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ウラティーミル・アシュケナージ(1937-)はソ連出身のユダヤ人ピアニストです。ユダヤ人は音楽家にいったい何人いるのでしょうね。
ご存命で、70年代以降は指揮者としても活躍しています。このジャケットでは繊細そうな若者ですが、今の姿もナイスですよ!
ショパンとリストで別人に
ボックス1枚目はショパンとリストを取り上げています。彼のピアノは弾き分けがうまく、7曲目までと8曲目以降はまるで別人です。ショパン曲は暗く重苦しい気持ちにさせてくれます。7曲目バルカローレ(舟歌)なんか傷心旅行で川に揺れながらいったいどこまで落ちぶれていくのかもうどん底って感じです。
リストが神々しい
対照的に、リスト曲は天井の彼方まで連れ去ってくれます。8曲目超絶技巧練習曲(すごいタイトル)が始まった途端天井から大量の光が漏れてくるようです。超絶技巧と銘打ってますが、リストの過剰なまでの壮大な曲構成力が背骨を支え、さらに指が15本くらい必要そうな大量の音を流し込むことで他では聞けないようなド迫力の演奏が繰り広げられます。特に11, 12, 13曲目は胸の奥がぐぐーと押されたり広げられたりして聴いている方も大変です。13曲目がいちばんすごい。大河が押し寄せる様子や大きな山々、宇宙の彼方などとにかく大きな大きなものが想像されます。美しい。。このCDを聴いて自分ってリスト大好きなんだな、と再認識しました。
Ashkenazy plays Liszt Harmonies du Soir – YouTube
楽譜で見てみるとオタマジャクシの群れにしか見えないですね。
自信をもってお勧めできる1枚です。
Tracklists
Frederic Chopin:
1. Scherzo No.4 In E, Op.54
2. Nocturne In B, Op.62 No.1
3. Mazurka In A Flat, Op.59 No.2
4. Trois nouvelles etudes, Op. Posth.: No.1 In F Minor
5. Trois nouvelles etudes, Op. Posth.: No.2 In A Flat
6. Trois nouvelles etudes, Op. Posth.: No.3 In D Flat
7. Barcarolle In F Sharp, Op.60Franz Liszt:
8. Etude d ‘execution transcendante:: 1.Prelude (Presto)
9. Etude d ‘execution transcendante:: 2.Molto vivace
10. Etude d ‘execution transcendante:: 3.Paysage (Poco adagio)
11. Etude d ‘execution transcendante:: 5.Feux follets (Allegretto)
12. Etude d ‘execution transcendante:: 10.Allegro agitato molto
13. Etude d ‘execution transcendante:: 11.Harmonies du soir (Andantino)
14. Etude d ‘execution transcendante:: 8.Wilde Jagd (Presto furioso)
15. Mephisto Waltz No.1
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