5998 アドバネクス
1930年設立の老舗精密ばねメーカー。今期はプラスチック事業を売却し、ばね事業に集中します。2020年までの中期目標は超強気の売上350億・営業利益40億(現在それぞれ200億・8.8憶)です。
ばねというと地味でニッチで必需品のようですが、
1980年代以降、 世界的なヒットを飛ばし、 トップシェア製品を輩出した。 音楽テープ用テープパッド(国内シェア70%)、ビデオテープ用リーフスプリング(世界シェア50%)、3.5インチフロッピーディスク用シャッター (世界シェア80%)、 携帯電話用ヒンジ (世界シェア50%)、 光ディスク用センターハブ (国内シェア90%) などである。 現在は、医療用の留置針用ばねで国内シェア60%を獲得している。
このうち最後の2つ以外はすでに需要が激減しています。例えば携帯用ヒンジに至ってはスマホ台頭により独立させた子会社が債務超過になるという大コケをやらかしています。世の中の潮流により売り上げが大きく変動するリスクの大きい会社かもしれません。リーマンショックでも全事業が赤字となっています。最後の医療用留置針用ばねは安定してニーズがありそうなので、このような製品に力を入れるのは良いことですね。
今後は海外向け自動車用精密ばねに力を入れるそうです。日本市場が縮小の運命にあり大企業が続々海外事業を広げていますが、零細企業は海外展開などできません。ばね業界はアドバネクスのような比較的大きな企業だけが生き残るのかもしれませんね。
3275 ハウスコム
私も持っていましたハウスコム。レポートを見て驚いたのは、手数料収入は全体の売上の半分しかなく、売上の3割が仲介関連サービス(広告代理、リフォーム、鍵交換、損保、CATV)だということです。一度ハウスコムで賃貸住宅の契約直前まで進んだことがあるのですが、確かに関連サービスの勧誘が激しかったです。。当時はシロアリ退治を薦められました。おそらく関連サービスに大きな従業員インセンティブが付いているのでしょう。今日レビューしたマーケティングの本に書いてある「5つの力」の「買い手の交渉力」は極めて弱いです。どうしてもそこに住みたいとなれば関連サービスを契約せざるを得ない場合が多いからです。しかし一般的に考えればお客様の利益にもなることなので、ハウスコムの強みの一つですね(私は絶対契約しませんが!)。
またWeb露出の多さも強みです。SUUMOやアットホームは確かにハウスコムの物件ばかりです。いま賃貸業界はネットの普及によりどの会社でもあらゆる物件を仲介できるようになっています。同業他社の物件も奪えます。しかしユーザーはそんなこと知りませんから、ハウスコムがSUUMOやアットホームを押さえておけばユーザーはまずハウスコムに連絡します。賃貸仲介業は近隣の物件が多いほど紹介しやすく有利です。店舗が多くしかも拡大中のハウスコムは近隣の物件が増え、web露出がさらに増えます。大きな利点があります。
首都圏はまだまだ流入が止まりませんのでハウスコムが出店を今のペースで増やせるうちはまだまだ安泰でしょう。先ほど有価証券報告書をちらっと見たら、リーマンショック時も売り上げが伸びています。分譲は不況時に売上が減りますが賃貸は減らないんですね。なんと不況耐性もあることが分かりました。ハウスコムの強さをいっそう確信しました。お勧め銘柄です。ギリシャ情勢が明日朝に決着するので、場合によっては買い戻そうと思います。
6409 キトー
トップページがバグっています。ちらつきます。決算説明会資料がFireFoxで開けません。大丈夫?
