CDレビュー: Verve Jazz Masters 53 : Stan Getz – Bossa Nova –

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★★★★★

サックス奏者スタンゲッツ。他の奏者とは明らかに違った音が出ています。ワイルドなブヒブヒ音を立てることは全くしません。静かでハスキー、それでいてスケールの大きな音を出します。音が小さいわけではなく、息を大量に使って音を出しているらしいです。彼の音の出し方はおそらく天才肌に属するでしょう。そしてジャズメンの常、麻薬常習の強化人間です。最強。後年は麻薬はやめてアル中になったそうです。それじゃ一緒じゃん。

このアルバムは彼の大好きな?ボサノヴァだらけのCDとなっていて、最初から最後までダルダルのデレデレです。相変わらず突然ライブ音源が入ったりとごたまぜの構成です。6曲目Samba De Uma Nota So、14曲目Samba Tristeあたりはボサノヴァに他の要素を混ぜたような曲で変わっていておすすめですが、極めつけはラストのThe Girl From Ipanemaでしょう。アルバム中何曲かサックスを吹かずに歌ってることがありますが、この曲はライブということもあってか歌がぶっ飛んでます。声が澄み切ってるというか、普通の意味の澄んでいるのとはまた違った、自我が没入していてそこの世界に強制的に引きずられていくような、要はイッちゃってる、ということなのですが、ちょっと怖いです。

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