CDレビュー: Yes – Tales From Topographic Oceans(1973)


★★★★★
彼らのやりたいことをやれるだけやったアルバムだと思う。2枚組全6曲(うち2曲はメイキング的な制作途中版)で、どれも20分程度というある意味アホみたいなアルバム。内容もロックを超越して現代音楽の域に突入している。スローテンポが基調でノリの良い曲はすべて排除されており、徹底して空間的な広がりのみに賭けたアルバムと言える。2曲目のラスト、4曲目の途中の爆音地帯は特に必聴。やや冗長の感はあるがよくこれだけのものを作れたな。理解が難しいため長時間にもかかわらず数回聞くことを要求されるだろう。私は時間が無いので1回しか聞けません。。

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Unwired: Acoustic Music From Around the World(1999)


★★★★★ヽ(•̀ω•́ )ゝ✧
アコースティックな曲だけ集めた特別版。アメリカ、アフリカ、アジア、ヨーロッパからオールスターで集められているせいか、このシリーズの中でダントツで出来が良い。ほぼはずれの曲はないが、特に14曲目Red Ribbonは熱い!暑すぎ!パーカッションは日本のお祭りみたい、、と思ったらアーティストは日本人+中国人だった!どおりで。他にも1,3,5,8曲目が燃え燃えでよいです。気持ちいい!


Anthony Braxton – Six Compositions (1984)


★★★★★
強烈インプロ管楽器吹き、アンソニー・ブラクストン。ボックスの3枚目もはっちゃけていて、特にピアノの練習のようなスケールに乗せてめちゃくちゃする1曲目の印象が強い。3曲目もテンポの激しい振りが効いていて、演奏が大変だがみな楽しんでやっているようだ。彼はクラリネット、サックスが主な使用楽器だが4曲目はなんとフルートを吹いている。wikiによるとピアノもできるらしい。5曲目は一聴するとクラリネットソナタなのか?と思わせる抒情を見せる、でも崩れてる。これほどまでに曲に意味がなくかつ演奏が楽しいアルバムって珍しいよな。
ここで視聴できます。3枚目。


Modern Jazz Quartet – Django (1956)


★★★★★(๑˃̵ᴗ˂̵)و
ジャズの100枚、ようやく10枚目。MJQの代表作、有名すぎるアルバム。ビブラフォンが特徴的なこのバンドのサウンドはとにかく可愛い!可愛すぎる!ドラム、ベース、ピアノ、みんなお菓子みたいに音に聞こえる。ジャズ界きっての萌え萌えサウンドだ。ぎゅってしたくなるよね。全曲超おすすめ、胸が締め付けられます。10枚目(実はWynton Kellyが11枚目だったので正確には11枚目)にしてダントツ首位のお気に入り。


Igor Stravinsky, Pierre Boulez (Cond), The Cleveland Orchestra : Petrouchka; Le Sacre du Printemps (DG111 CD 8)


★★★★★
ストラヴィンスキー(1882-1971)はロシアの作曲家。このアルバムには三大バレエ曲?のうち二曲が収録されている。初出は1910年代前半とのこと。リズム、調整、曲の構成、どれも当時は異色のものだったに違いない。特に「春の祭典」に何度も登場する同音リズム地帯からほとばしるエナジーは計り知れない。彼の作曲キャリアにおいて、これらバレエ曲はごく初期のものであり、収入源でしかなかったようだ。ぜひ中期後期の曲も聞いてみたい。オケはめちゃんこ上手で、非の打ちどころなし。
ストラヴィンスキー・エディション(22CD) : ストラヴィンスキー(1882-1971) | HMV ONLINE – 88697103112
全集も出ている(売り切れてるけど)ので、何とかして手に入れたいものだ。


Mozart, Karl Böhm (Cond), Vienna Philharmonic Orchestra : Requiem (DG111 CD 7)


★★★★★
モーツァルトのレクイエムと言えば、悪魔が依頼に来た?とか、これを作曲してすぐに死んでしまった、とか曰くつきの曲だ。それもそのはず、いつもミッ○ーマウスみたいにアハハーッ!って声が聞こえてきそうなキラキラ曲ばかり作っているモーツァルトの作品とは思えないほど、重苦しく深刻な曲だ。1曲目のイントロから暗い暗いオーラが伝わってくるだろう。合唱が入るせいで荘厳さが120%アップしている。実は1曲目以外は未完成で、すべてモーツァルトの死後に弟子が補遺したらしい。とはいえその完成度には恐れ入る。
そういえば餓狼伝説のクラウザー様のステージにDies Iraeが使われてた。


