窃盗の件で被害届を出しに警察署に向かった。警察署に行くのは中学生時代に自転車事故を起こしたとき以来で約20年ぶり、自ら被害を訴えに行くのは初めてのことだった。
捜査第三課の窓口を訪れ、警官さんに、離婚した妻にクレジットカードで50万円のキャッシングと3万円のショッピングをされたと訴えた。
警官さんは窃盗または詐欺が成り立つのではないかと考えて、時間をかけて調べてくれた。約30分後、警察署では残念ながら力になれないとおっしゃった。
理由は次の通りだ。ぼくが使っていたカードは楽天カードで、本人カード(ぼく名義のカード)を親カードとして、家族カードというものを発行できる。家族カードは本人カードとは別の番号が付与され、単体のカードとして使うことができる。
当時はたしか3000ポイント無料プレゼントキャンペーンが開催されていたので、ポイントにつられて契約してしまったと記憶している。
家族カードの請求先は本人カードの請求先と等しい。楽天で見られるカード使用履歴は本人・家族両方の履歴が一緒に記載されているし、利用限度額についても2枚のカードの使用額を合算した金額で判断される。一見、家族カードは本人カードの2枚目のようなものに思える。
しかし家族カードは、本人カードのコピーと1点だけ本質的に異なる点がある。家族カードは名義人の真正のカードとして利用できる。
以上を踏まえると、まず窃盗については、ぼく名義のカード(=本人カード)が盗まれたのではないから成立しない。ぼくは本人カードを持っていた。
警察官さんは詐欺の線でも調べてくれていた。ぼくのクレジットカードが盗まれたものでなくても、他人がぼくのカードを勝手に使えば詐欺罪が成立する。ところが元妻が使った家族カードの名義人は元妻だから、ぼくを偽装してカードを使ったのではない。よって詐欺罪も成立しなかった。実質ぼくのカード同然なのにね!これが本人カードを無断で使用していたのであれば、無事、詐欺が成立していた。
※お申し込み対象:生計を同一にする配偶者、親、子ども(18歳以上、高校生を除く)に限ります。
離婚した瞬間に家族カードの条件を満たさなくなるのだから解約するべきだった。
家族カードなんて契約してはいけない。プロキシサーバと仕組みは同じだ。家族カードはカード名義人の偽装に等しい。ポイントにつられて尻尾を振ったらおしまい。作ってしまった人は紛失を装ってでもいいから速やかに凍結した方がいい。
警察官さんは「力になれず申し訳ない」と心からおわびしてくれた。
ぼくはさらに自分の事情も話した。精神的DVを受けていたこと、名前を奪われ通称で呼ばれていたこと、体重が40kgまで減ったこと、こども達が自覚のない軟禁状態であること。DVに理解のある警察官さんで「つらい思いをされたのですね」と話してくださった。こども達のことを大変心配していて、元家族が住んでいる土地の役所や警察に相談してみるとよいとおっしゃった。
警察官さんには民事で損害賠償請求をしてはどうかと勧められたが、既に相談済みで弁護士に受任してもらえる見込みが薄いこと、裁判になっても元妻に職も財産もないので回収が不可能であることを告げた。「そうですか、でも今後××さん(元妻の名前)と交渉したときにトラブルになれば我々が出ていくことができますので、すぐに110番してくださいね」とおっしゃった。
窃盗が認められなくてがっかりしたけど、不安になることもなくぼく自身で全部説明できたので、もう一つ山を越えられた。
元妻は窃盗・詐欺が成立しないとわかっていて家族カードを使ったわけではなく、「自分の名前のカードだからいいだろ!」くらいの気持ちだったんだと思う。
内容証明を送るとか元妻の親に事実を話して金を返すよう促すとか、打撃を与える方法はまだいくつか残っているのだけれど、今はもう元妻に時間やお金といったリソースを取られることがあほらしい気持ちだ。
ばーかばーか!おならぷー!
念のため、手持ちの銀行口座も全部解約して新しい口座を作る。通帳とカードはぼくが持っているけれど、銀行印が元家族の手の内にあるからだ。銀行印は新しく作り直した。僕の戸籍上の苗字は元妻と同じものになっているので、苗字ではなく名前を彫ってもらった。もう名前が奪われることはない。