CDレビュー: Electric Wizard – Come My Fanatics…(1997)

★★★★★

 

Electric Wizard2枚目です。1枚目と比べると重低音と曲の「遅さ」が際立ちます。

1曲目Return Tripが一番やばい。やばすぎます。この1曲でお腹一杯。

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ただ苦しんでいるだけのヴォーカル、胃の内容物を上に押し上げる効果しかなさそうな低音強調し過ぎのギター*2とベース、そしてずっと泣いているドラム、、この苦しみはいつまで続くのか、10分これを演奏し続けるなんてホンマモンのアホですな。

3曲目Doom Mantiaも聞いていると魂が遊離しそうです。4曲目Ivixor B/Phase Inducerも頭がどうかしている。

このアルバムの怖いところは、よく若いモンが背伸びしてカッコつけてタバコ吸っちゃうもんねーっていうような痛さが全く見えない、ごく自然にプレイしているところだと思います。日常なんでしょうねこれが。

 

 

ロック等の他のCDレビューはこちらです。


CDレビュー: Yes – Heaven & Earth (2014)

★☆☆☆☆

 

イエス最新アルバム。20枚目です脅威ですね。よくこんなに出せたもんです。

しかし、、薄い!薄すぎる!タンパク質が半分以下になったトモエ乳業の低脂肪乳って感じ!つまらなさすぎて1曲も印象に残る曲がありませんでした。残念。全く付けるコメントもありません。最後の最後でこれは悲しすぎる。

 

 

 

次回から、最新アルバムのPale Communionが非常に良かったスウェーデンのOpethというバンドのアルバムを順番に聞いていこうと思います。

 

 

プログレッシブロックの他のCDレビューはこちらです。


CDレビュー: DakhaBrakha – Yahudky (2007)

★★★★★(∂ω∂)

 

ウクライナのエスノカオス集団DakhaBrakha、1枚目のスタジオアルバムです。前回聴いたLightは3rdでした。公式サイトによると1stの前に”Na dobranich”ってライブアルバムがあるらしいんですがAmazonで取り扱いがありませんでした残念。

あ、よくみたら公式サイトで全曲公開されてるじゃん!

DakhaBrakha official site – ДахаБраха офіційний сайт

すばらしいすばらしい次回はこれを聴きます。

 

で、1stアルバムは見込んだ通りめちゃんこ熱くて暑いアルバムでした!このアルバムは全編にわたって燃える打楽器群に支えられており、女性ヴォーカルの野太いお祭りコーラスによって気持ちが燃え上がること間違いなしです!ヒャッハーヒャッハー言ってますふなっしーもびっくり。

 

1曲目Sho z-pod duba(なんて読むんだ!?)からぶっ飛ばしてます。この曲は男性の掛け声もイケてます。

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不気味度とトランス度では6曲目Na dobranichが図抜けてますね。これはライブアルバムと同じタイトルですので、あっちにも入ってるのでしょう。

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こわすぎ

 

 

 

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書籍レビュー: トレードオフなエコシステム『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第5巻 生態学』 著: デイビッド・サダヴァ他

★★★★☆

 

しばらく書籍レビューが簡素になります。

 

第5巻は生態学、英語で言うとエコロジーの分野です。第1巻~3巻がミクロ生物学なら、4~5巻はマクロ生物学。私はミクロよりもマクロ分野についてなかなか理解がついていかないようで、新書並み200ページちょいしかないのにずいぶん苦労して読みました。

気になった話題はまず生活史トレードオフ。生物が得たエネルギーは繁殖・成長・防御・ホメオスタシスという機能に分割され、すべてを足したエネルギー量は一定だからどれかの機能を高めるとどこかの機能が損なわれるよ、という理論です。例えばストレスが多い環境にいるとホメオスタシスで精一杯になるため他の分野にエネルギーが全然回らなくなります。だからストレスがかかると痩せるんですね。

取引と言えば相利共生。ミツバチが花粉を運んでくれるとかハキリアリがキノコのために葉を切って運んでくれるというような一見利他的に見える関係のことです。人間が美しいドキュメンタリーや物語に仕立てがちな動物の行動ですが本書では「他の生物のために形成される構造なんかあり得ない」というドライな立場を貫きます。ダーウィンがそう言っているそうです。ミツバチは蜜を吸いたいだけだしハキリアリはキノコ食いたいだけだよ、動物は詐欺を働いてまで他の動物から資源を搾取しまくるのが基本だよん、という見方はリアリスティックで好感が持てました。

あとタンパク質の基になる窒素分を生み出すための窒素固定は微生物しか行えるものがいないっていうのはゾッとする話でした。というのも空気中の窒素って三重結合してて強固だから簡単に切れる生物が全然いないんですって。微生物がいなかったら植物も動物も私たちもいなかった。微生物はすべての生物の母だ。偉大だ。微生物のことはもっと知りたいです。今でこそ人類が窒素分固定しまくって過剰に肥料やりまくりなんて贅沢もできるようになりましたが、その人類だって微生物がいなければ生まれようがありませんでした。

