暑い日の終わり

今年の夏は終わるのが早かった。8月終盤、甲子園が終わるころに気温がぐっと下がると、それ以降31度を上回る日は一度も来なかった。昨日は久々に蒸し暑かったが、夏本番と比べると屁のようなもので、今日は気温が急激に下がりこのまま秋になりそうだ。
暑さが引くと夏にいかに疲れやすくなっていたかがわかる。日中だるくならないし、頭の中の綿飴のような粘っこさがとれたような気分になる。肌がべたべたしないのが良い。猫は夏の間は文字通り長ーく伸びていたのに、いまは香箱になるか丸まっている。起きていることも多くなる。1日22時間寝ていたのが、20時間くらいになった。
ノモンハンの夏」を少しずつ読んでいる。旧日本軍の頭の硬さがよく分かる本だ。彼らは頭が悪いわけではない。勤勉で努力家である。しかし一番の欠点は、驕りがあることだ。エリート養成校を出て当時の花形の軍人になり、さらに頂点の参謀や司令になった人間は、自分の考えが正しいとして憚らない。エリートになった俺様の考えに間違いはないのだからお前らが悪い、というドラマやアニメにでも出てきそうなテンプレ悪役の思考なのだが、このような人間は実在していたし、今でも大量に存在する。桑田に指導されても全然結果の出ない東大野球部も同じことがいえる。エリートは概して客観性を持てない。エリートでなくとも、俺についてこい的人間はみんなそうだけれど。で、このような人間を偉いと思い込んだ一般大衆は戦時中はお国のためと言って戦火に巻き込まれ死に、現代では貧困に喘ぐも喘いでいることにも気づかず蝕まれ死ぬ。権威は疑うべきだ。
この本を読んでいて思うのだけれども日本語でさえわからない単語がしょっちゅう登場する。たとえば「使嗾」「殷鑑」「切歯扼腕」「神韻縹渺」「夜郎自大」なんて知らなかったよ。あまりに知らないことに絶望したので、英語などと同じように、本文を例文にして自作外国語学習用ソフトに入れて記憶することにした。


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