Beethoven, Friedrich Gulda(pf): Piano Sonata No.28-29(CD11)

Amazon.co.jp: Ludwig van Beethoven, Horst Stein, Wiener Philharmoniker, Friedrich Gulda : Beethoven: Piano Sonata No. 1-32, Piano Concertos No. 1-5 – 音楽
★★★★★(σ゚∀゚)σ
まず28番。静かな第1楽章に続き、付点リズムでずーと踊ってる第2楽章が印象的だが、第3楽章が久しぶりに中盤の神がかったメロディー&付点付き超ダサメロディー&強烈な盛り上がり、とこれまでのベートーヴェン風味を凝縮したような濃い曲になっていて、しかも物寂しげなスパイスまでついているというこれまたすごい一曲。
そして29番ハンマークラヴィーア。これは最高傑作といっていいと思います。第1楽章は爆音ド派手派手、そしてひたすら手数が多いピアニスト泣かせの曲。箱根駅伝でいうと2区。第2楽章は何故かこの曲だけ短いスケルツォで、短いといえども中盤〜終盤にかけて意味不明ゾーンがあり気が抜けません。第3楽章はプログレもびっくりの約14分の超大曲。弾く人によっては20分にもなるらしい。これのどこが緩衝曲なんじゃと思うような押し殺した感情が延々と続きます。疲れます。終盤では押し殺しきれず時々激情がほとばしってます。箱根駅伝でいうと4区。
最後の第4楽章がやばい。やばすぎる。グルダさんこの曲だけ弾けてない。人間がやるもんじゃない。まさに山登りの5区。序盤の静謐で引いて引いてこちらが待ちきれなくなったところで、対位法の右から左からの旋律、執拗なトリル、頻発するオクターブまたぎ、あちこちから音が10分間にわたって責めてくる新感覚ピアノ曲でした。無限回廊、無限階段。どこまでいっても階段。それが精密機械よりも完璧に組み立てられている、キングオブわけわからんピアノ曲。普通の人間が弾いたらブレーキ間違いなし。なぜ駅伝に例えたかというと、はじめて、ピアノ曲を聞いただけでマラソンを走ったみたいに疲れるという経験をしたから。
しかし、wikipediaには
>現実には、作曲後20数年でクララ・シューマンやフランツ・リストがレパートリー化して、各地で演奏した。
って書いてあるんだよなぁ。人間ってすごい。


Faust – Faust IV(1973)


★★★★★( ゚д゚ )彡
斜め上ロックチャンピオンの4枚目。またもジャンル分け、分類を拒む曲たち。執拗な繰り返しと意外性、期待を絶対に裏切ってやるという執念、でも曲として破綻していない上にエネルギーも感じられるという不思議な40数分間だった。ギターは(意図的に)コピー用紙みたいな音だし、ドラムも上手いわけじゃないのに、なぜか引き込まれてしまう。4曲目で下痢みたいなシンセもあるが悪くない。特に1曲目Krautrockの塊のようなサウンド、3曲目Jenifferや8曲目It’s a bit of Painの意味不明ギター、5曲目Picnic on a Frozen Riverのイントロと激しく乖離してずっこける歌部分と後半、はすさまじいものがある。過去の3作品と比べると、尖鋭性と演奏感が程よく合わさっているこのアルバムが個人的にはベストか。


Faust – The Faust Tapes(1973)


★★★★★ヽ(゚∀゚)ノ
3枚目。あらゆるカテゴライズや意味付けを拒むかのような挑戦的な楽曲たちだった。楽曲と呼んでいいのかどうかも怪しい。期待を裏切ることしか考えてない。ガラクタの寄せ集め。考えるな。感じるんだ。というセリフが今まで聞いたどのアルバムよりも一番似合う。狙ってできるものではない。


Amon Tobin – Supermodified (2000)


