アメリカのIPOの勃興と景気循環

In the two years from June 1960, through May 1962, more than 850 companies sold their stock to the public for the first time―an average of more than one per day. In late 1967 the IPO market heated up again; in 1969 an astonishing 781 new stocks were born. That oversupply helped create the bear markets of 1969 and 1973–1974. In 1974 the IPO market was so dead that only nine new stocks were created all year; 1975 saw only 14 stocks born. That undersupply, in turn, helped feed the bull market of the 1980s, whenroughly 4,000 new stocks flooded the market―helping to trigger the over-enthusiasm that led to the 1987 crash. Then the cycle swung the other way again as IPOs dried up in 1988–1990. That shortage contributed to the bull market of the 1990s―and, right on cue, Wall Street got back into the business of creating new stocks, cranking out nearly 5,000 IPOs. Then, after the bubble burst in 2000, only 88 IPOs were issued in 2001―the lowest annual total since 1979. In every case, the public has gotten burned on IPOs, has stayed away for at least two years, but has always returned for another scalding. For as long as stock markets have existed, investors have gone through this manic-depressive cycle.
―The Intelligent Investor, Chapter 6, footnote

まとめ
1960-1962にIPOブーム、850社。1969年に再び大ブームで781社→供給過剰で1969, 1973-1974年に大不況
ブームが去り1974年に9社、1975は14社→供給不足により1980年は株価暴騰
1980年代は再度ブーム、4000社が上場→1987年にクラッシュ
1990年代は反動で5000社のIPO→ITバブル→2000年に死亡、2001年はほんの88社
歴史は繰り返す。


CDレビュー: Yes – Relayer(1974)


★★★★★
前作で伝統的なプログレから突き抜けようとして、今作で第二宇宙速度を突破し、空の彼方に行ってしまった。
1曲目The Gates Of Deliriumがとにかく爆裂している。今作は精密に作ったというよりは楽器同士が競い合ってジェットコースターのように移り変わる展開の速さが特徴的で、中盤に長い長いインプロゾーンがあり、それをブッ飛ばした後に流れる “soon” の美しいこと。ここによるとモチーフは戦争だそうだ。
2曲目Sound Chaserも3曲目To Be Overもとにかく変わる、変わる。Sound Chaserのチャッチャッチャー地帯の爽快感が比類ない。すごい。
この絶望感も退廃感もない希望にあふれたサウンドはYesしか出せない。

プログレッシブロックの他のCDレビューはこちらです。rokujo.hatenadiary.com


フィスコレポートのチェックを一週間さぼっていたら、

面白い銘柄ばっかり紹介されてて嫌になるね!
2186 ソーバル ファームウェア開発会社で唯一の上場企業。無借金、5期連続成長、営業利益率8%を維持、M&A・本社移転してるのに黒字、大手企業と契約多く安定、ソフト開発なのに有給休暇率が高くホワイト企業、増配しまくり、と優良な点しか見つからない。なぜこんな企業がいままでPER10倍程度で放置されていたのか全く理解に苦しむ。決算前後で、1.5倍に値上がってしまったが。1か月前に知っていたら買い間違いなし。ずいぶん上がってしまったので買うのは気が引ける。今後どのように価格が推移していくのか今後のためにチェックを続ける。
8771 イーギャランティ 信用保証会社。ビジネスモデルが面白すぎる!!倒産リスクにかける保険会社。金融機関の貸付→債権回収とは全く逆のパターンで、顧客はイーギャランティーに保険料?を支払う。顧客の取引先に倒産が発生したら、イーギャランティーが保証金を支払う。リーマンショックの前に問題になったCDSと非常に似た商売のようだ。ただこういう商売は、不況時に保証金支払いがかさんで破綻するケースが多い。が、実績を見ると2007-2008年を含め2004年から現在まで経常利益は右肩上がりだ。リスク算出が完璧ということなのか。営業利益率はなんと34.8%。最新の2015年第3四半期だと40.8%。ここも、かなりの優良企業なのでは!?しかし株価は、何故か横這いが続いている。現在でもPER22.3倍なので数年前の株価が高すぎたのだろう。今でも配当利回りは1.43%しかない。
フィスコのレポート

保証料率の低下は売上高の減少要因となるが、一方で、リスク移転先への支払いコストも低減するため、売上総利益率という点では中立要因となる。

つまり好況でも不況でも安定している。金融業なのにストックビジネス、保証は最終的には上流の提携金融機関がかぶるのでこの会社自体もリスクヘッジがなされている、という何重にも堅牢なモデル。しかも近年は最終リスク分散先のファンドを自前(!)で創設し、原価率を51%→27.5%までなんと半分程度まで引き下げることに成功している。
一番気になるリスクは次だ。

信用リスク保証サービスに関しては、「保険業法」 や 「金融商品取引法」 などの法的規制の対象となっておらず、今後、法的規制が制定された場合に、ビジネスモデルの変更が必要となってくる可能性

