、ウェブ広告は毎日目を通さなければいけないね。

買いか

買い。フルプライスでも買うべき。私は2005年の単行本版を古本で買ったが、いまはリンク先で文庫の増補改訂版が安く出ているので買うべき。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。