Slayer – Diabolus in Musica(1998)


★★★★★✌(՞ਊ՞✌三✌՞ਊ՞)✌
音圧大増加、モダンな外面に変わるも内面的に全然変わっていないスレイヤーの7枚目。低速曲を挟むことで高速曲がより生きてくるアルバム単位でみると完成度は最も高いように思われる。個人的には、若さで飛ばしている3rdよりも好き。ドラムが最高すぎてもう言うことなし。正確無比に全ての高速フレーズを叩き切る死の職人。何回びっくりしたかわからない。


75 Jahre Donaueschinger Musiktage 1921-1996 (CD5) Henri Pousseur, Mauricio Kagel, Rolf Riehm


★★★★★
後2曲がアホと馬鹿と天才の境目に位置する名曲。どうやったらこれをまじめに演奏できるのか。
まず2曲目。驚異の47分23秒。タイトルと音から考えて、2人でありとあらゆる「音」を演奏することに特化した曲のようだ。マラカスのような音、シンセ、弦楽器、打楽器、管楽器、なんでもありだ。2人でこれやるのつらいべ!?ついさっき動画が見つかったので一部分を見てみた。予想の遥か上を舞う動画!!アホですね!!!!!
Mauricio Kagel: Two-Man Orchestra
やっぱり天才は考えることが違う。言葉で説明するのがアホらしいのでぜひ見てください!ああ全体バージョン見てみたい!!誰か公開してないか!
3曲目O Daddyも明らかにオーケストラの無駄遣い!!「オーケストラとテープのための」という副題が付いている通り、途中にセリフの応酬や謎のシンセ祭りが乱入する、何がやりたいのかわからないが混沌とした曲。
こういうチャレンジ精神を掻き立てられる曲が現代音楽にはゴロゴロ存在しているようだ。もっと聞かせてほしい。

Tracklist
1
Quintette à la mémoire d’Anton Webern
Henri Pousseur

2
Zwei-Mann-Orchester, for two 1-man orchestras
Mauricio Kagel

3
O Daddy
Rolf Riehm


CDレビュー: Yes – Close To The Edge(1972)

★★★★★wヘ(゚∀゚)√レ( ゚∀)wヘ(  ゚)√レ(  )wヘ(  )√レ(゚  )wヘ(∀゚ )√レ(゚∀゚)√レv〜 !!!!
このアルバムを聞くのは実は2回目。改めて、このアルバムの偉大さが染み入る。今までに聞いた全プログレアルバムの中で最強のアルバムだろう。奇を衒うわけでもない、概念の再構築をするわけでもない、擦れてない明るく前向きな王道プログレッシブロックを極限まで磨き上げた珠玉の1枚だ。ジョン・アンダーソンの明るくかつ悲哀を感じさせるヴォーカルには恐れ入る。
ボーナストラックを省いた収録曲はなんと3曲、1曲目表題Close To The Edgeは19分。しかし1秒たりとも無駄のない抜群の構成で、特に後半のオルガン地帯は2回目にもかかわらずまた感動してしまった!!2曲目And You And Iも10分超の大作。序盤のギターの切なさが光り、そのあとのスローテンポのメロトロンは反則!3曲目Siberian Khartuも素晴らしい。中盤の単語連呼ゾーンのドラムロールがどのアルバムでも聞いたことのないお腹に響いてくる歌を聞かせてくれる。1曲1分1秒全く隙の無い完璧なアルバムでした!
ボーナストラックは蛇足なのでカットした方が作品としては完璧だった。And You And I(Alternate Version)のインプロ部分だけ本編に取り入れてほしかったなぁ。

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The Rough Guide to the Music of South Africa (1998)


★★★★☆
南アフリカ共和国だけで1枚のアルバムを占める特集。さすが旧植民地か。全体的には熱帯系ダルダル音楽を中途半端に西洋化した、比較的がっかりな曲が多い。
Bheki Mseleku – Celebration – YouTube
しかしこの1曲だけが際立っている。純ジャズをワールドミュージックのシリーズ物で聞くことになるとは思わなかった。アフリカ系特有の繰り返しとパーカッションをうまいことジャズに取り入れていて、後半はアイエーーイエエエエーーみたいな叫びも交じってくる秀逸ジャズだった。
もうちょっと民族系を押し出した曲に頑張ってほしかった。