★★★★★ ∩(・ω・∩)
リズム大魔神の3枚目。前作よりまた一段とパワーアップしてます。ビートの手数の次は中毒性が大いに増していて、曲自体もジャズ風味のテクニカルなサンプリング魔法が作り出すハイクォリティ。前2作同様アナログな音、デジタルな音が混在しており、アナログ的な音が余計に不気味さを掻き立てる。まず5曲目のGolfer vs Boxerが一つの山で、一貫して酔いそうなベースがうねる中を一度聴いたら忘れられないドラム旋風が吹き荒れる。意味不明シンセ、気味の悪いパッドなども手伝って緊張したまま突っ走る。6曲目Deoも泣きのアナログ音の中に高速ドラムンが駆け巡る印象的な曲だ。7曲目Precursorはボイスパーカッションだけでドラムが構成されている新機軸、8曲目Saboteurは木の音?のようなアフリカ風の打楽器で萌える。さらに10曲目Rhino Jockeyが素晴らしい。中東の香りと頭の悪いベースを漂わせながらサイとラクダの群れが行進してる様なパーカッションを何重にも重ねて、時々フルート?の音で調子をとって目を覚ますという壮大なようなアホなような押し出しの勝ち越しという感じの曲。
アルバムの度にうんと進化しているAmon Tobinさんに今後も注目だ。


Sun Ra and his arkestra – Live At Montreux(1978)


★★★★★(^^ )(^^)(^^)(^^)(^^)(^^)(^^)( ^^)
土星からやってきたサン・ラーによる霊感ジャズ。以前から気になっていたアーティストだった。評判が高いのでまずこれをセレクトしてみた。
ななななんじゃこりゃ。前半は全員が適当に演奏しているだけにしか聞こえない。しかし演奏は異様に上手い。一つも下手だと思う個所がない。右側から聞こえてくるサックスと、Gods of the Thunder Realmで突然爆発するシンセサイザーが人間には出せなさそうな意味不明のサウンドを大量にぶっ放してくれる。天からの啓示に従ってめちゃめちゃに演奏してるということなのか。これを聞いているだけで土星でも木星でも行けそうだ。前半最終章Lights On a Satelliteで突然地球に戻ってきて宴会を催し、いったん幕を閉じる。
後半はお馴染みA列車で行こう、で始まるが、サン・ラーのピアノが曲をアレンジどころか破壊している。こんな崩壊は聞いたことがない。ピアノまで壊れそうだ。信じられないような音が数分にわたって流れ続ける。で、また団員全員で爆発した後、El Is the Sound of Joyで打ち上げ。もうこれは音楽の危険ドラッグだね。アンコールもキチガイじみてる。客も変だ。
ジャズとしては、一番衝撃を受けたアルバムかもしれない。底なしだ。サン・ラーの作品は、集める価値がある。また、聞いてみたい。


Faust – Faust(1971)

★★★★★┐(´ー`)┌

ドイツ出身のバンド、ファウストの1stアルバム。
わけわかりません。
でたらめなようで、曲の構成があるにはあるが、最初から最後までどこをどう聞いても予想の斜め上の音しか出てこない。ここまで混沌としたものは狙ってもなかなか作れないんじゃないか。壊れたおもちゃとUFOと電波、ネオンサイン、喫茶店の古びたテーブルゲーム、それらを体育館に整列させたような感じ。まず曲名が変だ。Why Don’t You Eat Carrots「にんじん食え」。
3曲目Miss Fortuneは16分36秒と超巨編だけれどこれは感動巨編。今までに聞いたことがなく、これからも聞くことのできないようなサウンドだろう。なんというか言葉で説明するのがあほらしくなるような楽曲なので、一聴をお勧めします。昔はこんなバンドにお金出してたんだからすげぇよな。
今年一番わけわからん衝撃を受けたアルバム。