薄めの教科書だからしょうがないのかもしれませんがどの記述もページ数が少なめで私にとっては説明不足でした。詳しく知りたければナショナルジオグラフィックを定期購読するとか新しめの科学読み物を読んでいくといいのかもしれません。

これでこのシリーズは全部読破しましたが生物のことを全然知った気がしません。1万円超のでっかい生物書をローンで買ってゆっくり何度も読もうかしら。

 

関連書籍

 

ちょっと古いけど生態学のよさげな教科書

Ecology: From Individuals to Ecosystems

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  • 作者: Michael Begon,Colin R. Townsend,John L. Harper
  • 出版社/メーカー: Wiley-Blackwell
  • 発売日: 2005/07/29
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 日本語訳。10000円超。たかい

生態学―個体から生態系へ

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  • 作者: マイケルベゴン,コリンタウンゼンド,ジョンハーパー,神崎護,曽田貞滋,幸田正典,Michael Begon,Colin R. Townsend,John L. Harper,堀道雄
  • 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会
  • 発売日: 2013/03
  • メディア: 単行本
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 微生物。

微生物学 (基礎生物学テキストシリーズ 4)

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 植物に絞った新しめの生態学書

植物生態学

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CDレビュー: Jaga Jazzist – A Livingroom Hush(2002)

★★★★★

 

先端ジャズ集団Jaga Jazzistの2ndアルバムです。器楽ジャズをベースとして前半はポップ寄りの構成、表参道明治神宮前系のオサレサウンドをミックスした曲が中心です。ラフォーレとかフランフランとかでかかってそう。

中盤からエレクトロやドラムンベース、訳わからん曲調に変わっていき私好みのサウンドとなりました。ラストCinematicが一番意味不明で好きですね。ほぼ電子音楽で、もはやどこらへんがジャズなのか分かりません。6曲目からが勝負です。

 

何かが終わってしまったような8曲目Made For Radio

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喪失感を二周くらい通り越したCinematic。ビデオクリップは気味悪すぎ

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ジャズの他のCDレビューはこちらです。


書籍レビュー: 『よくわかる栄養学ハンドブック』 著:舛重正一

★★★★★

 

科学的でとても分かりやすい上に適度に網羅的です。厳密な生化学的記述も知りたいのですがそれは専門書を読めばよいでしょう。

色々参考になるところはあったのですが今日レビューを書いている時間がないのでここまでです。

 

 


CDレビュー: Sarah Vaughan – Crazy And Mixed Up (1983)

★★★★☆

ジャズの100枚。シリーズ24枚目です。邦題は『枯葉』。

くんせいジャズ

サラ・ヴォーン(1924-1990)はアメリカ出身のジャズヴォーカリストです。煙焼けしたハスキーボイスが特徴ですが予想通りヘビースモーカーで、死因は肺がんでした。

33分ちょいと短いアルバムですがいい曲揃いです。彼女の声によるところが大きいですね。2曲目That’s Allは彼女の可愛い一面が見られる名曲。3曲目Autumn Leavesはシャバダバしか言ってませんが滑らかに歌もドラムもピアノも流れていきます。ラストYou Are Too Beautifulも燻製しきった低音が出まくっててよいです。こんなに焼かなくても、、なんか切ないです。

 

1曲紹介するとしたらこれですね。邦題タイトル曲Autumn Leavesです。

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ボンボルッボルッボルッダッパッパ

 


CDレビュー: Oliver Messiaen Complete Edition – Catalogue d’oiseaux, Livre 4, 5 (CD6)

★★★★☆

 

メシアン「鳥のカタログ」2枚目です。4,5集は次の鳥たちが登場します。

  • 第4巻

第7番 ヨーロッパヨシキリ

Acrocephalus scirpaceus Vlaskop cropped.jpg

ヨーロッパヨシキリ – Wikipedia

一夫一妻を取る珍しい鳥です。曲は28分26秒という超大作で、途中にはガラガラドーンとこれ絶対鳥の鳴き声じゃねぇって音も現れます。もしかすると環境音が混じってるのかもしれません。メシアンの鳥観察日記を8mmフィルムで撮ったらこんな音になる、っつーことです。鳴き声は比較的かわいい系ですね。単音の鳴き声は分かるとして、時々コードっぽいベース音が入れるなんてどういう感性をしていたら作れるんでしょうねぇこの曲。

  • 第5巻

第8番 ヒメコウテンシ

ヒメコウテンシ

ヒメコウテンシ – Wikipedia

日本名「姫告天子」、見た目と違って厨二臭のする名前です。ヒバリ科スズメ属ということで鳴き声はほぼスズメと同じです。スズメと思ってこの曲を聴いてみると面白いかも。私が住んでいる付近の川でよくスズメが大群で木に群がって鳴きまくっていることがあるんですが確かにこんな感じです。曲は5分と短め、やはり謎の低音部分などがあります。これは歩いている音なのか?