建設現場や工場などで物を持ち上げる巻上機の国内トップメーカーです。変な社名の由来は創業者の鬼頭さんです。既にグローバル展開が著しく、売上の77%は海外向けです。
この会社の特徴は鎖を自社で作っていることです。このため多様な製品を作製することができ、安全性も高まる利点があります。
グローバル展開が激しいためアジア等の経済状況に依存します。今期は中国、タイの低迷のため2ケタ減益です。来期はリバウンドで48%増益を見込んでいます。
長期借入金が非常に大きいのが気になります。といってもネットD/Eレシオは83%なので、飛びぬけて高いわけではありませんが。。
8889 アパマンショップホールディングス
ハウスコムのライバルです。フランチャイズ制で、店舗数は1140店と目茶目茶多いです(ハウスコムは143店)。こちらは伸び悩んでおり、特に1店舗当たりの収益が減少傾向にあるようです。減益の理由は
Web掲載物件情報の品質向上・厳格化を実施した影響で、 直営1店舗当たりの斡旋件数が落ち込んだことや、 FC店舗も含めて関連サービス業務収入が伸び悩んだ
ということだそうです。情報の品質については、借り手としては正直あまり効果のある施策とは思えません。web上の情報は家賃や条件・間取りの参考にしかならず、実際に内見して初めて借りたいかどうか決まるからです。コストだけがかかるまずい策と感じました。また、関連サービス業務の減速については、光回線の自由化の影響で売り上げが落ちたことが原因だそうです。手を広げすぎると思わぬところで痛い目に合うのですね。
また、人口減の日本において店舗を作り過ぎです。1物件あたりの収益も減っていますが当たり前です。その点首都圏に集中しているハウスコムは賢いですね(20年ぐらい経ったら同じ目に合うわけですが)。
3762 テクマトリックス
情報インフラ・アプリケーションサービスを手広く手掛けるIT企業です。主力は医療用画像システムで、クラウドへの移行により今期は利益率が低下しています。これは従来のパッケージ製品は売上時に全価格が計上されるのに対し、クラウドサービスでは月額制などの従量で料金が発生し売上が薄く引き伸ばされるからです。
医療分野ではマイナンバーと医療情報を連動させる政策が発表されており、クラウド化と相乗して一度に爆発する可能性があります。
と思いましたが株価が既に爆発していました。
残念です。しかし現在でもPER13.96倍と決して高くはありません。クラウド化はストックビジネスへの転換を表しますから、今後も安定成長が見込まれます。まだまだ買っておいて損はない銘柄です。
8119 三栄コーポレーション
輸入品卸会社です。なんとビルケンシュトック(足に優しい靴)はここが代理店です。驚き。私も持っています。他にもキプリング(バッグ)、モッズヘア(ヘアスタイリング)、ビタントニオ(キッチン用品)などこだわりの感じられる商品が主力です。
輸入企業のため、円安で大きく利益を落としています。商社ですので、利益率低、景気・為替の影響をもろに受けるのは仕方ありませんね。投資対象にはなりませんが、このような地味な会社が良い製品を仕入れてくれていることに感謝しないといけないです。
9928 ミロク情報サービス
会計事務所・中小企業向け財務システム開発・販売を行う企業です。営業利益率は高め(11.4%)、5年連続増収増益と好調に見えますが、企業サイトとレポートを読んでもこの会社の強みがいまいち見えてきません。ビジネスモデルとしては財務を中心とした社内の事務全般にわたるパッケージを買わせて、そのあとはサポート料で稼ぐ典型的なフロー+ストックモデルです。悪いモデルではありません。スマホからもアクセスできるクラウド化がこの手の事務処理パッケージには大きな武器になると思いますが、対応が遅れているようです。
2000年以来15年ぶりの売上高過去最高達成、というのが引っかかります。15年間この会社はなぜ苦しんできたのか?なぜそこから脱却できたのか?その理由と疑念が晴れると投資対象として最適な銘柄になると思います。時間があったら調べてみます。チャートは2010年以降綺麗な右肩上がり、PERも13.72倍と悪くありません。
好調なサイト「bizocean」は面白いですね。ビジネス文章テンプレートが18000点もあります。広告収入が億単位になるのも分かります。見習いたいですね。
6736 サン電子
サン電子といえばサンソフトです。ファミコンの「いっき」「レミングス」「アフターバーナー」は私もプレイしたことがあります。まだ会社が残っているなんてすごいですね。「上海」もここが作りました。
実はパチンコ用システムをファミコンより前から開発しており、最近では携帯電話用データ管理機器、さらには携帯電話のデータ解析による犯罪捜査(!)までを手掛ける企業になっていました。パチンコ業界縮小に伴い、業務を携帯電話関連にシフトしつつあります。
ゲーム市場にはまだ残っており、ソシャゲも作ってるらしいです→俺プリ!