法的規制は大手金融機関がここからパクリ商法を行いたいと考えたときにできるのだろう。
2127 日本M&Aセンター M&A仲介業者。ウェブサイトに気合が入っており熱気が感じられる会社。業績は好調中の好調で売上も利益も株価も爆速で右肩上がり。株価は2013年初頭から2年3か月で4倍になった。利益2倍に対し株価4倍なのでかなり割高である。


クリティカル・シンキング―「思考」と「行動」を高める基礎講座


★★★★☆
ブックオフでタイトルに惹かれて購入。ブックオフは新本屋の敵だけれど、我々貧乏人にとってはゴールドラッシュだ。ただし都市部の大型店に限る。新宿西口店は100円コーナーですら山のような一般書があり感動した。近くの西新宿小滝橋通り店とは月とスッポンだ。小型店はマンガくらいしか見るものが無い。といっても、地方だと大型店ですらほとんど漫画とゲームソフトばっかりだが。
クリティカル・シンキングと大仰な用語が付けられているが、一言でいうと「理性に照らして妥当かどうか考えよ」とまとめられる。本全体がこれの言い換えに過ぎない。その考えは権威に従っているだけではないか、自分の感情による非理性的なバイアスがかかっているのではないか、根拠があるのか、その根拠は正しいか、信頼できるか、基準があるか、、、などなど。
この本は原書の半分程度しか抽出されていないと冒頭にあった。いきなりがっかり。内容自体は、amazonでボロカスに言われているようなものではない。訳も素直に読めたので悪いわけではない。失礼だが、内容が理解できなかったんだと思う。。
抽出した箇所は特に自己中心性の認識、修正に重点が置かれていると感じた。自己中心性は、自己の中にあるがゆえに自分で意識することが非常に難しい。自分の中の第三者の力を使って認識しなければいけないからだ。したがって自らの誤りは他人に指摘される可能性の方が高い。ところが私たちは自分が間違っているとは思いたくない。自分を変えることには大きなエネルギーが必要であるから、できるだけ避けたいと思う。私たちは問題をすり替えたり、非論理的に反駁したり、最終的には無視することでエネルギー消費を節約している。この本は理性の力で誤りを正し、客観的妥当的な思考を養うことが目的だ。自己欺瞞を自分の力で発見し修正するのは困難だ。本書に指摘されて治るのならこんな良いことはない。
この本の欠点は概念的な解説が大部分を占め、具体的な記述が不足していることだ。学生向けに書かれたと思われ、ワークショップ形式の設問が多い。なので授業で使ってみて初めて意味がある。読むだけでは得られるものは少ない。なお回答例は邦訳者が追記したと思われる。携帯メールの良しあしなど卑近な例に問題が落とし込まれてしまい、今どきの大学生ならちょうどいいのかもしれないがいい年をした自分にとっては不満だ。多数存在する設問に、自分なりに回答を出してみる必要がある。
自分としてはここ10年何となく考えてきたことがほぼそのまま書いてあることが多く、思考が文章化されてとても助かった。


Billion Laughs

Introducing Pythonに載っていた。次のXMLを読み込むと大抵のPCが落ちるか、動作不安定になる。

<?xml version="1.0"?>
<!DOCTYPE lolz [
 <!ENTITY lol "lol">
 <!ELEMENT lolz (#PCDATA)>
 <!ENTITY lol1 "&lol;&lol;&lol;&lol;&lol;&lol;&lol;&lol;&lol;&lol;">
 <!ENTITY lol2 "&lol1;&lol1;&lol1;&lol1;&lol1;&lol1;&lol1;&lol1;&lol1;&lol1;">
 <!ENTITY lol3 "&lol2;&lol2;&lol2;&lol2;&lol2;&lol2;&lol2;&lol2;&lol2;&lol2;">
 <!ENTITY lol4 "&lol3;&lol3;&lol3;&lol3;&lol3;&lol3;&lol3;&lol3;&lol3;&lol3;">
 <!ENTITY lol5 "&lol4;&lol4;&lol4;&lol4;&lol4;&lol4;&lol4;&lol4;&lol4;&lol4;">
 <!ENTITY lol6 "&lol5;&lol5;&lol5;&lol5;&lol5;&lol5;&lol5;&lol5;&lol5;&lol5;">
 <!ENTITY lol7 "&lol6;&lol6;&lol6;&lol6;&lol6;&lol6;&lol6;&lol6;&lol6;&lol6;">
 <!ENTITY lol8 "&lol7;&lol7;&lol7;&lol7;&lol7;&lol7;&lol7;&lol7;&lol7;&lol7;">
 <!ENTITY lol9 "&lol8;&lol8;&lol8;&lol8;&lol8;&lol8;&lol8;&lol8;&lol8;&lol8;">
]>
<lolz>&lol9;</lolz>