Verve Jazz Masters 56 : Herbie Mann


★★★★★(^^)
ジャズフルート奏者ハービー・マンを特集したアルバム。ジャケットはタモリみたいですが彼は生粋のアメリカン、ブルックリン生まれのユダヤ系です。ジャズにフルートなんて合わないんじゃないかと思ったらこれが合うんです。クラシックにおける音色とも異なり、インプロも高速フレーズもこなし、フルートという楽器の限界に挑戦しているかのようなサウンドです。
が、このアルバムで特筆するべきは打楽器類のバリエーションの多さ、そして萌え萌えのカリブ系アフロ系ビート。このアルバムで、私はパーカッション萌え、リズム萌えであることがよーーくわかりました。世の中にはミカサの腹筋萌え、廃墟萌え、工場の夜景萌え、100メガショックネオジオ萌え、0系ひかりの丸いボンネット萌えなどさまざまな萌えがありますが、私は打楽器萌えです。
1曲目St.Louis Blues がオードソックスなジャズだったので油断しましたが2曲目Baiaのボサノバビートに始まりほぼ最後まで変わった打楽器ばかり登場します。コンガボンゴが多いですね。3曲目Evolution of Mannや5曲目The peanut Vendorのチャカポコぶりにニヤニヤしたあと、8曲目Todos Locosで悶絶しました。萌え死ぬ。キューバンアフロにフルートとビブラフォンがこんなに合うとは知らなかった。これはお菓子ですね。コンペイトウみたいな曲。こちらで聞けます。9曲目Cuba Patato Chipもそのままアフロな曲でこちらもキューティーももも萌え。11曲目The Amazon Riverもたまりません。チャカポコチャカポコ。12曲目Caravanはスタンダードなナンバーですが彼にかかれば信じられないような民族色溢れたナンバーに変化します。これはすごい。
現時点今年最高の1枚。Herbie Mannの名前をよく覚えておこう。


CDレビュー: King Crimson – Islands


★★★★★+
4thアルバム。アルバムとしての完成度は最強レベルだ。洗練され過ぎている。1曲目Formentera Ladyの気だるさと不思議な空間に圧倒されると、2曲目Sailor’s Taleの超即興爆裂金管&ギターでまた圧倒され、そのままちょっと擦れてる3,4曲目を通過したら、あとはただ美しさでまた圧倒される5,6曲目。看板曲Islandsはメロディーが素晴らしい。自分は下降するメロディーに弱いらしい。to↑my↓is↓land…と下がる所がたまらない。この曲だけ全然ロックじゃないけど良い。

東京で挫折して打ちひしがれていた時の一番の清涼剤になった。現時点ではこのアルバムが一番いい。絶望していた時は何故かずっと2ndアルバムのIn the wake of Poseidonが流れていたけれど、同じアーティストに救われた。

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CDレビュー: King Crimson – In The Wake Of Poseidon


★★★★★+
プログレッシブロックバンド King Crimsonの2作目。
2曲目Pictures of a City, 3曲目Cadence and Cascadeと1枚目を若干トーンダウンしたような曲が続くが、まず初めの山が4曲目タイトルチューン、In The Wake Of Poseidon。泣きそうになるストリングスの混じるイントロで始まり、打ちのめされる。哀愁Voとジャズテイストなドラムで進んだ後、全てを投入する2分ほどのアウトロ、ドラムだけで泣けてくる。この曲は終始鳥肌立ちっぱなしになった。

美しい5曲目の間奏曲を挟んで後半戦、キレイに狂ってる6曲目のCat Foodに続く7曲目The Devil’s Triangleは、当時は大変な問題作だったろう。まずホルスト「惑星」の「火星」と思われるドラムパターンに乗せてわけわかめの演奏を8分続けた後、1970年では珍しかったであろうサウンドコラージュ的なものが終盤に展開される。多分カセットテープ時代だろうからこりゃ大変だ。全体的にフリージャズの匂いが感じられる曲。

現時点で、このアルバムが一番好き。

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