BLです。。
「そこまで言われて、我慢…できるわけないだろ?」
フォレンジック(犯罪捜査)事業はすでにサン電子の看板事業になっており、利益率も20%と非常に高いです。これをパチンコのホールシステム事業の利益率-24.2%が足を引っ張る構造となっています。
フォレンジック事業はその性質上グローバル展開がされており、ブラジル・フランス・カナダ・イスラエルなどですでに実績があり、今後も中国などマーケットの拡大が見込まれます。何しろきわめて特殊な製品ですから、同業他社が存在しませんい。
Cellebrite UFEDは、各国の警察、軍、法執行機関、諜報機関等で携帯電話、スマートフォン、PDA等のデータ抽出の際に使用されているリーディングプロダクトです。
歴史的ゲームソフトハウスはいまや犯罪捜査機器の最先端企業である、、感慨深いですね。投資に私情を持ち込んじゃいけませんが、応援したくなりますね。
7521 ムサシ
選挙関連機器、文章デジタル化が主力の企業です。選挙の有無で利益が大きく変動します。期初は減益予想、突然の衆院選実施により上方修正、決算でさらに上乗せと選挙に大幅依存しています。
レポートでプッシュされているメディアコンバート事業(文章デジタル化)の成長可能性については私は懐疑的です。確かにマイナンバーにより法定調書などの一時的な増加は見込めますが、全世界的にお金の流れは電子化される傾向にありますので、調書自体が紙で発行されなくなることも考えられます。するとコンバートする必要はありません。また個人的に、恣意的な政策に事業の成否を握られている企業は嫌です。FPGで凝りました。
2352 エイジア
個人投資家に人気の企業ですね。企業向けメール配信システムを核とする企業です。既にクラウド化しており、安価かつ利益率の高いストック型ビジネスモデルです。メール配信は数が多ければサーバー負荷が非常に高いので、クラウドを採用して集中管理するというのは理にかなったシステムの使い方ですね。
顧客の企業ははエイジアのメール配信システムを使用し、ユーザーの属性や購買履歴などの行動に沿ったメールを安価かつ大量に配信することができ、効率的なマーケティングが可能となります。これを自前でやるのは大変ですね。
前期決算は人件費増、消費増税でIT投資が鈍ったことにより-16.7%と大幅減益となりました。しかし営業利益率はまだ17.3%をキープしており、収益性は高いままです。
投資対象としては優秀の部類に入りますが、比較的規模の小さい企業(時価総額30億円)であるためか、6月後半に仕手株化し乱高下しています。投資には注意が必要です。
1717 明豊ファシリティワークス
面白いです!
CM(コンストラクションマネジメント)事業を展開する企業です。CMとは、工事発注者(建物を作るために金を出す側)の代行者または補助者となりプロジェクト全体をマネジメントして、基本計画や設計を検討したり、工期短縮・コスト削減などを行う手法です。発注者はプロの助言とコスト削減などのメリットがあり、明豊は浮いた金額の一部としてマネジメント料金を得るというwin-winの仕組みですね。
同社は「情報の可視化」なるものを売りにしています。プロジェクトのすべてのプロセスを公開して中立性を担保し、かつ発注者と施工業者の間の情報格差を無くし、発注者の立場を強めることができます。
エキスパート揃いの明豊のサービスは満足度が高く、なんと2/3の顧客がリピーターです。驚いたことにコストカッターであるはずの明豊は施工業者からも評判が高いそうです。難しい検討事項についても明豊が間に立つことで発注者との交渉がスムーズに進むからだそうです。
船井総研のように口しか出しませんから経費は人件費だけのはずですが、営業利益率は8.8%とそれほど高くありません。これは口だけを出す「ピュアCM契約」に加えて、施工会社との契約も明豊が行う「アットリスクCM契約」という契約方式が存在するためです。営業利益率はあまり当てにしない方がよさそうです。
発注者が建設業であるため景気の影響を受けますが、現在オンリーワンの企業であり、非常に魅力的に見えます。また、利権がらみの怪しい入札の多い建設業界と正反対の思想に基づく企業です。成長するほど日本の建設業のウミがなくなっていく素晴らしい企業ですので、私情を挟むならとても応援したい企業なのですが、敵が増えていくリスクがありますね。