 

第9番 ヨーロッパウグイス

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Bouscarle de Cetti — Wikipédia

名前の通り残念ながら日本にはいない鳥です。鳴き声も日本のものとはずいぶん異なりチィーチィーと鳴くらしく、曲も全然ホケキョじゃないです。もっと甲高くて耳につく感じです。CD収録曲中一番気合の入っている曲でしょっちゅうピアニストが息吸ってる声が拾われてます。スズメくらいの大きさの鳥なのにパワフルですね。

 

別の人の演奏ですがヨーロッパウグイスです

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クラシックの他のCDレビューはこちらです。


CDレビュー: Great Pianist of the 20th Century Vol.10 – Jorge Bolet I (CD2)

★★★★☆

2枚目はライブ版ともあってレパートリーがぐっちゃぐちゃです。美しきドナウの流れにはじまりタンホイザーやらクマンバチやら愛の喜びやら小曲の集合です。

聞くたびに毎回思いますが熊蜂の飛行をピアノに編曲したラフマニノフとこれを弾こうとするピアニストはキチガイだと思います。

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ラストに入ってます。7:00から。

 

あとはタンホイザーがいいですね。リスト編曲だけあって超ド派手です。前のCDに引き続きややべたっとしてますがリスト派手パワーのおかげで過度の甘みが酸味料ですっきりするかの如く聴きやすくなっています。

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 途中までですけど、youtube上なら続きも聴けます。

 

Tracklist:

Johann Strauss/Adolf Schulz-Evler

2-01     Arabesques On “An Der Schönen, Blauen Donau”     11:25

 

Richard Wagner/Franz Liszt

2-02     “Tannhäuser” Overture     16:39

 

Moritz Moszkowski

2-03     La Jongleuse (From Etudes, Op. 52)     1:55

 

Anton Rubinstein

2-04     Etude In C, Op. 23 No. 2 “Staccato”     4:53

 

Nicolai Rimsky-Korsakov/Rachmaninoff

2-05     The Flight Of The Bumble Bee     1:07

 

Fritz Kreisler/Rachmaninoff

2-06     Liebesleid     4:47
2-07     Liebesfreud     5:35

 

Felix Mendelssohn Bartholdy/Rachmainoff

2-08     Scherzo (From “A Midsummer Night’s Dream”)     4:40

 

Johann Sebastian Bach/Rachmaninoff

2-09     Prelude (From Violin Partita No. 3)     3:35

 

Modest Moussorgsky/Rachmaninoff

2-10     Hopak     1:43

 

Sergei Rachmaninoff

2-11     Polka De V.R.     4:13

 

Peter Iryich Tchaikovsky/Rachmaninoff

2-12     Lullaby, Op. 16 No. 1     4:10

 

George Bizet/Rachmaninoff

2-13     Menuet (From “L’Arlésienne”, Op. 23     2:45

 

Gaetano Donizetti/Franz Liszt

2-14     Réminiscences De “Lucia De Lammermoor”     6:20

編曲ラフマニノフばっかだった

 


書籍レビュー: 『ふたりのロッテ』 著:エーリッヒ・ケストナー

(•ө•)

 

題名だけ知っていたので興味で読みました。

ケストナーの語り口調には癖がありそれが独自性といい味を出しています。高橋健二さんの訳もじょうず。

離婚話ですので子供に読ませるのは不適当ではないかとの声もあったそうですがケストナーは次のようなたとえ話を出して、子どもこそ読むべきであると読者を説得しています。ここが面白かった。

「シャーリー・テンプルは7つは8つの子どもの時、もう世界中に名だかい映画スターでした。映画は彼女のおかげで数百万ドルも、もうけました。ところが、シャーリーがおかあさんといっしょにシャーリー・テンプル映画を見に、映画館に入ろうとすると、入れてくれませんでした。まだ年がたりないというのです。それは禁止されていたのです。シャーリーは映画をとることだけはさしつかえなかったのです。それは許されていました。それには充分の年だったのです。」

タイトルと表紙からは女の子の友情ものなのかなぁと想像していましたがまさかこんな内容の話だとは全く想像してませんでした。優れた物語です。20年くらい前に読んでればよかった。ですが個人的な理由でこの本を読むタイミングは不適切でした。さらに20年くらいしたらまた読もうと思います。

自分には児童文学が必要と思っていましたがしばらくの間読むのをやめます。