書籍レビュー: 面会交流を拒む親は親権者としての適格性に疑問あり『男の離婚術 弁護士が教える「勝つための」離婚戦略』 著:マイタウン法律事務所

★★★★☆

 

次は男側がどれだけ手を尽くして妻を追い出すか調べようと思って借りたのですがどちらかというと「浮気してものすごく立場が悪くなったんだけどできるだけ被害を少なくして離婚したい」という立場から書かれている本でした。ですので拍子抜け、目的は果たせませんでしたが、しかしいくつか有用な記述もありました。

公正証書は執行力がある

離婚協議書を普通の文章で作成すると、履行されない時は調停→裁判→強制執行という手順を踏む必要がありますが、公正証書で作成するとなんと即!強制執行が可能です。(P30)

調停委員は退職者ばっかり

てっきり法曹関係者で構成されていると思っていた調停委員は、弁護士10.9%、会社役員9.7%、その他士業16.9%、そして無職41.6%でした。なんだ無職って!?と思ったら年齢構成が50代24.6%、60代69.4%なんですね。つまりほとんどが退職した高齢者というわけです。(P46)

親権ってそもそも何?

親権とは、未成年の子どもを監護、教育し、その財産を管理するため、子どもの父母に与えられた権利と義務の総称です。(P173)

つまり著作権のような様々な権利の束である、という性質のもののようです。そして上記のように監護権は親権の一部でもありますが、親権から分離して別々の親に与えることが可能だ、ってことがわかりました。

面会交流を拒む親は親権者としての適格性に疑問あり

本書で一番驚いた記述です。この論法は使えます。

 しかし、それまで一緒に生活してきた父親に「会わせない」とか「1か月に1回くらいなら会わせてやる」というのはずいぶんと酷い話ではないでしょうか。離婚前であれば、その時点では共同親権者なわけですからなおのことです。妻がこどもを連れて一方的に別居を開始したケースであれば、なおさら不当な扱いと言わざるを得ません。

 さらにいえば、親の都合で父親と離ればなれにされてしまった子どもにとっても、その後、父親とほとんど会えなくなるのはよいこととは言えないでしょう。

 面会交流の実施に、母親にとって前述のような負担(注:元夫と顔を合わせなくないということです)があることは、子どもと父親との交流に消極的になる理由にはなりません。親権者として子どもの面倒をみる責任を引き受けたのであれば、面会交流に伴う負担も当然引き受けなければいけません。また「子どもが父親に会いたくない」と言っているという理由で面会交流を拒むとすれば、子どもを強い葛藤に追い込んでいる疑いが濃厚と言えます。いずれにせよ、親権者としての適格性に疑問を持たざるを得ない対応と言えます。

目から鱗の論理でした。私は「父親」と「母親」を逆転させて読んでいますが、十分通用します。男の方は浮気やDVしたんだからダメだろ―バカだなぁと思うのでした。

面会交流を拒まれたら記録にして残すこと

上記の「親権者としての適格性に疑問」を立証するためには証拠が必要です。そのため本書ではメールなど記録が残る媒体で面会交流の依頼をしたり、相手に弁護士がついていたら弁護士に文章を作らせるように依頼するよう推奨しています。また、文章を拒まれた場合でも次のように詳細に記録をつけておく戦略も書いてありました。

f:id:happyholiday:20160117221642j:plain(P190)

なるほどなぁ。

 

本文とはあまり関係ありませんが巻末の養育費算定表(年収と子どもの数にほぼ比例)を見たら私は一般的相場の4倍以上払っていることが分かりました。自慢できそうです。

 


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