まずlolzエレメントが読み込まれ、これはlol9を参照している。しかしlol9は10個のlol8エレメントと定義されていて、さらにlol8は10個のlol7エレメントと定義されている。以下10回繰り返して、最後にlol1は10個の”lol”に変換される。10の9乗個の”lol”、すなわち3GBのメモリを消費する。シンプルかつ効果の高いDoS攻撃の一種だ。
lol(laughing out loud)、というのは日本語にすると(笑)と大体同じ意味だ。lolでは日本人になじみがないが、をに変えれば4GBの(笑)で画面が埋め尽くされる。この攻撃のウザさが良く分かるだろう。なおWikipediaによれば発祥は2003年、有名になったのは2008年らしいのでセキュリティ業界にはとっくに膾炙されている問題と思われる。なお手元で実行してみようと思ったらセキュリティソフトに “XML Bomb” と警告されて実行できなかった。


The Rough Guide to The Music of Portugal (1998)


★★★★★
ポルトガルはスペインと同様にイスラム化された歴史があるにもかかわらず、スペインほどイスラム的な要素は少ない。ギターを中心としたファドという民謡が多い。明るく大きく歌い上げる、しかし哀愁を帯びた歌。イタリアと雰囲気が似ている。2曲目DULCE PONTES – FADO DA SINA が聞かせてくれる。10曲目LENDAS & MITOS – BARQUINHA DO MARはまさかのロックだが、なかなかアツい仕上がりとなっていてグッド。11曲目ANABELA – AVENIDASは随分と現代風だがこれもよい。地中海的ダラり曲だ。新旧ハズレの曲が少なく同シリーズの中でも上位の作品。


becoming more familiar with a subject does not significantly reduce people’s tendency to exaggerate how much they actually know about it.

Psychologists led by Baruch Fischhoff of Carnegie Mellon University have documented a disturbing fact: becoming more familiar with a subject does not significantly reduce people’s tendency to exaggerate how much they actually know about it. That’s why “investing in what you know” can be so dangerous; the more you know going in, the less likely you are to probe a stock for weaknesses. This pernicious form of overconfidence is called “home bias,” or the habit of sticking to what is already familiar:
(略)
In short, familiarity breeds complacency. On the TV news, isn’t it always the neighbor or the best friend or the parent of the criminal who says in a shocked voice, “He was such a nice guy”? That’s because whenever we are too close to someone or something, we take our beliefs for granted, instead of questioning them as we do when we confront something more remote. The more familiar a stock is, the more likely it is to turn a defensive investor into a lazy one who thinks there’s no need to do any homework. Don’t let that happen to you.
―The Intelligent Investor, Commentary of Chapter 5

持っている物を高く評価してしまう効果:endowment effectに加えて、よく知っている物事を高く評価してしまう効果:home biasが登場した。良く知っていることはむしろ盲目につながる。気を付けないといけない。ともに人間の虚栄をよく突いている概念だな。


Anthony Braxton – Six Monk’s Compositions (1987)


★★★★★
相変わらずインプロでピロピロしまくってるけれど、このアルバムはベース、ピアノ、ドラムとフルで稼働しているため、彼のピロピロがうまく吸収され、絶妙な味付けに昇華されている。ラーメンで例えると、もやしがタワーになっていて見た目迫力があるけれど、麺とスープが正統派の味付けであるために全体として美味しいラーメンである、という感じだ。Four In Oneが一番の当たり曲。


株価は2-3年先の成長を織り込み済みと言うが

嘘だと思った。
今日読んでいる資料は、3382 セブン&アイホールディングスの2013年度の事業概要。これの4ページ目に、過去10年間の業績の変遷が書いてある。2009年に大きく底を打っていることが分かる。その後2010年には2007年度の水準にV字回復、そのまま2011年には過去最高益を叩きだしている。しかしチャートを見ると、2009年12月に最低額を付けるのは分かるが、そのあと何故か2010年8〜10月にさらに低迷する。株価が上昇基調に乗るのは2012年に入ってから、なのだ。
2009年1-3月で30%も下げているのは下方修正でも発表されていたのかもしれないが、2008年中にその兆候は明らかになっているはずだ。
つまり株価は2-3年先の成長なんぞ織り込んでいない。目先の業績につられて乱高下するだけだ。成長に関してはむしろ、1年遅れてついてくる。2010年度の決算を見れば、ふつう2011年4月にはもっと上がっているはずだ。マーケットは業績を予測できない。こんな大会社ともなれば、価格を上下させるのは大口の機関しかいない。彼らもまた失うことを恐れ、得るタイミングを先延ばしにするのだ。少し安心した。
また、2008年3月、10月に大きな下ヒゲが現れている。いずれも25%(2週間), 30%(1週間!)と強烈な下ヒゲであり、これを利用すれば短期間で大幅な利益を得ることができる。ただしそのあとの2009年1月の20%下げは本物で、その後2013年まで復活しないので、ギャンブルには違いないが。。
2012年時点でセブンアイの売上高規模はアマゾンに次ぐ世界17位なのね。でかいね。イオンは世界13位。なお、この数字はセブンイレブンを含んでない、イトーヨーカドー等のみの数字らしい。含めば世界2位だ。