CDレビュー: Metallica – St. Anger(2003)

★★★★★

 

メタリカ8枚目のオリジナルアルバムです。デビュー20周年。

中年の危機に拳を上げよ

サウンド変えすぎ!!!!

前作までの穏健路線はどこへやら、ギターもドラムも錆び付いた体にステロイド剤を大量投与するかのようにエフェクター全開、ドラムなんか掃除用のバケツをスティックで叩いているような訳の分からん音になっています。

まず頭2曲。1曲目Franticのめちゃめちゃなアウトロで度肝を抜きつつ2曲目St.Angerは耳に毒なくらいドラム叩きすぎ。前2枚は本作の溜めパンチのための布石だったのかと思えるほどです。

全体として、前作前々作で培ったキャッチ―なメロディーラインが洗練され、嫌みのない形で昇華されて上手いこと組み込まれています。メジャーな曲は嫌いですがこのアルバムの歌い方だと気にならない不思議。前作前々作はほとんど受け付けなかったのに、、

安定して中ヒットを飛ばしつつ本アルバムのキモ9曲目The Unnamed Feeling。この曲は今までの集大成じゃないでしょうか。ハードさも近年組み込まれたバラード的ギターもとてもいい形で融合していると思いました。

Get the fuck out of here
I just wanna get the fuck away from me
I rage, I glaze, I hurt, I hate
I hate it all, why? Why? Why me?

I cannot sleep with a head like this
I wanna cry, I wanna scream
I rage, I glaze, I hurt, I hate
I wanna hate it all away

彼らはFワードを滅多に使いません(今まではSo What?の1曲だけ)が、本曲で敢えて混ぜてきました。相当強調したかったのだと思います。歌声にメタリカ史上初めて鬼気迫るものを感じました。苦手なはずの裏声があるというのに。「名付けられない感覚」という歌詞の内容的からして、たぶん、自分たちの感じている実存的な危機がそのまんま込められていると思います。私も40代になったらそう感じるのかな。

今適当に検索したら「アルコールの離脱症状に陥った時の名付けようのない感覚(不安) についての曲。」って出てきましたがまじか。

 

www.youtube.com

うわ―いいオッサン達になってる。。指摘の箇所は4分ちょうど以降です。

続く10曲目Purify、11曲目All Within My Handsも魂削って歌っている様子が伝わってきていいですよ。歌声ならこのアルバムが最高峰でしょう。スレイヤーと同様、方向性はどうあれ彼らが進化していく様子を辿っていくのはとても興味深いものです。

 

ちょっと評価低すぎじゃない?私は一番好きな5枚目Metallicaと並ぶくらいの評価です。

 

 

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